にんにくの栄養と効果効能・調理法・保存法

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にんにく

にんにくの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、にんにくに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

にんにくとは

にんにく(garlic)はユリ科(ネギ科)ネギ属の野菜です。漢字で書くと「大蒜」、昔は「おおびる」とも呼ばれていましたが、現在は一般的に「にんにく」と呼びます。一説によると、原産地は中央アジアのキルギス地方です。

にんにくに含まれる香気成分「アリシン」には、免疫力を高める働きや疲労回復の働きがあり、紀元前3,000年以前から古代エジプトでは、薬用やスタミナ源として食されていました。

にんにくは、通年スーパーなど店頭にならぶ野菜ですが、それは乾燥させたにんにくです。

乾燥前に出荷される生にんにくは、6月下旬ごろに旬を迎えます。日持ちしないため、ほとんど出回りません。一般的なにんにくは、6月下旬ごろに収穫されたものを1ヶ月ほど乾燥し、その後出荷されます。

にんにくの品種・種類

日本は、全体の約6割を中国など海外からの輸入に頼っています。国内でもにんにくは栽培されており、国産にんにくの総生産量の3/4を青森県が占めています。

にんにくにはいくつかの品種がありますが、「寒地型(北方系)」と「暖地型(南方系)」の大きく2つに別れます。

寒地型(北方系)

寒地型は主に北海道や東北地方など東日本で栽培されています。

にんにく1個あたり6片前後で、1片が大きいのが特徴。代表的な品種には、青森県の「福地ホワイト」や、北海道の「富良野」があります。

暖地型(南方系)

暖地型は四国や九州で栽培されており、にんにく1個あたり12片前後と多く、1片は小さめです。

代表的な品種には、長崎県発祥の「壱州早生(いっしゅうわせ)」九州・四国地方の「上海早生(しゃんはいわせ)」があります。

球の色による違い

にんにくは、「白にんにく」「赤にんにく」「紫にんにく」など、球の色でも分けることができます。

白にんにく

白にんにくは一般的に出回っているポピュラーな品種。名前の通り、外皮が白色をしており、1片が大きく、濃厚な味わいが特徴です。

赤にんにく

薄いピンク色をしており、比較的小ぶりなにんにくです。

白皮のものより味が濃厚で、特有の香りが強いのが特徴。イタリアのシチリア島の名産としても知られています。

紫にんにく

紫にんにくはほんのりとした甘みが特徴。アルゼンチンやアンデス地区、日本国内でも栽培されています。

球の大きさによる違い

にんにくの種類は球の大きさによっても分類されます。

プチにんにく(一片種にんにく)

一般的なにんにくと異なり、プチにんにくは分球せず、1つの塊になっている品種。流通しているほとんどが中国産です。皮を剥くのが楽なので、調理に適しています。

ジャンボにんにく(無臭にんにく)

