心臓病(心筋梗塞・狭心症など)の予防・改善におすすめの食べ物

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Heart disease food

心臓病の症状や定義、原因について解説したうえで、心臓病の予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

心臓病とは

心臓病は、心臓の血管や筋肉などに異常が生じ、心機能が低下する病気です。冠動脈が詰まり心臓への血流が滞る狭心症のほか、冠動脈が完全に閉塞し心筋が壊死してしまう心筋梗塞などがあります。

厚生労働省の「人口動態統計」によると、日本における死因の第二位は心疾患です。心臓病は自覚症状のないまま進行することが多いため、突然死の原因のひとつにもなっています。

心臓病の原因は肥満や運動不足、ストレスなど生活習慣に関わるものも多いので、予防するにはさまざまな対策が必要です。

心臓病の症状

心臓病の主な症状は以下です。

  • 胸の激しい痛みや圧迫感
  • 不整脈
  • 動悸
  • 息切れや呼吸困難
  • 倦怠感
  • 冷や汗
  • 吐き気
  • めまいや失神
  • むくみ

心臓病は自覚症状がない場合がほとんどですが、急性心筋梗塞の場合はまれに圧迫感や痛みなどの症状が見られることがあります。そのほか不整脈や激しい動悸が生じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

心臓病の原因

特に代表的な心筋梗塞や狭心症について、原因を説明します。

先天性の場合をのぞき、心筋梗塞や狭心症のリスク要因となるのが動脈硬化です。動脈硬化は、血管が硬くなったり血栓ができたりすることで血流が阻害される状態を指します。

血管内にコレステロールが蓄積し、血液がドロドロの状態になると狭心症を招く危険性が高まります。さらに、血管内のコレステロールは次第にプラークとなり、破裂すると血管を閉塞させて心筋梗塞を招きます。

そのため、動脈硬化の原因となる高血圧や高血糖などにも注意すべきでしょう。

心臓病の予防・改善に効果的な栄養素

心臓病の予防・改善に効果的な栄養素について解説します。

オメガ3脂肪酸:血液をサラサラに

オメガ3脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、α-リノレン酸やEPA(イコサペンタエン酸)、DPA(ドコサヘキサエン酸)などがあります。

なかでもα-リノレン酸は、血管を拡張させ血流をスムーズにする作用を持つ栄養素です。血流が改善されれば、血管を詰まらせる血栓もできにくくなるため、えごま油やくるみなどを積極的に摂りましょう。

そのほか心臓病の予防に効果的なオメガ3脂肪酸は、青魚に含まれるEPAです。EPAにはLDLコレステロールを低下させる作用があり、動脈硬化の予防に役立ちます。

オメガ3の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

カリウム:ナトリウムの排出を促す

動脈硬化の原因となり得る高血圧症を防ぐには、カリウムの摂取が効果的です。カリウムは細胞内液の浸透圧調節に関わり、ナトリウム(塩分)の排出を促します。

体内でナトリウムが過剰に増えると、血圧が上昇しやすくなるため、カリウムの豊富な野菜類を食べて塩分の摂り過ぎを防ぎましょう。

カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

カルシウム:欠乏すると血管の老化に

カルシウムの欠乏は、動脈硬化の発生リスクが高めることがわかっています。

体内にカルシウムが足りない場合、骨からカルシウムを溶かし出して血液内に補充します。しかし、余った分は血管内に残り、そのままカルシウムが石灰化すると血管を硬化させてしまうのです。

また、カルシウム不足は高血圧症の原因にもなるので、毎日の摂取が大切です。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

抗酸化ビタミン:動脈硬化を予防

心臓病の原因となる動脈硬化を防ぐには、抗酸化ビタミンが役立ちます。

抗酸化とは、体内で過剰に発生する活性酸素を除去したり、働きを抑えたりする作用のことです。大量に発生した活性酸素はLDLコレステロールを酸化させ、動脈硬化の原因となる過酸化脂質を作り出してしまいます。

心臓病予防には身体を酸化させないことが重要です。

ビタミンAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA

β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

食物繊維:血糖値の上昇を抑える

肥満や高血糖も動脈硬化の原因となります。食物繊維には整腸作用だけでなく、糖や脂質の排出を促す作用があるので、肥満予防や糖尿病予防に最適です。

また、体内の余分なナトリウムも同時に排出してくれるので、高血圧症予防にも役立つでしょう。心臓病を予防するには、食物繊維は欠かせない栄養素と言えます。

食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンD:心疾患のリスク低下に期待

近年の研究では、ビタミンDの欠乏が心臓病のリスク要因になることがわかっています。また、ビタミンDは高血圧症や糖尿病、肥満などとも関係が深く、十分な量を摂取することが必要です。

ビタミンDは紫外線を浴びれば人間の体内でも生成できます。室内にこもりがちな人は、定期的に日光浴をするようにしましょう。

ビタミンDの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA

心臓病の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物

心臓病の予防・改善に効果的な食べ物・飲み物について解説します。

野菜類

抗酸化作用を持つビタミンA(β‐カロテン)、ビタミンC、ビタミンEの多い野菜を摂取しましょう。特にパプリカやブロッコリー、ニンジンなどは抗酸化ビタミンが豊富に含まれています。

また、強い抗酸化作用を持つリコピンが含まれるトマトもおすすめです。血液をサラサラにする作用のある玉ねぎも取り入れてみましょう。

パプリカの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ブロッコリーの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ニンジンの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

