ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

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栄養素

ビタミンCの基本情報、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、1日の摂取目安量、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。

ビタミンCとは

ビタミンCは、水に溶けやすい水溶性ビタミンのひとつで、化学名をアスコルビン酸と言います。

ビタミンCは、骨や腱を構成するコラーゲンを生成するために必須の栄養素です。不足すると血管がもろくなり、出血を起こします。

この状態を壊血病(軽度なものはビタミンC欠乏症とも)と言い、16世紀から18世紀にかけての大航海時代において、新鮮な野菜や果物を摂取できなかった船員の間で流行しました。

犬や牛などの哺乳動物が体内でブドウ糖からビタミンCを合成できるのに対し、人や猿、モルモットなど一部の哺乳動物はビタミンCの合成に必要な酵素を持っておらず、食事からビタミンCを摂取しなければなりません。

近年ではコラーゲンを合成する働きだけでなく、ビタミンCが持つ抗酸化作用やメラニン抑制作用による美容・美白効果が注目されています。

ビタミンCの効果・働き

ビタミンCの効果・効能・働きは下記の通りです。

  • コラーゲンの合成に関わる
  • 細胞の老化を防ぐ
  • しみ・そばかす防止
  • 貧血防止
  • コレステロールを正常に保つ
  • 体外からやってくる有害物質を追い払う
  • ストレスに強い体を作る
  • 肩こりや疲労を解消・回復する
  • 脳の働きをよくし、頭の回転を速くする
  • 風邪・インフルエンザを予防する
  • 悪酔いや二日酔いを防ぐ
  • がんへの抵抗力を高める
  • 頭痛・生理痛などの痛みの緩和
  • 糖尿病のインスリン不足を補う
  • 白内障になりにくくする
  • アレルギー反応の原因となるヒスタミンを少なくする
  • 皮膚や粘膜を正常に保ち肌荒れ・口内炎などを防ぐ
  • ビタミンB群とともに肌を再生しニキビ跡などを目立たなくする

この中から、代表的な効果・働きについてさらに解説します。

コラーゲンを合成してシワ予防・傷の治りを早く・毛細血管を丈夫にする

ビタミンCはコラーゲンを生成するために必須の栄養素で、コラーゲンはビタミンCと鉄がタンパク質に働きかけることによって合成されます。

コラーゲンは、骨・皮膚・血管・歯などさまざまなところに活用され、体内のタンパク質のうち1/3を占める重要な化合物です。コラーゲンが生成されることによって次の効果が得られます。

  • 肌にハリを与えてシワを予防する
  • 傷の治りを早くする
  • 毛細血管を丈夫にする(壊血病を防ぐ)

メラニン色素の生成を抑制して日焼け・シミ・そばかすを予防する

ビタミンCは皮膚のメラニン色素生成を抑制するので、日焼け・シミ・そばかすの予防に繋がります。

このためシミ・そばかす予防薬としてビタミンCを配合した前述のシワ予防効果や抗酸化作用などと合わせて、美容・美白効果が期待できるビタミンとしても有名です。

抗酸化作用によるアンチエイジング効果

ビタミンCは、抗酸化作用を持つ抗酸化ビタミンの一種です。

活性酸素を消去して細胞を保護することによって、老化を遅らせるアンチエイジング効果が期待できます。

またビタミンCのアンチエイジング効果は、ビタミンEと協力することでさらに抗酸化作用が向上することが分かっており、ビタミンCとビタミンEは一緒に摂取するとより効果的です。

