豚肉の栄養と効果効能・調理法・保存法

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pork

豚肉の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、他の食肉との違い、豚肉に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

豚肉とは

豚肉(Pork)は、イノシシ科の動物である豚の食肉です。牛肉や鶏肉と共に、日本の食卓には欠かせない食材としてあらゆる料理に利用されています。

国産豚肉の主産地は、鹿児島県・宮崎県・千葉県などです。鹿児島県産の「かごしま黒豚」・山形県産の「平牧三元豚」・沖縄県産の「アグー豚」など、全国各地でブランド豚が生産されています。

豚肉には、疲労回復に効果的なビタミンB1が牛肉や鶏肉の約10倍も含まれており、滋養強壮や夏バテ対策にも役立つ食材です。

豚肉の品種・種類

日本で流通している豚肉のほとんどは、ランドレース・大ヨークシャーなどの純粋品種を掛け合わせた交雑種です。

複数の種類の豚を交配させることで、それぞれの品種の特徴や利点を活かした豚を生み出すことができます。よく知られている「三元豚」は、3品種を交配させた豚のことを指しています。

交雑種の親となる、6つの純粋品種の特徴は以下の通りです。

ランドレース

ランドレースは、デンマーク原産の品種です。脂が少なく赤肉が多いのが特徴で、ハムなど加工肉に向いています。繁殖能力が高く、三元豚の掛け合わせ品種としてよく使われています。

大ヨークシャー

大ヨークシャーは、イギリス・ヨークシャー地方原産の豚です。脂肪と赤肉のバランスが良く、加工肉と精肉どちらにも適しています。三元豚の掛け合わせによく利用される主要品種です。

中ヨークシャー

中ヨークシャーは、大ヨークシャーと同じくイギリス・ヨークシャー地方産まれの品種です。肉質が柔らかく、大ヨークシャー種より成熟が早いのが特徴です。

デュロック

デュロックは、アメリカ東部原産の赤色の豚です。肉付き・肉質共に良く、三元豚の掛け合わせにも使われています。頑強な性質で飼育しやすいのがデュロックの特徴です。

バークシャー

バークシャーは、イギリス・バークシャー地方を原産地とする黒豚で、鹿児島県の黒豚もこれにあたります。バークシャー種の豚肉は旨味があり、食感が良いことで知られています。

ハンプシャー

ハンプシャーは、北米・コーンベルト地帯原産の黒毛の豚で、肩から前足にかけて白い模様が入っています。脂肪分が少なく筋肉の多いしっかりした肉質で、ロースや赤身肉に最適です。

豚肉の部位

豚肉の主な部位とそれぞれの特徴は以下の通りです。

豚肉の部位特徴
豚の肩の部分の肉のこと。活発に動く部分なので筋肉質で、食感はやや硬めです。煮込むと柔らかくなるので、カレー・シチューの具材や煮豚に向いています。
肩ロース肩ロースは、首から背中にかけての肩の部分の肉です。赤身のなかに脂肪が霜降り状に入っています。旨味が強く、豚肉本来の風味を楽しめる部位です。
ロースロースは、背中側に付く肉のこと。赤身と脂身のバランスが良く人気の高い部位です。脂には旨味と上品な風味があり、高級部位として扱われています。アルコールの分解を助けるナイアシンを豊富に含んでいるのが特徴です。
バラバラ肉は、あばら骨周辺の肉です。脂身が多く濃厚な味わいを楽しめます。赤身と脂身が交互に3層になっていることから、三枚肉と呼ばれることも。スペアリブは、骨付きのバラ肉です。コレステロール低下作用のあるオレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれています。
ももももは、後ろ脚の付け根から尻までの部位です。脂質が少なくカロリーも低いため、ダイエットに向いています。ビタミンB群の含有量がヒレに次いで多く、栄養価が高いのも特徴です。特にお尻に近い外もも肉は、内ももと比べると硬めでキメが粗く、ひき肉やこま切れに使われます。
ヒレヒレは、ロースの内側にある希少な部位です。キメが細かく柔らかな肉質が特徴で、とんかつやソテーに利用されます。豚肉のなかで最も脂質が少なくヘルシーな部位で、ダイエット中や生活習慣病の方にも最適です。ビタミンB1・ビタミンB2などのビタミンB群や、カリウムなどのミネラル類を多く含んでおり、健康増進効果も期待できます。

