しめじの栄養と効果効能・調理法・保存法

4293views

Shimeji-mushroom

しめじの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、エリンギやまいたけとの栄養素の違い、しめじに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

しめじとは

しめじ(Shimeji mushroom)はエリンギやまいたけと同じきのこの一種です。きのこは生物学上では菌類に分類されます。ちなみに「菌」という漢字は、音読みでは「キン」と読みますが、訓読みでは「きのこ」と読みます。

しめじの原産地は不明ですが、日本には古来より自生していました。しめじは漢字で「占地」または「湿地」と表記され、地面を占領するようにびっしり生えることや湿った地に生える様から名づけられたと考えられています。

国内の有名な産地は、しめじの人工栽培発祥の地と呼ばれる長野県です。農林水産省の「特用林産物生産統計調査 確報 平成30年特用林産基礎資料」によると、全国生産量の約40%を長野県が占めています。次いで新潟県、福岡県の順で生産量が多い産地です。

天然しめじの旬は9月から11月頃の秋時期ですが、近年では人工栽培のしめじがほとんどで、季節に関係なく年中食べられます。

しめじの品種・種類

現在、しめじに分類される品種は、ぶなしめじや本しめじ、はたけしめじなどがあります。それぞれの違いを解説していきます。

ぶなしめじ

ぶなしめじは、ブナやトチノキ、カエデなどの倒木や朽木に生息するきのこです。キシメジ科シロタモギタケ属に分類されます。

現在、スーパーで市販されているしめじのほとんどが人工栽培のぶなしめじです。安価で一年を通して市場に出回っているため、もっとも身近なきのこと言えます。

白ぶなしめじ

白ぶなしめじはぶなしめじを品種改良したもので、有名な製品は「ブナピー」です。

一般的なぶなしめじより弾力があり、甘みが強い傾向にあります。白い見た目を活かし、サラダのトッピングなどに活用すると彩りがキレイです。

本しめじ

ぶなしめじと異なり、生きている木の根に生えるのが本しめじです。キシメジ科シメジ属に属し、松茸やトリュフなどと同じ根生菌で育ちます。

凝縮された旨味と香りの豊かさが特徴で、天然物は高級品として扱われるほど。「香り松茸、味しめじ」ということわざの「しめじ」は、この本しめじを指すと考えられます。

はたけしめじ

はたけしめじは本しめじの近縁種です。畑や道端などあらゆるところに自生していたため、「畑しめじ」と名づけられました。

近年では人工栽培の方法が確立され、京都では丹波しめじと呼ばれるブランドしめじが誕生しています。ぶなしめじよりサイズが大きく、味は本しめじに近い品種です。

しめじに含まれる成分・栄養素

しめじ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

しめじにはミネラルやビタミンなど、人間の健康維持に欠かせない栄養素が多く含まれています。カロリーが低いうえに食物繊維が豊富なのでダイエットにもぴったりの食材です。

なお、しめじと同じきのこ類であるエリンギとまいたけは、栄養素に違いがあります。しめじに比べエリンギは食物繊維が多く含まれ、まいたけはビタミンDの含有量が豊富です。

