栗の栄養と効果効能・調理法・保存法

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栗

栗の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、栗に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

栗とは

栗(クリ)は、ブナ科クリ属の木の一種です。原産は日本と朝鮮半島南部。日当たりのいい山地、丘陵などに自生しており、北海道西南部から本州、四国、九州の屋久島、および朝鮮半島に分布します。

自然な甘さと、いものようなほくほくとした食感を味わえる、日本の秋を代表する味覚のひとつです。旬は9月から10月にかけて。焼き栗やモンブラン、栗ようかんなどスイーツとして食されることが多い一方で、上品な甘さがあることから、栗ごはんやおこわ、栗きんとんや煮物などの塩辛い味付けの料理との相性も悪くありません。

糖質や食物繊維に加えて、カリウム、葉酸、ビタミンCなどを豊富に含んでおり、渋皮には抗酸化作用のあるポリフェノールの一種、タンニンも豊富に含まれます。

和名である「クリ」の語源には諸説あります。黒褐色になる果実を「黒実(くろみ)」と呼んだものが転じてクリになったとする説。樹皮や殻が栗色と呼ばれることから樹名になったとする説。クリはそもそも石という意味であったことから、硬い殻を持つ果実をクリと呼ぶようになったとする説などです。

ちなみにカタカナで「マロン(marron)」のイメージが強い栗ですが、こちらは英語ではなくフランス語。英語名のチェストナッツ(Chestnut)は、いがの中に分かれた果実が入っている様子から、部屋を表すChestをもとに命名されています。

栗の種類

栗には、大きく分けて4つの種類(世界四大栗)があります。

日本栗・和栗

日本栗、あるいは和栗とは、柴栗を原種とする栗です。100種類ほどの種類があり、そのほかの栗に比べ、渋皮がむがれにくく果肉は割れやすい特徴があります。

西洋栗

西洋栗は、南東欧ないし西アジアが原産と言われている種類で、現在はイタリア、フランス、スペインなどの欧州にて栽培が行われています。日本栗に比べてやや小さく、渋皮がむきやすく果肉がしまっているのが特徴です。

中国栗

中国栗は、中国華北地方原産の栗です。甘栗(天津甘栗)とも呼ばれ、やや小ぶりで渋皮をむきやすく、果肉はしまって割れにくい特徴があります。

アメリカ栗

アメリカ栗は、北米を原産とする種類です。果実としての品質だけでなく、木材としても優れた品種でしたが、1904年にニューヨークから発生した胴枯病(焼き枯れ病)でほとんどが壊滅してしまいました。原産地である北米の一部で栽培されているものの、市場にはほとんど流通しません。

日本栗・和栗の品種

日本栗・和栗の品種と特徴について解説します。

筑波(つくば)

筑波は、岸根(がんね)と芳養玉(はやたま)の交配によって誕生した品種です。果肉は淡黄色で甘味があり、栗らしい香りも強め。皮に光沢があり、1粒あたり30gほどと大きめのサイズが特徴です。旬は9月下旬から10月上旬にかけて。ゆで栗や渋皮煮に適しています。

丹沢(たんざわ)

丹沢は、乙宗(おとむね)と大正早生(たいしょうわせ)の交配によって誕生した品種です。甘みや香りは控えめなものの、早生種の中では比較的強い味わいと風味を持っています。旬は9月上旬から中旬にかけて。果肉の色が鮮やかなため、お菓子作りの際の原料に適しています。

銀寄(ぎんよせ)

銀寄は、江戸時代中期に能勢町へ広島から持ち帰った栗を植えたのが発祥とされる品種です。大きめのサイズで程よい甘味と強い香りが楽しめます。旬は9月下旬から10月中旬にかけて。丹波栗として、料理やお菓子など幅広く使われています。

利平(りへい)

利平は、日本栗と中国栗の交配によって誕生した品種です。太平洋戦争時にほとんどが枯れてしまったものの、残った1本を原木として全国で栽培が行われるようになった品種でもあります。濃厚な甘味が特徴的で、「栗の王様」とも称されます。

