まいたけの栄養と効果効能・調理法・保存法

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まいたけの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、まいたけに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

まいたけとは

まいたけ(Maitake)は、トンビマイタケ科マイタケ属の食用きのこです。

しいたけやぶなしめじと並んで日本では良く利用されるきのこで、シャキシャキした食感と豊かな風味が楽しめます。

まいたけは、ヘラ型の傘がいくつも重なりあって一つの株を形成しています。天然のまいたけは、コナラやミズナラなど広葉樹の根元に発生することが多く、大きなものでは5kgを超えるサイズになるものもあります。

まいたけ(舞茸)の名前は、「見つけた人が舞い上がって喜ぶほど価値のあるきのこだった」ことが語源だと言われています。また、まいたけの見た目が蝶が舞う姿に似ていることが由来とする説もあります。

1年を通して出回るまいたけですが、旬の時期は10月~1月ごろです。産地としては、新潟県や静岡県で盛んに栽培されています。

まいたけに含まれるたんぱく質分解酵素のマイタケプロテアーゼには、肉を柔らかくする効果が認められています。マイタケプロテアーゼは、他のきのこ類の酵素よりも活性が高く加熱にも強いため、まいたけは肉料理との相性が抜群なきのこです。

まいたけの栽培方法による分類

天然のまいたけは数が少なく貴重で、現在流通しているのはほとんどが人工的に栽培されたまいたけです。まいたけの栽培方法は、原木栽培・菌床栽培の2つに大きく分けられ、それぞれの特徴は次の通りです。

原木栽培

原木栽培は、ミズナラやコナラなどの原木を使う栽培方法です。殺菌した原木にまいたけの種菌を打ち込んで栽培します。

原木栽培のまいたけは、自然に近い環境で育てられているため、天然もののような強い風味・香りがあり、食感も優れています。ただし、原木栽培のまいたけは安定供給が難しく、流通量は多くありません。

菌床栽培

菌床栽培は、原木を使わず、おがくずや栄養剤を固めた菌床ブロックでまいたけを栽培する方法です。

現在スーパーなどに出回っているほとんどのまいたけが、菌床ブロックで栽培されたものです。菌床栽培のまいたけは、天然まいたけや原木栽培のまいたけより風味や歯ごたえが弱いと言われています。

まいたけに含まれる成分・栄養素

まいたけ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位まいたけ 生まいたけ ゆでまいたけ 油いためまいたけ 乾
廃 棄 率%10000
エネルギー(kcal)kcal/100 g151856181
エネルギー(kJ)kJ/100 g6277236757
水 分g/100 g92.791.185.59.3
たんぱく質g/100 g21.62.621.9
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g1.2-0.91.6-12.8
脂 質g/100 g0.50.54.43.9
トリアシルグリセロール当量g/100 g0.3-0.34.1-2.4
飽和脂肪酸g/100 g0.06-0.070.34-0.52
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.07-0.082.47-0.63
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.14-0.161.16-1.18
コレステロールmg/100 g0000
炭水化物g/100 g4.46.46.859.9
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g0.3-0.4-0.4-3.6
水溶性食物繊維g/100 g0.30.20.31.5
不溶性食物繊維g/100 g3.24.14.439.4
食物繊維総量g/100 g3.54.34.740.9
灰 分g/100 g0.60.30.75
ナトリウムmg/100 g0003
カリウムmg/100 g2301103002500
カルシウムmg/100 gTrTrTr2
マグネシウムmg/100 g10813100
リンmg/100 g543672700
mg/100 g0.20.20.22.6
亜鉛mg/100 g0.70.60.86.9
mg/100 g0.220.140.271.78
マンガンmg/100 g0.040.030.060.47
ヨウ素µg/100 g00-1
セレンµg/100 g23-14
クロムµg/100 g10-2
モリブデンµg/100 g1Tr-9
レチノールµg/100 g0000
α-カロテンµg/100 g0000
β-カロテンµg/100 g0000
β-クリプトキサンチンµg/100 g0000
β-カロテン当量µg/100 g0000
レチノール活性当量µg/100 g0000
ビタミンDµg/100 g4.95.97.719.8
α-トコフェロールmg/100 g00-0.60
β-トコフェロールmg/100 g00(Tr)0
γ-トコフェロールmg/100 g00-1.20
δ-トコフェロールmg/100 g00(Tr)0
ビタミンKµg/100 g00-50
ビタミンB1mg/100 g0.090.040.111.24
ビタミンB2mg/100 g0.190.070.211.92
ナイアシンmg/100 g51.86.164.1
ビタミンB6mg/100 g0.060.030.070.28
ビタミンB12µg/100 g0000
葉酸µg/100 g532457220
パントテン酸mg/100 g0.560.630.83.67
ビオチンµg/100 g2422.4-242.6
ビタミンCmg/100 g0-00
食塩相当量g/100 g0000
アルコールg/100 g----
硝酸イオンg/100 g----
テオブロミンg/100 g----
カフェインg/100 g----
タンニンg/100 g----
ポリフェノールg/100 g----
酢酸g/100 g----
調理油g/100 g--3.8-
有機酸g/100 g----
重量変化率%-8673-
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

まいたけの効果・効能

まいたけに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

抗がん作用が期待されるβグルカン

まいたけは、がんの予防や増殖抑制効果が期待されている食材です。

まいたけをはじめとするきのこ類には、多糖類の一種βグルカンが含まれます。まいたけから得られるβグルカンには免疫力向上作用や抗腫瘍活性があり、がんの予防に効果的と考えられます。

