トマトの栄養と効果効能・調理法・保存法

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トマトの旬・原産地などの基本情報、トマトのサイズや色による違い、トマトが持つ栄養素とその効果効能、栄養を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

トマトとは

トマトは、ナス科の多年生植物で、リコピンやβ-カロテンを豊富に含む緑黄色野菜です。

旬は7~8月の夏野菜で、日本では冬に枯れる一年生植物として知られていますが、元々は多年生植物のため、温暖な地域や屋内栽培では越冬します。

しかしトマト生産者のほとんどは、糖度を上げておいしくするため、基本的に一世代のみの栽培を行います。

トマトはその栄養素の豊富さから、ヨーロッパでは「トマトのある家に胃腸病なし」「トマトが赤くなると医者が青くなる」などのことわざがあるほど、健康増進を助ける野菜として有名です。

トマトの種類

トマトの種類と、それぞれの違いについて解説します。

トマト・ミニトマト・マイクロトマトの違い

トマトとミニトマトの違いはサイズで、200g以上が大玉トマト、20~30gがミニトマト、その中間が中玉トマト(ミディトマト)に分類されます。

ミニトマトよりもさらに小さい、1粒あたりの直径が5~7mm程度のマイクロトマトと呼ばれるトマトもありますが、これは単なるサイズの違いではなく、一般に栽培されているトマトとは種が異なるものです。

一般のトマトがSolanum lycopersicumという品種なのに対し、マイクロトマトはより原種(祖先)に近いSolanum pimpinellifoliumという品種から栽培されたもの。

もともと小さかったトマトが、品種改良を重ねて現在のサイズまで大きくなった、と考えると分かりやすいかもしれません。

なお栄養の面では、サイズの小さなトマトの方がより豊富に含んでいる傾向にあります。

これは、トマトの栄養価(特にリコピン)が皮や皮に近い部分により多く含まれており、サイズの小さなトマトの方が全量に対して皮の割合が多くなるためです。

単位トマトミニトマトマイクロトマト
アスコルビン酸(ビタミンC)mg/100g153258.4
リコピンmg/100g7.68
β-カロテンμg/100g540960998
-:未測定
‘マイクロトマト’果実の成分特性および日本食品標準成分表2015年版(七訂)より抜粋

トマトの色の違い

トマトの色には大きく分けて、赤色系・ピンク系・黄色系・黒色系の4種類があり、色によって主要栄養素が異なります。

赤色系:リコピンが豊富

トマトの栄養として代表的なリコピンは、赤い色素なため赤色系トマトに多く含まれています。

赤色系はトマトジュースなどの加工用に使われることが多いですが、近頃はスーパーなどの店頭でも「高リコピントマト」といった赤色系トマトを見かけるようになりました。

赤色系以外のトマトにはリコピンはあまり含まれておらず、赤色系の完熟トマト100gあたりにおよそ10mgのリコピン含まれているのに対して、赤みがそれなりにあるピンク系のトマトですら3mgしか含まれていません。

ピンク系:甘味が強く食べやすい

ピンク系は、桃太郎などの品種を筆頭に、スーパーや八百屋など店頭で見かけるトマトのほとんどを占めています。

ピンク系は赤色系に比べて甘味が強く、生でも食べやすいのが特徴です。

黄色系:β-カロテンが豊富なものは鮮やかなオレンジに

黄色系はピンク系に比べてさらに甘味が強く、フルーツのように食べやすいのが特徴です。

黄色系の中でも、特にβ-カロテンを豊富に含んだものは、ニンジンと同じような鮮やかなオレンジ色になります。

黒色系:アントシアニンが豊富

黒色系と呼ばれるものは、見た目には茶色や紫色に見えます。これは、ナスの皮やブルーベリーに含まれるアントシアニンという栄養素が含まれているためです。

アントシアニンはポリフェノールの一種であり、活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用があります。

味は一般的なトマトよりもやや甘味が控えめで、甘味と酸味のバランスが取れているのが特徴です。

その他の色

さらになかには、一見熟していないように見える緑色のトマトや、非常に珍しい白色のトマトなども

いずれも、大玉や中玉といった大きなトマトではなく、ミニトマトとして栽培されています。

トマトに含まれる成分・栄養素

トマト100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

生のトマト、水煮のホール缶、トマトジュースの成分表を日本食品標準成分表2015年版(七訂)より抜粋しています。なお、同成分表にはリコピン量などの掲載はありません。

