いわしの栄養と効果効能・調理法・保存法

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いわしの旬や産地、主要な種類などの基本情報、いわしに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

いわしとは

いわし(鰯:sardine)とは、ニシン科またはカタクチイワシ科の青魚のこと。日本では、マイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシの3種類をいわしと呼びます。

成魚は全長10~30㎝ほどになり、体は細長く、青黒い背と白い腹が特徴です。

いわしは、群れを作って海面の近くを泳ぐ回遊魚です。日本各地の沿岸で捕れますが、特に漁獲量が多い産地は、千葉県・長崎県・三重県・茨城県などです。

日本人には古くから親しまれてきた魚で、刺身・塩焼き・フライ・煮付けなど調理方法も多様。缶詰や干物など、加工食品として流通することも多い魚です。稚魚は、しらすや煮干しとして利用されています。

いわしの旬は、産地や品種によって異なります。一般的には、マイワシは5月~10月、カタクチイワシは9月~1月、ウルメイワシは11月~2月が旬です。

特に、梅雨入りする6月ごろに関東地方で採れるマイワシは「入梅いわし」と呼ばれ、最も脂のりが良く美味しいとされています。

いわしの名前の由来は諸説あります。陸上ですぐに死んでしまう弱い魚であることから「よわし」と呼ばれ、これが語源だという説が有力です。漢字でも「鰯」と表記されます。

また、高貴な人の食べ物ではない卑しい魚であるという意味で「いやし」が「いわし」に変化したという説もあります。

いわしの品種・種類

一般的にいわしというと、マイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシの3種類のことをさすので、以下でそれぞれの特徴を説明します。

そのほか、オグロイワシ、カタボシイワシ、カリフォルニアマイワシ、シオサイイワシなどもいわしの仲間です。

マイワシ

マイワシは、ニシン科に分類されます。単にいわしと言うときはマイワシをさしていることが多く、いわし類のなかで最も漁獲量が多い代表的な種類です。

加工品として出回ることが多いほかのいわしと比較して、マイワシは鮮魚としてよく流通しています。

体の側面にいくつかの黒い斑点があるのが、ほかのいわし類と見分けるポイントです。沖縄以外の日本全国の沿岸部に生息しています。

カタクチイワシ

煮干し(イリコ)に主に使われるのが、カタクチイワシ科のカタクチイワシです。すぐに鮮度が落ちてしまうため、鮮魚として市場に出ることはほぼありません。

カタクチイワシの稚魚は、しらす干しやじゃことして親しまれています。アンチョビやオイルサーディンの材料にもなります。

漁獲量がマイワシに次いで多い魚です。マイワシなどほかのイワシと比べて、カタクチイワシは細く小柄な体をしています。

ウルメイワシ

ウルメイワシはニシン科の魚です。めざしや丸干しなど、主に干物にして食べられています。これは傷みが早いためですが、いわし類のなかでも脂身が少なく淡白で、干物に向いた魚だからというのも理由のひとつです。

