LDLコレステロール値を下げる食品

4388views

ldl-cholesterol-food

LDLコレステロールが増える原因について解説したうえで、LDLコレステロール値を下げるのに役立つ栄養素や食べ物、飲み物を紹介します。

LDLコレステロールとは

LDLコレステロールは、悪玉コレステロールとも呼ばれる物質で、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きを持ちます。

血中のLDLコレステロールが増えすぎると、血管壁に溜まり、動脈硬化をはじめ脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクが高まるため注意が必要です。

血中LDLコレステロールの標準値は、140mg/dl未満。140mg/dlより高くなると、脂質異常症と診断されます。

一方、血管壁に溜まったコレステロールを回収する役割を持つのがHDLコレステロールです。善玉コレステロールとも呼ばれ、HDLコレステロールを増やすことで動脈硬化の抑制につながります。

LDLコレステロールが増える原因

LDLコレステロールが増える原因を以下にまとめました。

  • 遺伝:代表的なものは「家族性高コレステロール血症」。遺伝的要因でLDLコレステロールの値が高くなる疾患です。
  • 加齢:閉経後の女性は女性ホルモンのエストロゲンが減り、血中LDLコレステロール値が上昇しやすくなります。
  • 肥満:肥満とは中性脂肪が増えた状態です。中性脂肪は脂質代謝に影響を与えるため、LDLコレステロールを増やす要因になります。
  • 生活習慣:食べ過ぎや運動不足、喫煙習慣、アルコールの飲みすぎなどはLDLコレステロール値を高める要因です。
  • 脂質の多い食事:特に動物性の食品は脂質が多いため、注意が必要です。ほかにも魚卵やレバーなどの高コレステロール食品に気を付けましょう。

コレステロールは全体の2割から3割は食品から摂取され、ほかは肝臓で作られます。

そのため血中のLDLコレステロール値を正常に戻すためには、コレステロールの摂取量を減らすだけでなく「コレステロールの合成を促進する食品を減らす」「コレステロールを合成させにくい食品を増やす」という考えが重要です。

LDLコレステロール値を下げる栄養素

LDLコレステロール値を下げる栄養素について解説します。

食物繊維:コレステロールを排出

食物繊維は胃で消化されず大腸まで届く栄養素で、すぐれた整腸作用が知られています。便秘解消に期待できるだけでなく、脂質を吸着し排出する作用があるため、血中のコレステロール値低下に役立つでしょう。

特に吸着性に秀でているのが水溶性食物繊維。大麦に含まれるβ-グルカンや、海藻類のアルギン酸などが代表的です。

食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

オメガ3脂肪酸:血液をサラサラに

オメガ3脂肪酸とは、多価不飽和脂肪酸の一種です。コレステロールと同じ脂質ですが、LDLコレステロールを減らし血液をサラサラにする作用があります。

なかでも重要なのは、高脂質症の治療薬としても利用されるEPA(EicosaPentaenoic Acid)。青魚に多く含まれるEPAは、コレステロールと深い関係のある中性脂肪を減らす作用もあります。

オメガ3の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ナイアシン:脂質代謝促進

ナイアシンはビタミンB群の仲間です。脂質の代謝に関わり、ナイアシンの摂取によりLDLコレステロールが減ることが研究により明らかになっています。

さらに研究では、HDLコレステロール値の増加も確認されました。脂質異常症の予防としてナイアシンは役に立つと考えられます。

ナイアシンのダイエット効果を徹底解説【効率よく摂取する方法も紹介】 | NANIWA SUPLI MEDIA

抗酸化ビタミン:酸化を防止

LDLコレステロールの低下には直接関わりませんが、抗酸化ビタミンの摂取は動脈硬化をはじめとした疾患予防に効果的です。

LDLコレステロールは活性酸素により過酸化脂質へ変異すると、血管内に蓄積して動脈硬化を進行させます。

酸化の原因となる活性酸素を減らすには、抗酸化作用のある栄養素が効果的です。ビタミンエースと呼ばれるビタミンA・ビタミンC・ビタミンE、そしてβ-カロテンが多く含まれる食品を摂取するようにしましょう。

ビタミンAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ポリフェノール:活性酸素を除去

ポリフェノールとは植物の苦味や渋味などを作り出す成分です。強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素の減少や除去に役立ちます。

LDLコレステロールの増加が原因となる動脈硬化を予防する働きがあるため、積極的に摂取したい栄養素です。

ポリフェノールの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

リコピン:善玉コレステロールを増やす

トマトに含まれるリコピンは、ビタミンEの100倍の抗酸化作用を持つ栄養素です。LDLコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化予防に効果を発揮してくれるでしょう。

また、リコピンは血中のHDLコレステロールを増やす働きが研究で明らかになりました。血流改善作用で中性脂肪を減らす効果も期待されるため、LDLコレステロール値の低下を強力にサポートしてくれるはずです。

リコピンの効果効能・多く含む食品・1日の摂取目安量・効率よく摂取する方法・副作用 | NANIWA SUPLI MEDIA

タウリン:コレステロール低下作用

タウリンはアミノ酸の一種で、イカ・タコ・マグロなどに多く含まれます。疲労回復作用が有名ですが、近年ではコレステロールの低下作用が注目されている成分です。

研究ではタウリンが胆汁酸と結びつき排出を促進させることで、コレステロールを低下させると考えられています。

LDLコレステロール値を下げる食べ物・飲み物

LDLコレステロール値を下げる食べ物・飲み物について解説します。

大豆製品

大豆は植物性タンパク質が豊富なので、主に肉類からタンパク質を摂取している人は大豆製品に置き換えると脂質の摂取を抑えることができます。

さらに大豆タンパク質に含まれるグリシニンは、血中のコレステロール値を低下させる作用を持っています。大豆製品はさまざまな種類があるので、納豆や豆腐などを取り入れながら毎日摂取するようにしましょう。