生食・ホール缶・ジュースを比べてみると、β-カロテンは生食とホール缶が豊富なのに対し、カリウムやビオチンはトマトジュースの方が含有量が多いことが分かります。

特にビタミンCは生食がひときわ豊富で、トマトジュースと比べると2倍以上の差があります。

ビタミンCは水溶性ビタミンであり水に溶けやすいので、摂取する際は生のトマトを食べるとより効率的に摂取できるでしょう。

食品名単位トマト(生)ホール缶(食塩無添加)トマトジュース(食塩無添加)
kcal/100 g192017
水 分g/100 g9493.394.1
たんぱく質g/100 g0.70.90.7
食物繊維総量g/100 g11.30.7
ナトリウムmg/100 g348
カリウムmg/100 g210240260
カルシウムmg/100 g796
マグネシウムmg/100 g9139
リンmg/100 g262618
mg/100 g0.20.40.3
亜鉛mg/100 g0.10.10.1
mg/100 g0.040.080.06
マンガンmg/100 g0.080.090.05
ヨウ素µg/100 gTr4
セレンµg/100 g1Tr
クロムµg/100 gTr1
モリブデンµg/100 g24
β-カロテン当量µg/100 g540570310
レチノール活性当量 (ビタミンA)µg/100 g454726
α-トコフェロール (ビタミンE)mg/100 g0.91.20.7
β-トコフェロール (ビタミンE)mg/100 gTr00
γ-トコフェロール (ビタミンE)mg/100 g0.20.20.1
ビタミンKµg/100 g452
ビタミンB1mg/100 g0.050.060.04
ビタミンB2mg/100 g0.020.030.04
ナイアシンmg/100 g0.70.60.7
ビタミンB6mg/100 g0.080.10.09
葉酸µg/100 g222117
パントテン酸mg/100 g0.170.220.18
ビオチンµg/100 g2.34.2
ビタミンCmg/100 g15106
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

トマトの効果・効能

トマトが持つ栄養素の効果・効能を解説します。

リコピン:血管の老化防止・肥満防止・美肌促進に

トマトの栄養といえばリコピン。リコピンは、抗酸化作用があることで知られる天然色素・カロテノイド色素のひとつです。

そしてカロテノイド色素の中でもひときわ強力な抗酸化作用を持っており、その効果はβ-カロテンの2倍以上、ビタミンEと比べるとなんと100倍とも。

抗酸化作用とは、体内で発生する活性酸素を除去する働きを指し、これによって血管や肌、細胞の老化を防ぎます。

強い抗酸化作用が血流の改善や美しい肌の生成を促すことで、代謝が促され太りにくい体づくりに繋がるのです。そして代謝が活発になれば肌のターンオーバーも正常になり、しわ・たるみ・シミを予防できるでしょう。

さらに活性酸素はシミやくすみの原因となるメラニン色素の生成とも関わっているため、これを抑制することは肌の透明感にも繋がります。

β-カロテン:ビタミンA前駆体として皮膚や粘膜を正常に保つ

β-カロテンは、ビタミンAが不足するとビタミンAに変化して作用するプロビタミンA(ビタミンA前駆体)です。

ビタミンAは、皮膚や粘膜を丈夫にして感染症などへの抵抗力を強めたり、視機能を強化して夜間の視力を維持したりといった機能を持っています。

ビタミンA前駆体は、ビタミンAが不足したときだけビタミンAとして機能するため、過剰摂取の心配が不要な点も魅力。

ビタミンAはレバーなどに多く含まれており、特に妊娠初期の妊婦は摂りすぎないよう注意が必要とされていますが、β-カロテンならその心配が不要です。

β-カロテン・ビタミンC:抗酸化作用がアンチエイジングに効果

β-カロテンには、ビタミンAとして作用する以外にも、有害な活性酵素から体を守る抗酸化作用や、免疫力を増強する作用があります。

さらに、β-カロテンに加えてビタミンCを含有していることから、アンチエイジング効果が期待できるでしょう。

ビタミンCはコラーゲンの構築をサポートする機能や抗酸化作用を持ち、美肌やシミ対策、老化防止効果が期待される栄養素のひとつです。

いずれもリコピンと合わせて、とても強い抗酸化作用が期待できます。

カリウムがむくみ解消・高血圧予防に効果

カリウムには体内の余分なナトリウム(塩分)を体外に排出する作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節してむくみや高血圧を予防します。