ジャンボにんにくという名前の通り、大きさは200~800gと大ぶり。手のひらに収まらないほどのサイズです。

見た目は一般的なにんにくをそのまま大きくしたようですが、植物の分類上ではリーキやポワローなど、西洋ネギの仲間。

にんにく特有のにおいが少ないことから、「無臭にんにく」という名前でも知られています。

にんにくの部位による違い

にんにくの部位による違いです。

葉にんにく

にんにくになる前の状態で、若く柔らかいうちに収穫されたものが「葉にんにく」です。炒めものなど中華料理の食材として用いられます。

行者にんにく

行者にんにくは、にんにくと同じくユリ科ネギ属の植物です。

にんにくと同じような香りがあり、滋養強壮効果があるとして古くから北海道で食べられてきました。主な生産地は北海道で、北海道の特産山菜になっています。

にんにくに含まれる成分・栄養素

にんにく100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位ぎょうじゃにんにく 葉 生にんにく りん茎 生にんにく りん茎 油いため茎にんにく 花茎 生茎にんにく 花茎 ゆでガーリックパウダー 食塩無添加ガーリックパウダー 食塩添加にんにく おろし
%109000000
エネルギー(kcal)kcal/100 g341361994544382382171
エネルギー(kJ)kJ/100 g14257083418818415981598715
水 分g/100 g88.863.953.786.786.93.53.552.1
たんぱく質g/100 g3.56.48.21.91.719.919.94.7
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-2.43.9-5-1.4-1.2-17.2--2.9
脂 質g/100 g0.20.95.90.30.20.80.80.5
トリアシルグリセロール当量g/100 g-0.10.5-5.2-0.1-0.10.4--0.3
飽和脂肪酸g/100 g-0.020.13-0.49-0.04-0.020.1--0.07
一価不飽和脂肪酸g/100 g-0.010.03-2.92-0.01-0.010.04--0.02
多価不飽和脂肪酸g/100 g-0.050.29-1.6-0.08-0.050.22--0.16
コレステロールmg/100 g0000022(Tr)
炭水化物g/100 g6.627.530.610.610.773.873.837
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-1.1-1.2--20.2--1.3
水溶性食物繊維g/100 g0.54.14.50.71---
不溶性食物繊維g/100 g2.82.12.33.12.8---
食物繊維総量g/100 g3.36.26.83.83.8---
灰 分g/100 g0.91.41.60.50.5225.7
ナトリウムmg/100 g2816961833001800
カリウムmg/100 g340510610160160390390440
カルシウムmg/100 g291418454010010022
マグネシウムmg/100 g2224291515909022
リンmg/100 g301602003333300300100
mg/100 g1.40.81.20.50.56.66.60.7
亜鉛mg/100 g0.40.810.30.32.52.50.5
mg/100 g0.160.160.210.060.060.570.570.09
マンガンmg/100 g-0.280.360.350.321.171.170.16
ヨウ素µg/100 g-0---113
セレンµg/100 g-1---10104
クロムµg/100 g-0---221
モリブデンµg/100 g-16---776
レチノールµg/100 g00000000
α-カロテンµg/100 g0000000-
β-カロテンµg/100 g20002271067000-
β-クリプトキサンチンµg/100 g-007800-
β-カロテン当量µg/100 g200022710680003
レチノール活性当量µg/100 g170TrTr605600Tr
ビタミンDµg/100 g00000000
α-トコフェロールmg/100 g0.40.51.50.80.80.40.4-
β-トコフェロールmg/100 g0.100TrTr0.10.1-
γ-トコフェロールmg/100 g0.401.50.1TrTrTr-
δ-トコフェロールmg/100 g00Tr0000-
ビタミンKµg/100 g32003545111-
ビタミンB1mg/100 g0.10.190.230.110.10.540.540.11
ビタミンB2mg/100 g0.160.070.090.10.070.150.150.04
ナイアシンmg/100 g0.80.70.80.30.3110.2
ビタミンB6mg/100 g0.151.531.80.310.282.322.32-
ビタミンB12µg/100 g0000000-
葉酸µg/100 g85931201201203030-
パントテン酸mg/100 g0.390.550.680.290.311.331.33-
ビオチンµg/100 g-2---3.53.51
ビタミンCmg/100 g5912104539000
食塩相当量g/100 g0000008.44.6
アルコールg/100 g--------
硝酸イオンg/100 gTr00TrTr---
テオブロミンg/100 g--------
カフェインg/100 g--------
タンニンg/100 g--------
ポリフェノールg/100 g--------
酢酸g/100 g--------
調理油g/100 g--4.8-----
有機酸g/100 g-0------
重量変化率%--83-99---
備考別名: アイヌねぎ、ヒトビロ、やまびる廃棄部位: 底盤部及び萌芽葉廃棄部位: 茎、りん皮及び根盤部茎、りん皮及び根盤部を除いたもの別名: にんにくの芽別名: にんにくの芽ゆでた後水冷し、水切りしたもの試料: チューブ入り
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

