カツオの栄養と効果効能・調理法・保存法

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カツオ

カツオの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、カツオに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

カツオとは

カツオ(Skipjack)はサバ科の海水魚です。マグロと同じく回遊魚の一種で、適度な水温を求めて温帯および熱帯の海域を回遊します。泳ぐスピードは最高時速50kmと言われ、魚のなかでは最速です。

日本で主にカツオが獲れるのは太平洋側の地域。カツオの産地としては高知県が有名ですが、年間漁獲量のトップは静岡県です。農林水産省の「平成30年漁業・養殖業生産統計」では、全体漁獲量の約30%を静岡県が占めています。

高知県は漁獲量は全体の約9%に留まっていますが、理由は一本釣りを主流としているためです。巻き網漁法に比べカツオの品質が落ちにくく、良質なカツオを出荷しています。

カツオの歴史は古く、一部の縄文遺跡からはカツオの骨が出土したと言われるほど日本人にとっては馴染み深い食材の1つです。

カツオは傷みやすいため、鎌倉時代以前は干したカツオを食用としていました。身が堅いため「堅魚(かたうお)」と呼ばれ、現在の「カツオ(鰹)」という名称の由来にもなっています。

カツオの品種・種類

カツオの主な品種は4種類あると言われています。それぞれの特徴をご紹介しましょう。

カツオ(ホンガツオ)

カツオは地域によって名称が異なり、「ホンガツオ」や「マガツオ」とも呼ばれます。日本でもっともよく獲れ、市場での流通が多い品種です。

腹側に縞模様があるのが特徴で、小さいもので50cmから大きいもので1m近くまで成長します。旬は春時期と秋時期です。

ソウダガツオ

ソウダガツオは冬時期に獲れるカツオで、体長は40~60cmと小ぶりです。外見はサバに似ていて、背中に縞模様があります。

ソウダガツオはヒラソウダガツオとマルソウダガツオの2種類に分けられ、ヒラソウダガツオは体が平たく、マルソウダガツオは体が丸いなど外見上の違いが見られます。

マルソウダガツオは血合い部分が多く脂が少ないため、あまり生食には向いていません。カツオ節の原料としてよく使われ、代表的な加工品は、高知県土佐清水市の名産品である「宗田節(そうだぶし)」です。

ハガツオ

ハガツオは、鋭く大きな歯が名前の由来となっています。体長は50cmから1mほどで、背中側に縞模様が入っているのが特徴です。

味わいが「カツオとサワラの中間」と称されるように、赤みが弱く白っぽい見た目をしています。旬は8月から10月です。

スマガツオ

スマガツオは背中の縞模様がほかの品種と違い、斜めに走っています。名前の由来は「横縞鰹」の意味で「シマガツオ」と呼ばれ、転じてスマガツオになったという説が濃厚です。

旬の時期は、秋から冬と言われています。カツオのなかでは特にサイズの大きい種類です。

カツオの獲れる時期による違い

日本でもっとも流通量の多いカツオ(ホンガツオ)は水揚げされる時期によって、名称も味わいも異なります。

初カツオ(春獲り)

初カツオは高知県で初めに獲れるカツオを指します。時期は3月頃ですが、水揚げ量が増える5月から6月頃のカツオの方が身が引き締まっていておすすめです。

初カツオはあっさりとした味わいで、かつお節にも使用されます。

戻りカツオ(秋獲り)

春に高知県付近を泳いでいたカツオの群れは、7月から8月に北海道まで北上しますが9月から11月頃になると再び南下してきます。このUターンしてきたカツオが戻りカツオです。

戻りカツオは初カツオに比べて約10倍もの脂肪分を蓄えているので、脂がたっぷりとのっています。マグロのトロに匹敵する脂肪分の多さからトロカツオとも呼ばれる種類です。

