吐き気があるときに食べやすい食べ物・飲み物

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吐き気の症状や原因について解説したうえで、吐き気の予防・改善に役立つ食べ物や飲み物を紹介します。

吐き気とは

吐き気(nausea)とは、みぞおちから胸のあたりの上腹部に不快感が生じ、嘔吐しそうな感覚のことです。悪心(おしん)・嘔気(おうき)とも言います。

吐き気は、消化器の異常により引き起こされることが多く、脳神経や心血管、目や耳に原因がある場合もあります。ストレスや乗り物酔い、薬の副作用も吐き気の原因となります。

吐き気の主な原因

日常の生活習慣から考えられる、吐き気の主な原因は次の通りです。

食べ過ぎ・アルコールの飲み過ぎ

暴飲暴食は、消化器官へ大きな負担をかけ、吐き気・胸やけ・胃もたれといった不快な症状を引き起こします。

お酒の飲み過ぎも吐き気を引き起こす原因となります。肝臓がアルコールを分解するとき、有害物質のアセトアルデヒドが発生します。アセトアルデヒドの値が上昇すると、アルコールを体外に出そうとする防御反応として、吐き気・嘔吐が起こるのです。

お酒を飲み過ぎた直後や当日に吐き気がしたり、翌日に起こる二日酔いでも気持ちが悪くなったりします。

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ストレス

仕事や人間関係におけるストレスにより、吐き気が引き起こされることもあります。ストレスを感じると、胃酸が過剰に分泌され、腹圧が高くなって胃の内容物が逆流しやすくなるためです。

胃腸の働きを司る自律神経がストレスによって乱れることも、吐き気や胃のむかつきが起こる原因となります。

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つわり

妊娠初期に起こるつわり(悪阻)によって、吐き気・胃のむかつきなどの不快な症状が起きます。

つわりは、妊娠5週目ごろから始まって9~11週目にピークを迎え、16週目ごろには自然と治まるケースが大半です。人によって症状の有無や重症度、つわりが続く期間は異なります。

つわりの原因は明らかになっていませんが、妊娠により女性ホルモンのバランスが大きく変化することが影響していると考えられています。

女性ホルモンの変動が関連するPMS(月経前症候群)や更年期障害の一症状として吐き気が起きたり、生理中に分泌されるプロスタグランジンが原因で吐き気を催すケースもあります。

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乗り物酔い

自動車・船・電車・飛行機・ジェットコースターなどの乗り物に乗ったときに感じる揺れや、不規則な加速・減速やカーブなどの動きが原因で吐き気がすることがあります。

乗り物の揺れや動きを感じるのは、耳の奥の内耳にある三半規管です。乗り物酔いのメカニズムは完全には解明されていませんが、内耳からの情報と、目や耳から入ってきた情報が異なることで脳が混乱し、吐き気などの症状が起こると考えられています。

乗り物の揺れや動きに加え、排気ガスのにおいや車中にこもったタバコのにおいが吐き気を誘発することも少なくありません。

便秘

腸内に便が滞る便秘も、吐き気を引き起こすことがあります

。腸に便がたまると腸全体の動きが悪くなり、消化液が消化管の中に溜まりやすくなることが原因です。腸にたまった便やガスで胃が圧迫され、気分が悪くなることもあります。

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胃酸過多

胃酸が過剰になることで胃壁が刺激されると、吐き気や胸やけが起きます。胃酸の出過ぎによる吐き気の症状は、ストレスを感じたときや空腹時に出やすくなります。

胃酸過多気味の人は、辛い食べ物・酸味のある食べ物・アルコールなど胃酸の分泌を促す食材にも気を付けましょう。

食中毒(食あたり)

食中毒菌が付着した食べ物や腐った食べ物を食べ、体内に菌やウイルスが侵入すると、激しい吐き気や嘔吐が引き起こされることがあります。

魚介類などに生息するノロウイルスや腸炎ビブリオ、生肉などに生息するO157(腸管出血性大腸菌)やカンピロバクター属菌がよく知られた食中毒の原因です。

そのほかに、きのこ類やフグなど自然毒による食中毒でも吐き気が起こります。

食べ物などのにおい

特定の食べ物のにおいや、タバコ・芳香剤・ペットのにおいといった生活臭が、吐き気を誘発することがあります。

香水や柔軟剤に含まれる化学物質に反応して吐き気や頭痛が起きる、「化学物質過敏症」という疾患も存在します。

吐き気の原因となる疾患

吐き気の原因となる疾患は次の通りです。命にかかわる重大な疾患も含まれます。

吐き気や嘔吐が長く続いたり、症状がひどかったりする場合は、速やかに医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。

  • 胃腸炎
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 機能性ディスペプシア
  • 逆流性食道炎
  • 腸閉塞
  • 胃炎
  • 胃がん
  • 肝炎
  • 胆石症
  • 膵炎
  • 心筋梗塞
  • 脳血管障害
  • メニエール病
  • 緑内障
  • 化学物質過敏症