エリンギとまいたけに勝るしめじの栄養素は、アミノ酸のオルニチン。しめじのオルニチン含有量はきのこの中でもトップクラスで、肝臓への作用が期待されています。

食品名単位はたけしめじ 生はたけしめじ ゆでぶなしめじ 生ぶなしめじ ゆでぶなしめじ 油いためほんしめじ 生ほんしめじ ゆでエリンギ 生エリンギ ゆでまいたけ 生まいたけ ゆで生しいたけ 生生しいたけ ゆでなめこ 生なめこ ゆで
廃 棄 率%15010002006010020000
エネルギー(kcal)kcal/100 g151718215312161921151819171514
エネルギー(kJ)kJ/100 g6471758822352688089627779726359
水 分g/100 g9291.390.889.186.993.692.190.289.392.791.190.391.592.492.7
たんぱく質g/100 g2.62.62.73.32.92.52.82.83.221.632.51.71.6
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g--1.6-1.9-1.7--1.7-21.2-0.91.9-1.61-0.9
脂 質g/100 g0.30.30.60.34.40.40.60.40.50.50.50.30.40.20.1
トリアシルグリセロール当量g/100 g--0.2-0.1-3.9--0.2-0.30.3-0.30.2-0.30.1-0.1
飽和脂肪酸g/100 g--0.05-0.02-0.31--0.04-0.050.06-0.070.04-0.050.02-0.01
一価不飽和脂肪酸g/100 g--0.02-0.01-2.28--0.04-0.050.07-0.080.01-0.010.02-0.01
多価不飽和脂肪酸g/100 g--0.17-0.09-1.17--0.12-0.150.14-0.160.15-0.190.07-0.03
コレステロールmg/100 g000000000000010
炭水化物g/100 g4.55.156.552.84.166.54.46.45.75.15.25.1
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g--1.3-1.6-1.3--3-3.30.3-0.40.6-0.62.4-2.3
水溶性食物繊維g/100 g0.20.20.30.20.30.30.10.20.10.30.20.40.211.1
不溶性食物繊維g/100 g2.54.43.44.64.11.63.23.24.73.24.13.84.22.31.6
食物繊維総量g/100 g2.74.63.74.84.51.93.33.44.83.54.34.24.43.32.7
灰 分g/100 g0.70.60.90.80.80.60.50.70.50.60.30.60.50.50.5
ナトリウムmg/100 g433331122001133
カリウムmg/100 g260200380340410310210340260230110280200230210
カルシウムmg/100 g1112122TrTrTrTr1144
マグネシウムmg/100 g881111128812101081511109
リンmg/100 g646110011011076678988543687656656
mg/100 g0.60.50.40.50.50.60.60.30.30.20.20.30.30.70.6
亜鉛mg/100 g0.40.40.50.50.60.70.90.60.70.70.610.80.50.4
mg/100 g0.130.130.060.060.060.320.290.10.090.220.140.090.060.110.12
マンガンmg/100 g0.140.130.120.130.130.180.170.060.060.040.030.220.160.060.05
ヨウ素µg/100 g--20---1-000-Tr-
セレンµg/100 g--32---2-236-2-
クロムµg/100 g--Tr0---0-101-Tr-
モリブデンµg/100 g--54---2-1Tr4-1-
レチノールµg/100 g000000000000000
α-カロテンµg/100 g000000000000000
β-カロテンµg/100 g000000000000000
β-クリプトキサンチンµg/100 g000000000000000
β-カロテン当量µg/100 g000000000000000
レチノール活性当量µg/100 g000000000000000
ビタミンDµg/100 g0.91.10.61.11.10.61.21.22.64.95.90.40.500
α-トコフェロールmg/100 g0000-0.60000000000
β-トコフェロールmg/100 g0000(Tr)0000000000
γ-トコフェロールmg/100 g0000-1.20000000000
δ-トコフェロールmg/100 g0000(Tr)0000000000
ビタミンKµg/100 g0000-50000000000
ビタミンB1mg/100 g0.120.080.160.150.180.070.060.110.080.090.040.130.080.070.06
ビタミンB2mg/100 g0.440.280.160.120.170.280.170.220.160.190.070.20.110.120.11
ナイアシンmg/100 g5.33.66.65.26.85.13.76.14.251.83.125.14.7
ビタミンB6mg/100 g0.110.070.080.060.080.190.110.140.10.060.030.210.120.050.04
ビタミンB12µg/100 g0000000000000Tr0
葉酸µg/100 g20628252724116520532444145863
パントテン酸mg/100 g2.081.530.861.250.751.591.111.161.020.560.631.050.711.251.24
ビオチンµg/100 g--9.99---6.9-2422.47.3-7.2-
ビタミンCmg/100 g0000000000-00-0
食塩相当量g/100 g000000000000000
アルコールg/100 g---------------
硝酸イオンg/100 g---------------
テオブロミンg/100 g---------------
カフェインg/100 g---------------
タンニンg/100 g---------------
ポリフェノールg/100 g---------------
酢酸g/100 g---------------
調理油g/100 g----3.8----------
有機酸g/100 g-----------0.2---
重量変化率%-77-8893-69-76-86-110-100
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

しめじの効果・効能

しめじに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

カリウムでむくみ防止

しめじにはミネラルの一種であるカリウムが豊富です。カリウムはナトリウムの排出を促す作用があるため、塩分の摂りすぎを防いでくれます。

カリウムを積極的に摂取すれば、むくみの改善や予防に効果的です。同じく塩分過多が原因となる高血圧症の予防にも役立ちます。

β-グルカンで免疫力向上

β‐グルカンとは多糖類の一種で、食物繊維のことです。食物繊維は大腸まで届き、ぜん動運動を促進することで便通を整える作用があります。

腸は免疫細胞が集中しているため、腸内環境を整えることは免疫力アップにつながると言われています。β‐グルカンはあらゆる研究でリンパ球の活性を促し免疫機能を向上させることがわかっており、免疫力アップに期待できる栄養素です。

