アロエの栄養と効果効能・調理法・保存法

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アロエ

アロエの原産地や主要な品種などの基本情報、アロエに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

アロエとは

アロエ(aloe)とは、ユリ科アロエ属の植物です。アロエはアラビア語で「苦い」という意味を持つことからも、原産地はアフリカやアラビアなどと言われています。

鋭いとげのある葉が特徴的で、古くから生薬として使用されてきました。日本では江戸時代に漢方薬として使われていた歴史があります。また、軟膏などの皮膚薬としても利用されてきました。

食用とするのは主に、とげを取り除いた葉肉部分です。皮つきで食べられますが、半透明の葉肉だけを使い、ヨーグルトと混ぜる食べ方もあります。無味無臭なので、サラダのトッピングにも最適です。

アロエの品種・種類

アロエには約300種類ほどの品種がありますが、日本で代表的なのは3種類です。

キダチアロエ

キダチアロエは細長い葉が特徴的です。食用として利用され、寒さに強い特性から観賞用としても親しまれています。

主な栽培地域は太平洋側の温かいエリアです。茎から葉が伸びる様子が樹木を連想させることから、「木立(キダチ)」の名がつきました。

アロエベラ

一般的に認知度が高いのはアロエベラです。地面近くから葉が放射状に広がるので、キダチアロエとは姿が異なります。主な栽培地はアメリカやメキシコで、海外におけるアロエはこの品種を指すことが多いようです。

アロエヨーグルトやアロエジュース、化粧品などに使用され、その美容効果に注目が集まっています。

ケープアロエ

最後はケープアロエです。名前からも連想されるとおり、栽培地は南アフリカのケープ地方。

日本薬局方に規定され、医薬品としての使用が認められています。主に軟膏薬の原料として使用されるアロエです。

アロエに含まれる成分・栄養素

アロエ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

200種類もの栄養成分が含まれていることから、現在ではスーパーフードとしても名高いアロエ。厳しい砂漠の環境に負けないよう、葉に栄養を蓄えて育ってきたため栄養価が高いと考えられています。

主な栄養素は、カルシウムやカリウムなどのミネラル分。ミネラルは不足すると欠乏症などを引き起こす可能性があるため、積極的に摂取していきたい栄養分です。

アミノ酸やビタミンなども含み、あらゆる成分の相乗効果で健康に働きかけます。

調理方法や保存方法の詳細については後述しますので、そちらも合わせてご確認ください。

食品名単位アロエ 葉 生
廃 棄 率%30
エネルギー(kcal)kcal/100 g3
エネルギー(kJ)kJ/100 g13
水 分g/100 g99
たんぱく質g/100 g0
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-
脂 質g/100 g0.1
トリアシルグリセロール当量g/100 g-
飽和脂肪酸g/100 g-
一価不飽和脂肪酸g/100 g-
多価不飽和脂肪酸g/100 g-
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g0.7
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-
水溶性食物繊維g/100 g0.1
不溶性食物繊維g/100 g0.3
食物繊維総量g/100 g0.4
灰 分g/100 g0.3
ナトリウムmg/100 g8
カリウムmg/100 g43
カルシウムmg/100 g56
マグネシウムmg/100 g4
リンmg/100 g2
mg/100 g0
亜鉛mg/100 g0
mg/100 gTr
マンガンmg/100 g0.02
ヨウ素µg/100 g-
セレンµg/100 g-
クロムµg/100 g-
モリブデンµg/100 g-
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g0
β-カロテンµg/100 g1
β-クリプトキサンチンµg/100 g0
β-カロテン当量µg/100 g1
レチノール活性当量µg/100 gTr
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g0
β-トコフェロールmg/100 g0
γ-トコフェロールmg/100 g0
δ-トコフェロールmg/100 g0
ビタミンKµg/100 g0
ビタミンB1mg/100 g0
ビタミンB2mg/100 g0
ナイアシンmg/100 g0
ビタミンB6mg/100 g0.01
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g4
パントテン酸mg/100 g0.06
ビオチンµg/100 g-
ビタミンCmg/100 g1
食塩相当量g/100 g0
アルコールg/100 g-
硝酸イオンg/100 g0
テオブロミンg/100 g-
カフェインg/100 g-
タンニンg/100 g-
ポリフェノールg/100 g-
酢酸g/100 g-
調理油g/100 g-
有機酸g/100 g-
重量変化率%-
備考試料: アロエベラ及びキダチアロエ廃棄部位: 皮
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

