アーモンドの栄養と効果効能・調理法・保存法

3416views

アーモンド

アーモンドの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、アーモンドに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

アーモンドとは

アーモンド(almond)は、バラ科サクラ属の落葉高木です。アーモンドの花はピンク色でかわいらしく、桜の花によく似ています。

可食部は、種の中に入っている「仁(じん)」と呼ばれる部分です。ビタミンEや食物繊維、オレイン酸、ミネラルなど豊富な栄養素を含んでおり、美容と健康の向上に効果的とされています。

原産地はアジア製南部とされており、古くから貴重な食物でした。ローマ時代に地中海沿岸に伝わり、ヨーロッパではお菓子の材料として広まっていきました。

日本へは1950年代に伝わり、本格的な輸入がスタート。国内の市場に出回るアーモンドのほとんどは、世界最大の生産地を持つアメリカから輸入しています。

アメリカ産のアーモンドの旬は8月中旬〜10月、小豆島などの国内産の旬は梅雨の時期です。

アーモンドの品種・種類

アーモンドは細かく分けると100種以上ありますが、大きく分けて「スイートアーモンド」と「ビターアーモンド」の2つに分類されます。

スイートアーモンド

食用として栽培されているのがスイートアーモンドです。主に、アメリカのカリフォルニアで生産されています。

ノンパレル

ノンパレルは、スイートアーモンドの代表的な品種のひとつです。

ノンパレルには、「比類ない」という意味があります。偏平な形で粒が揃っており、傷や割れが少ない人気の品種です。

ビュート

ビュートもスイートアーモンドの一種。小粒で丸い形をしているアーモンドで、小粒チョコレートに使われることの多い品種です。

モントレー

モントレーは、細長く大粒のスイートアーモンドです。

粒が揃っていないことが多いため、主に刻みやペーストなど加工品に用いられます。風味が強いのが特徴です。

ビターアーモンド

ビターアーモンドは野生種に近く、スイートアーモンドと異なり食用としてではなく、アーモンドの成分を利用した薬やオイル、化粧品などの原料として使用されます。

主に企業間で取引されるため、一般消費者がビターアーモンドを目にする機会は滅多にありません。

アーモンドに含まれる成分・栄養素

アーモンド100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位アーモンド 乾アーモンド フライ 味付けアーモンド いり 無塩アーモンドチョコレート
廃 棄 率%0000
エネルギー(kcal)kcal/100 g587606608583
エネルギー(kJ)kJ/100 g2454253625422439
水 分g/100 g4.71.81.82
たんぱく質g/100 g19.619.220.311.4
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g18.3-18-19-10.3
脂 質g/100 g51.853.654.140.4
トリアシルグリセロール当量g/100 g51.9-53.7-54.2-39.6
飽和脂肪酸g/100 g3.95-4.09-4.13-14.19
一価不飽和脂肪酸g/100 g33.61-34.77-35.09-18.68
多価不飽和脂肪酸g/100 g12.12-12.54-12.65-5.02
コレステロールmg/100 g-0--
炭水化物g/100 g20.922.320.743.3
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g5.5-5.5-5.9-40.1
水溶性食物繊維g/100 g0.80.61.10.9
不溶性食物繊維g/100 g9.311.3105.2
食物繊維総量g/100 g10.111.9116.1
灰 分g/100 g33.13.12.2
ナトリウムmg/100 g1130Tr41
カリウムmg/100 g760740740550
カルシウムmg/100 g250210260240
マグネシウムmg/100 g290270310150
リンmg/100 g460480480320
mg/100 g3.62.93.72.8
亜鉛mg/100 g3.64.43.72.3
mg/100 g1.171.111.190.77
マンガンmg/100 g2.45-2.461.14
ヨウ素µg/100 g-Tr--
セレンµg/100 g-1--
クロムµg/100 g-9--
モリブデンµg/100 g-29--
レチノールµg/100 g00041
α-カロテンµg/100 g0-03
β-カロテンµg/100 g10-726
β-クリプトキサンチンµg/100 g3-21
β-カロテン当量µg/100 g118928
レチノール活性当量µg/100 g11143
ビタミンDµg/100 g0000.6
α-トコフェロールmg/100 g30.329.428.811.3
β-トコフェロールmg/100 g0.30.30.30.1
γ-トコフェロールmg/100 g0.80.70.74.5
δ-トコフェロールmg/100 g0000.3
ビタミンKµg/100 g0Tr04
ビタミンB1mg/100 g0.20.080.030.19
ビタミンB2mg/100 g1.061.111.040.64
ナイアシンmg/100 g3.63.53.92.1
ビタミンB6mg/100 g0.090.080.080.1
ビタミンB12µg/100 g000-
葉酸µg/100 g65464835
パントテン酸mg/100 g0.490.60.261.18
ビオチンµg/100 g-61.6--
ビタミンCmg/100 g0000
食塩相当量g/100 g00.300.1
アルコールg/100 g----
硝酸イオンg/100 g----
テオブロミンg/100 g---0.1
カフェインg/100 g---0
タンニンg/100 g----
ポリフェノールg/100 g---0.5
酢酸g/100 g----
調理油g/100 g----
有機酸g/100 g----
重量変化率%--96-
備考部分割合: チョコレート 27、アーモンド 15
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

