牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法

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牛乳

牛乳の原産地や主要な種類などの基本情報、よく似た食品との違い、牛乳に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

牛乳とは

牛乳(milk)は牛の乳のことを指しますが、牛から絞った段階の乳は生乳(せいにゅう)と呼ばれ、市販されている牛乳とは異なるものです。

生乳は殺菌処理がされていないもので、ヨーグルトやバターなどあらゆる乳製品の原料となります。生乳に清浄化や加熱殺菌など処理が加えたものが、一般的に飲用される牛乳です。

牛乳と豆乳の違い

牛乳とよく似た食品に豆乳があります。牛乳の代替品としてもよく用いられますが、豆乳の主原料は大豆で、タンパク質やイソフラボンが多く含まれているのが特徴です。

カルシウム量などは牛乳の方が豊富なため、牛乳をすべて豆乳に置き換えるのではなく、それぞれの特徴を知って必要な量を摂取すると良いでしょう。

またカロリーの面では、牛乳は脂質が豊富な分カロリーも高い傾向にあります。しかし現在は低脂肪牛乳など乳脂肪分を減らした製品も豊富にあり、豆乳とそこまでカロリーが変わらないものも多くあります。

ダイエットなどで、カルシウム量を確保しつつカロリーを控えたい場合には、乳脂肪分の少ない牛乳を選ぶと良いでしょう。

牛乳の種類や分類

一般的に牛乳と呼ばれる製品には、さまざまな種類があります。「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により、原材料や成分規格ごと7種類に大別されます。

牛乳

牛乳(Whole milk)の原材料は生乳のみです。脂肪分を細かくして均一化する処理(ホモゲナイズ)がおこなわれた後に、殺菌加工されています。「成分無調整牛乳」とも表記され、スーパーで多く取り扱われているのがこのタイプです。

水などの原料や成分の調整は禁止されており、乳脂肪分は3.0%以上、無脂乳固形分が8.0%以上含まれているものを指します。

特別牛乳

特別牛乳(certified milk)は、牛乳と同じく成分無調整で生乳のみを原料としています。特別牛乳さく取処理業の許可を受けた施設でのみ製造され、牛乳よりも成分濃度が高いのが特徴です。乳脂肪分は3.3%以上、無脂乳固形分が8.5%以上含まれています。

すぐれた飼育環境によって生乳の細菌数が少ないため、加熱処理を行わずに販売することが可能です。特別牛乳の中でも、まったく熱殺菌処理をおこなわないものは無殺菌牛乳と呼ばれます。

成分調整牛乳

成分調整牛乳は、牛乳や特別牛乳と同じく生乳を100%使用していますが、成分調整が施されている牛乳です。具体的には、水や乳脂肪分、ミネラルなどが一部除去されています。

成分規格として無脂乳固形分は8.0%以上が必要ですが、乳脂肪分の規定はありません。

低脂肪牛乳

低脂肪牛乳(Low fat milk)は、乳脂肪分のみを一部取り除いた牛乳です。成分規格では無脂乳固形分は8.0%以上、乳脂肪分は0.5%以上1.5%以下の牛乳が該当します。原材料は生乳100%です。

無脂肪牛乳

無脂肪牛乳(Non fat milk/Skim milk)は、低脂肪牛乳よりさらに乳脂肪分が少ない牛乳です。成分規格では、無脂乳固形分は8.0%以上、乳脂肪分は0.5%未満になります。

後述しますが、加工乳の仲間である無脂肪乳とは異なりますので間違えないようにしましょう。

加工乳

加工乳(processed milk)は生乳以外に、脱脂粉乳やバターを加え成分を調整しています。加えることができる原料は水と、11種類の乳製品のみです。

つまり、先ほど紹介した無脂肪牛乳は生乳100%で、加工乳に分類される無脂肪乳はほかの原料が混ざっている点が違います。

加工乳はほかに、クリームや濃縮乳を加えた濃厚なタイプや、脱脂粉乳を加え脂肪分を減らした低脂肪の製品が主流です。

乳飲料

乳飲料は生乳や乳製品をメインに、異なる原料を加えた製品です。カルシウムやミネラル、鉄、ビタミンのほか、コーヒーや果汁など乳製品以外のものが加えられます。

乳飲料は見た目で2種類に大別されますが、1つは白物乳飲料です。カルシウム・オリゴ糖・鉄など、本来生乳に含まれない栄養素を加えた見た目の白い飲料が該当します。2つ目は色物乳飲料。コーヒー牛乳やいちご牛乳が代表的です。

牛乳に含まれる成分・栄養素

牛乳100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

牛乳には、100gあたり110mgのカルシウムが含まれています。カルシウムはミネラルの一種で、骨と歯を形成する大事な栄養素です。カルシウムだけでなく、同じく骨の形成を助けるリンも多く含まれています。