石鎚(いしづち)

石鎚は、岸根と笠原早生(かさはらわせ)の交配によって誕生した品種です。大きさは30gほどで、皮が赤茶色をしているのが特徴。ほどよい硬さのある果肉は、甘露煮や渋皮煮に適しています。

国見(くにみ)

国見は、丹沢と石槌の交配によって生まれた品種です。早生栗の一種で、旬は9月中旬。実の大きさが特徴な一方で、味は大味なため、加工品にして食べるのが適しています。なお国見という名前は、産地の1つである熊本県の国見岳から。

岸根(がんね)

岸根は、山口県坂上村で誕生したとされる品種で、現在では山口県の特産品にもなっています。実は30g以上の重さがあり、かなり大ぶりです。晩生種のため収穫期は遅く、10月中旬ごろから11月にかけてとなっています。

ぽろたん

ぽろたんは、茨城県つくば市の農林水産省果樹試験場にて209-5と丹沢の交配により誕生した品種です。名前の通り、加熱するとぽろっとむける鬼皮が特徴。従来の日本栗にはない特徴を持つことから、奇跡の栗とも称されます。

柴栗(しばぐり)

柴栗は、古くから山に自生しており、縄文時代から食用とされてきたとされています。品種改良がおこなわれていない原種のため、その他の日本栗に比べて甘みや香りは強くありません。

栗に含まれる成分・栄養素

栗100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

栗には、人間が活動する際にエネルギー源となる炭水化物が、さつまいもなどのいも類よりも豊富に含まれています。そのぶん糖質やカロリーが高い点には注意が必要ですが、食物繊維総量も多いため、便秘改善などの整腸作用が期待できそうです。その他のナッツ類と比べると脂質が少なく、タンパク質や各種ビタミンも豊富なので、ダイエット中のデザートなどとしても悪くないでしょう。

ゆで栗100gに含まれる食物繊維総量が6.6gであるのに対し、皮つきの蒸かしいも100gに含まれる食物繊維総量は3.8gと、およそ1.7倍含まれています。また、むくみ解消に効果の期待できるカリウムはきゅうりの2.1倍、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンCはりんごの約8倍含まれています。

食 品 名単位日本ぐり 生日本ぐり ゆで日本ぐり 甘露煮中国ぐり 甘ぐり
廃 棄 率%3020020
エネルギーkJ625646984875
kcal147152232207
水 分g58.858.440.844.4
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g2.4-2.9-1.5-4.3
たんぱく質g2.83.51.84.9
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g-0.40.5-0.3-0.9
コレステロールmg0000
脂質g0.50.60.40.9
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g33.532.8--43.9
g***
利用可能炭水化物(質量計)g30.630--40.2
差引き法による利用可能炭水化物g33.230.854.440.6
*
食物繊維総量g4.26.62.88.5
糖アルコールg----
炭水化物g36.936.756.848.5
有機酸g----
灰分g10.80.21.3
無機質ナトリウムmg1172
カリウムmg42046075560
カルシウムmg2323830
マグネシウムmg4045871
リンmg707225110
mg0.80.70.62
亜鉛mg0.50.60.10.9
mg0.320.370.150.51
マンガンmg3.271.070.751.59
ヨウ素μg0--0
セレンμg3--1
クロムμg0--0
モリブデンμg2--1
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg0000
α|カロテンμg26261533
β|カロテンμg24242452
β|クリプトキサンチンμg0000
β|カロテン当量μg37373268
レチノール活性当量μg3336
ビタミンDμg0000
α-トコフェロールmg0000.1
β-トコフェロールmg000Tr
γ-トコフェロールmg33.31.812
δ-トコフェロールmg0000.2
ビタミンKμg10Tr0
ビタミンB1mg0.210.170.070.2
ビタミンB2mg0.070.080.030.18
ナイアシンmg110.31.3
ナイアシン当量mg1.6-1.7-0.7-2.2
ビタミンB6mg0.270.260.030.37
ビタミンB12μg0000
葉 酸μg74768100
パントテン酸mg1.041.060.180.57
ビ オ チ ンμg3.9--6
ビタミンCmg332602
アルコールg----
食塩相当量g0000
備 考廃棄部位: 殻(鬼皮)及び渋皮(包丁むき)廃棄部位: 殻(鬼皮)及び渋皮液汁を除いたもの別名: あまぐり廃棄部位: 殻(鬼皮)及び渋皮
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

