筋トレの効果を高める栄養素・食べ物・食生活

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Muscle training food

筋肉量が増えるメカニズムについて解説したうえで、筋肉増強に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

筋肉と食事の関係

筋肉は、筋トレや運動などで筋繊維が傷つき、修復する過程でより頑丈なものへと変わっていきます。しかし、いくら負荷をかけても、筋肉の材料となる物質が体内に欠乏していると筋肉の強化はのぞめません

その際に重要となるのが食事です。

特に、筋肉の材料となるタンパク質(プロテイン)の摂取は欠かせません。食事から摂取したタンパク質はアミノ酸に分解され、体内で合成されることで筋肉へと変わっていきます。

ただしタンパク質だけを摂ればいいわけではなく、タンパク質の代謝をサポートする栄養素や筋肉を合成するために必要なエネルギー源も、食事からバランスよく摂取する必要があります。

つまり食事を制限してしまうと、タンパク質の合成が滞る原因になるということです。さらに、エネルギーが不足すると肉体は筋肉中のグリコーゲンやアミノ酸をエネルギー化するため、筋肉を分解し始めてしまいます。

栄養不足や偏食は筋肉が減る原因にもなりますので注意しましょう。

筋トレの効果を高める五大栄養素

筋トレの効果を高めるには、バランスの良い食事が重要です。五大栄養素のそれぞれの役割を解説します。

タンパク質:筋肉のもとになる

筋肉の材料となるタンパク質は、アミノ酸に分解される際に一部が排出されてしまうので、毎日の補給が必要です。筋肉強化を目的とする場合は、体重1kgあたり1.5gから2g程度のタンパク質摂取が有効と言われています。

さらに体内で効率的にタンパク質を利用するには、アミノ酸バランスの良いタンパク質を摂取するのが大切です。タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の中でも、特に意識したいのが必須アミノ酸の含有量です。

必須アミノ酸は体内で合成されない成分のため、食事から摂取する必要があります。

また、必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンは筋肉にとって欠かせない栄養素です。BCAAと総称されるこれらの必須アミノ酸は、運動時に筋肉のエネルギー源となりトレーニング効果を高めてくれます。

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA

炭水化物:身体を動かすエネルギー源

炭水化物は、糖質と食物繊維からなる栄養素です。糖質はブドウ糖に分解され、身体のエネルギー源になります。

糖質を摂り過ぎると肥満を招きますが、欠乏しても身体にとって悪影響を与えます。体内にブドウ糖が不足すると、エネルギーを確保しようとタンパク質を消費してしまうためです。

摂取したタンパク質を効率よく筋肉合成へ活用するなら、運動前後に糖質を補給しましょう。

炭水化物の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA

脂質:すばやくエネルギーに

糖質と同じく肥満につながるイメージの強い脂質ですが、筋トレにおいては重要です。脂質はタンパク質や炭水化物に比べ、1gあたりのエネルギー量が2倍以上あります。体内で効率的にエネルギー化されるので、運動時の持久力アップをサポートしてくれるでしょう。

ただし、過剰に摂取すると余分な脂質が中性脂肪として蓄えられ、肥満の要因になります。脂質を摂取する際は、脂肪酸の種類や作用を意識しましょう。

青魚に多く含まれるEPA(イコサペンタエン酸)は中性脂肪の低下作用が知られているので、ダイエット目的の方は注目してみてください。

飽和脂肪酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA

オメガ3の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミン:代謝をサポート

ビタミンはあらゆる栄養素の代謝促進や、身体の機能を保つために欠かせない栄養素です。ビタミンのほとんどが体内で合成できないため、意識的に食品から摂取するようにしましょう。

特に、タンパク質の代謝に関係があるビタミンB6やナイアシンの摂取が大切です。

ビタミンB群の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA

ミネラル:生理活性作用

ミネラルは、筋肉の収縮や筋肉の興奮抑制などさまざまな生理活性作用があります。特にカルシウムとマグネシウムは、筋肉の収縮弛緩に関わる栄養素です。欠乏すると足がつる原因にもなります。

運動後は汗からミネラルが流れ出てしまうので、積極的にミネラルを補給しましょう。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

マグネシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

筋トレの効果を高めるおすすめの食べ物・飲み物

筋トレの効果をより高めるために効果的な食べ物・飲み物について解説します。

大豆製品

大豆は植物性タンパク質を豊富に含みます。大豆に含まれるタンパク質は、必須アミノ酸の含有率を表すアミノ酸スコアが満点の質の良いタンパク質です。さらに低糖質・低脂質なので、ダイエット中の方にも重宝するでしょう。

大豆を使った製品は豆乳や納豆、豆腐などさまざまな種類があるので、取り入れやすいものから日々の生活に組み込んでいくと良いでしょう。

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

肉類

タンパク質が豊富な食品と言えば肉類です。牛肉や鶏肉に限らず、肉類全般のアミノ酸スコアは100なので良質なタンパク質が含まれていることがわかります。

ただし肉類は飽和脂肪酸が多く、摂りすぎると肥満の原因になるので注意しましょう。摂取するときは、脂身や鶏皮をのぞくと脂質の量を抑えられます。

なかでも鶏肉は脂質が低い傾向にあるので、鶏むね肉やささみ肉などを選ぶようにしましょう。コンビニで買えるものならサラダチキンが手軽です。

牛肉の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

豚肉の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

鶏肉の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

たまご

たまごに含まれるタンパク質もアミノ酸スコアは100です。調理も簡単で気軽に食べられる食品なので、ご家庭に常備しておくと良いでしょう。

普段の朝食に目玉焼きをプラスするだけで、良質なタンパク質を手軽に摂取できます。

たまごの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

魚介類

魚介類も、アミノ酸スコアの高い食品の代表です。カツオや鮭、エビなどいろいろな食材を取り入れてみましょう。マグロはタンパク質の代謝をサポートするビタミンB6が豊富です。