さらに牛乳はカルシウム以外にも栄養成分をたっぷり含んでおり、準完全栄養食品と呼ばれるほど栄養価が高い食品です。ミネラル以外にもビタミン、炭水化物、タンパク質、脂質がバランスよく配合されています。

牛乳が含有するタンパク質には必須アミノ酸8種類が含まれており、このことからも良質なタンパク質が含まれているのがわかるでしょう。

乳牛の品種や加工方法による牛乳の栄養価の違い

牛乳の栄養価は、品種や加工方法によっても異なります。

例えば、日本に多いホルスタイン種とイギリス・ジャージー島原産のジャージー種では、ジャージー種の方が濃厚でコクがあり、カロリーも高い傾向にあります。

これは、水分量の低さや脂質、タンパク質の豊富さに起因するものです。その他に、カルシウムやビタミンの含有量でも上回っています。

そのほかにも、脱脂乳は牛乳から乳脂肪分を取り除いた加工乳であり、脂質の含有量が少ないことが見て取れます。

食品名単位普通牛乳生乳、ジャージー種生乳、ホルスタイン種脱脂乳加工乳、濃厚加工乳、低脂肪
エネルギー(kcal)kcal/100 g678266347446
エネルギー(kJ)kJ/100 g280345276141308192
水 分g/100 g87.485.587.79186.388.8
タンパク質g/100 g3.33.93.23.43.43.8
アミノ酸組成によるタンパク質g/100 g2.93.42.7333.3
脂 質g/100 g3.85.23.70.14.21
トリアシルグリセロール当量g/100 g3.553.80.14.21
飽和脂肪酸g/100 g2.333.462.360.052.750.67
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.871.111.060.021.140.23
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.120.180.15Tr0.140.03
コレステロールmg/100 g1217123166
炭水化物g/100 g4.84.74.74.85.35.5
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g4.74.74.74.855.1
低分子量水溶性食物繊維g/100 g
高分子量水溶性食物繊維g/100 g000000
不溶性食物繊維g/100 g000000
食物繊維総量g/100 g000000
灰 分g/100 g0.70.70.70.80.80.9
ナトリウムmg/100 g415840515560
カリウムmg/100 g150140140150170190
カルシウムmg/100 g110140110100110130
マグネシウムmg/100 g101310101314
リンmg/100 g93110919710090
mg/100 g0.020.1Tr0.10.10.1
亜鉛mg/100 g0.40.40.40.40.40.4
mg/100 g0.010.01Tr0.01Tr0.01
マンガンmg/100 gTr0Tr000.01
ヨウ素µg/100 g162214252419
セレンµg/100 g343333
クロムµg/100 g000000
モリブデンµg/100 g454344
レチノールµg/100 g385137Tr3413
α-カロテンµg/100 g0Tr0000
β-カロテンµg/100 g6268Tr143
β-クリプトキサンチンµg/100 g0Tr0000
β-カロテン当量µg/100 g6278Tr143
レチノール活性当量µg/100 g385338Tr3513
ビタミンDµg/100 g0.30.1TrTrTrTr
α-トコフェロールmg/100 g0.10.10.1Tr0.1Tr
β-トコフェロールmg/100 g0000TrTr
γ-トコフェロールmg/100 g0Tr00TrTr
δ-トコフェロールmg/100 g0000TrTr
ビタミンKµg/100 g211Tr1Tr
ビタミンB1mg/100 g0.040.020.040.040.030.04
ビタミンB2mg/100 g0.150.210.150.150.170.18
ナイアシンmg/100 g0.10.10.10.10.10.1
ナイアシン当量mg/100 g0.910.80.90.91
ビタミンB6mg/100 g0.030.030.030.040.050.04
ビタミンB12µg/100 g0.30.40.30.60.40.4
葉酸µg/100 g535TrTrTr
パントテン酸mg/100 g0.550.250.530.60.520.52
ビオチンµg/100 g1.82.12.43.13.52
ビタミンCmg/100 g1112TrTr
食塩相当量g/100 g0.10.10.10.10.10.2
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g0.20.20.10.20.20.2
重量変化率%
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

牛乳の効果・効能

牛乳に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

骨の強化にカルシウムなどのミネラル類

牛乳のカルシウム含有量は全食品のなかでもトップクラスです。成分表の通り、普通の牛乳でも100gあたり110mgのカルシウムが含まれています。

同じミネラル類のリンもカルシウムと結合し、リン酸カルシウムとして骨の形成をサポートします。

カルシウムに対しリンの割合が高すぎるとカルシウムの吸収が阻害される恐れがありますが、牛乳は2つの栄養素をバランス良く含んでいるため、カルシウムの吸収が阻害される心配はありません。

カルシウムの吸収を高めるカゼインホスホペプチド

牛乳のタンパク質に多く含まれるカゼインは、酵素分解の過程でカゼインホスホペプチドを生み出します。

カゼインホスホペプチドの主な作用は、カルシウムの吸収効率アップです。ラットを用いた研究では、カゼインホスホペプチドを含んだエサを食べた個体のカルシウム吸収率が増加したという結果が出ました。

