ほうれん草の栄養と効果効能・調理法・保存法

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ほうれん草の旬や原産地、よく似た野菜との栄養価の違い、含む栄養素とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ほうれん草とは

ほうれん草は、中央アジア・西アジア・カスピ海南西部近辺を原産地とするホウレンソウ属の野菜で、カロテン含有量が豊富な緑黄色野菜のひとつ

昔は東洋種と西洋種に分かれていましたが、現在はそれらを掛け合わせた雑種の栽培が主流です。

β-カロテン・葉酸・ビタミンC・ビタミンK・カリウム・食物繊維など重要な栄養素を豊富に含んでおり、下茹でしてお浸しやごま和えで食べるのが一般的ですが、近年は生食用に品種改良したサラダほうれん草なども登場しています。

旬は冬で、寒締め(かんじめ)することによって各種栄養素が凝縮されておいしくなります。

特にビタミンCは、夏採れほうれん草100gあたりの含有量が20mgなのに対し、冬採れほうれん草100gあたり60mgと3倍にもなるのです。

ほうれん草とその他の葉野菜との違い

ほうれん草に似た葉野菜である、小松菜・チンゲン菜・モロヘイヤ・ケールとの違いを、見た目・味・用途・栄養的特徴に分けて表にしました。

詳細な栄養表については、日本食品標準成分表2015年版(七訂)より抜粋したものを後半で掲載しています。そちらもご確認ください。

見た目用途栄養
ほうれん草茎が細めで緑色苦味・旨味・甘味が強いシュウ酸除去のために下茹でなどが必要。お浸しなどに適すβ-カロテン・葉酸・ビタミンC・食物繊維・ビタミンKが豊富。ビタミンKは1カップで1日の摂取量の半分近くが取れる
小松菜茎が太く白がかった緑色ほうれん草より苦味・旨味・甘味が控えめ生でも食べられるため水溶性ビタミン摂取に適すカルシウム・鉄分・ビタミンCが豊富
チンゲン菜楕円形の葉、白い茎が特徴。小松菜より葉や茎が大ぶり歯ごたえが魅力炒め物・漬物・スープほうれん草には劣るがβ-カロテンが豊富。似た葉野菜と比べると全体的に劣るものの、加熱時間が短時間で済むなどの食べやすさを考えると優秀な野菜と言える
ケール品種にもよるが、縮れたパセリのような葉をしている独特の苦みがある硬いものはスープ向き。新芽など柔らかいものは生食も可ビタミンA・Cが1カップで1日の推奨摂取量の133%。ビタミンCや葉酸はほうれん草の方が豊富だが、カルシウムはほうれん草の約2倍、ビタミンAは7倍、食物繊維1.2倍を含有している。
モロヘイヤ一般的な木の葉型。付け根の両側に赤く細いひげが伸びている味はクセが少ないが刻むとオクラのような粘りが出るお浸しや和え物、スープ・炒め物など幅広く使えるβ-カロテン・食物繊維・カルシウム・ビタミンK・葉酸・ビオチン・その他のビタミンB群などあらゆる栄養素が葉物野菜の中でもっとも豊富。ただしリンの過剰摂取にだけ注意が必要

ほうれん草に含まれる成分・栄養素

ほうれん草(100g)に含まれる成分・栄養素について、生と冷凍、似た野菜との比較などを交えて解説します。

生のほうれん草と冷凍のほうれん草に含まれる栄養の比較

食品名単位ほうれん草(生)ほうれん草(茹で)ほうれん草(油炒め)ほうれん草(冷凍)ほうれん草(冷凍・茹で)ほうれん草(冷凍・油炒め)
エネルギー(kcal)kcal/100 g202599222878
水 分g/100 g92.491.58292.290.684.6
たんぱく質g/100 g2.22.63.82.94.24
炭水化物g/100 g3.144.43.43.85.4
水溶性食物繊維g/100 g0.70.60.80.70.80.8
不溶性食物繊維g/100 g2.133.82.643.3
食物繊維総量g/100 g2.83.64.63.34.84.1
ナトリウムmg/100 g16101312047160
カリウムmg/100 g69049053021090240
カルシウムmg/100 g496988100170130
マグネシウムmg/100 g694052515561
リンmg/100 g474354464257
mg/100 g20.91.21.21.31.5
亜鉛mg/100 g0.70.70.80.50.50.6
mg/100 g0.110.110.150.10.140.12
マンガンmg/100 g0.320.330.20.80.950.9
ヨウ素µg/100 g31112
セレンµg/100 g33Tr01
クロムµg/100 g21767
モリブデンµg/100 g5415413
β-カロテン当量µg/100 g420054007600530086007200
レチノール活性当量 (ビタミンA)µg/100 g350450630440720600
α-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g2.12.64.82.74.44.6
β-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g00.2TrTr0.10.1
γ-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g0.20.32.90.20.22.2
δ-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g000.1000.1
ビタミンKµg/100 g270320510300480370
ビタミンB1mg/100 g0.110.050.080.06
ビタミンB2mg/100 g0.20.110.160.130.060.18
ナイアシンmg/100 g0.60.30.50.40.20.6
ビタミンB6mg/100 g0.140.080.090.10.050.12
葉酸µg/100 g21011014012057150
パントテン酸mg/100 g0.20.130.20.150.030.19
ビオチンµg/100 g2.93.22.73.23.4
ビタミンCmg/100 g35192119516
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