豚肉に含まれる成分・栄養素

豚肉100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位かた 脂身つき 生かたロース 脂身つき 生ロース 脂身つき 生ばら 脂身つき 生もも 脂身つき 生そともも 脂身つき 生ヒレ 赤肉 生
廃 棄 率%0000000
エネルギー(kcal)kcal/100 g216253263395183235130
エネルギー(kJ)kJ/100 g904105911001651766983543
水 分g/100 g65.762.660.449.468.163.573.4
たんぱく質g/100 g18.517.119.314.420.518.822.2
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-14.716.812.5-16.9-15.618.1
脂 質g/100 g14.619.219.235.410.216.53.7
トリアシルグリセロール当量g/100 g1418.418.534.99.515.93.3
飽和脂肪酸g/100 g5.257.267.8414.63.595.81.29
一価不飽和脂肪酸g/100 g6.58.177.6815.264.247.41.38
多価不飽和脂肪酸g/100 g1.652.12.213.51.2420.45
コレステロールmg/100 g65696170676959
炭水化物g/100 g0.20.10.20.10.20.20.3
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g
水溶性食物繊維g/100 g0000000
不溶性食物繊維g/100 g0000000
食物繊維総量g/100 g0000000
灰 分g/100 g110.90.7111.2
ナトリウムmg/100 g53544250475156
カリウムmg/100 g320300310240350320430
カルシウムmg/100 g4443443
マグネシウムmg/100 g21182215242227
リンmg/100 g180160180130200190230
mg/100 g0.50.60.30.60.70.50.9
亜鉛mg/100 g2.72.71.61.821.92.2
mg/100 g0.090.090.050.040.080.070.07
マンガンmg/100 g0.010.010.010.010.010.010.01
ヨウ素µg/100 g101
セレンµg/100 g211321
クロムµg/100 g301
モリブデンµg/100 gTrTr1
レチノールµg/100 g56611453
α-カロテンµg/100 g00
β-カロテンµg/100 g00
β-クリプトキサンチンµg/100 g00
β-カロテン当量µg/100 g0000000
レチノール活性当量µg/100 g56611453
ビタミンDµg/100 g0.20.30.10.50.10.20.3
α-トコフェロールmg/100 g0.30.40.30.50.30.40.3
β-トコフェロールmg/100 g0000000
γ-トコフェロールmg/100 gTrTrTr0.1TrTr0
δ-トコフェロールmg/100 g0000000
ビタミンKµg/100 g1236223
ビタミンB1mg/100 g0.660.630.690.510.90.791.32
ビタミンB2mg/100 g0.230.230.150.130.210.180.25
ナイアシンmg/100 g4.93.67.34.76.25.16.9
ビタミンB6mg/100 g0.320.280.320.220.310.360.54
ビタミンB12µg/100 g0.40.50.30.50.30.30.5
葉酸µg/100 g2212211
パントテン酸mg/100 g1.161.180.980.640.840.970.93
ビオチンµg/100 g3.73.73
ビタミンCmg/100 g2211111
食塩相当量g/100 g0.10.10.10.10.10.10.1
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g
重量変化率%
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

豚肉の効果・効能

豚肉に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

疲労回復や貧血予防に効果的なビタミンB群

肉類や魚類に豊富なビタミンB群は、人間が生きるために必要なエネルギーを作り出す大切な栄養素です。

豚肉にはビタミンB群が多く含まれていますが、特に豊富なのは疲労回復や夏バテ対策に効果的なビタミンB1です。

ビタミンB1には、糖質をエネルギーに変換する働きがあり、スタミナを付けたいときにぴったりの栄養素です。ビタミンB1は、ヒレやもも肉など脂身の少ない部位に特に多く含まれています。

豚肉に多く含まれるビタミンB群の栄養素とその主な効能は以下の通りです。

  • ビタミンB1:糖質の代謝を促進・脳や神経の働きを助ける・アルコール代謝に関与
  • ビタミンB2:糖質や脂質の代謝を促進・皮膚や粘膜の健康を維持・口内炎や肌荒れを予防
  • ナイアシン:皮膚や粘膜の炎症を予防・アルコール分解を促進・血行促進・神経症状の改善
  • ビタミンB6:タンパク質や脂質の代謝を促進・脂質の抗酸化作用・神経伝達物質を生成
  • ビタミンB12:造血作用で貧血を予防・睡眠の質を向上・脳の発育を助ける
  • 葉酸:赤血球を合成し貧血を予防・胎児の正常な発育に寄与