栗の効果・効能

栗に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

食物繊維で腸内環境を整える

栗は、食物繊維を豊富に含みます。食物繊維には、腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を整えたり、腸を刺激して便の排出を促したりといった機能があり、便秘や下痢など腸のトラブル改善に有効です。

整腸作用のほかに、コレステロールや中性脂肪を下げる効果も期待されています。多くの機能を持つ食物繊維ですが、食生活の欧米化が進む現代の日本人にとって不足しやすい成分でもあります。

厚生労働省は、食物繊維の1日の摂取推奨量を成人男性で21g、成人女性で18gと定めており、日本栗100gに含まれる食物繊維総量6.6gはサポートとして十分な量と言えるでしょう。

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タンパク質が体づくりをサポート

栗はタンパク質も含んでいます。タンパク質は、筋肉や内臓、皮膚など、人の身体を構成する主要な栄養素です。

体を作るだけでなく、ホルモンや酵素などは、その骨格がすべてタンパク質からできています。酸素の運搬や神経伝達にも関与しており、人体には必要不可欠です。特に日頃から筋肉トレーニングや運動を心がけている人は、筋肉の材料となるタンパク質を十分に摂取することで、より効率的に筋肉をつける効果が期待できます。

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カリウムでむくみ解消&高血圧予防

栗にはミネラルの一種であるカリウムが豊富です。カリウムは細胞の浸透圧を調節する働きがあり、ナトリウムを体外に排出する作用があります。

ナトリウムの過剰摂取は、高血圧や喉の渇き、体のむくみなどを招く要因となります。特に日本人の高血圧症は、塩分の摂り過ぎがもっとも大きな要因と言われています。高血圧予防として、ぎんなんのようなカリウムが豊富な食品を摂取することが大切です。

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β-カロテンで生活習慣病を予防

栗の実の黄色は、β-カロテンです。β-カロテンは、緑黄色野菜に豊富なカロテノイド色素の一種です。生活習慣病や老化を促進する活性酸素の働きを抑え、若々しさを維持するのに不可欠な栄養素として知られます。

また、β-カロテンは、体内で必要量だけビタミンAに変換されるプロビタミンAとしての機能も持ち合わせています。ビタミンAと同様に、皮膚・粘膜の健康維持や疲れ目に有効です。

β-カロテンが豊富な栗は、動脈硬化・糖尿病・高血圧などの生活習慣病の予防や、アンチエイジングに有効と言えるでしょう。

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ビタミンB1が糖質を代謝

パスタに含まれるビタミンB1は、体内で補酵素として働く栄養素です。脳のエネルギー源であるブドウ糖を代謝する役割を持ちます。脳や神経の機能を正常に保つだけでなく、疲労回復もサポートしてくれるでしょう。

ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB2がダイエットや美容効果に期待

ビタミンB2は、タンパク質や脂質、炭水化物の代謝を促進するビタミンB群の1つです。

摂取した栄養素を、効率よくエネルギーに変換する補酵素として働きます。また、体内の老化を促進したり、動脈硬化を引き起こしたりする過酸化脂質を分解する効果もあり、ダイエットの味方になる栄養素です。

ビタミンB2は、皮膚や髪を健康に保つ働きもあります。過酸化脂質の生成を抑制する、ビタミンEと一緒に摂ると効果的です。

ビタミンB2の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB群の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

髪にいい食べ物・飲み物 | NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸が細胞増殖をサポート

葉酸はDNAの合成に関わり、細胞増殖をサポートします。そのため妊婦は通常より多めの摂取が推奨されており、胎児の健康を維持するためには欠かせない栄養素です。

妊娠時期に十分な量を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが低減すると言われています。妊婦の必要摂取量は1日あたり400µgです。

