フコイダンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

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フコイダン

フコイダンの基本情報、種類、効果・働き、不足・過剰摂取による影響、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。

フコイダンとは

フコイダン(fucoidan)とは、海藻のぬめり成分に含まれる多糖類の1種です。とくに、もずく・昆布・めかぶ・わかめなどの褐藻類(かっそうるい)に多く含まれています。ただし、同じ褐藻類でも種類や部位によって含まれるフコイダンの量や種類が異なると考えられています。

フコイダンの主成分は、フコースと呼ばれる多糖類です。多糖類とは、ブドウ糖や果糖などの単糖類が複数連なって構成される糖質のこと。でんぷんやグリコーゲンなども、多糖類に分類されます。

フコイダンは糖質のなかでも、水溶性食物繊維に分類されます。食物繊維とは、体内で消化できない糖質の仲間で、整腸作用をもつ栄養成分です。食物繊維は、水に溶けやすい性質の水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維の2つに分けられます。

フコイダンは水溶性食物繊維に分類されるため、水に溶けやすい食物繊維です。水溶性食物繊維には、ねばねばとした食品が多く分類されます。

糖質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA

フコイダンの種類

フコイダンは含まれる食品によって、構造や特徴が異なる成分です。ここでは、由来ごとのフコイダンの種類を紹介します。

オキナワモズク由来フコイダン

オキナワモズクに由来するフコースや、グルクロン酸を含む成分のことです。

分子量20,000以上の硫酸化多糖類が、オキナワモズク由来フコイダンに分類されます。硫酸化多糖とは、藻類の細胞間に存在する多糖です。

ガゴメ昆布由来フコイダン

ガゴメ昆布由来フコイダンは、ガゴメ昆布に含まれるフコース・ガラクトース・グルクロン酸・マンノースなどの糖類を含む高分子の硫酸化多糖です。分子量10,000以上の多糖が70%以上含まれます。

ガゴメ昆布とは昆布の1種で、表面にでこぼこな紋様のあることが特徴です。北海道函館に生息しています。

ガゴメ昆布由来フコイダンには、構造の違いによってU-フコイダン・G-フコイダン・F-フコイダンの3種類が存在します。

メカブ由来フコイダン

メカブ由来フコイダンは、めかぶに含まれるフコースやガラクトースなどの高分子硫酸化多糖です。

めかぶとは、わかめの根元部分のことで、コリコリとした食感が特徴の食品です。もずくに似ていますが、歯ごたえはもずくよりもしっかりとしています。

フコイダンと類似成分の違い

フコイダンと類似する栄養素・成分との違いを解説します。

ムチン(ムチレージ)

ムチンも、フコイダンと同じようにぬるぬるとした食感のもとになる成分です。主に、オクラや山芋のぬめり成分として知られています。

ただし、植物から分泌されるぬめり成分は、正しくはムチレージと呼ばれる成分です。以前はオクラや山芋のぬめり成分もムチンと呼ばれていたため、ここではムチレージと同一のものとして説明します。

ムチンは植物や動物の上皮細胞から分泌される粘液の主成分で、糖たんぱく質の1種です。れんこんや里芋などにも多く含まれています。

粘膜を保護する効果があり、胃腸の粘膜を守る役割をしています。また目の粘膜を保護することで、ドライアイの予防・改善にも役立つ栄養素です。

オクラの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

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ペクチン

ペクチンとは、柑橘類やりんごなどの果物に含まれる粘性の強い成分です。天然のゲル化剤とも呼ばれ、ジャムなどのとろみをつけるときに利用されます。

フコイダンと同様に、植物の細胞壁に含まれる多糖類の1種です。粘性が強いため、腸内の便を軟らかくして便秘予防・改善に働きます。

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フコイダンの効果・働き

フコイダンの効果・効能について解説します。

抗腫瘍作用

フコイダンには、がんを予防する抗腫瘍作用があると考えられています。いまだ研究中ですが、低分子化フコイダン療法と呼ばれる治療を行っている医療機関もあり、フコイダンの成分はがんに効くと期待されています。

がんに効果的と言われる理由は、フコイダンに以下の3つの作用があるからです。

  • アポトーシス作用
  • 血管新生抑制作用
  • 免疫力強化作用

アポトーシスとは細胞の自死を意味し、細胞自らが死を選んで自滅する作用のことです。フコイダンにはアポトーシス作用があると考えられており、がん細胞を自死させる効果が期待されています。

血管新生抑制作用とは、新しい血管の増殖を抑制する作用です。がんは多くの血管を取り込み、増殖して栄養を得ようとします。しかしフコイダンによって血管増生が抑制されると、必要な栄養を横取りできなくなって、勢いが衰えるというメカニズムです。