潤んだような大きな目をしていることから、ウルメイワシの名が付きました。

いわし類として代表的な3種類のいわしのなかでは、最も日本での漁獲量が少ない品種です。九州地方など温暖な海で多く捕れます。

いわしに含まれる成分・栄養素

いわし100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位うるめいわし 生かたくちいわし 生まいわし 生めざし 生しらす 生たたみいわし
廃 棄 率%3545601500
エネルギー(kcal)kcal/100 g13619216925776372
エネルギー(kJ)kJ/100 g56980370610753191556
水 分g/100 g71.768.268.95981.810.7
たんぱく質g/100 g21.318.219.218.21575.1
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g1814.916-15.111.4-60
脂 質g/100 g4.812.19.218.91.35.6
トリアシルグリセロール当量g/100 g3.69.77.3110.84.5
飽和脂肪酸g/100 g1.393.792.554.330.281.53
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.942.651.863.050.091.41
多価不飽和脂肪酸g/100 g1.142.782.533.170.431.35
コレステロールmg/100 g607067100140710
炭水化物g/100 g0.30.30.20.50.10.7
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g
水溶性食物繊維g/100 g000000
不溶性食物繊維g/100 g000000
食物繊維総量g/100 g000000
灰 分g/100 g1.91.21.23.42.47.9
ナトリウムmg/100 g9585811100380850
カリウムmg/100 g440300270170340790
カルシウムmg/100 g856074180210970
マグネシウムmg/100 g3732303167190
リンmg/100 g2902402301903401400
mg/100 g2.30.92.12.60.42.6
亜鉛mg/100 g1.311.61.21.16.6
mg/100 g0.160.170.20.10.020.13
マンガンmg/100 g0.130.041.040.07
ヨウ素µg/100 g3824
セレンµg/100 g4048
クロムµg/100 g0Tr
モリブデンµg/100 g0Tr
レチノールµg/100 g13011877110410
α-カロテンµg/100 g000000
β-カロテンµg/100 g0000Tr0
β-クリプトキサンチンµg/100 g000000
β-カロテン当量µg/100 g0000Tr0
レチノール活性当量µg/100 g13011877110410
ビタミンDµg/100 g9432116.750
α-トコフェロールmg/100 g1.60.42.50.30.92.7
β-トコフェロールmg/100 g00000Tr
γ-トコフェロールmg/100 g000000.2
δ-トコフェロールmg/100 g00000Tr
ビタミンKµg/100 g0010Tr0
ビタミンB1mg/100 g0.080.030.030.010.020.15
ビタミンB2mg/100 g0.360.160.390.210.070.33
ナイアシンmg/100 g89.77.210.33.78.2
ビタミンB6mg/100 g0.550.580.490.370.170.27
ビタミンB12µg/100 g14.213.915.714.64.215.6
葉酸µg/100 g1619103456300
パントテン酸mg/100 g1.251.071.141.270.512.95
ビオチンµg/100 g18.315
ビタミンCmg/100 g110Tr50
食塩相当量g/100 g0.20.20.22.812.2
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g
重量変化率%
備考廃棄部位: 頭部、内臓、骨、ひれ等(三枚下ろし)別名: しこいわし、ひしこ、せぐろ廃棄部位: 頭部、内臓、骨、ひれ等(三枚下ろし)廃棄部位: 頭部、内臓、骨、ひれ等(三枚下ろし)原材料: かたくちいわし、まいわし等廃棄部位: 頭部、ひれ等かたくちいわし、まいわし等の幼魚原材料: かたくちいわし、まいわし等の幼魚ビタミンC: 酸化防止用として添加品あり
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

いわしの効果・効能

いわしに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

高血圧の改善・動脈硬化など血管障害の予防

いわしの脂肪分には、「EPA(エイコサペンタエン酸)」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」などの多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。

多価不飽和脂肪酸は、人間の体内で作り出せないため、食品などから摂取する必要がある必須脂肪酸の一つです。

EPAやDHAには、血管を拡張させて血液の流れをスムーズにする働きがあると言われています。血圧を下げ、動脈硬化・血栓など血管障害の予防効果のある栄養素です。

また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー反応を抑制する可能性が研究で示唆されており、薄毛・白髪など毛髪のトラブルに効果を期待する声も散見されます。

多くの効能を持つ不飽和脂肪酸は魚類に多く含まれているものですが、特にいわしやマグロに豊富です。

中性脂肪を低下させる

いわしに含まれるEPAは、中性脂肪を減らす働きが認められています。

中性脂肪は、体が活動するために必要なエネルギー源です。その一方で、体内に蓄積しすぎると肥満になり、高血圧や脂質異常症を引き起こす可能性があります。

1日あたり600mgのEPAを摂取すると、血中の中性脂肪値を約20%低下させるという研究結果も報告されています。

脳の活性化

「魚を食べると頭が良くなる」とよく言いますが、不飽和脂肪酸の一つであるDHAは、脳や神経組織の発育と機能を高めると言われています。

また、DHAには、脳機能の低下を抑制し、脳の発達障害・うつ病・アルツハイマー病などの発症や進行を遅らせる可能性があるとも考えられています。

DHAが多く含まれるいわしは、脳の発達を助け、活性化させる食材です。

骨を丈夫にする

カルシウムは、ミネラルの一種で、骨や歯を丈夫にしている成分です。骨の形成を促すカルシウムが足りなくなると、骨粗しょう症を発症するおそれがあります。

いわしには、健康な骨を作るカルシウムが多く含まれているうえ、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富です。

