大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法

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大豆の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、大豆に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や食べ方を紹介します。

大豆とは

大豆(soy beans)は、マメ科の一年草です。中国東北部からシベリア原産で、世界各地で栽培・利用されており、完熟したものは大豆油の原料として用いられ、絞り粕は飼料に、未成熟な種子は枝豆として食されます。

大豆タンパクが豊富で、タンパク資源として重要な食材です。牛乳や卵など、動物性タンパク質に匹敵する良質なタンパク質を含有すること、また調理法によって肉のような食感を得られることから、「畑の肉」とも呼ばれます。

タンパク質以外に、鉄、カルシウムなどミネラルが豊富なほか、近年は大豆イソフラボンの示す女性ホルモン様作用も注目されています。

世界的には、大豆油の原料として用いられる割合が生産量の87%と大部分を占め、環境に配慮した素材である大豆インキの需要も拡大しています。

日本では大豆油よりも菜種油が主に用いられてきたため、大豆油の生産量は菜種油の半分以下です。その代わり日本では、古くから豆腐や油揚げなどの食品原料として大豆を用いてきたほか、味噌・醤油・納豆といった発酵食品として親しまれてきました。

日本人にとってなじみ深い食材ですが、しかし国内自給率は3~4%であり、大半を輸入に頼っています。

大豆の品種

大豆の品種は多岐にわたります。なかでも、作付面積全体の5割以上を占める主要5品種について解説します。

フクユタカ

フクユタカは、東海・近畿・四国・九州地方と広い地域で栽培され、国内でもっとも多く栽培されている品種です。

高タンパクで豆腐にすると固まりやすく、しっかりとした硬めの豆腐ができるのが特徴。そのため豆腐や油揚げの原料として高い評価を得ています。

一方で、蒸煮したときにやや硬めに仕上がるため、煮豆にはあまり向いていません。

エンレイ

エンレイは、南東北・関東・東山・北陸・近畿・中国地方で栽培される品種です。

タンパク質の含有量が豊富で、豆腐に適しているほか、味噌の原料としても適しています。

タチナガハ

タチナガハは、南東北・北陸・関東・東山・東海地方で栽培されており、エンレイより晩熟で収穫量の多い品種です。

大粒で種皮が裂けにくいので、煮豆に適しています。タンパク質含有量は、フクユタカやエンレイに比べるとやや控えめな中程度の量です。

リュウホウ

リュウホウは、主に東北地方で栽培され、機械による収穫に適した品種です。

フクユタカに比べるとタンパク質含有率は劣るものの、煮くずれや皮のうきなどが少なく、豆腐や煮豆にするのに向いています。

スズユタカ

スズユタカは、東北・北陸地方で栽培される品種です。外観の品質がよく、豆腐にするのに適しています。

大豆の色による違い

大豆にはさまざまな色の種類があり、それぞれ用途が異なります。

黄大豆

黄大豆は、国内でもっとも生産量の多い種類です。一般的に大豆と言った場合、大抵は黄大豆のことを指します。

豆腐や納豆、味噌、醤油などの大豆加工食品の原料として利用されるほか、節分の豆まきにも黄大豆が使われます。

黄大豆の中でも特に白色をしたものを、黒大豆と対比して白大豆と呼ぶこともあります。

黒大豆(黒豆)