吐き気の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物

吐き気の予防・改善に効果的な食べ物・飲み物について解説します。

消化管の粘膜が過敏になっているときに食事をとると、吐き気がぶり返したり増幅したりする恐れがあります。吐き気がして食欲が無いときは無理に食べようとせず、食べられそうなものから徐々に口にするようにしましょう。

お粥・雑炊・リゾット:胃腸が弱っているときは白米がおすすめ

お米を柔らかく煮込んだお粥・雑炊・リゾットなどは、普通に炊き上げたご飯よりも消化に優れており胃腸へ負担をかけません。

玄米や雑穀米ではなく、消化されやすい白米がおすすめです。

レトルトのお粥や、お湯を注ぐだけで食べられる雑炊・リゾットは、コンビニでも購入できます。ただし、濃く味付けされているものや脂質の多いものは避けてください。

米(白米)の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

うどん:胃腸に負担をかけにくい麺類

吐き気がするときに麺類を食べるなら、胃腸に優しいうどんがおすすめ。うどんは、麺類の中でも消化するのに時間がかからないため、消化不良による吐き気が起きているときにぴったりの食べ物です。

薄味を心がけ、大根おろし・たまごなど胃腸に優しい食材をトッピングして栄養価を高めましょう。

うどんより食物繊維や脂質を多く含んでいて消化に時間のかかる蕎麦や、スープや具材に油が多く使われているラーメンは、胃腸の働きが低下しているときは控えてください。

キャベツ:荒れた胃粘膜を修復するキャベジン

キャベツに含まれるキャベジン(ビタミンU)は、胃粘膜を修復し、胃の機能を整える働きのある成分です。キャベジンが豊富なキャベツには、胃粘膜の荒れが原因の吐き気を改善する効果が期待できます。

キャベジンは、加熱料理で損失しやすい栄養素です。そのためキャベジンを多く摂るには生のキャベツがベストですが、茹でたり煮たりしてやわらかく調理したほうが、胃への負担は軽減できます。

吐き気や嘔吐の症状が続いているときは、軽く加熱してやわらかくしたキャベツが良いでしょう。

キャベツの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

大根:胃腸を助ける消化酵素が含まれる

大根は、胃腸の働きをサポートする消化酵素が豊富です。タンパク質の分解を助けるプロテアーゼ、でんぷんの分解酵素であるアミラーゼ、脂質の分解を促すリパーゼが、低下した胃腸の働きを補ってくれます。

大根に含まれる消化酵素は熱に弱いため、大根おろしなどとして生で食べるのがおすすめです。スーパーやコンビニでは、すぐに使えるチューブタイプの大根おろしも購入できます。

大根の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

果物類:消化に良いりんご・バナナがおすすめ

甘酸っぱく爽やかな口当たりのフルーツは、吐き気がして食欲が出ないときにも食べやすい食材です。

果物類にはビタミンやポリフェノールが豊富で、嘔吐によって失われた栄養素や水分も補給することができます。

果物類のなかでも、やわらかく消化に優れたりんごやバナナがおすすめです。

りんごの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

バナナの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

柑橘類:さっぱりした酸味でつわりの吐き気予防にも

つわりの吐き気を抑えるのに、レモン・オレンジ・グレープフルーツ・みかんなどの柑橘類が有効だったとする妊婦の声も散見されます。むかむか感を緩和するさっぱりした酸味が、気持ち悪さを紛らわすのに効果的です。

ただし、柑橘類や・酢・梅干しなどの酸味が強い食べ物には、胃酸の分泌を促す作用があります。そのため吐き気の原因によっては、かえって胃腸に負担をかけて症状を悪化させる可能性がある点には注意が必要です。

酸っぱい食べ物は、アルコールの飲み過ぎや胃腸炎などで消化器が弱っているときには避けましょう。

レモンの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

オレンジの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

たまご:半熟たまごが最も消化に良い食べ方

たまごは、栄養バランスが優れているうえに、消化にも良い食べ物です。胃腸に負担をかけずに栄養補給したいときにもってこいの食材と言えるでしょう。

たまごに含まれるタンパク質は、加熱することで消化酵素が作用しやすくなり、より消化されやすくなります。

なかでも、半熟たまごが最も消化に時間がかからず、胃腸への負担も軽く済む食べ方です。

たまごの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

白身魚:煮込み料理がおすすめ

胃腸が疲れているときに魚を食べるなら、脂身が少なく淡白な味わいのたい・ひらめ・かれい・たらなどの白身魚が最適です。

調理方法としては、脂質の多いフライやソテーではなく、湯豆腐などの煮込み料理が良いでしょう。干物は、塩分が多く消化に悪いため、避けてください。

鶏肉:淡白なささみ・むね肉がおすすめ

牛・豚と比較して脂質が少なめの鶏肉は、胃がむかむかしているときにも食べやすい食材です。特に、脂質が少ないささみやむね肉がおすすめです。

鶏肉そのものは淡白な食材ですが、揚げる・炒めるなど、調理するときに油を多く使用しないように気を付けてください。茹でる・蒸す・電子レンジ加熱といった油を使わない調理方法がベストです。