特にいわし・アジ・サバは中性脂肪を減らす作用のあるEPAが豊富なので、ダイエット目的の人にうってつけ。コンビニでも買えるサバ缶なら、毎日の生活に無理なく取り入れられるでしょう。

カツオの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

鮭の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

エビの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

マグロの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

いわしの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

アジの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

サバの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

野菜類

野菜類はビタミンとミネラルが豊富なので、毎日欠かさず取り入れたい食品です。よりビタミンの豊富な野菜として、ほうれん草・パプリカ・ブロッコリーなどが挙げられます。

にんにくもタンパク質の代謝に関わるビタミンB6が豊富なので、筋肉作りをサポートしてくれるはずです。

ほうれん草の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

パプリカの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ブロッコリーの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

にんにくの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

海藻類

海藻類はミネラルが豊富です。低糖質のうえに低カロリーなので、ダイエットにも役立ちます。

なかでも、わかめは野菜に劣らないほどのビタミン量を誇ります。効率的な栄養摂取にはもってこいの食品です。

ひじきの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

もずくの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

わかめの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

果物類

ビタミン・ミネラルが多い果物類は糖分が多いので、トレーニング後の疲労回復に重宝するでしょう。

特にバナナは、果物の中でタンパク質含有量の多い果物です。バナナに含まれる糖質はすばやくエネルギー源になるため、トレーニング前の摂取に向いています。

バナナの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

乳製品

乳製品はアミノ酸スコア100の牛乳から作られるので、良質なタンパク質が含まれます。チーズやヨーグルトなどはコンビニでも購入できるので、使い勝手の良い食品です。

ギリシャヨーグルトは高タンパク質なので、選ぶ際の参考にしてみてください。

牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ヨーグルトの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

スポーツドリンク

スポーツドリンクはカルシウムやマグネシウム、カリウムなどの電解質が豊富な飲み物です。

トレーニング中だけでなく、トレーニング後にも活用すると良いでしょう。

筋トレの効果を高める食事のタイミング

筋肉を増やすには食事が重要ですが、摂るタイミングにも意味があります。以下で解説していきましょう。

筋トレ前に必ず食事を取る

トレーニングを始める前は、必ず食事を取るようにしましょう。空腹状態では身体が筋肉からエネルギーを補給しようとするため、トレーニングの効率が下がってしまいます。

トレーニングを始める2時間前に食事を済ませておくことを心がけましょう。しっかり力を発揮できるよう、炭水化物は抜かずに栄養バランスの良い食事を摂取してください。

筋トレ後の栄養補給

トレーニング後の身体は栄養が不足している状態です。45分以内に筋肉増強をサポートする栄養素を摂取すると良いでしょう。

負荷がかかった筋肉は傷ついた状態になっているので、すばやくタンパク質を補給することが大切です。エネルギー不足の状態では筋肉の分解が進む恐れがあるので、合わせてエネルギー減となる糖質も摂るようにしましょう。

筋トレの効果を高める生活習慣

筋トレの効果を高めるために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

バランスの良い食事

ここまで解説した通り、筋肉増強に必要なのは五大栄養素です。筋肉の材料となるタンパク質ばかり摂るのではなく、合成をサポートしてくれる栄養素も欠かさず補給するようにしましょう。

外食する際のコツは、なるべく定食やセットなどを選ぶことです。サラダ・小鉢つきの食事の方が、いろいろな食材を摂取できて栄養バランスが整いやすいでしょう。

うどんやそばなどの単品メニューはお手軽ですが、糖質が多いうえに栄養が偏る場合が多いので注意してください。

朝食は必ず食べる

栄養不足の状態が長く続くと、身体がエネルギー源を求めて筋肉を分解し始めるので注意が必要です。朝食はしっかり摂るようにしましょう。

また、空腹状態で行なう筋トレは、エネルギー不足により効果が半減してしまいます。食事を摂る時間が十分に取れない場合は、手軽に摂取できるプロテインを活用しながらエネルギーを補給しましょう。

よく噛んで食べる

食事から効率よく栄養を摂取するには、消化しやすい状態にすることが大切です。一口あたり30回程度を目安に咀嚼してみてください。咀嚼回数が増えれば、満腹中枢も刺激され食べ過ぎも防いでくれるはずです。

トレーニング前の食事はよく噛んで、消化効率をアップさせましょう。

睡眠をしっかりとる

傷ついた筋肉を修復させるには、睡眠も大切です。睡眠中は成長ホルモンが分泌され、筋肉の合成を促進してくれます。

また、トレーニングのパフォーマンスを低下させないためにも、睡眠でしっかり疲労を回復するようにしましょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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