カツオに含まれる成分・栄養素

カツオ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

カツオはタンパク質の豊富さが特徴です。生のカツオ100gあたり約25~26gのタンパク質が含まれ、アジやイワシと比較すると1.5倍の含有量を誇っています。

ほかの栄養素としてはカルシウムや鉄などのミネラル、ビタミンB1やビタミンB2などのビタミンB群が豊富です。

高タンパクで栄養価が高いカツオは、特に血合い部分に栄養分が多く含まれます。血合いは臭みが多いですが、効率的な栄養補給のためにも積極的に摂取した方が良い部分です。

また、カツオは糖質が低いのでダイエット食としても注目を浴びています。春獲りの初カツオより、秋獲りの戻りカツオの方が脂肪分が多く分カロリーは高いですが、ほかの魚に比べるとヘルシーと言えるでしょう。

さらに栄養価の高いカツオ節

カツオ節とは、蒸したあとに乾燥とカビ付けを繰り返してできた加工品です。

水分が減り、旨味がぎゅっと濃縮された状態なので、成分表で比較すると生カツオの3倍ほど栄養が多く含まれている傾向にあります。

食品名単位カツオ 春獲り 生カツオ 秋獲り 生ソウダカツオ 生カツオなまりなまり節カツオ節削り節削り節つくだ煮カツオ角煮カツオ塩辛カツオ味付けフレークカツオ油漬フレーク
廃 棄 率%353540000000000
エネルギー(kcal)kcal/100 g11416513613417335635123722462141293
エネルギー(kJ)kJ/100 g477690569561724149014699929372595901226
水 分g/100 g72.267.369.966.958.815.217.236.141.472.965.855.5
タンパク質g/100 g25.82525.729.83877.175.719.5311218.418.8
アミノ酸組成によるタンパク質g/100 g20.120-20.9-24.3-30.962.862.6-15.3
脂 質g/100 g0.56.22.80.71.12.93.23.31.61.52.724.2
トリアシルグリセロール当量g/100 g0.34.92.10.40.71.81.92.61.10.72.423.4
飽和脂肪酸g/100 g0.121.50.740.160.270.620.710.60.350.330.783.48
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.071.330.480.090.160.330.350.80.280.140.585.45
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.141.840.840.170.220.810.791.090.390.240.9413.44
コレステロールmg/100 g605875809518019057562105341
炭水化物g/100 g0.10.20.30.40.50.80.432.321.4Tr10.70.1
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g
水溶性食物繊維g/100 g000000000000
不溶性食物繊維g/100 g000000000000
食物繊維総量g/100 g000000000000
灰 分g/100 g1.41.31.32.21.643.58.84.613.62.41.4
ナトリウムmg/100 g43388111095130480310015005000650350
カリウムmg/100 g430380350300630940810410290130280230
カルシウムmg/100 g11823112028465410180295
マグネシウムmg/100 g423833324070916940373023
リンmg/100 g280260230300570790680290220150190160
mg/100 g1.91.92.63.755.598652.60.9
亜鉛mg/100 g0.80.91.20.91.22.82.51.30.711.80.70.5
mg/100 g0.110.10.150.170.20.270.430.180.090.070.150.07
マンガンmg/100 g0.010.010.020.020.030.050.350.260.070.110.02
ヨウ素µg/100 g2545
セレンµg/100 g100320
クロムµg/100 gTr1
モリブデンµg/100 gTr1
レチノールµg/100 g5209TrTrTr24TrTr90TrTr
α-カロテンµg/100 g00000000
β-カロテンµg/100 g00000000
β-クリプトキサンチンµg/100 g000000
β-カロテン当量µg/100 g000000000000
レチノール活性当量µg/100 g5209(Tr)(Tr)(Tr)24(Tr)(Tr)90(Tr)(Tr)
ビタミンDµg/100 g4922421646512094
α-トコフェロールmg/100 g0.30.11.20.20.41.21.10.40.50.712.6
β-トコフェロールmg/100 g000000.300.10000.4
γ-トコフェロールmg/100 g000000.101.20.10014.9
δ-トコフェロールmg/100 g000000.20Tr0006
ビタミンKµg/100 g000000000200
ビタミンB1mg/100 g0.130.10.170.190.40.550.380.130.150.10.140.12
ビタミンB2mg/100 g0.170.160.290.180.250.350.570.10.120.250.130.11
ナイアシンmg/100 g191816.216.3354537.412171.71515
ビタミンB6mg/100 g0.760.760.540.460.360.530.530.190.210.050.290.4
ビタミンB12µg/100 g8.48.612.420.510.614.821.95.344.58.32.8
葉酸µg/100 g64141610111527154897
パントテン酸mg/100 g0.70.611.290.580.70.820.970.570.420.430.370.24
ビオチンµg/100 g5.714.9
ビタミンCmg/100 gTrTrTr000Tr00000
食塩相当量g/100 g0.10.10.20.30.20.31.27.93.812.71.70.9
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g
重量変化率%
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