生のほうれん草と冷凍ほうれん草の比較表です。

β-カロテンは冷凍しても損なわれず、どころか同量で比較すると増加傾向にあり、特に冷凍茹でほうれん草は生茹でほうれん草の1.5倍以上のβ-カロテンを含有しています。

ナトリウムやカルシウムをはじめ、各種ミネラルも冷凍で損なわれないものが多く、ミネラルのなかでは唯一カリウムが大幅に減少します。

ビタミンCや葉酸は冷凍することでおよそ半減してしまうため、カリウムやビタミンを目的として摂取する場合は生の方が適しているでしょう。

ほうれん草に含まれる栄養と似た葉野菜に含まれる栄養の比較

食品名単位ほうれん草(生)小松菜(生)チンゲン菜(生)ケール(生)モロヘイヤ(生)
エネルギー(kcal)kcal/100 g201492838
水 分g/100 g92.494.19690.286.1
たんぱく質g/100 g2.21.50.62.14.8
食物繊維総量g/100 g2.81.91.23.75.9
カリウムmg/100 g690500260420530
カルシウムmg/100 g49170100220260
マグネシウムmg/100 g6912164446
mg/100 g22.81.10.81
モリブデンµg/100 g51073815
β-カロテン当量µg/100 g420031002000290010000
α-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g2.10.90.72.46.5
ビタミンKµg/100 g27021084210640
葉酸µg/100 g21011066120250
ビオチンµg/100 g2.92.91.3413.6
ビタミンCmg/100 g3539248165
※それぞれの栄養素において、特に豊富なものを太字にしています。

表で見比べると、葉野菜の中でモロヘイヤの栄養がとびぬけて豊富です。

モロヘイヤはアラビア語で「王様だけのもの」という意味を持つ夏野菜で、特にβ-カロテンは文字通り桁違いの豊富さを誇ります。

その他、全体的な傾向は次の通りです。

  • ほうれん草はカリウム・ビタミンK・葉酸が豊富
  • 小松菜は鉄分とカルシウムが豊富
  • チンゲン菜は水分が多くカロリーが低い
  • ケールは食物繊維とビタミンCが豊富
  • モロヘイヤはタンパク質・食物繊維・各種ビタミン・ミネラルなどあらゆる栄養素が豊富

ほうれん草の効果・効能

ほうれん草が持つ栄養素と、その効果・効能・働きについて解説します。

β-カロテン

β-カロテンは、体内でビタミンAに変換されるプロビタミンA(ビタミンA前駆体)です。プロビタミンAは、必要な時だけビタミンAに変換されるため、ビタミンAと異なり過剰摂取の心配が要りません。

ビタミンAは皮膚や粘膜を正常な状態に保ち、感染症などへの抵抗力を高める働きがあります。

β-カロテンには、ビタミンAとしての機能以外に、抗酸化作用や免疫力アップといった働きも備えています。

鉄(鉄分)

鉄は、赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となって、体のすみずみまで酸素を運ぶという重要な働きを担っています。

鉄が不足すると酸欠になり、疲労感や倦怠感などが主な症状として現れます。

また鉄は美容効果もあり、不足するとしみ・しわ・抜け毛の原因にもなる重要な栄養素のひとつです。

ビタミンC

ビタミンCは、抗酸化作用によって活性酸素を取り除き血管や細胞の老化を防止するほか、コラーゲンの生成に関わることで骨や腱を健康に保ち、美肌などにも効果を発揮します。