カリウムが不足した状態を低カリウム血症と言い、筋力低下・自律神経失調・嘔吐・便秘などさまざまな症状を引き起こします。

一方、カリウムを過剰に摂取しすぎると高カリウム血症となり、悪心・嘔吐・知覚過敏・不整脈・脱力感などを引き起こすため、食べ過ぎにも注意が必要です。

トマト自体の含有量はそれほどではありませんが、カリウムは刻み昆布・干しヒジキ・乾燥ワカメ・味付けのりなどの乾物、インスタントコーヒーなどに多く含まれているため、これらを摂取し過ぎている場合は注意してください。

その他の成分

最近の研究では、トマトにはセロトニンも含まれていることが分かっています。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、精神を安定させる働きをする神経伝達物質です。

また同じく近年、トマトに含まれるエスクレオサイドAという成分に、動脈硬化の抑制効果があることも確認されました。

冒頭で紹介したリコピンの働きもまだすべては解明できておらず、トマトはこの他にもさまざまな健康効果・効能が期待される野菜です。

トマトの調理方法

トマトの栄養を損なわない調理法について解説します。トマトは、主に摂取したい栄養が何かによって、適した調理法が異なるため注意が必要です。

リコピンを摂取したいなら加熱・加工調理

リコピンは生のままでは吸収効率が下がってしまうため、加熱や加工などの調理が適しています。

手軽に摂取したいならトマトジュースが最適です。

β-カロテンを摂取したいなら油と一緒に

β-カロテンは油と一緒に摂取することで吸収効率が上がるため、調理の際は油と合わせることを意識しましょう。

皮むきをしないことで無駄なく栄養を摂取できる

リコピンなどのトマトの栄養は皮付近により多く含まれているため、加熱調理する場合でも、皮むきはしない方が無駄なく栄養を摂取できます。

エスクレオサイドAを摂取したいなら「ミニトマトを生」で

なお、エスクレオサイドAを摂取したい場合は加熱はNGです。

エスクレオサイドAは熱に弱く、トマトよりもミニトマトに豊富に含まれていることから、「ミニトマトを生で食べる」のが効果的。

ちなみに、リコピンもエスクレオサイドAも、朝摂取するのが最も吸収効率がよいとされています。

トマトの保存方法

最後に、トマトの保存方法を解説します。

青いトマトは常温保存で追熟

まだ実が青いトマトは、丸のまま常温で保存すると自身が発生させるエチレンガスによって追熟し、完熟するとリコピンが最大約60%もアップします。

また栄養価の面だけでなく、トマトは冷やしすぎると甘味が弱くなってしまうため、味の面からも冷蔵保存は避けたいところです。

室温が30℃を超える夏場は冷蔵保存

ただし、室温が30℃を超える夏場などは傷んでしまうため冷蔵しましょう。保存期間は常温でも冷蔵でもおよそ1週間ほどが目安です。

ただし見た目に明らかにシワがよってしまっていたり、ぶよぶよと柔らかくなってしまったりする場合は、加熱調理して速やかに食べてください。

長期保存したい場合は冷凍保存

旬のトマトを大量にもらったけれど、短期間で食べ切れそうもない。そんな場合は冷凍保存することで1ヵ月程度日持ちさせることができます。

冷凍保存の方法は、丸ごと保存するなら洗ってヘタを取ってラップに包みフリーザーバッグへ入れるだけ。刻んで冷凍する場合は、粗みじんに切って平らにならして同じくフリーザ―バッグへ入れるだけで大丈夫です。

冷凍したトマトは解凍の手間がかからず、加熱調理する場合はそのまま入れるだけで大丈夫。すりおろせばシャーベット状のデザート感覚で楽しむこともできますよ。

参考文献

トマトで発見!肥満防止の成分? | 美と若さの新常識~カラダのヒミツ~|NHKブログ