黒大豆は、名前の通り黒色をした大豆です。色が黒いのは、種皮にアントシアニン系の色素を含んでいるため。

一般的に黒豆と呼ばれ、縁起物としておせち料理に用いられるほか、ノンカフェインの黒豆茶の原料としても用いられます。

青大豆

青大豆は、熟しても枝豆のような緑色をした大豆です。黄大豆とは異なる品種で、油分が少なく糖分は多め、粒が大きい、といった特徴があります。

青大豆の中でも香り高いものを「香り豆」と呼び、だだちゃ豆は、香り豆と呼ばれる青大豆を使ったものです。きな粉の原料や煮物にして食されます。

赤大豆

赤大豆は、種皮が小豆に近い赤色をした大豆です。色が赤いのは、黒大豆同様、種皮にアントシアニン系の色素が含まれているため。

西日本の限られた地域で栽培されており、生産量が少ないことから、幻の大豆とも呼ばれます。主な用途は煮物。黄大豆に比べて種皮が薄いため、歯触りがよいのだといいます。

高級豆腐店などでは、稀に赤大豆を原料にした、ほんのりピンク色の豆腐を販売していることがあります。

茶大豆

茶大豆は、種皮が茶色、実が栗のような黄色をした大豆で、赤大豆と同じくほとんど流通していません。

食感や味の特徴も赤大豆によく似ており、皮が薄いため塩ゆでにしてそのままでも食べやすい大豆です。

大豆の大きさによる違い

大豆には、大きさによっていくつかの区分があり、用途も異なります。

大粒種:7.9mm以上

大粒種(だいりゅうしゅ)は、7.9mm以上の大豆です。煮物など、そのまま調理に用いられます。

中粒種:7.3~7.9mm未満

中粒種(ちゅうりゅうしゅ)は、7.3~7.9mm未満の大豆です。豆腐、醤油、味噌など、加工して用いられます。

小粒種:5.5~7.3mm未満

小粒種(しょうりゅうしゅ)は、5.5~7.3mm未満の大豆です。納豆に利用されることが多い大豆です。

極小粒種:4.9~5.5mm未満

極小粒種は、4.9~5.5mm未満の大豆です。小粒種と同じく、納豆に利用されることの多い大豆です。

大豆に含まれる成分・栄養素

大豆100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載のある大豆関連食品のうち、黄大豆・黒大豆・青大豆・国産大豆・中国産大豆・ブラジル産大豆・大豆胚芽・大豆油について、それぞれ成分表にまとめています。

食品名単位全粒、国産、黄大豆、乾全粒、国産、黄大豆、ゆで全粒 米国産 黄大豆 乾全粒 中国産 黄大豆 乾全粒 ブラジル産 黄大豆 乾いり大豆 黄大豆いり大豆 黒大豆いり大豆 青大豆大豆胚芽大豆油
エネルギー(kcal)kcal/100 g422176433422451439442435442921
エネルギー(kJ)kJ/100 g176573818121766188718351850182018483853
水 分g/100 g12.465.411.712.58.32.52.42.73.90
たんぱく質g/100 g33.814.83332.833.637.536.437.737.80
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g32.113.830.330.5-30.934.232.934.8
脂 質g/100 g19.79.821.719.522.621.62220.714.7100
トリアシルグリセロール当量g/100 g18.6-9.2-19.9-17.920.220.220.319.197
飽和脂肪酸g/100 g2.59-1.28-3.13-2.633.142.812.832.8414.87
一価不飽和脂肪酸g/100 g4.8-2.38-4.19-3.385.025.165.874.0222.12
多価不飽和脂肪酸g/100 g10.39-5.15-11.71-11.0911.1311.3710.6711.3955.78
コレステロールmg/100 gTr(Tr)TrTr(Tr)(Tr)(Tr)(Tr)01
炭水化物g/100 g29.58.428.830.830.733.334.333.939.50
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g71.677.75.27.58.89.5
低分子量水溶性食物繊維g/100 g4.61.3
高分子量水溶性食物繊維g/100 g1.50.9
水溶性食物繊維0.90.912.42.42.22.80
不溶性食物繊維g/100 g15.46.41514.716.317.116.916.2160
食物繊維総量g/100 g21.58.515.915.617.319.419.218.418.80
灰 分g/100 g4.71.64.84.44.85.1554.10
ナトリウムmg/100 g1111254400
カリウムmg/100 g19005301800180018002000210020001400Tr
カルシウムmg/100 g180792301702501601201601000
マグネシウムmg/100 g2201002302202502402202502000
リンmg/100 g4901904804605807106406507200
mg/100 g6.82.28.68.997.67.26.711.70
亜鉛mg/100 g3.11.94.53.93.54.23.74.260
mg/100 g1.070.230.971.011.111.311.061.291.130
マンガンmg/100 g2.271.012.543.242.372.92.860
ヨウ素µg/100 g002001110
セレンµg/100 g5228215350
クロムµg/100 g3Tr11151220
モリブデンµg/100 g35077300416602902408000
レチノールµg/100 g0000000000
α-カロテンµg/100 gTr000012100
β-カロテンµg/100 g7379155129190
β-クリプトキサンチンµg/100 g1000023200
β-カロテン当量µg/100 g73791571410190
レチノール活性当量µg/100 g1Tr11111120
ビタミンDµg/100 g0000000000
α-トコフェロールmg/100 g2.31.61.72.14.82.23.11.318.510.4
β-トコフェロールmg/100 g0.90.80.40.70.71.11.30.51.32
γ-トコフェロールmg/100 g134.215.118.520.314.416.317.210.380.9
δ-トコフェロールmg/100 g8.63.25.68.16.49.810.611.41.620.8
ビタミンKµg/100 g187343436383238190210
ビタミンB1mg/100 g0.710.170.880.840.770.140.120.150.030
ビタミンB2mg/100 g0.260.080.30.30.290.260.270.270.730
ナイアシンmg/100 g20.42.12.22.22.72.52.23.40
ナイアシン当量mg/100 g10.23.9
ビタミンB6mg/100 g0.510.10.460.590.450.390.410.450.560
ビタミンB12µg/100 g0000000000
葉酸µg/100 g260412202602202602802504600
パントテン酸mg/100 g1.360.261.491.641.680.710.680.570.590
ビオチンµg/100 g27.59.833.632.632.927.426.7250
ビタミンCmg/100 g3TrTrTrTr11100
食塩相当量g/100 g0000000000
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g1.70.41.81.61.8
重量変化率%220
試料: 精製油及びサラダ油
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