また、フコイダンには免疫機能を向上させる効果もあります。がんから身体を守る機能を向上させるため、フコイダンは抗腫瘍作用があると考えられています。

髪質の改善・育毛ケアにも

フコイダンは、髪質の改善や育毛ケアにも効果的です。とくに、ガゴメ昆布由来フコイダンが育毛に最も効果的と考えられています。

育毛剤にも使われる成分で、髪の毛のもとになる毛乳頭細胞の増殖を促すとの報告もあります。毛乳頭細胞とは毛根の中央に存在し、髪の毛に栄養を送るために欠かせない細胞です。

毛乳頭細胞が増えると毛髪が太く成長するだけでなく、分裂によって毛髪が増えることがわかっています。

髪にいい食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA

便秘の予防・改善

フコイダンは、便秘の予防や改善にも効果を発揮します。フコイダンは水溶性食物繊維の1種で、腸内環境を整えて排便を促す効果があります。

また、強い粘性で消化管内をゆっくりと移動するため、空腹を感じにくくなることも特徴です。糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を防ぎます。

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胃粘膜を保護する

フコイダンのねばねばは、胃腸の粘膜を保護する役割も果たします。とくに、もずく由来のフコイダンで効果が高いと考えられています。

粘性のフコイダンは物理的に、胃腸の粘膜に張り付いて潤いを保つサポートをする栄養素です。刺激性の強い食品やピロリ菌から胃腸を守るとの報告もあります。

肝機能を向上させてコレステロールを下げる

フコイダンには、肝機能を向上させる効果もあります。動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールは、肝臓で作られて全身に運ばれます。

しかし血中コレステロールが過剰になると肝臓に戻され、再び悪玉コレステロールへ変えられたり、胆汁酸へ変えられて排出されたりするメカニズムです。フコイダンは肝機能を向上させ、コレステロールの処理を更新するため、血中コレステロールを下げる効果があります。

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フコイダンを過剰摂取すると起こる副作用

フコイダン自体を摂りすぎても、基本的に副作用はないと考えられています。

しかし、フコイダンを多く含む藻類を過剰摂取すると、一緒に含まれる銅や亜鉛、ヨウ素を摂りすぎてしまう恐れがあります。それぞれを過剰摂取すると起こる副作用は、次のとおりです。

  • 銅:嘔吐・下痢・胃腸炎・腎障害・溶血性貧血
  • 亜鉛:悪心・嘔吐・食欲不振・下痢・頭痛
  • ヨウ素:甲状腺機能低下症・発熱・嘔吐・下痢

とくに、ヨウ素の多いこんぶやひじきの過剰摂取には注意しましょう。銅・亜鉛・ヨウ素の1日の耐容上限量は、以下のとおりです。

栄養素の種類男性(18歳~74歳)女性(18歳~74歳)
7mg7mg
亜鉛40~45mg35mg
ヨウ素3mg3mg
出典:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

耐容上限摂取量を超えて摂取すると、過剰摂取による副作用の恐れがあります。上記の表を参考に、摂取上限を守って摂取しましょう。銅・亜鉛・ヨウ素の摂取目安量や過剰摂取による副作用の詳細は下記記事もご覧ください。

銅の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

亜鉛の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ヨウ素の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

フコイダンを多く含む食品

フコイダンを多く含む食品は次のとおりです。

  • もずく
  • 昆布
  • めかぶ
  • わかめ

とくに、フコイダンはもずくに多く含まれています。

藻類のなかでも褐藻類に含まれるのが特徴です。もずく以外には、昆布やめかぶ、わかめに多く含まれます。

もずくの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

めかぶの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

わかめの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

フコイダンを効率よく摂取する方法

最後に、フコイダンを効率よく摂取する方法について解説します。

茹で汁も摂取すると栄養素が逃げない

フコイダンは、水に溶ける性質の水溶性食物繊維です。そのため、藻類を茹でたときに水に成分が溶け出しやすく、茹で汁を捨ててしまうと栄養素が失われる可能性もあります。

藻類のフコイダンを逃さず摂取したい場合は、茹で汁も摂取できるスープや味噌汁にするのがおすすめです。

食事の後より先に食べると食べ過ぎ防止にもなる

フコイダンの食物繊維としての作用をより効率よく利用したいなら、食事の後よりも先に食べるとよいでしょう。

食物繊維が先に消化管に入ることで、満腹中枢が刺激されて食べ過ぎを防止できます。また、糖質の吸収を抑えてくれるため、食後高血糖の予防にもなります。

参考文献

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