ごまの栄養と効果効能・調理法・保存法

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ごま

ごまの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、ごまに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ごまとは

ごま(Sesame)は、ゴマ科ゴマ属の植物で、種子を食べるほか食用油に加工される食材です。原産地はアフリカのサバンナ地帯と言われています。

ごまの成分の約50%は脂質で、約20%がたんぱく質、約20%弱が炭水化物です。ごまは脂質を多く含むのに酸化しにくく貯蔵性がよいことや、他の雑穀類と比べても栄養価が高いことから、世界各地で利用されてきました。

ごまは1年草で、春に種をまき秋に収穫されます。旬の時期は9~10月です。

ごまは料理のトッピングや味付けに重宝されており、炒りごま・すりごま・ねりごま・生ごま(洗いごま)・むきごま・味付きごまなど、さまざまな形態で販売されています。

ごまを圧縮して抽出したごま油は、独特の香りと豊富な栄養素が特徴の食用油です。

ごまの主要産出国はインド・ミャンマー・中国・トルコなどで、日本で流通しているのは9割以上が輸入ごまです。

ごまの品種・種類

ごまには3000種以上の品種があるといわれていますが、白ごま・黒ごま・金ごまの3つに大きく分けられます。それぞれの特徴を説明します。

なお、3種類に含まれる栄養素には若干の差がありますが、大きな違いはありません。

白ごま

白ごまは、ごま本来の旨味や甘みを味わえる白色のごまで、脂質が豊富なためごま油にも加工されます。色が白いため、料理の色を変えないというメリットもあります。

日本でもっとも生産量の多いごまです。アフリカや東南アジアなど温帯・亜熱帯の暑い地域で盛んに栽培されています。

黒ごま

黒ごまは種皮が黒く、アントシアニンを含むごまです。香ばしくコクのある風味が特徴で、油分が少ないため菓子材料としてもよく使われています。

皮が硬いため、すりごまとして使うことも多い品種です。中国や東南アジアで主に生産されています。

金ごま

金ごまは、白ごまや黒ごまよりも油分が多く、風味や香りも豊かです。金ごまの種皮には、抗菌作用をもつフラボノイドが含まれています。

輸入の金ごまはトルコ産などが多く、日本では鹿児島県で多く栽培されています。黄ごま、茶ごまと呼ばれることもあります。

ごまに含まれる成分・栄養素

ごま100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。ごま豆腐・ごま油・ごま酢・ごまドレッシングなど、ごまを主原料とする加工食品の成分・栄養素も参考のために並記しています。