大豆の効果・効能

大豆に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

糖質・脂質を抑えながらタンパク質を補給できる

大豆タンパク質は、その他のタンパク質高含有食品に比べて、低糖質かつ低脂質なため、筋肉増強に限らず運動をしていない人のタンパク質補給としても利用しやすい点が特徴です。

タンパク質は、骨や歯、皮膚、血管、内臓、髪の毛など、人体のあらゆる部位に利用されているため、不足するとさまざまな不調につながります。

トレーニングのお供としてだけでなく、普段からの健康維持としても欠かせない栄養素です。

コレステロール値を低下させる

大豆タンパク質の主要成分のひとつであるグリシニンには、血中のコレステロール値を低下させる働きがあります。

体に取り込まれた大豆タンパク質の一部は、腸管のなかで胆汁と結合して体外へと排出されます。

排出された分の胆汁を作るために血中のコレステロールが利用され、コレステロール値が下がるのです。

中性脂肪を低減する

大豆タンパク質には、コレステロール値を低下させる働きだけでなく、中性脂肪を低減させる効果もあります。

大豆タンパク質の成分でこの働きを担っているのが、もうひとつの主要成分であるβ-コングリシニンです。

β-コングリシニンは、大豆に含まれるタンパク質のうち、20%ほどを占めています。

大豆イソフラボンによる美肌効果や血流改善効果に期待

大豆イソフラボンは、大豆に含まれるイソフラボンの総称です。大豆イソフラボンは主に、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシステインの3種があります。

大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」と似た働きをすることで、女性ホルモンの低下が原因で起こるしわ・たるみ、さらに更年期に起こりがちな骨密度の低下などを予防します。

またイソフラボンには血小板の凝集を抑制する働きがあり、これによって血液をサラサラにして血流の改善効果も期待できます。

サポニンの抗酸化作用

大豆に含まれる大豆サポニンには、抗酸化作用があります。その他にも、免疫力向上、肥満予防、血流改善、肝機能向上などに効果を発揮します。

ただし、大豆の摂取が直接的にそれらの効果を発揮するかどうかは、まだ十分な研究が行われておらず判断できません。

大豆の食べ方

大豆の栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

大豆のおすすめ調理方法

大豆の栄養素を余さず効率的に摂取するには、なるべくそのまま食べることが重要です。加熱・粉砕などの加工を加えると、一部の栄養が損なわれてしまいます。

一方で、タンパク質を補給したい、など目的が明確な場合は、大豆タンパクを凝縮したソイプロテイン製品を利用するといいでしょう。

大豆を食べる際の注意点

大豆はいくつかの理由から、食べ過ぎには注意が必要です。

大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きをするため、妊娠中の多量摂取は胎児の発育に影響する可能性があります。妊娠中は、大豆の食べ過ぎに特に注意しましょう。

またそのほか、次に該当する人は、大豆タンパク質を凝縮したサプリメントなどの使用に注意が必要です。

  • 膀胱がんリスクの高い人および膀胱がんの既往歴のある人
  • 腎臓結石の既往歴のある人および結石リスクの高い人
  • 腎不全患者
  • 甲状腺機能低下症患者
  • 糖尿病患者
  • 子どもの嚢胞性線維症患者
  • 乳がん患者
  • 子宮内膜がん患者

大豆の保存方法

大豆の保存方法を解説します。

乾燥大豆の保存方法

乾燥状態の大豆は、未開封なら数年にわたって長期保存が可能です。高温多湿や直射日光を避けて、常温で保存しましょう。

開封した乾燥大豆は、カビや虫が発生してしまうほか、酸化して味が劣化してしまうので、冷蔵庫の野菜室で保存し、できるだけ早めに食べ切るようにします。

開封した乾燥大豆を長期保存する場合は、冷凍保存も可能です。

水煮大豆の保存方法

水煮大豆も乾燥大豆と同様に、未開封なら常温での長期保存が可能です。

開封した水煮大豆は乾燥大豆以上に劣化が早いので、タッパーなどの保存容器に移して早めに使い切りましょう。

数日のうちに食べ切ることが難しい場合には、冷凍保存してください。

蒸し大豆の保存方法

蒸し大豆も水煮大豆と同じく、未開封なら常温での保存が可能ですが、開封後は数日の間に食べ切る必要があります。

同じく数日で使い切れない場合には、冷凍保存すると良いでしょう。