免疫力を高めて感染症予防・がん予防に効果を発揮

ビタミンCは白血球の働きを強化する効果があり、これによって免疫力が高まります。

このことから、十分な量を摂取することによって風邪や感染症の予防に効果を発揮すると言えるでしょう。

またビタミンCに関する研究では、強い抗酸化作用によって肝炎や肝臓がんなどの病気にポジティブな影響を与えたという報告もあります。

鉄の吸収を助け貧血を予防・改善

貧血の予防・改善に効果的とされる鉄ですが、鉄を効果的に吸収するためにはタンパク質とビタミンCを一緒に摂取する必要があります。

そのため、十分な量のビタミンCを摂ることは、貧血の予防・改善に繋がるのです。

ステロイドホルモンを作りストレスに強くなる

ステロイドホルモンとは、ステロイド骨格という構造を持ち、ストレスに抵抗する機能を持ったホルモンのことです。

人はストレスを感じると、副腎という部位で、タンパク質・パントテン酸・ビタミンCを利用してストレス対抗ホルモンを分泌します。

このことから、ビタミンCを十分に摂取することは、精神的・身体的ストレスに強い身体を作ることに繋がると言えるでしょう。

ビタミンCが不足・欠乏すると起こる症状

ビタミンCが不足・欠乏すると、次の欠乏症を引き起こします。

  • 壊血病

壊血病とは、ビタミンCの欠乏によってコラーゲンが合成できなくなり、血管が脆くなり出血などの諸症状を引き起こす病気です。

壊血病の症状として、次の兆候が見られます。

  • 疲労感
  • 倦怠感
  • 歯肉の炎症
  • 点状出血
  • 斑状出血
  • 紫斑
  • 関節痛
  • 創傷治癒の不良
  • 過角化症
  • 捻転毛
  • うつ状態
  • 組織や毛細血管の脆弱化による歯肉の腫れや出血
  • 歯のぐらつきや脱落

またこのほかに、出血が原因による鉄欠乏性貧血なども引き起こす可能性が高まります。

ビタミンCが不足・欠乏する原因と対策

ビタミンCが不足・欠乏する主な原因は、「喫煙」と「食生活」です。

喫煙者や受動喫煙者は、非喫煙者に比べてビタミンCの必要性が高く、同年代の推奨量以上のビタミンC摂取が推奨されます。

また、ビタミンCは熱によって破壊される割合が比較的多いため、生の野菜や果物を摂取していないと不足しがちです。

特に乳児に加熱した牛乳などを与えている場合は、不足しやすくなってしまいます。

なお母乳や粉ミルクには適切な量のビタミンCが含まれているため、母乳や粉ミルクから栄養を摂取している乳児においてビタミンCが欠乏する心配はありません。

ビタミンCを過剰摂取すると起こる症状

ビタミンCを取りすぎると、下痢・吐き気・胃けいれん・腹痛などの副作用が起こる場合があります。

そのため、ビタミンCには安全な上限値が設けられており、成人でも最大で2,000mg(2g)が安全な摂取量=耐容上限量です。この耐容上限量に従い、長期間にわたる極端な過剰摂取などは避けましょう。

なおこの耐容上限量は、腎機能障害がある人も含めた広い人を対象とした数値です。健康な人がビタミンCを過剰摂取した場合は、吸収率が低下して尿として排出される量が増えるだけであり、基本的に安全だと考えられています。

ただし健康な人の場合においても、極端に過剰摂取すれば前述の副作用が一過性の症状として現れる可能性がありますので注意しましょう。

ビタミンCの1日の摂取目安量

ビタミンCの1日の摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに85mg、推奨量は100mgです。

これは、最もビタミンCを豊富に含む果物であるアセロラで摂取した場合、およそ5~6gで推奨量を満たします。

なお、下記表の「摂取平均必要量」とは、壊血病を予防するための必要量ではなく、心臓血管系の疾病予防効果、および抗酸化作用を得るための必要量として算定されたものです。

ビタミンCは、1日当たり10mg程度摂取していれば欠乏症(壊血病)は発症しないことが分かっています。

一方で、心臓血管系の疾病予防効果や、有効な抗酸化作用が期待できる摂取量は、83.4mg/日であることが示されており、日本人の食事摂取基準(2020 年版)で掲げられている推定平均必要量も、後者に則った数値です。

ビタミンCの食事摂取基準(mg/日)

性 別男 性女 性
年齢等推定平均必要量推奨量目安量推定平均必要量推奨量目安量
0 ~ 5 (月)4040
6 ~11(月)4040
1 ~ 2 (歳)35403540
3 ~ 5 (歳)40504050
6 ~ 7 (歳)50605060
8 ~ 9 (歳)60706070
10~11(歳)70857085
12~14(歳)8510085100
15~17(歳)8510085100
18~29(歳)8510085100
30~49(歳)8510085100
50~64(歳)8510085100
65~74(歳)8010080100
75 以上(歳)8010080100
妊 婦(付加量)+10+10
授乳婦(付加量)+40+45
※L-アスコルビン酸(分子量 =176.12)の重量で示した。また、推定平均必要量は、ビタミンCの欠乏症である壊血病を予防するに足る最小量からではなく、心臓血管系の疾病予防効果及び抗酸化作用の観点から算定。
出典:日本人の食事摂取基準(2020 年版)