良質なタンパク質で健康な体を維持する

タンパク質は、人間の皮膚・内臓・髪の毛・爪などを構成する主要な成分です。タンパク質が不足すると、免疫機能が正常に働かなくなったり、集中力・思考力が低下したりする可能性があります。

豚肉にはアミノ酸のバランスがとれた良質なタンパク質がたっぷりと含まれています。

特にタンパク質が豊富なのは、ヒレ・ロース・モモの赤身の部分です。ヒレ肉には炭水化物の代謝を促進するビタミンB1が豊富なので、ダイエット中や筋トレの効率を高めたいときにもおすすめの部位と言えます。

コレステロール値を正常に保つオレイン酸・ステアリン酸

豚肉の脂には、悪玉コレステロールを減少させ、血液をサラサラにする働きのあるオレイン酸やステアリン酸などの脂肪酸が豊富に含まれています。

オレイン酸は、オメガ9脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)に分類される脂肪酸で、ステアリン酸は飽和脂肪酸の一種です。これらの脂肪酸が豊富な豚肉は、高コレステロール値の改善や動脈硬化の予防にも効果的な食材と言えます。

コレステロールに作用するオレイン酸やステアリン酸は、脂身の多いバラ肉に最も多く含まれています。ただし、バラ肉はコレステロールや中性脂肪を増やす原因となる脂肪酸も多く含んでいるので、食べ過ぎは禁物です。

豚肉の食べ方

豚肉の栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

豚肉のビタミンB群摂取には炒め物・蒸し料理がおすすめ

ビタミンB群は、水に溶けやすい水溶性の栄養素です。洗い方や調理方法によっては著しく損失してしまいます。

豚肉に含まれるビタミンB群の流出をなるべく抑えるには、焼く・炒める・蒸すなど水を使わない加熱方法がおすすめです。

反対に、茹でる・煮るなどの調理方法ではビタミンB群が大幅に失われてしまうので注意しましょう。

玉ねぎやにんにくと食べるとビタミンB1の吸収効率アップ

玉ねぎ・にんにく・ニラなどに含まれるアリシンには、ビタミンB1の吸収効率を高める働きがあります。ビタミンB1は、アリシンと結合することでアリチアミンに変換され、より体に吸収されやすく、血中に長く留まるようになります。

ビタミンB1の効果を最大限に活かしたいときは、アリシンを含む食材と組み合わせて調理しましょう。アリシン自体にも殺菌作用・血流改善効果があり、滋養強壮に役立ちます。

豚キムチ・豚の生姜焼き・豚のニラ玉炒めなどが、スタミナを付けたいときにおすすめのレシピです。

豚肉を食べ過ぎると疲れやすくなる可能性も

ビタミンB1が豊富で疲労回復に効果的な豚肉ですが、食べ過ぎるとピルビン酸の働きで疲れやすくなる可能性があります。豚肉を過剰に摂取すると、疲労の原因となるピルビン酸が生成され、体内の水素と結びついて疲労物質の乳酸を増やします。

ピルビン酸は、疲労回復に効果的と言われるクエン酸と一緒に摂取することでクエン酸に変換されます。豚肉を多く食べるときは、レモン・梅干し・酢などクエン酸が豊富な食材と一緒に食べるようにして、乳酸の発生を予防しましょう。

また、肉の食べ過ぎは腸内の悪玉菌を増やし、腸内環境を悪化させる原因にもなります。善玉菌を増やす効果のある野菜や乳製品も合わせて摂取するようにし、バランスのとれた食事を心がけましょう。

豚肉の保存方法

豚肉の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存

生の豚肉は、空気に触れることで酸化して風味や栄養素が失われていきます。買ってきた豚肉を長持ちさせるためには、パックから出してラップで隙間ができないように包み、密閉できるビニール袋に入れて冷蔵庫のチルド室で保存しましょう。

豚肉の冷蔵保存期間の目安は、ブロックや厚切り肉で3日、スライスやこま切れで2日、ひき肉で1日程度です。

冷凍保存

豚肉を長期間保存したい場合は冷凍しましょう。

冷蔵保存する場合と同じく、新鮮な状態を長く保つためにはパックから取り出して冷凍保存用の密閉できる袋に入れて冷凍してください。パックから取り出した豚肉は、1回分ずつ小分けしてラップで包んでおくと便利です。

冷凍した豚肉は、凍ったまま調理に使うことができます。

参考文献