食品名単位ごま豆腐えごま 乾ごま 乾ごま いりごま むきごま ねりごま油ごま酢ごまだれごまドレッシングごまみそ
エネルギー(kcal)kcal/100 g81544578599603605921217285360258
エネルギー(kJ)kJ/100 g340227624182506252325333853907119415051079
水 分g/100 g84.85.64.71.64.10.6053.240.738.142.7
たんぱく質g/100 g1.517.719.820.319.320.5047.48.59.4
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-1.5-18.919.118.6-19.3--3.6-6.8--8.4
脂 質g/100 g4.343.451.954.254.954.7100814.126.39.9
トリアシルグリセロール当量g/100 g-3.540.651.1-53.444.8-44.798.1-7.9-12.4-22.6-9.8
飽和脂肪酸g/100 g-0.53.347.52-7.866.42-6.415.04-1.16-1.8-2.89-1.47
一価不飽和脂肪酸g/100 g-1.286.6118.94-19.7816.33-16.2837.59-2.92-4.57-9.48-3.23
多価不飽和脂肪酸g/100 g-1.5828.8322.44-23.4420.11-20.0541.19-3.46-5.53-9.24-4.63
コレステロールmg/100 g0000000--170
炭水化物g/100 g9.129.418.418.518.818.7030.230.121.232.9
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-82.510.80.6-0.8-----
水溶性食物繊維g/100 gTr1.71.62.50.62.50--0.80.6
不溶性食物繊維g/100 g119.19.210.112.410.20--3.44.9
食物繊維総量g/100 g120.810.812.61312.70--4.25.5
灰 分g/100 g0.23.95.25.42.95.502.664.65.2
ナトリウムmg/100 gTr22222Tr680170011001600
カリウムmg/100 g32590400410400410Tr110200210280
カルシウムmg/100 g6390120012006212001180320410230
マグネシウムmg/100 g27230370360340360Tr6111014074
リンmg/100 g695505405608705701100190230170
mg/100 g0.616.49.69.96100.11.733.73.7
亜鉛mg/100 g0.43.85.55.95.56Tr11.82.21.5
mg/100 g0.121.931.661.681.531.70.010.260.450.570.39
マンガンmg/100 g0.13.092.242.521.232.540----
ヨウ素µg/100 g-TrTr-1-0----
セレンµg/100 g-310-43-1----
クロムµg/100 g-24-1-1----
モリブデンµg/100 g-4892-120-0----
レチノールµg/100 g00000000060
α-カロテンµg/100 g0---Tr-0----
β-カロテンµg/100 gTr---2-Tr----
β-クリプトキサンチンµg/100 g0-----0----
β-カロテン当量µg/100 gTr161717217Tr3462
レチノール活性当量µg/100 g0111Tr10TrTr6Tr
ビタミンDµg/100 g0000000--0.10
α-トコフェロールmg/100 g01.30.10.10.10.10.4---0.2
β-トコフェロールmg/100 g00.30.20.2Tr0.2Tr---0.1
γ-トコフェロールmg/100 g2.523.622.223.431.923.643.7---5.4
δ-トコフェロールmg/100 gTr0.50.30.40.50.40.7---1.1
ビタミンKµg/100 g017121125--207
ビタミンB1mg/100 g0.10.540.950.491.250.4900.080.140.180.1
ビタミンB2mg/100 g0.010.290.250.230.140.2300.060.10.120.1
ナイアシンmg/100 g0.47.65.15.35.35.40.111.82.11.8
ビタミンB6mg/100 g0.030.550.60.640.440.6500.120.210.250.14
ビタミンB12µg/100 g00000000.10.10.10.1
葉酸µg/100 g6599315083150026465636
パントテン酸mg/100 g0.031.650.560.510.390.5200.130.240.340.08
ビオチンµg/100 g-34.611.7-10.6-0----
ビタミンCmg/100 g0TrTrTr0Tr00000
食塩相当量g/100 g00000001.74.42.74
アルコールg/100 g-------0.20.7--
硝酸イオンg/100 g-----------
テオブロミンg/100 g-----------
カフェインg/100 g-----------
タンニンg/100 g-----------
ポリフェノールg/100 g-----------
酢酸g/100 g-------1.90.91.3-
調理油g/100 g-----------
有機酸g/100 g-----------
重量変化率%-----------
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ごまの効果・効能

ごまに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ゴマリグナン(セサミン)で高血圧予防や肝機能向上

リグナンは植物に含まれる物質ですが、ごまには特有の「ゴマリグナン」という成分が存在します。ゴマリグナンは、セサミン・セサモリン・セサモール・セサミノールなど複数の成分から構成される成分です。

コレステロール低下・ 高血圧の予防・ 肝臓の保護・アルコール代謝促進・肝臓がん予防・乳がん発生抑制・免疫力向上など、ゴマリグナンにはさまざまな効能があると言われています。

また、ゴマリグナンには体に有害な活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用もあり、細胞の老化を防ぐ効果も。アンチエイジングや白髪予防などへの効能も期待されています。

動脈硬化や高コレステロール予防の不飽和脂肪酸

ごまの脂質には、リノール酸・オレイン酸・パルチミン酸・ステアリン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれています。