ビタミンCを多く含む食品

ビタミンCを多く含む食品を、全食品・野菜・果物の順で、それぞれランキング形式で紹介します。

全食品中でビタミンCを多く含む食品ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1果実類/アセロラ/酸味種、生1700
2し好飲料類/青汁/ケール1100
3調味料及び香辛料類/パセリ/乾820
4果実類/アセロラ/甘味種、生800
5し好飲料類/(緑茶類)/せん茶/茶260
6果実類/グァバ/白肉種、生220
6果実類/グァバ/赤肉種、生220
8藻類/あまのり/焼きのり210
9野菜類/(ピーマン類)/トマピー/果実、生200
9藻類/あまのり/味付けのり200
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

全食品の中でビタミンCを最も多く含むのは酸味種のアセロラで、100gあたり1700mgものビタミンCを含有しています。

次いで、青汁の原料として知られるケール、せん茶、グァバなどがビタミンCを多く含む食品の代表格です。

パセリにも820mgもビタミンCが含まれていますが、あくまでも100gあたりの含有量である点に注意してください。

ビタミンCをを多く含む野菜ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1野菜類/(ピーマン類)/トマピー/果実、生200
2野菜類/(ピーマン類)/赤ピーマン/果実、油いため180
3(ピーマン類)オレンジピーマン、果実、油いため170
3野菜類/(ピーマン類)/赤ピーマン/果実、生170
5野菜類/(ピーマン類)/黄ピーマン/果実、油いため160
5野菜類/めキャベツ/結球葉、生160
7(ピーマン類)オレンジピーマン、果実、生150
7野菜類/(ピーマン類)/黄ピーマン/果実、生150
7ブロッコリー 花序 焼き150
10ブロッコリー 花序 生140
10ブロッコリー 花序 電子レンジ調理140
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

野菜の中でビタミンCを最も多く含むのは、トマトとピーマンのよさを兼ね備えたトマピーでした。しかしトマピーは茨城県水戸市を中心に栽培されており、全国どこでも入手できる野菜というわけではありません。

入手しやすさや調理のしやすさを考えると、赤ピーマン・オレンジピーマン・黄ピーマン(パプリカ)の方が効率的に摂取しやすいと言えます。

ビタミンCを多く含む果物ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1果実類/アセロラ/酸味種、生1700
2果実類/アセロラ/甘味種、生800
3果実類/グァバ/赤肉種、生220
3果実類/グァバ/白肉種、生220
5果実類/(かんきつ類)/ゆず/果皮、生160
6果実類/キウイフルーツ/黄肉種、生140
7果実類/アセロラ/10%果汁入り飲料120
8果実類/(かんきつ類)/すだち/果皮、生110
9果実類/(かんきつ類)/レモン/全果、生100
10果実類/かき/甘がき、生70
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

果物の中でビタミンCを最も多く含む食材は、もちろん全食品中でトップのビタミンC含有量を誇るアセロラです。

次にグァバ・ゆず・すだちなどが並びますが、こちらも入手のしやすさなどを考慮すると、キウイフルーツが最も摂取しやすい果物と言えるでしょう。

ビタミンCを効率よく摂取する方法

ビタミンCは、ビタミンとしては例外的に、食品から摂取してもサプリメントから摂取しても同じ効果を発揮する栄養素であるため、ビタミンCを積極的に摂取したい場合はサプリメントによって摂取するのがもっとも効率がよいと言えます。

ただし前述の通り、腎機能に障害を抱えている場合などは過剰摂取することによって副作用が生じる場合もありますので、1日あたり2000mgを超えないよう注意してください。

マルチビタミンなどを常飲している場合は、ビタミンCの含有量をしっかりチェックしておきましょう。

なおビタミンCは2~3時間おきに排出されてしまうため、一度に大量に摂取するよりも、1日3食に分けるなどして、できるだけ体内に残る時間を長くする方がより効果が期待できます。

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