さらにビタミンCは鉄の吸収を助ける働きもあるため、鉄とビタミンCの豊富なほうれん草は特に貧血に効果的とされているのです。

葉酸

葉酸は、体中のエネルギーの代謝を助けるビタミンB群のひとつ。赤血球の生産や、DNA・RNAといった核酸やタンパク質の合成を促すため、体の発育に不可欠なビタミンです。

妊活中や妊娠中は特に細胞分裂が活発になることから、通常時よりも多くの葉酸が必要とされています。

食物繊維

食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維とがあり、それぞれ役割が違うためバランスよく摂取することが重要です。

水溶性食物繊維は糖質の吸収を抑え、不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸の働きを刺激するほか、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌のエサとなって腸を整えます。

カリウム

カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する作用があるミネラルです。体内の塩分を調節することで、むくみや高血圧を予防します。

カリウムが不足すると、筋力低下・自律神経失調・嘔吐・便秘などさまざまな症状を引き起こすため注意が必要です。

ほうれん草の調理方法

ほうれん草の栄養を損なわない洗い方・調理の仕方を解説します。

ほうれん草の洗い方

ほうれん草は根元に砂や泥などの汚れが溜まるため、茎に切れ目を入れて広げながらしっかり洗いましょう。

水を張ったボウルの中で、根元をさすりながら振り洗いすると汚れが落としやすくなります。

なお、ほうれん草に豊富に含まれるビタミンCなどの水溶性ビタミンは、長時間水に浸けると流れ出てしまうため、手早く水洗いした後はしっかり水を切ってください。

ほうれん草のおすすめ調理方法

ほうれん草の栄養素を損なわないおすすめの調理法は、摂取したい栄養素によって異なります。

茹でる:ミネラルが摂取しやすい反面、ビタミンCが損なわれる

ほうれん草の調理法としてポピュラーな茹で調理は、シュウ酸を減らし根元まで食べやすくなることでミネラルを摂取しやすくなるのがメリットです。

反面、ビタミンCや葉酸などの水溶性ビタミンが流れ出てしまうため、ビタミンを損なわないためには手早く茹でる必要があります。

炒める:β-カロテンが摂取しやすい反面、鉄の吸収が阻害される

油炒めにすると、脂溶性のビタミンであるβ-カロテンの吸収効率はアップします。また、茹でたときに比べると水溶性ビタミンの損失も比較的抑えられるでしょう。

しかし、鉄の吸収を阻害するシュウ酸が残りやすいのがデメリットです。

シュウ酸はえぐみや酸味のもとにもなるため、茹でたほうれん草に比べるとやや食べづらく感じるかもしれません。

レンジで加熱:水溶性ビタミンを摂取しやすい反面、鉄の吸収が阻害される

レンジで加熱すると、水に流れ出しやすい水溶性ビタミンを無駄なく摂取することができます。一方、炒めた場合と同じくシュウ酸が残りやすいのがデメリットです。

レンジ加熱や油炒めでビタミン重視で摂取する場合は、シュウ酸が比較的少ないサラダ用のほうれん草を選ぶとよいでしょう。

ほうれん草の保存方法

生と冷凍のほうれん草に含まれる栄養の比較表を見ていただくと分かる通り、ほうれん草は冷凍保存しても栄養が損なわれず、栄養素によっては生のままよりも冷凍の方が効率的に摂取できます。

生のまま冷凍保存

生のまま冷凍保存する場合は、水洗いしたほうれん草の水気を切ったら、そのままフリーザーバックに入れて冷凍するだけで大丈夫。

ただし生のまま冷凍したほうれん草は、解凍すると細胞壁が壊れ栄養素が流れ出てしまうため、丸ごと摂取できるスムージーや野菜ジュースに利用するのがおすすめです。

茹でてから冷凍保存

茹でてから冷凍保存する場合は、茹で上がったほうれん草を冷水にさらして冷やした後、3~4等分など使いやすい大きさに切って水気を切ります。

このとき水気が残ったまま冷凍してしまうと野菜が傷むので、丁寧にしっかり拭きとることが重要です。

水気を拭きとったほうれん草をフリーザーバックに入れ、袋内の空気を抜いて冷凍します。空気が残っていると酸化や変色の原因になるため、しっかり空気を抜きましょう。

なお、スペースに余裕があれば金属製のトレーに乗せて冷凍することで、急速冷凍も可能です。

冷蔵保存

冷蔵保存する際は大きめのポリ袋か新聞紙に包み、葉が重なり合わないようにして立てて保存することで1週間程度は鮮度が保てます。

常温保存

常温の場合、気温の高い夏場で1日、室温の低い冬場でも2日程度が限界です。