不飽和脂肪酸は体内で合成できない必須脂肪酸で、動脈硬化や血栓の予防、血圧を下げる効果があります。

また、オレイン酸には血液中のLDLコレステロールを下げる作用があり、コレステロール値が気になるときには積極的に摂っておきたい栄養素です。

食物繊維で便秘を予防・改善

ごまは食物繊維が豊富な食材で、大さじ2杯のごまにはニンジン2分の1本分の食物繊維が含まれています。

食物繊維には水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の2種類がありますが、ごまには整腸作用や便秘改善に効果のある不溶性食物繊維が特に豊富です。

また、食物繊維には脂質・糖・ナトリウムを吸着して体外に出す作用もあり、肥満などの生活習慣病を予防する効果も期待できます。

ごまの食べ方

ごまの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

ごまの炒り方

炒っていない生の洗いごまは、調理する前に鍋や深めのフライパンで炒る必要があります。生ごまの炒り方を解説します。

1.生ごまを鍋かフライパンに入れ中火にかけ、ヘラでかき混ぜながら熱する。
2.湯気が出てきたら弱火にする。
3.ごまの粒がふっくらし、香りが出てきたら火から下ろす。炒り時間の目安は10~15分。
4.ごまをバットなどに移し、粗熱を取って冷ます。

生ごまだけでなく、市販の炒りごまも軽く炒ることで香ばしさがアップします。香りを楽しみたいときは、2~3分を目安に上記の手順で軽く炒ってみましょう。

ごまの加工方法による違い

炒りごま・むきごま・すりごまなど、ごまはさまざまな形態で市販されています。

硬い皮をむいてあるむきごまは、消化もよく効率的に栄養を吸収できるメリットがある一方で、皮に含まれるカルシウムなどの栄養素が炒りごまと比べて大幅に減ってしまいます。

皮の栄養素も取り逃さず、消化によいごまを食べたいときにおすすめなのはすりごまです。炒りごまをすりつぶして食べるか、市販のすりごまを利用しましょう。

ごまを調理する際の注意点

ごまはフライパンなどで炒ることで香ばしさが増し、おいしく食べられます。

ただし、ごまは一定以上の高温で長時間炒ると、食物繊維・セサミン・アミノ酸などの栄養素が減少してしまうことがわかっています。ごまの持つ栄養素を守るため、加熱しすぎには注意しましょう。

なお研究によれば、官能評価で味が最も高く評価されたのは、170℃で15分間焙煎した炒りごまでした。

ごまを食べる際の注意点

栄養豊富なごまですが、エネルギーが高めなので摂り過ぎには注意しましょう。

ごまの1日の摂取目安量は大さじ1~2杯ほどで、1度にたくさん食べるのではなく、適量を継続して摂取するのがベストです。

また、ごまの皮はかなり硬く、消化しきれないことがあります。胃腸の調子が悪いときなどは、特によく噛むことを心掛けてください。

ごまの保存方法

ごまの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

市販されているごまの賞味期限は半年~1年ほどのことが多いですが、一度開封したら賞味期限に関わらずなるべく早く食べきるようにしましょう。保存状態にもよりますが、開封後1ヶ月ほどで風味が落ちてしまいます。

常温保存

ごまを常温で保存する場合、密閉できる容器に入れて、高温多湿を避けた冷暗所で保存します。

チャック付きの袋に入れて保存する際、チャック部分にごまが詰まると袋がきちんと閉まらなくなるので注意してください。

冷蔵保存

ごまは常温でも保存できますが、冷蔵庫に入れておくとより長持ちします。常温保存と同じく密閉できる容器に入れて保存してください。

ただし、冷蔵庫から出し入れする際、温度差で結露が発生することがあります。結露による湿気がごまの容器に入らないよう気を付けましょう。

冷凍保存

ごまを冷凍する場合、ラップでぴったりと包むか、袋に入れて空気を完全に抜いた状態で凍らせてください。空気が残っていると霜が発生し、風味が劣化する原因にもなります。

解凍は、常温で自然解凍するか、凍ったままの状態で料理に使うこともできます。

参考文献

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