ストレス解消に効果的な食べ物・飲み物

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ストレスの概要やストレスが発生する原因について解説したうえで、ストレス解消に効果的な栄養素と、その栄養素を多く含む食べ物や飲み物を紹介します。

ストレスとは

ストレス(stress)とは、外部からの刺激を受けたときに体に生じる反応のこと。ストレスという言葉は、もともと物理学の分野で使われてた用語で、外部からの刺激に対する力を指しています。

ストレスを引き起こす外的刺激のことをストレッサーと呼び、それも含めてストレスとされることもあります。ストレッサーとなり得るのは、仕事の忙しさや人間関係の悩み、体の不調など人によってさまざまです。

ストレスと心身の健康は密接に関連しています。ストレッサーをうまく制御できずにストレスを受け続けると、心と体にさまざまな不調が現れます。

ストレスの原因

ストレスの原因として、主に以下のようなものが挙げられます。

人間関係など社会的・心理的な悩み

「ストレス社会」と言われるように、現代では日常生活のなかに多くのストレスの原因が潜んでいます。

急激な環境の変化・家庭内不和・職場や学校での人間関係・パワハラ・多忙・経済的困窮・健康不安など、さまざまな社会的・心理的な悩みがストレスを引き起こします。

環境の影響や体の不調

暑い・寒い・嫌なにおいがするなど、自分が置かれた環境を不快だと感じるときにもストレスが生じます。また、ケガ・病気による体の痛みや不調もストレスの原因となります。

ストレスを溜め込みやすい性格・考え方

ストレスの感じ方は、個人の性格や考え方にも左右されます。ストレスを感じやすいのは、真面目・完璧主義・競争心が強い・せっかち・攻撃的といった性格の人です。

また、意見や悩みなどを周囲に話せず、自分のなかで処理しようとする人は、ストレスも溜め込みやすい性格と言えます。

ストレスが関連する症状・疾患

ストレスが関連する症状や疾患は次の通りです。

精神的な疾患

  • 自律神経失調症
  • うつ病
  • 睡眠障害
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 急性ストレス障害(ASD)
  • 摂食障害
  • アルコール依存症

身体的な疾患

  • 頭痛
  • 脳卒中
  • 高血圧
  • 心臓病
  • 肥満症
  • 急性胃炎・慢性胃炎
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 便秘症
  • 過敏性腸症候群

ストレス解消に効果的な栄養

ストレスを解消したり、緩和したりするのに効果的な栄養素について解説します。

ビタミンC・ビタミンE

ビタミンCやビタミンEは、ストレスに対抗するアドレナリンやコルチゾールといったホルモンの合成に必要なビタミンです。

ビタミンC・Eには強力な抗酸化作用があり、ストレスが一因となって引き起こされるがん・生活習慣病や老化を予防する効果もあります。ビタミンC・Eが特に豊富なのは、フルーツ・緑黄色野菜・ナッツなど植物性の食品です。

過度なストレスがかかると、抗ストレスホルモンを生成するためにビタミンCが多く消費されてしまいます。人間の体内で合成できないビタミンCは、食事やサプリメントから摂取するようにしましょう。

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

ビタミンB群

ストレッサーを受け止める脳が疲れていると、うまくストレスに対処できなくなってしまいます。ビタミンB1・B2・B6などのビタミンB群は、脳の栄養源となるブドウ糖をエネルギーに変換するのを助け、脳を元気にする栄養素です。

ビタミンB群には体の疲労を回復する効果もあるため、身体的な疲れや不調が原因でストレスを感じているときにもおすすめ。また、ビタミンB6は、感情のコントロールに不可欠なセロトニンの合成に必要な成分でもあります。

ビタミンB群は、豚肉・納豆・赤身魚・バナナ・赤パプリカなどに豊富です。

ビタミンB群の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

トリプトファン

トリプトファンは、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの合成に不可欠なアミノ酸です。セロトニンは、気分や感情を穏やかに保ったり、睡眠の調節をしたりとストレスに対抗するために大切な神経伝達物質です。

トリプトファンを効率的に補える食品は、大豆製品・乳製品・バナナ・鶏肉などです。

カルシウム

カルシウムは脳神経の興奮を抑える働きがあります。体内に貯蔵されているカルシウムが不足すると、ストレスによってイライラしやすくなったり、感情のコントロールがうまく出来なくなったりする場合があります。

カルシウムが豊富な乳製品・大豆製品・魚介類・葉物野菜を日常的に摂取すると共に、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやクエン酸も合わせて摂りましょう。

ビタミンDは魚介類やきのこ類に豊富で、日光に当たることでもつくられます。クエン酸は、酢・レモン・梅干しなどに含まれる有機酸の一種です。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

マグネシウム

ストレスを感じると、尿からのマグネシウム排出量が増え、体内のマグネシウム貯蔵分が不足します。マグネシウムは神経伝達物質のセロトニンの働きを正常に保つ作用があり、月経前症候群(PMS)やうつ症状とも関連があるという指摘もなされています。

マグネシウムは、日本人に不足しやすいミネラルのひとつです。海藻類やナッツなど、マグネシウムを豊富に含む食材を積極的に食べるよう心がけてみましょう。

マグネシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カフェイン

カフェインは、コーヒー・紅茶などに含まれる植物由来のアルカロイドの一種です。国内外のいくつかの研究で、カフェインがストレスを緩和するのに有効だという結果が発表されています。