トマトの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

玉ねぎの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

大豆製品

大豆はミネラルやビタミンのほか、タンパク質を多く含む食品です。大豆のタンパク質にはグリシニンが含まれ、血液内のコレステロールを減らす作用があります。

毎日取り入れるなら、大豆を原料とした納豆や豆腐などの食品が手軽です。特に納豆に含まれるナットウキナーゼは血栓を溶かす作用があり、摂取することで動脈硬化予防につながります。

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

海藻類

ひじきやわかめ、昆布などの海藻類は食物繊維・カルシウム・ビタミンなどが多く含まれています。

特にわかめはビタミンAと同様の働きをするβ-カロテンが豊富です。カリウムの含有量も多く、高血圧症や動脈硬化の予防に役立つでしょう。

ひじきの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

わかめの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

キノコ類

しめじやエリンギなどのキノコ類は、ビタミンDが豊富に含まれています。特にまいたけのビタミンD含有量は、キノコ類の中でトップクラスです。

さらにキノコは低カロリーで低脂質なので、肥満予防の観点からも使い勝手の良い食品と言えます。

しめじの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

エリンギの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

まいたけの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

青魚

サバやアジなどの青魚は、オメガ3脂肪酸のEPAが豊富です。血中コレステロールの低下作用があるので、毎日の食生活に取り入れると良いでしょう。

特に取り入れやすいのは、サバ缶です。高血圧症を患っていた被験者に1日2缶のサバ缶を継続摂取してもらったところ、血圧が低下したという研究結果もあります。

サバの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

アジの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

いわしの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

玄米やライ麦

白米や小麦に比べ、玄米やライ麦はビタミンや食物繊維が多く含まれる傾向にあります。さらに玄米には食べ過ぎを抑制する作用を持つγ‐オリザノールも含まれるため、肥満予防としても効果的です。

白米から玄米に置き換えたり、小麦のパンでなくライ麦パンを選ぶなど、普段の食生活から少しずつ変えてみると良いでしょう。

玄米の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ライ麦の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ナッツ類

ナッツ類はビタミンEが豊富です。特にアーモンドはビタミンEの含有量が高く、高い抗酸化作用が期待できます。くるみも血流の促進作用を持つα-リノレン酸が多く含まれるのでおすすめです。

ただし、ナッツ類は脂質が多く含まれるので、食べ過ぎると肥満を招きます。アーモンドなら1日20粒から22粒、クルミなら1日7粒を目安に摂取しましょう。

アーモンドの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

くるみの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ベリー類

ブルーベリーやラズベリーなどのベリー類も、抗酸化力の高い食品です。ベリー類はビタミンEのほかに、強力な抗酸化作用があるポリフェノールが多く含まれます。

とりわけスーパーフルーツのマキベリーは、ベリー類の中でトップクラスの抗酸化作用を持ちます。

ブルーベリーの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ラズベリーの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

マキベリーの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ブラックベリーの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

クランベリーの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

牛乳や乳製品

カルシウムが豊富な牛乳や、生乳や牛乳を加工した乳製品も心臓病予防に役立ちます。

カルシウムの1日の摂取量の目安は、成人男性の場合は750mgから800mg、成人女性では600mgから650mgです。牛乳ならコップ1杯分で、約220mgのカルシウムが摂取できます。

また、ビタミンDはカルシウムの吸収を助けてくれるので、キノコと合わせて料理に使う方法もおすすめです。

牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

チーズの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ヨーグルトの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

心臓病予防のために避けたい食べ物・飲み物

心臓病を予防するうえで、摂取を避けるべき食べ物や飲み物をご紹介します。

  • 動物性脂質:肉類に多く含まれる飽和脂肪酸はコレステロールを上げる要因になります。ベーコンやハムなどの加工品にも注意しましょう。
  • トランス脂肪酸:コレステロール値を増加させる要因です。マーガリンやショートニングに多く含まれるので、パンやケーキなどの摂取を控えましょう。
  • 糖質の多い食べ物:糖分を摂り過ぎると高血糖を招きます。清涼飲料水や洋菓子、和菓子などは糖分の多い食べ物です。
  • 塩分の多い食べ物:塩分の摂り過ぎは高血圧症を招きます。加工食品や総菜は塩分を自分で調節できないので、食べ過ぎには注意しましょう。
  • アルコールやカフェイン:摂り過ぎると神経を興奮させ、心臓に負担をかけてしまいます。

心臓病の予防・改善に効果的な生活習慣

心臓病を予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

食事はバランスよく

栄養素は体内で影響し合いながら吸収されるため、どれかひとつの食品に頼るのは避けましょう。

炭水化物・タンパク質・ミネラル・ビタミン・脂質の五大栄養素を意識し、いろいろな食品を取り入れた食事を心がけることが大切です。

暴飲暴食しない

お腹いっぱい食べると、血糖値を上昇させる原因になります。肥満や高血糖を防ぐためにも腹八分目を意識して食事をしましょう。

また、アルコールの飲み過ぎは心臓の負担になります。アルコールの適量は1日20g。ビールの中ビンなら1本、日本酒なら1合、ウイスキーダブルなら1杯程度がアルコール適正量です。

適度な運動習慣

肥満は心臓病のリスク要因となるので、毎日適度な運動を心がけて太り過ぎを予防しましょう。

ただし無酸素運動は心臓に負担をかける可能性が高いため、ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動がおすすめです。また、早朝や深夜などの時間帯は、血管が日中に比べ収縮している傾向が高いので避けましょう。

禁煙する

喫煙習慣は動脈硬化を招く原因となります。喫煙は血管を老化させるだけでなく、活性酸素の過剰発生も促すので、心臓病と関連性が高いです。

また、煙草の中には心臓機能へ悪影響を及ぼす成分が含まれていると考えられます。心臓に負担をかけないためにも、なるべく禁煙したほうが好ましいでしょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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