にんにくの効果・効能

にんにくに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

アリシン:肝臓の機能を助ける・二日酔い予防に効果的

にんにくの香り成分である「アリシン」は、糖質の代謝を促し、抗菌・殺菌作用があります。また、肝臓の解毒機能を助ける作用によって、肝臓の負担軽減にも効果的です。

この解毒作用によって、お酒の毒素を速やかに分解してくれるため、二日酔い予防の効果も期待できます。

さらに、アリシンには血管を拡張し、血行を促進する働きあります。にんにくを食べることで血の巡りがよくなり、体温が上がって手足の冷えを改善することが期待できます。

アリチアミン:脂肪燃焼を助ける

アリシンはビタミンB1と結合することで「アリチアミン」になります。アリチアミンは、脂肪細胞を燃焼させる褐色脂肪細胞を活性化させる効果があります。

消費カロリーが増え、その結果太りにくい体作りを助けてくれるので、ダイエットに効果的です。

メチルアリルトリスルフィド:血圧を下げる

にんにくのにおい成分の一種である「メチルアリルトリスルフィド」には、血液の凝固を予防する働き(抗血栓作用)があります。これが高血圧の改善に有効です。

また、厚生労働省によると、特に高血圧の人の場合、血圧が若干下がる可能性があるとの報告があがっています。

にんにくの副作用

アリシンは刺激の強い殺菌作用があるため、食べ過ぎると胃の粘膜や胃の壁を荒らす可能性があります。また、腸内にある善玉菌まで殺してしまい、腸内環境を悪化させてしまうことも。

その結果、腹痛や便秘を引き起こしたり、悪玉菌が食べ物を腐食することによるおならが発生しやすくなったりといった恐れがあります。

にんにくの調理方法

にんにくの風味や栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

にんにくの切り方

にんにくに含まれる香り成分アリシンは、「アリイン」という成分が空気に触れて変換されたものです。

そのため、加熱する前に生の状態で刻む・すりおろす・つぶすなどの加工を加えると、にんにくの細胞を壊れることによってより効果的にアリシンを発生させることができます。

にんにくのおすすめ調理方法

アリシンは加熱することで、「スコルジニン」という栄養素を発生させます。スコルジニンは、肝臓の機能をサポートする栄養素。この働きを期待するなら、焼く・炒めるなど加熱調理が好ましいです。

にんにくを調理する際の注意点

にんにくを放置していると芽が出てしまうことがあります。

じゃがいもの芽のように毒があるのではと思われる方が多いですが、にんにくの芽には毒はありません。むしろ通常の鱗片に比べて、鉄や亜鉛、カルシウムなどの栄養素が多く含まれています。

にんにくの保存方法

使いかけのにんにくをそのままの状態で、常温や冷蔵庫で保存すると、芽が出てきたりシワシワになってしまったりすることがあります。

そこで、にんにくの風味や栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存

薄皮を全て剥いて1片ずつキッチンペーパーで包みます。その後、保存用ポリ袋に入れて冷蔵庫のチルド室に入れておきましょう。

新鮮な状態で保存するのが大切です。冷蔵での保存期間は2〜3ヶ月です。

冷凍保存

冷凍の場合は薄皮ごと保存します。薄皮がついたまま2〜3片ずつラップで包み、それらをまとめて冷凍用保存袋に入れて冷凍庫に。約6ヶ月保存することができます。

また、みじん切りやすりおろしなどに下ごしらえしてから冷凍することも可能です。下ごしらえが済んだら大さじ1杯程度に小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫に入れます。下ごしらえした状態での保存期間は約2週間です。

調味料に漬けて保存

にんにくが余った場合、日持ちさせるために調味料と一緒に仕込んで保存することも可能です。

例えば、にんにく醤油やガーリックオイルなどの方法があります。

煮沸消毒した保存ビンに薄皮を剥いたにんにくをまるごと入れ、醤油を注いで漬ければにんにく醤油に、口が大きい保存容器にみじん切りしたにんにくを入れ、オリーブオイルをひたひたになるまで注げばガーリックオイルができます。

解凍する際の注意点

にんにくを冷凍した時に透明に変色する場合があります。これはにんにくの中に含まれる水分が膨張するためです。

透明になったにんにくをそのまま食べると水っぽく感じますが、加熱すれば水分が飛んで特有の風味が戻ります。

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