また、まいたけには大腸がんになる可能性がある大腸腺腫の形成を抑制する作用があることも、マウスに対する実験で明らかになっています。

αグルカンでインフルエンザウイルスの増殖を抑制

まいたけには、インフルエンザウイルスの増殖を抑える効果のあるαグルカンが含まれています。αグルカンは多糖類で、アミロースやグリコーゲンなどもその一種です。

インフルエンザに感染させたマウスを使った実験では、まいたけのαグルカンによる直接的なウイルスの増殖抑制効果は見られませんでした。

このことから、αグルカンは体内の免疫力を高めることで、インフルエンザの治療効果を発揮する機能を持つことが示唆されています。

αグルカンは、まいたけの凍結乾燥粉末から高温・高圧条件で得られる抽出物中に多く含まれており、この成分の機能性を利用した食品の開発が期待されています。

骨・歯の健康を維持するビタミンD

ビタミンDには骨の主成分であるカルシウムの吸収を促す作用があり、丈夫な骨・歯の維持には欠かせません。ビタミンDが不足すると骨が脆くなり、骨軟化症やくる病を発症する恐れがあります。

また、ビタミンDは、骨の健康維持だけでなく、神経伝達や免疫系統の維持にも関わっており、人間の体にとって大切なビタミンです。

植物性のビタミンDは、きのこ類や海藻類に豊富です。きのこ類のなかでもまいたけのビタミンD含有量はトップクラスで、しいたけの10倍以上ものビタミンDが含まれています。

ビタミンDが豊富なまいたけを、カルシウムを多く含む食材と合わせて摂取することは、骨の健康維持に効果的と言えるでしょう。

食物繊維・カリウムが豊富で高血圧に効果的

まいたけは、血圧低下作用が期待できるきのことしても知られています。

実際に、高血圧のラットにまいたけを与えたところ、血圧上昇抑制効果と体重増加抑制効果が確認できたという実験結果も発表されています。まいたけを投与されたラットの血液中では、コレステロールや中性脂肪の低下も見られました。

まいたけに含まれるβグルカンには、血圧や血糖値を下げる効能があると言われています。加えて、まいたけに豊富なカリウムは、体内の余分な塩分の排出を助け、高血圧を改善する効果があるミネラルです。

なお、βグルカンやカリウムは水に溶けやすく、水洗いしたり茹でたりすることで大部分が失われてしまいます。高血圧に効果的な栄養素を多く摂りたいときは、汁ごと食べられるスープや鍋物などの料理にまいたけを利用するのがおすすめです。

まいたけの食べ方

まいたけの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

栄養素の流出を防ぐため水洗いはしない

市販されているまいたけは、洗わずそのまま調理することができます。水洗いすることで水に溶けやすい多糖類やミネラル類といった栄養素が流出してしまうので、栄養素を取りこぼさないためにまいたけは洗わない方が良いでしょう。

ただし、天然のまいたけには土や虫などが付着している可能性があるため、食べる前に軽く水洗いしてください。

60~70度の加熱で旨味成分が増加する

まいたけの旨味成分であるグアニル酸は、60~70度での加熱を続けることで増加します。そのため、まいたけの旨味を最大限に味わうためには、低温で調理するのがおすすめです。

100度を超える高温で加熱すると、まいたけの香りや旨味成分が破壊されてしまう可能性があります。

まいたけを茶碗蒸しに入れるときは加熱してから

茶碗蒸しの具材としてまいたけを使うと、まいたけに含まれるたんぱく質分解酵素の働きで、たまごが固まらなくなることがあるので注意が必要です。

まいたけのたんぱく質分解酵素は熱に弱いため、まいたけを事前に加熱しておくことが対策になります。まいたけを熱湯に30秒ほどひたすことで、酵素の機能が失われます。

まいたけを食べる際の注意点①

生のまいたけを食べると、腹痛や嘔吐など食中毒のような症状を起こしたり、口の中にイガイガ感が生じる可能性があります。

これらの症状は、まいたけに含まれるたんぱく質分解酵素の影響により起こると考えられます。たんぱく質分解酵素は加熱することで働かなくなるので、まいたけは、必ず加熱してから食べてください。

まいたけを食べる際の注意点②

まいたけの食べ過ぎは、下痢や腹痛の原因となります。1日のまいたけ摂取量は、30g~50g程度にとどめてください。

まいたけには免疫機能を調節するβグルカンなどの成分が含まれていますが、摂取しすぎると過剰な免疫反応が出る可能性があり、注意が必要です。

まいたけの保存方法

まいたけの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存

生のまいたけの保存には、冷蔵庫の野菜室が適しています。ラップに包むか、ビニール袋に入れるなどして乾燥を予防し、3~4日で使い切るようにしましょう。

冷凍保存

まいたけを含むきのこ類には、冷凍すると酵素の働きにより旨味がアップするという特徴があります。数日以内に使い切れないまいたけは、冷凍して長期保存するのがおすすめです。

まいたけの風味や栄養素の損失を防ぐため、水洗いはせずにそのまま冷凍しましょう。手でほぐすか、包丁で適当な大きさに切ってから冷凍庫に入れます。冷凍保存期間の目安は1ヶ月で、凍ったまま料理に使うことができます。

参考文献

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