カツオの効果・効能

カツオに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

良質なタンパク質が多く体作りにも

比較表のとおり、生カツオには100gあたり約25gのタンパク質が含まれ、高タンパクの食品ということがわかります。タンパク質は筋肉や内臓を構成する栄養素で、体内で効率よく利用するためには含まれるアミノ酸の種類が重要です。

カツオには必須アミノ酸だけでなく、アンセリンやカルノシンなどのアミノ酸も多く含まれます。アンセリンやカルノシンは疲労の緩和作用があり、マウスを用いた実験では摂取後に遊泳持久力が向上しました。

まさにカツオは筋肉作りに適した食品と言えるでしょう。

肥満防止にタウリン

カツオのタンパク質には、タウリンと呼ばれるアミノ酸が含まれます。タウリンは肝機能を高める作用が注目されており、市販の栄養剤にもよく含まれている成分です。

タウリンは胆汁酸と結びつき、コレステロールの消費を促すため、コレステロールの低下作用が期待されています。タウリンの摂取が多い人ほど、血中コレステロールや肥満度を示すBMIの値が低いという研究結果も存在します。

貧血予防効果に期待

鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類ありますが、カツオに含まれるのはヘム鉄です。ヘム鉄は吸収率が高いうえに、非ヘム鉄の吸収も促進してくれます。

鉄が欠乏すると血中のヘモグロビンが減り、鉄欠乏性貧血を引き起こすため注意が必要です。

カツオは正常な赤血球の形成を助けるビタミンB12や、鉄の吸収を高める動物性たんぱく質が豊富なため、貧血予防として適した食品だと言えるでしょう。

疲労回復が見込めるビタミンB群

水溶性ビタミンのビタミンB群は体内の代謝活性をサポートする栄養素です。特にビタミンB1やビタミンB12は慢性疲労との関係性も高く、ビタミンB群が多く含まれるカツオは積極的に摂取したい食品です。

また、カツオと疲労回復の関係において、味の素株式会社が非常に興味深い研究結果を発表しています。中高年を対象にカツオだしを継続摂取してもらったところ、摂取していないグループと比較して疲労感が軽減したという成果が報告されました。

研究結果からも、カツオには優れた疲労回復作用があると考えられるでしょう。

骨の強化に役立つ

カツオには、ミネラルの一種であるカルシウムが多く含まれます。カルシウムは骨を形成する栄養素のため、骨粗鬆症予防としても規定量の摂取が望ましいです。

また、カツオには脂溶性ビタミンのビタミンDも含まれます。ビタミンDの主な作用はカルシウムの吸収促進です。カルシウムとビタミンDを同時に摂取できるカツオは、骨の強化にも理想的な食材と言えるでしょう。

妊婦が摂取すべき必須脂肪酸

カツオの栄養素で近年もっとも注目されているのが、多価不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA (ドコサヘキサエン酸)です。EPAとDHAは体内で作ることができない必須脂肪酸のため、食品から摂取する必要があります。