鶏肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ゼリー:栄養補助食品なら栄養補給にもぴったり

さっぱりとした口当たりのゼリーやゼリー飲料は、吐き気がひどく食事をとれないときや、吐き気を鎮めたいときにおすすめです。

すでに嘔吐してしまっている場合は、エネルギーやビタミン・ミネラルといった栄養素を補給できる「栄養補助食品」に分類されるゼリーを選んでみてください。

ゼリーやアイスなどの冷たい食品は、においがたちにくく、つわりでにおいに敏感になってしまっているときにも食べやすい食材です。

経口補水液・スポーツドリンク:ミネラル類も補える

吐き気で食べ物を口にできなくても、水分はこまめに補給し、脱水状態となるのを予防しましょう。水のほか、ミネラル類も含まれる経口補水液やスポーツドリンクなら、損失した栄養素を補うことができます。

また、脱水症状の一症状として吐き気が起きることもあるため、汗をかく夏場やスポーツ時などは、特に水分をしっかりとるように意識してください。

吐き気がするときに避けたい食べ物・飲み物

吐き気がするときに避けたい食べ物・飲み物を解説します。

脂身の多い肉・魚

脂質をたっぷり含む肉や魚は、消化器に負担をかけるだけでなく、口に含んだときの油っぽさで吐き気を悪化させる恐れもあります。

牛肉・豚肉・羊肉などの赤肉や、サンマ・マグロ・ブリといった脂のりの良い魚類に注意しましょう。

玄米

玄米や雑穀米は、繊維質を多く含んでおり、消化に時間のかかる食材です。

胃腸が弱っているときにお米を食べるなら白米を選びましょう。白米を煮込んでお粥や雑炊などにすることで、より胃腸にかかる負担を緩和できます。

不溶性食物繊維の多い野菜

ごぼう・れんこん・おくら・たけのこなど、硬い不溶性食物繊維を多く含む野菜類にも注意が必要です。胃腸に長くとどまり、吐き気を悪化させてしまいます。

香辛料・香味野菜などの刺激物

わさび・からし・コショウといった香辛料やスパイスなどは、胃腸への刺激となって胃酸を過剰に分泌させたり、胃粘膜を荒らしたりする恐れがあります。

スパイスをふんだんに使ったカレーやエスニック料理などは、吐き気がするときには食べないようにしましょう。

また、香味野菜として使われるネギ・にんにく・ニラ・みょうが・しそにも注意が必要です。これらの強いにおいが原因で吐き気をもよおす可能性があります。

アルコール飲料

お酒を飲み過ぎて血中のアセトアルデヒド濃度が高まると、体の防御反応として吐き気や嘔吐が起こります。

アルコールを飲まない、または飲み過ぎないことは、吐き気の予防になります。

アルコール類の過剰摂取は、胃粘膜に血流障害を起こすこともあります。すでに吐き気や嘔吐の症状があるときにも控えてください。

カフェイン飲料

コーヒー・紅茶・緑茶などに含まれるカフェインには胃酸の分泌を促す作用があり、吐き気を引き起こしたり悪化させたりする可能性があります。

吐き気を感じているときはもとより、胃腸の弱い人はカフェイン飲料に注意が必要です。

カフェインレスコーヒーや、ノンカフェインのハーブティー・麦茶・黒豆茶・ルイボスティーなどを選びましょう。

吐き気の予防・改善に効果的な生活習慣

吐き気を予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

食べてすぐ横にならない

食事をとってからすぐに横になると、未消化の胃の内容物が食道に逆流し、胸やけや吐き気を引き起こすことがあります。

ひどい場合は逆流性食道炎を発症する恐れもあるため、食後3時間程度は横にならないよう気を付けてください。

また、食後に激しい運動をすることも、吐き気をもよおす原因となります。運動する直前は食事を控えるか、量を少なくするようにしましょう。

規則正しい生活を送り、睡眠をしっかりとる

規則正しい生活を送り、十分な睡眠をとることで、消化器や、嘔吐中枢にも影響する自律神経の働きを整えることができます。

質の良い睡眠はストレス解消効果があるため、ストレスによる吐き気に悩まされている方は睡眠時間を意識しましょう。

食べた直後に横になると吐き気を感じる恐れがあるため、食事は就寝時間の3時間前までには済ませるようにします。また、夜の食事は、消化に良い食品を中心とした献立とするなどの工夫も必要です。

ストレスをためこまない

ストレスにより体の機能が乱れることで、吐き気が起きたり悪化したりします。ストレスから遠ざかり、解消する方法を見つけることも吐き気予防の一つです。

半身浴やアロマでリラックスする、信頼できる人に悩みを相談する、軽い運動で気分をリフレッシュするといった、自分なりのストレス対策を見つけてみましょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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