カフェインの効果効能・1日の摂取目安量・効果的な摂取方法・副作用|NANIWA SUPLI MEDIA

ストレス解消に効果的な食べ物・飲み物

ストレス解消に効果的な栄養素を含む食べ物・飲み物について解説します。

大豆製品:ストレスに効く栄養素が豊富

「畑の肉」とも称されるほど栄養豊富な大豆には、トリプトファン・ビタミンB群・カルシウムなど、ストレス解消に良いと考えられる栄養素も多く含まれています。

ストレスに効果のある成分は、豆腐・豆乳・納豆などの大豆製品や、醤油・味噌といった調味料からも摂取できます。大豆製品はカロリーも低いため、ストレスが原因で暴飲暴食にはしってしまう方にもおすすめです。

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

緑黄色野菜:ビタミンC・Eやカルシウムが豊富

緑黄色野菜にはストレスに効果的な成分が豊富です。特に、ビタミンCが豊富なブロッコリー・パプリカ・ゴーヤや、ビタミンEが豊富なモロヘイヤ・かぼちゃ・シソを多く食べましょう。

また、小松菜・ケール・ほうれん草など葉物野菜には、脳神経に作用するカルシウムが豊富です。ストレスに負けない体を作るために、緑黄色野菜は欠かせない食材と言えます。

ブロッコリーの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

モロヘイヤの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

小松菜の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

キウイフルーツ:ストレスで消費されるビタミンCを補給できる

キウイフルーツは、ストレスの対策に有効なビタミンCを果物類のなかでも特に多く含んでいます。

また、キウイフルーツの果汁に便秘改善効果があることが高齢者を対象にした研究で明らかになっています。ストレスが原因で便通が乱れているときにもキウイフルーツはおすすめです。

アセロラ・レモン・オレンジ・グレープフルーツなどにもビタミンCが豊富に含まれています。フルーツからは脳のエネルギーとなる糖も補えるため、ストレスが溜まっているときのデザートや間食にぴったりと言えるでしょう。

キウイフルーツの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

バナナ:セロトニン不足が気になるときに食べたいフルーツ

バナナに豊富なトリプトファンやビタミンB6は、気分を安定させる作用のある神経伝達物質のセロトニンを合成するときに必要な栄養素です。

加えて、バナナには脳のエネルギー源となるブドウ糖も含まれており、脳が疲れていて集中力が続かない・落ち着きがない、といった状況でのストレス緩和にも有効です。

バナナは、コンビニで1本から手軽に購入できます。ストレスの多い職場や学校での昼食にも取り入れてみてください。

バナナの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ナッツ類:不足しがちなマグネシウムを補える

ピーナッツ・アーモンドなどのナッツ類は、精神の安定に関わるマグネシウムや、ストレス緩和に効果的なビタミンEを多く含んでいます。

特に、マグネシウムやビタミンEが多いのはアーモンドで、効率的にストレスに有効な栄養を摂りたいときにおすすめです。

また、ナッツ類のような硬いものを噛む行為にもストレス解消効果があると示唆されています。

アーモンドの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ピーナッツの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

マカダミアナッツの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

カシューナッツの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豚肉:ビタミンB群が豊富で疲労回復にも効果的

ストレス解消や疲労回復に効果的なビタミンB群を、肉類のなかで特に効率的に摂取できるのは豚肉です。部位別にみると、赤身の多いヒレ肉やもも肉にビタミンB群が豊富に含まれています。

ストレスや疲れに負けない体を維持するのにおすすめなのは、ビタミンB1の吸収率を高めるアリシンを含むネギ類・ニラ・にんにくと食べる、豚の生姜焼き・豚キムチなどのレシピです。

豚肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

乳製品:カルシウムやトリプトファンが豊富

ストレスに有効なカルシウムやトリプトファンは、牛乳やヨーグルトなどの乳製品からも効率よく摂取することができます。

乳製品に含まれる乳酸菌には、一部、ストレスを緩和する効果が認められている種類もあります。牛乳や飲むヨーグルト、乳酸菌飲料は、ストレスの多い環境下での飲み物としておすすめです。

牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ヨーグルトの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

コーヒー・紅茶:ストレスを軽減できるカフェイン飲料

コーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、ストレスの緩和に効果的といくつかの研究で認められています。

また、コーヒー・紅茶など自分の好きな飲み物の香りを嗅ぐことでリラックスでき、不安や悩みを紛らわすこともできるでしょう。

ただし、カフェインには覚醒作用があり、寝る前に飲むと睡眠に悪影響を及ぼします。不眠はストレス解消に逆効果となるため、カフェインを摂取するタイミングには注意しましょう。

ストレス解消に効果的な生活習慣

食べ物以外でストレス解消のために心がけたい生活習慣について解説します。

悩みや不安を誰かに相談する

ストレスの原因となっている悩みや不安を自分一人で抱え込まず、家族や友人などの信頼できる人に話すだけでも心の負担が軽くなります。

身近に相談できる人がいない場合は、心理的な問題のプロである心理カウンセラーに相談するのも手です。

趣味や好きなことに没頭する時間を作る

日頃の嫌なことや鬱憤を忘れ、趣味や好きなことに没頭することもストレス解消の一つの方法です。ストレスの原因を忘れるくらい熱中できる趣味を楽しみましょう。

これといった趣味がない場合、入浴・マッサージ・アロマ・瞑想など、自分が心地よいと感じることを行うだけでもストレス解消効果があります。

運動で気分転換する

ストレスの原因を忘れたり、溜まったストレスを解消したりするのには運動もおすすめです。日常的に運動をしていると、ストレスに対抗するセロトニンやエンドルフィンといったホルモンが分泌されやすくなるという効果もあります。

ただし、いきなり負荷の強い運動を行うと、逆に心身にとってストレスとなってしまう場合も。ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲でできる軽い運動から初めてみてください。

規則正しい生活と十分な睡眠

生活のリズムが乱れると、自律神経がうまく働かなくなりストレスへの耐性も低くなります。食事や睡眠の時間をなるべく一定に保ち、ストレスに強い体を作りましょう

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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