アーモンドの効果・効能

アーモンドに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

不飽和脂肪酸(オレイン酸):コレステロール値を下げる

アーモンド全体の栄養素の約50%は脂質であり、その多くの割合をオレイン酸とリノール酸が占めています。

オレイン酸やリノール酸は不飽和脂肪酸に分類される脂質で、特にオレイン酸はコレステロール値を下げる、動脈硬化や心疾患を予防する、腸の働きを活発にして便秘を解消する、などの効果があります。

脂質はエネルギーとして利用される成分のため、人体にとって一定量の摂取が必須である一方で、現代の社会人は飽和脂肪酸の割合が多すぎることが懸念されています。

不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸に比べて不安定な組成をしているため、体に蓄積しづらい特徴を持っています。

ビタミンE:アンチエイジング効果・生活習慣病の予防

アーモンドに多く含まれるビタミンEは、強い抗酸化力があり、アンチエイジング効果が期待できます。

抗酸化作用は、体を酸化させる活性酸素の発生や活動を抑制する働きのこと。活性酸素は、ストレスや喫煙、空気や熱などの刺激によって発生し、大量に発生すると動脈硬化、がん、細胞の老化、免疫力の低下といったさまざまなトラブルの原因になります。

ビタミンEにはほかにも、血行を促進して冷えや頭痛、生理痛をやわらげたり、ホルモンバランスや自律神経を安定させたり、ニキビのもととなる炎症を起こしにくくしたりする、など健康・美容面で嬉しい効果を持っています。

ビタミンB2:健全な発育に欠かせない

ビタミンB2は、成長期や妊娠中に不足すると成長障害を引き起こすことから、「発育のビタミン」「成長のビタミン」とも呼ばれる、健康な体づくりに欠かせない栄養素です。

ビタミンB2を摂取することで、皮膚・毛髪・爪・粘膜の発育を促す、口内炎や肌荒れ、ニキビなどを予防する、細胞の再生を助ける、糖質や脂質を消費する、といった美容・ダイエット効果が期待できます。

ミネラル:体の機能の維持・調整をする

アーモンドには、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルが豊富に含まれています。

カルシウムは健康な骨や歯の形成や骨粗鬆症などの予防、カリウムは体内になる余計な水分(ナトリウム)を排出してむくみを予防する、マグネシウムは血糖値を安定させる、鉄は貧血を改善する、といった効果があります。

アーモンドの食べ方

アーモンドの栄養素を損なわない食べ方を解説します。

アーモンドのおすすめ調理方法

アーモンドは硬い食感があり、人によっては食べにくさを感じることもあります。

食べやすくしたい場合は、細かく砕いてサラダやヨーグルトにかける、ペースト状にして味噌や醤油に混ぜる、アーモンドミルクにするといった方法がおすすめです。

アーモンドを食べるタイミング

アーモンドには、体の機能を維持するのに必要なミネラルが豊富に含まれています。

特に鉄やカルシウム、亜鉛は筋肉を増やすのに欠かせない栄養素です。運動や筋トレの効果を上げ、これらを効率的に摂取するためには、トレーニング後30分以内に食べるようしましょう。

アーモンドを食べる際の注意点

アーモンドの半分は脂質でできているため、カロリーの高い食べ物といえます。多量に食べると脂質が脂肪として蓄積してしまう可能性があるので、摂取量には注意が必要です。

また、アーモンドには食物繊維が豊富に含まれているため、食べ過ぎるとお腹をこわして腹痛になる恐れがあります。

アーモンドの1日あたりの摂取量は、成人男性でおよそ22粒、成人女性で20粒を目安としてください。

アーモンドの保存方法

アーモンドの風味や栄養素を損なわない保存方法を解説します。

アーモンドは開封後、空気に触れていくうちに酸化してしまい、風味が損なわれてしまいます。

また、空気中の湿気は歯ごたえを悪くさせる要因になるため、開封後は密閉容器に移し、冷暗所で保存するようにしましょう。できる限り早く食べきることが理想で、保存期間は約3ヶ月です。

長期保存したい場合は、冷凍保存をします。小さめの冷凍用保存袋に小分けにして入れ、冷凍庫に入れましょう。他の食材の匂い移りが心配であれば、保存袋を二重にするか、密閉容器に入れておく方法もあります。

LINE公式アカウントを追加
LINEお友達追加