野沢菜の栄養と効果効能・調理法・保存法

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野沢菜の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、野沢菜に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

野沢菜とは

野沢菜は、アブラナ科アブラナ属の漬菜の一種です。長野県の野沢温泉村をはじめとした信越地方で広く栽培されていることから、信州菜(しんしゅうな)と呼ばれることもあります。

野沢菜は、日本三大漬け物のひとつである「野沢菜漬け」の材料として主に栽培されています。野沢菜漬けは、長野県の郷土料理であるおやきの具としたり、刻んで茶漬けのトッピングにしたり、納豆と混ぜ合わせたりすることもできます。

漬け物に使われるのは、野沢菜の葉と茎です。葉と茎が収穫され、残った根から翌春に伸びた葉は「とうたち菜」として食べられています。また、若い野沢菜のカブ状の根は柔らかく、そのまま食べることもできます。

野沢菜の発祥は、1756年に野沢温泉村にある健命寺の住職が、京都から天王寺蕪の種子を持ち帰って栽培し始めたことと考えられてきました。関西地方より冷涼な気候のためか、突然変異でカブが大きくならず葉が大きくなり、これを漬菜として利用するようになったと言われています。

ただし、近年の研究では、野沢菜の祖先は天王寺蕪ではなく、シベリア経由で入ってきた西洋系のアブラナ科野菜の一種と見られています。

主産地である長野県では、10月下旬~11月下旬ごろに野沢菜の収穫が始まります。11月~2月が旬の冬野菜です。

野沢菜とその他の葉物野菜の違い

野沢菜と同じく、葉を食べる野菜であるほうれん草や小松菜との違いを説明します。

まず、ほうれん草はヒユ科であり、アブラナ科の野沢菜や小松菜とは系統が異なります。ほうれん草と野沢菜・小松菜の見た目はよく似ていますが、ほうれん草は茎の根元部分が赤みを帯びていることで見分けられます。

生の葉に含まれる栄養素を比較すると、カルシウムや鉄が最も多いのは小松菜で、β-カロテンやカリウムが豊富なのはほうれん草です。

野沢菜は、3種類のなかで最も多くのビタミンCを含んでいます。一方で、鉄の含有量は少なく、小松菜の3分の1程度しか含まれていません。アンチエイジングや美容にも効果的なビタミンCを効率よく摂りたいときは、野沢菜がおすすめです。

ほうれん草の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

小松菜の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

野沢菜の本漬けと新漬けの違い

野沢菜漬けは、漬け込み方によって本漬けと新漬けの2種類に分けられます。

本漬け

本漬けの野沢菜は、1ヶ月~2ヶ月程度じっくりと漬け込んだもので、アメ色をしています。酸味が強く芳醇な味わいが特徴。発酵熟成が進んでいるため、乳酸菌を多く摂りたいときにもおすすめです。

新漬け

新漬けは、1週間~2週間程度漬けた浅漬けタイプの野沢菜漬けです。本漬けと比べて青々とした緑色をしていて、シャキシャキした茎の食感と程よい酸味を楽しめます。

野沢菜に含まれる成分・栄養素

野沢菜100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食 品 名単位のざわな 葉 生のざわな 漬物 塩漬のざわな 漬物 調味漬
廃 棄 率%353
エネルギーkJ607093
kcal141722
水 分g9491.889.5
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g-0.8-1
たんぱく質g0.91.21.7
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g-0.1-0.1
コレステロールmg000
脂質g0.10.10
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g
g
利用可能炭水化物(質量計)g
差引き法による利用可能炭水化物g1.71.82.3
***
食物繊維総量g22.53.1
糖アルコールg
炭水化物g3.54.15.4
有機酸g
灰分g1.12.43.2
無機質ナトリウムmg24610960
カリウムmg390300360
カルシウムmg13013094
マグネシウムmg192121
リンmg403936
mg0.60.40.7
亜鉛mg0.30.30.3
mg0.050.050.08
マンガンmg0.230.130.15
ヨウ素μg1
セレンμg1
クロムμg2
モリブデンμg10
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg000
α|カロテンμg000
β|カロテンμg120016002400
β|クリプトキサンチンμg000
β|カロテン当量μg120016002400
レチノール活性当量μg100130200
ビタミンDμg000
α-トコフェロールmg0.50.71.3
β-トコフェロールmgTrTr0
γ-トコフェロールmg000
δ-トコフェロールmg000
ビタミンKμg100110200
ビタミンB1mg0.060.050.03
ビタミンB2mg0.10.110.11
ナイアシンmg0.70.50.5
ナイアシン当量mg-1-0.90.8
ビタミンB6mg0.110.060.08
ビタミンB12μg000
葉 酸μg1106435
パントテン酸mg0.170.130.17
ビ オ チ ンμg1.4
ビタミンCmg412726
アルコールg
食塩相当量g0.11.52.4
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

野沢菜の効果・効能

野沢菜に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

免疫力をアップしてアレルギーや感染症を予防

野沢菜の葉と茎から抽出した成分に、免疫を活発にする作用があることが、マウスを使った実験で発見されました。

免疫は、アレルギーや感染症の原因となる菌やウイルスから体を守る大切な機能です。野沢菜にはビタミンCなど免疫力向上に効果的とされる栄養素も豊富で、風邪などが流行する季節に積極的に食べておきたい野菜と言えます。

ビタミンCは漬け物からも多く摂れる

野沢菜のビタミンC含有量は、葉物野菜の中でもトップクラスの高さです。ビタミンCには、老化やがんの原因となる活性酸素を取り除く抗酸化作用や、鉄の吸収を助ける作用などがあります。シミ・しわなどの肌悩みにも有効な美容成分でもあります。