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンCが免疫力を高める

栗はビタミンCも豊富に含んでいます。ビタミンCは人間の白血球やリンパ球に多く含まれている物質です。この白血球やリンパ球には体外から侵入した細菌・ウイルスなどの異物と戦う働きがあります。ビタミンCの摂取は免疫機能の強化につながり、風邪予防や感染症予防に役立つでしょう。

水に溶けやすい性質を持つビタミンCは、摂取しても余剰分は尿として排出されてしまいます。そのため継続的な摂取が必要です。

さらにメラニン色素の生成を抑制する作用や、老化防止に期待できる抗酸化作用などの働きも。人間は体内でビタミンCを生成できないので、食品から上手に摂取しましょう。

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

免疫力を高める食べ物・飲み物と心がけたい生活習慣 | NANIWA SUPLI MEDIA

ポリフェノールの生活習慣病予防効果に期待

栗の渋皮には、ポリフェノールの一種であるタンニンが含まれています。ポリフェノールは苦味・渋味・色素の成分で、コーヒー・緑茶・赤ワインといった、苦味や渋味が強く、色が濃い飲料に多く含まれています。

ポリフェノールは抗酸化作用が強いことから、生活習慣病予防への効果が期待されています。

ポリフェノールの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

栗の食べ方

栗の栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

栗の洗い方

生の栗を食べる際は、まずたっぷりの水で洗いましょう。穴の空いているものはこの時点で取り除きます。

ざっと洗った栗を半日から1日水に浸けておくことで、穴の空いた栗が浮いてきます。穴の空いた栗から虫が出てくる場合もありますが、これらも同じく取り除きましょう。

栗のゆで方

栗のおすすめの調理方法のひとつが、ゆで栗です。簡単に栗の味わいを楽しめるうえに、栄養成分表を見る限り栄養素の損失も多くありません。

ゆで栗を作る際は、水に1日浸けた栗をざるにあげて水を切りましょう。次に、鍋に栗が浸かるくらいの水を入れて、水に対して1%の塩を加えます。水1Lなら大さじ半分くらいが目安です。強火で50分ほどゆでます。途中で2~3回ほどかきまぜましょう。

ゆで終わった栗は、ゆで汁を捨てずにそのまま半日ほど置きます。塩の入った湯に浸けることで、塩味がしっかりとなじみます。半日たったらざるにあげて完成です。

ゆでた栗は、フライパンで炒ったり、冷凍したりすることで、皮がむきやすくなります。そのほかにも、包丁で半分に切ってから、小さめのスプーンですくって食べるのもおすすめです。

栗の皮のむき方

栗の皮をむく場合は、ゆで栗と同じ要領で栗を水に浸けたあと、火にかけてひと炊きさせてからざるに上げます。水に浸けて冷ましたら、鬼皮と実の間に包丁の刃を入れて丁寧に取り除きましょう。

栗の保存方法

栗の保存方法を解説します。

生栗を保存する方法

栗は傷みやすいので、生で購入した場合や、栗拾いなどで収穫したものは、なるべくその日のうちに加熱調理するのがおすすめです。

そのままの状態で保存したい場合は、ポリエチレン製の袋に入れて袋の口を縛らず、折るだけにします。その状態で冷蔵庫のチルド室に入れ、0度付近で保存しましょう。この状態で保存できるのは1週間程度です。

ゆで栗を保存する方法

ゆで栗を保存する場合は、ゆで終わった栗を皮をむかずにフリーザーバッグに重ならないように並べて入れて冷凍します。この状態で約3ヶ月保存可能です。

冷凍した栗は、冷凍庫から出してさらに広げて、常温で30分ほど置いて解凍します。解凍した栗は、包丁を使って皮をむいて、そのまま食べたり料理に使ったりすることができます。

参考文献

栄養と健康の6つの関係