骨の健康が気になる方や成長期の子どもに、ぴったりの食材といえるでしょう。

いわしの食べ方

いわしの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

いわしの洗い方・下処理

いわしは、調理する前に頭と内臓を取り除く下処理をする必要があります。

まず、胸びれの付け根に包丁を入れ、頭を切り落とします。いわしの骨は、家庭用の包丁でも簡単に切れます。

次に、腹の部分を5㎝ほど切り落とし、手で内臓をかき出してください。臭みの原因となる血合いや内臓が残らないよう、水で腹の中までしっかりと洗い流します。

水で洗ったら、キッチンペーパーなどで水気をよくふき取ってください。うろこが付いていたら、包丁の背を使ってそぎ落しましょう。

いわしの手開きのやり方

いわしは、骨と身をはがしやすいので、手で開くことができます。手開きの方法を説明します。

下処理を終えてよく洗ったいわしを、腹を手前にして持ち、中骨の上に親指を入れ、尾の付け根まで、指を滑らせるようにして身を開きます。

うまく身が開いたら、尾のつけ根で中骨を折ってください。尾のほうから頭部に向かって、ゆっくりと丁寧に中骨を外していきます。骨がきれいに外せたら完成です。

いわしの調理方法

いわしは、生のままでも加熱調理しても食べることができます。

新鮮ないわしが手に入ったら、刺身やなめろう、寿司など生のまま食べるのがおすすめです。

初心者でも作りやすい簡単なメニューは、いわしの煮付けです。下処理したいわしを、酒・しょうゆ・みりんなどの調味料で20~30分ほど煮るだけで、味の染みこんだ煮付けが完成します。梅や生姜を入れても良いです。

いわしは、焼いても美味しく食べられます。魚の生臭さが苦手な方には、食べやすい蒲焼がおすすめです。

いわしの蒲焼は、開いたいわしに片栗粉をまぶしてフライパンで焼き、酒・しょうゆ・みりん・砂糖の合わせ調味料を絡めれば完成します。

いわしを調理する際の注意点

いわしに豊富なDHA・EPAは、光や空気に触れると酸化しやすい成分です。これらが酸化すると体に有害な物質に変化してしまうこともあるので、注意してください。

成分の酸化を防ぐため、いわしが新鮮なうちに素早く調理するように心掛けましょう。

また、いわしは小骨が多い魚です。骨が気になる場合は、下処理のときに丁寧に小骨を取り除くようにしてください。

加熱調理する際は、圧力鍋を使うと骨まで食べられるほど柔らかく煮込むことができ、小骨の引っかかりが気にならなくなります。

いわしの缶詰(蒲焼・味噌煮など)なら栄養を余さず取れる

いわしにはさまざまな加工食品がありますが、なかでも人気なのがいわしの缶詰。蒲焼・味噌煮・水煮・オイルサーディンなど種類も豊富です。

缶詰は長期保存ができ、手軽に食べられるのが魅力ですが、栄養価の高さも注目すべきポイント。

DHAやEPAなどの栄養素は、いわしの脂肪分に含まれています。焼き魚などに調理するとある程度の脂が落ちるのは避けられませんが、缶詰を汁ごと食べれば栄養素を取りこぼしません

また、いわしやサバなど魚の缶詰は、骨も食べられるよう柔らかく調理されています。カルシウムが豊富な骨ごと食べられるので、効率的に栄養を摂取したい方におすすめです。

いわしの保存方法

いわしの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

生のいわしは、冷蔵庫・冷凍庫で保存しましょう。加工食品も、冷蔵または直射日光の当たらない涼しい場所で保管してください。

いわしは特に傷みが早い魚です。残った血や内臓から腐敗が始まるので、新鮮ないわしを入手したら、なるべく早く内臓を取り除く下処理をして、冷蔵庫にしまうようにしましょう。

素早く下処理をしておけば、冷蔵庫で2~3日は保存しておけます。

冷凍する場合も同じく、内臓を取り除いてから、密閉容器にいれて冷凍するようにしましょう。