カルシウム含有量が豊富なことに加え、カルシウムの効率的な吸収を促すカゼインホスホペプチドを含む牛乳は、骨を強くするための理想的な食品と言えるでしょう。

体内で生成できない必須アミノ酸リジン

食物から摂取したタンパク質は、体内でアミノ酸に分解されたのちに、新たに合成され内臓や筋肉を構築するタンパク質となります。体内でタンパク質を合成するには20種類のアミノ酸が必要ですが、食生活で不足しがちなのがリジンです。

リジンは必須アミノ酸の1種で、体内で作ることができません。魚のアジなどに多く含まれますが、毎日摂取するには牛乳が理想的でしょう。牛乳のタンパク質にはほかにも多くのアミノ酸が含まれるので、健康維持に役立ちます。

子どもの成長に重要なビタミン

牛乳には、水に溶けない脂溶性ビタミンと、水に溶ける水溶性ビタミンがバランス良く含まれています。脂溶性ビタミンとしてはビタミンAやビタミンK、水溶性ビタミンはビタミンCやパントテン酸が配合されていますが、注目したいのはビタミンB2です。

ビタミンB2は水溶性ビタミンの1種で、エネルギーの代謝などに関わっており、欠乏すると成長抑制を引き起こします。子どもの成長には欠かせないうえに、水溶性ビタミンは体内にとどまりにくい栄養素なので毎日の摂取を心がけましょう。

ビタミンの吸収をサポートする脂質

牛乳に含まれる脂質は「乳脂肪」と呼ばれる成分です。乳脂肪は製造過程で体に吸収されやすい状態になるため、内臓への負担を抑えて栄養補給できます。また、脂溶性ビタミンの吸収を助ける栄養素としても有名です。

脂質の多い食品と野菜を合わせて摂取したところ、ビタミンEとカロテノイドの吸収が促進されたという研究結果もあります。

乳糖がもたらす整腸作用

牛乳には炭水化物も含まれていますが、ほとんどが乳糖と呼ばれる糖質です。

乳糖は体内のエネルギー源になるほか、腸でビフィズス菌のエサになり多くの酸を産生します。良好な腸内環境は酸性に傾いているので、乳糖は腸の動きを活発化する手助けをしているというわけです。

また、カルシウムや鉄などのミネラルの吸収を促進する作用も期待されています。

牛乳の食べ方

牛乳の栄養素を損なわない調理方法・食べ方などを解説します。

牛乳の調理方法や食べ方

牛乳はそのまま飲むだけでなく、いろいろな調理に使うことができます。

加熱する場合はスープやシチューのほか、生クリームの代用としてグラタンなどのクリームソースに活用するのもよいでしょう。また、洋食だけでなく和食にも合います。レバーや魚などを牛乳に漬ければ臭み消しにも活用可能です。

牛乳プリンなどのデザート、ホットケーキの材料としても利用されます。冷やしたまま使う場合はスムージーなどに使ってみましょう。

牛乳を調理する際の注意点

カルシウム単体では吸収効率がよくないため、合わせる食材を工夫してみましょう。

ほうれん草に含まれるシュウ酸や、豆類に多いフィチン酸はカルシウムの吸収を阻害する性質がありますので注意してください。また、加工食品などに多いリンも、過剰摂取するとカルシウムが体外へ排出されやすくなります。

ビタミンDやクエン酸はカルシウムの吸収をサポートしてくれるので、魚やきのこ、梅干し、柑橘類などと合わせるのが得策です。

牛乳を食べる際の注意点

牛乳を飲みすぎると、お腹を下しやすくなります。冷たい牛乳は腸を過剰に刺激してしまうので、温めてから飲むのがおすすめです。

また、摂取量にかかわらず下痢や腹痛などの症状が出やすい人は、乳糖不耐症の可能性があります。乳糖不耐症は、牛乳の乳糖を分解するラクターゼという酵素が欠乏するため起きる症状です。

乳糖の一部を酵素で分解した乳糖分解タイプの牛乳もありますので、検討してみてください。

牛乳の保存方法

牛乳の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存

牛乳は賞味期限内であれば冷蔵庫で保存が可能ですが、開封後はどうしても鮮度と風味が落ちやすくなるため、なるべく2~3日以内に使い切るようにしましょう。

また、牛乳は匂いが移りやすいので、口をクリップなどでしっかり留めてふさぐのがおすすめ。細菌が入り込むのを防ぐ意味でも重要です。

冷凍保存

飲み切るのが難しい場合は冷凍保存がベストでしょう。製氷皿などに流しこんで冷凍すれば、1ヶ月程度は保存が可能です。冷凍した牛乳は飲用として使うには適さないので、シチューやスープなどに活用してください。

参考文献