生の野沢菜100gあたり41mg、野沢菜漬け(塩漬け)100gあたり27mgのビタミンCが含まれています。水溶性のビタミンCは、水に溶けやすく調理の過程で失われがちな栄養素ですが、野沢菜漬けからも多くのビタミンCを摂取できます。

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

皮膚・粘膜の健康維持などビタミンAとしての機能も果たすβ-カロテン

β-カロテンは、植物に含まれるカロテノイド色素の一種で、強力な抗酸化作用を持つ栄養素です。細胞を傷つけて老化や生活習慣病、がんを引き起こす活性酸素から体を守ります。

β-カロテンは、体にとって必要な量だけビタミンAに変換されるプロビタミンAでもあります。ビタミンAの持つ皮膚・粘膜や眼の健康維持作用や、免疫機能の制御といった効果も期待できます。

特に緑黄色野菜に多く含まれる栄養素ですが、野沢菜にも豊富で、生の葉100gには1200μgのβ-カロテンが含まれています。

β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

便秘解消に効果的な食物繊維

野沢菜には食物繊維が多く含まれています。野菜類やきのこ類に豊富な食物繊維は、人間の消化酵素では消化できない成分で、腸内環境を整えたり、腸のぜん動運動を促進して便通を改善する効果があります。

また、脂質・糖・塩分などを吸着して便として排出するのを助ける働きもあり、肥満や高血圧といった生活習慣病予防にも役立つ栄養素です。

野沢菜は、小松菜やチンゲン菜よりも多くの食物繊維を含んでいます。現代人にとって不足しがちな食物繊維を効率的に補うのに役立つ葉物野菜と言えるでしょう。

食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA

野沢菜漬けには腸内環境を整える乳酸菌が豊富

野沢菜漬けの漬け汁1mlあたりに100個以上の生きた乳酸菌が含まれていることが、松本大学の研究によって証明されています。

松本大学の発表では、漬け汁に含まれる乳酸菌は、野沢菜を漬ける方法やレシピに関わらず発見されたことから、長期保存される発酵漬け物の野沢菜漬けに特徴的なものであると結論づけられています。

乳酸菌は、発酵によって乳酸を作り出す微生物の総称で、漬け物などの発酵食品に多く含まれています。腸内フローラを整えてお腹の調子を良くする効果があるため、便秘や下痢に悩んでいる方にとってはぜひ摂取しておきたい栄養素です。

乳酸菌の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

野沢菜の食べ方

野沢菜の栄養素を損なわない調理方法・食べ方・漬け方などを解説します。

β-カロテンを多く摂るには野沢菜を油と調理する

野沢菜に豊富なβ-カロテンは、油に溶けやすい性質を持っています。そのため、β-カロテンを効率よく摂取したいときは、野沢菜を油炒めにしたり、肉や魚など脂質の多い食材と調理したりするのがおすすめです。

β-カロテンは、野沢菜漬けにも多く含まれています。野沢菜漬けは、和風パスタの具材としても使えるので、オリーブオイルと調理してβ-カロテンの吸収率をアップしましょう。

野沢菜の漬け方・作り方

野沢菜漬けは、シャキシャキとした茎の食感を楽しむ漬け物です。野沢菜を漬け物にしたいときは、茎にツヤとハリがある新鮮なものを選びましょう。

野沢菜漬けは、野沢菜の重量の3~3.5%の塩を使って桶で漬け込みます。好みでとうがらしや昆布などを添加しても良いでしょう。

水が上がってきたら重石を軽くしてください。漬かり具合を見ながら、2週間~3週間漬け込みます。適度に乳酸発酵が進み、少し酸味が感じられるようになった頃が食べ頃です。

野沢菜漬けは洗わないで食べる

野沢菜の漬け汁には乳酸菌などの栄養素が多く含まれています。栄養素やうまみ成分を損なわないためには、野沢菜を洗わずに食べるのがおすすめです。

自分で漬けた野沢菜も市販の野沢菜漬けも、基本的には洗わなくて大丈夫です。桶やパックから取り出した野沢菜漬けは、汁を絞って食べやすい大きさにカットして食卓に並べましょう。

野沢菜の保存方法

野沢菜の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

生の野沢菜の保存方法

生の野沢菜は、冷蔵庫の野菜室で保存するのがベストです。

ただし、漬け物用の野沢菜は、サイズが大きく家庭用冷蔵庫に入らない場合があります。大きな野沢菜は、乾燥を防ぐために濡れた新聞紙などに包んで、室内の涼しい場所に置いておくと良いでしょう。

冷蔵庫または冷暗所で保存している生の野沢菜は、数日のうちに使い切るか、塩で漬け込んでください。

野沢菜漬けの冷蔵保存方法

市販の野沢菜漬けは、10℃以下で冷蔵保存します。賞味期限は商品によって異なりますが、多くが10日~20日程度に設定されています。

家庭で漬けた野沢菜漬けの賞味期限は、2週間程度が目安です。野沢菜漬けは、長く保存するほど発酵が進み、酸味が強く感じられるようになります。

野沢菜漬けの冷凍保存方法

野沢菜漬けを長期間保存する場合、冷凍することもできます。ただし、水分の多い浅漬けの野沢菜だと解凍後に食感が損なわれる恐れがあるため、冷凍するならしっかりと浸け込まれた本漬けの野沢菜漬けがおすすめです。

浅漬けの野沢菜を冷凍した場合、半解凍の状態で食べるとシャキシャキとした食感を楽しむことができます。

参考文献