アロエの効果・効能

アロエに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

効果①:アロインが腸の蠕動運動を促す

アロエを食べたときに感じる苦味の正体はアロインです。アロインは、腸のぜん動運動を活発にさせる作用が注目されています。現在でも下剤の原料として使われている成分です。

便秘解消には期待できそうですが、大量に食べると腹痛や下痢などの副作用を引き起こす恐れがあるので注意しましょう。

また、下痢の症状が続くと薬剤の吸収を妨げてしまいますので、服用中の薬がある方は食べる量に気を付けてください。

効果②:多糖体が血糖値を低下促進

アロエにはアルボランと呼ばれる多糖体が含まれており、血糖値の上昇を抑える作用が確認されています。

2009年の研究では、2型糖尿病患者にアロエベラジュースを摂取させたところ、摂取していない患者に比べ、空腹時血糖値や総コレステロール値の減少が見られました。

ただし、血糖降下薬を使用している患者がアロエを摂取する場合は注意が必要です。

効果③:植物ステロールの美容作用に期待

アロエベラの葉肉に、アロエステロールと呼ばれる植物ステロールが含まれていることが研究により明らかになりました。

アロエステロールは、皮膚線維芽細胞にアプローチし、皮膚にとって重要なコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す作用が期待されています。

実際に2019年の研究で、アロエステロールを含むドリンクを摂取したグループは、摂取前と比べ皮膚水分量の増加したことが判明。美容への作用が確認されています。

アロエの調理方法

アロエの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

アロエの洗い方

アロエのなかでも、食用として利用しやすいのはアロエベラです。ほかの品種に比べ、葉肉部分が肉厚なので、さまざまな調理法で食べられます。

洗い方は外側をさっと水で洗うだけで充分です。とげを取り除き、皮をむいて透明の果肉部分を食べましょう。1枚のままでは扱いにくいので、さきに10cm幅程度にぶつ切りにしておくと皮をむきやすくなります。

アロエのおすすめ調理方法

まず、アロエをそのまま食べる方法をいくつかご紹介します。

皮を剥いたアロエを薄くスライスし、醤油をつけて刺身のように食べる方法がおすすめです。苦みが気になる場合は、お湯に2~3分くぐらせた後、冷水でしめましょう。アロエ特有のぬめりがとれて、より爽やかにいただけます。

スタンダードなアロエヨーグルトとして食べる場合は、下処理をおこなってください。皮をむいて熱湯で湯がくだけなので簡単です。ダイス状に切ってヨーグルトと混ぜるだけですが、切り方によって食感が変わるのでいろいろと試してみるとよいでしょう。

調理を加える場合は、砂糖と煮込んでシロップにする方法もあります。アロエは水分量が多く、煮込む際に少し縮むので注意してください。切る際は少し大きめにスライスすると、果肉感がのこります。

アロエを食べる際の注意点

先ほども説明した通り、アロエに含まれるアロインは古くから下剤として使われてきたため、大量に摂取すると下痢や腹痛などの副作用を起こす可能性があります。

腸への作用が心配な方は、皮をむいて食べましょう。主に、アロインは皮に含まれている成分なので、取り除いて使用すれば下剤作用はやわらかくなると言われています。

アロエの保存方法

アロエの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

アロエは切った部分からどんどん酸化が進んでしまうので、空気が触れないように保存することが大切です。ラップで密閉してから、袋などに包んで冷蔵しましょう。

冷蔵保存で3週間~1ヵ月程度は栄養を損なわずにおいしく食べられます

酸化すると赤や黄色に変色することがありますが、切り落としてしまえば他の部分は問題なく使用可能です。

皮をむいてしまった場合は、茹でてから冷蔵庫で保管してください。保存期間は1週間が目安です。茹で汁と合わせて瓶詰めすれば、さらに長期間保存することもできますよ。

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