ビタミンB2は子どもの発育に

ビタミンB群は代謝促進や酵素のサポートなどに役立つ成分です。特にビタミンB2は「成長のビタミン」とも呼ばれ、子どもの発育には欠かせません

ビタミンB2が豊富なしめじは、離乳食に活用したい食材のひとつ。ただし食物繊維が多く繊維質なので、生後7ヶ月か8ヶ月ごろの離乳食中期から与えるようにしましょう。

ビタミンDでアレルギー症状の緩和

きのこ類にはビタミンDが多く含まれます。ビタミンDは脂溶性のビタミンで、免疫力を高める働きがある栄養素です。

さらに過剰な免疫反応を整える働きもあります。花粉症などのアレルギー症状の緩和にも効果が見込めるでしょう。

オルニチンの美容効果

しめじはアミノ酸の一種であるオルニチンが豊富です。オルニチンは肝臓の働きをサポートする栄養素として有名ですが、近年では成長ホルモンの分泌に関わる作用が注目されています。

成長ホルモンは肌の新陳代謝に関わるため、オルニチンの摂取は美容効果が期待できると考えられているのです。

しめじの食べ方や注意点

しめじの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

しめじは水洗い不要

しめじを調理前に洗うべきか迷う人も多いかと思いますが、しめじは洗わずにそのまま調理しても問題ありません。キッチンペーパーなどで表面のゴミを拭き取る程度で十分です。

むしろしめじにはビタミンB群など水溶性の栄養素が多く含まれているので、長時間水につけると栄養素が流れ出てしまいます。

どうしても汚れが気になる場合は、水で簡単に洗い流す程度にしましょう。

煮汁ごと食べられるスープや味噌汁が吉

しめじを使った料理は数多くありますが、おすすめはスープや味噌汁、鍋などの汁物です。しめじには昆布と同じうまみ成分のグルタミン酸が含まれているため、煮ると出汁がよく出ます。

栄養素を効率よく摂取する意味でも汁物はぴったり。しめじに含まれるビタミンB群は水に溶けやすいため、しめじの栄養素がしみ出た煮汁ごと食べれば栄養を余すことなく摂取できます。

干ししめじは栄養もうまみもアップ!

しめじの栄養を効率よく摂取するなら、干ししめじがおすすめです。しめじは天日干しすることで、ビタミンDの吸収率が高まると言われています。さらに乾燥させたしめじはうまみ成分も増えるので一石二鳥です。

ご家庭で作る場合は、石づきをとったしめじをザルなどに広げ、1日から3日ほど日向に置きましょう。まんべんなく天日があたるように、ときどき裏返すようにします。急いでいる場合は2~4時間ほど干すだけでも効果的なので、ぜひチャレンジしてみてください。

カルシウムと同時摂取が効率的

しめじに含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を促進する働きがあるので、チーズや牛乳と一緒に摂取するのが理想的です。

チーズたっぷりのグラタンや、牛乳を使ったミルクスープの材料として活用してみてください。

しめじの白い綿は食べて大丈夫

まれに、しめじの表面や石づきに白い綿のようなものが付着していることがあります。カビのようにも見えますが、この白い綿は気中菌糸(きちゅうきんし)と呼ばれるものです。しめじの一部なので、食べても問題ありません。

ただし、しめじが緑色に変色した場合はカビが生えている状態なので気を付けましょう。

しめじの保存方法

しめじの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存

購入したときの状態でそのまま冷蔵保存すると、2日から3日程度しか日持ちしません。もう少し長く保存したい場合は、外袋から出してしめじの水滴を拭き取る方法がおすすめです。袋の内側は湿気がこもりやすく、しめじに水滴がつくと傷む原因になります。

水滴を取り除いたらキッチンペーパーなどにくるみ、保存袋に入れましょう。キッチンペーパーを定期的に交換すると、1週間ほど長持ちします。

冷凍保存

もっと長く保存したい場合は、冷凍保存が適しています。石づきを取り除き、バラバラにした状態で保存袋に入れましょう。冷凍での保存期間の目安は1ヶ月程度です。

しめじは凍らせることで細胞が壊れ、うまみ成分がさらに増えると言われています。解凍すると水溶性の栄養素やうまみ成分が流れ出てしまうので、凍ったまま調理に使うのがベストです。

参考文献

LINE公式アカウントを追加
LINEお友達追加