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

キノコ類

まいたけやしめじなどのキノコ類は、食物繊維が豊富な食品です。噛みごたえがあり満腹中枢を刺激してくれるので、LDLコレステロールの増加を招く過食を防いでくれるでしょう。

特におすすめのキノコはエリンギです。エリンギは脂質の代謝をサポートするナイアシンが豊富なので、よりコレステロールの低下作用が期待できるでしょう。

まいたけの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

しめじの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

エリンギの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

えのきの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

海藻類

ひじきやもずくなどの海藻類は水溶性食物繊維が多く含まれています。

なかでもわかめは野菜に劣らないほどビタミン類が豊富な海藻です。特に抗酸化物質であるβ-カロテンの含有量が多いので、動脈硬化予防としても取り入れていきたい食品と言えます。

ひじきの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

もずくの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

わかめの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

玄米や大麦

穀物類の中では、玄米と大麦がおすすめです。玄米は白米の4倍から6倍の食物繊維が含まれるうえに、ビタミン類も多いので栄養面で利点があります。

大麦は水溶性食物繊維のβ-グルカンが豊富です。カロリーも低いため、肥満も防止したいなら白米を押し麦に置き換えると良いでしょう。

玄米の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

大麦の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

野菜類

野菜類にはビタミンやポリフェノールが多く含まれており、強い抗酸化作用が見込めます。リコピンの多いトマトや、ビタミンエースを多く含んだかぼちゃがおすすめです。

また、ポリフェノールのケルセチンが含まれる玉ねぎは血液をサラサラにする作用があるため、コレステロール値低下をサポートしてくれるでしょう。

トマトの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

かぼちゃの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

玉ねぎの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

魚介類

オメガ3脂肪酸の一種であるEPAが豊富な食品の代表格はサバです。気軽に食生活に取り入れたい人は、サバ缶を活用すると良いでしょう。

ほかにもイカやエビは、コレステロール低下作用を持つタウリンが豊富です。さらにエビの殻にはコレステロールを吸着し排出を促すキチン質が含まれています。摂取するなら殻ごと食べられる調理法が良いでしょう。

サバの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

イカの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

エビの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

緑茶

緑茶にはポリフェノールの一種であるカテキンが豊富に含まれています。

数種類あるカテキンの中でも、コレステロールへの効果が確認されたのはガレート型カテキンです。ガレート型カテキンを継続的に摂取したところ、被験者のLDLコレステロール値が優位に低下しました。

摂取を避けるべき食べ物

LDLコレステロールを高めてしまう食べ物や飲み物を紹介します。

  • 肉類:特に脂身にコレステロールが多いので、食べるなら赤身を選びましょう。
  • レバー類:牛レバー・豚レバー・鶏レバーともにコレステロールが多く含まれます。
  • 卵類:卵黄は特にコレステロールの含有量が多いです。
  • 魚介類:うなぎ・しらす干し・ししゃもはコレステロールが多く含まれます。すじこやたらこなどの魚卵も注意が必要です。
  • ジュース:糖質の摂りすぎは中性脂肪増加の原因になり、LDLコレステロール値に影響を与えます。
  • アルコール:血液中の中性脂肪を増やします。また、過剰にアルコールを摂取するとHDLコレステロールの働きを低下させます。
  • 乳製品:バター・プロセスチーズ・生クリームは脂肪分が多いです。
  • 菓子パン・洋菓子・スナック菓子:トランス脂肪酸が多いため、LDLコレステロールを増加させ、HDLコレステロールを減少させてしまいます。

LDLコレステロール値を下げる生活習慣

LDLコレステロール値を下げるために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

和食を中心にする

欧米型の食生活は、肉類が多く脂質を余分に摂りすぎる傾向にあります。タンパク質は魚や大豆製品からとるようにして、肉類を減らすと良いでしょう。

LDLコレステロール値を低下させたい場合は、ヘルシーな和食がおすすめです。

運動習慣

HDLコレステロールを増やすには適度な有酸素運動が効果的です。

ウォーキングや水泳などの運動を1日30分以上を目安に続けてみましょう。コレステロール値は1回の運動だけでは影響を受けないので、数ヶ月の継続が鍵となります。

一度にまとまった時間を確保するのが難しい場合は、10分の有酸素運動を3回に分けて行なっても同様の効果が得られます。

禁煙する

喫煙習慣は、LDLコレステロールを増加させ、HDLコレステロールの働きを低下させることがわかっています。さらに喫煙は体内に活性酸素を発生させるため、LDLコレステロールの酸化も促進してしまうのです。

脂質異常症や動脈硬化を予防したいなら、禁煙するのが一番です。

ストレスを溜めない

人間はストレスを受けると体内でストレスホルモンが分泌されます。コレステロールはホルモンの材料となるため、ストレスホルモンを生成する際に血中のLDLコレステロール値が高まってしまいます。

日頃からストレスを溜めないよう、なるべく発散することが重要です。また、質の良い睡眠もストレスを低減させてくれます。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
https://aya-works.com/

LINE公式アカウントを追加
LINEお友達追加