妊娠中は胎児の器官形成に必要なEPAとDHAの摂取が重要です。欠乏すると早産や低体重児出産のリスクが高まるという事例も見受けられます。

カツオは魚のなかでもEPAとDHAの含有量がトップクラスと言われるので、ぜひ注目してみてください。

カツオの食べ方

カツオの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

カツオの洗い方

市販されているカツオは洗う必要はありませんが、生臭さが気になる人は湯引きすると良いでしょう。お湯に10秒ほどカツオをくぐらせ、氷水で浸せば臭みは和らぎます。

カツオの調理方法

カツオは時期によって味わいが異なるので、調理の仕方を変えると良いでしょう。

脂肪分が少なくあっさりとした味わいの初カツオは、表面のみを炙るたたきで食すのが適しています。ショウガや大葉、玉ねぎなどの薬味をたっぷりのせて食べれば、カツオに不足している食物繊維も同時に摂取できます。

一方、こってりとした味わいになる戻りカツオは刺身がぴったりです。厚めに切って食べればカツオの旨味を存分に堪能できるでしょう。

そのほか、角煮や照り焼きなど加熱調理でも楽しめます。

カツオの食べ方

特に栄養価の高い血合い部分を食べるには、酸味の強い梅干しや香りが強いオリーブオイルと合わせましょう。血合い独特の生臭さが緩和されて食べやすくなるうえに、酸味成分のクエン酸が鉄やカルシウムの吸収を促すので相性が良いです。

また、カツオに含まれるビタミンDを効率よく摂取するため、揚げ物やソテーにして食べる方法もあります。ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、吸収率を高める油と一緒に摂取するのが望ましいです。

カツオを調理する際の注意点

カツオに豊富に含まれる鉄は水に溶けやすい性質を持っています。

鉄分を効率的に摂取したい場合は、煮たり茹でたりなどの加熱調理ではなく生のまま刺身で食べる方法がおすすめです。

カツオを食べる際の注意点

カツオはアミノ酸の一種であるヒスチジンが多く含まれます。ヒスチジンは、アレルギー反応に関わるヒスタミンを合成する成分です。

ヒスチジンを過剰摂取すると血中のヒスタミンが増え、アレルギー症状を持っている人は強いかゆみが出る場合があるため注意してください。

カツオの保存方法

カツオの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

生魚は空気に触れた瞬間から酸化していくため、購入した日に食べ切るのがベストです。鮮度が落ちると茶色っぽく変色し、味だけでなく見た目も損なわれます。

もし食べきれない場合は、冷蔵保存か冷凍保存で対処してみてください。

冷蔵保存

冷蔵保存する場合は、購入時のパックから取り出して保存しましょう。

水分が付着したままだと生臭くなりますので、キッチンペーパーなどで水分をしっかり拭き取ります。新しいキッチンペーパーにくるみ、上からラップを巻いたら包保存袋に入れて保存してください。

それでも保存期間は1日で、あまり長く持ちません。どうしても生のまま長期保存したい場合は、調味料に漬ける方法があります。調味料が酸化を防いでくれるので、4日ほど保存が可能です。

冷凍保存

長期保存したいなら、冷凍保存がおすすめです。冷凍保存の場合もしっかりと水分を拭き取ってから、1つずつラップにくるみます。刺身は1枚ずつラップに包むようにしましょう。

保存袋に入れ、冷凍庫で保存すれば1ヶ月ほど日持ちします。

使うときは冷蔵庫を使った自然解凍か、急ぐ場合は流水につけながら解凍してください。解凍した際に水分が抜け出てしまうので、生で食べる方法は向きません。揚げ物や煮物などに活用しましょう。

加熱調理後の保存

加熱調理してから保存する方法もあります。

加熱後に身をほぐし味つけをしたカツオフレークなら、冷蔵保存で約1週間はおいしく食べられるでしょう。醤油などの調味料で臭みも消せるので一石二鳥です。

参考文献