集中力を高める栄養素と食べ物・飲み物

534views

栄養素

集中力が切れる原因について解説したうえで、集中力を高める栄養素と、それぞれの栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

集中力のメカニズム

集中力とは、物事に注意や意識を集中させる力です。集中力のメカニズムには、脳の前頭葉にある前頭連合野という領域が関わっています。

前頭連合野は、物事の判断や計画を立てるなどの情報整理をおこなう場所です。この高次機能は神経伝達物質によって支えられており、適正な量が分泌されることで脳は活性化します。

特に集中力を高めるために重要なのは、ドーパミンやノルアドレナリンなどのやる気を促す

神経伝達物質です。

集中力が切れる原因

集中力が続かない原因は、主に次の3つが考えられます。

脳の栄養不足

脳の栄養が不足すると、神経伝達物質の生成が滞り集中力が途切れやすくなります。

脳は身体のなかでもとりわけエネルギーを消費する部分です。1日に消費する基礎代謝量のうち、約20%は脳で使われます。脳がエネルギー不足を起こさないためにも、必要な栄養素をしっかり補給することが重要です。

疲労が溜まっている

身体に疲れが溜まっていると脳のパフォーマンス低下につながります。特に寝不足は身体が回復しないうえに、自律神経が乱れるので注意しましょう。

人は緊張状態を作る交感神経と、リラックス状態の副交感神経がバランスよく働くことで集中力が高まります。作業するときも長時間続けてやるのではなく、適度に休憩を挟みながら行うと集中力の高い状態をキープできます。

ストレス過多の状態

ストレスは集中力と密接な関わりがあります。

適度なストレスはノルアドレナリンを分泌させ集中力を高めてくれますが、過度なストレスでノルアドレナリンが過剰に分泌されると、睡眠障害やイライラしやすくなるなどの症状が出てしまいます。

ストレスが多くいつも不安を抱えていると、脳の疲労が蓄積してうつ病を引き起こす可能性も高まります。うつ病とは脳の機能障害により、さまざまな不調が現れる疾患です。神経伝達物質の分泌が低下するので、脳内でノルアドレナリンの量が減り無気力状態に陥ります。

神経伝達物質は多すぎても少なすぎても脳に影響が出るため、適量を分泌させるのが重要ということです。

集中力を高める栄養素

集中力アップに期待できる栄養素を紹介します。

ブドウ糖:脳のエネルギー源に

糖質のなかでもブドウ糖は、脳にとって重要なエネルギー源となります。記事内で紹介したとおり、脳は基礎代謝量のうち約20%を消費しているので、効率的な栄養補給は欠かせません。

ブドウ糖が不足すると脳のパフォーマンスが低下し集中力の欠如につながるので、太るからと敬遠せずに糖質はしっかり摂りましょう。

炭水化物の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA

カカオポリフェノール:脳の働きを活発に

カカオに含まれるカカオポリフェノールは、さまざまな健康作用が注目されています。

脳にとって重要な働きは、脳由来神経栄養因子であるBDNF(Brain-derived neurotrophic factor)の活性作用です。BDNFは脳の活動を支える物質で、学習能力を高める働きが期待されています。

カカオの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB群:代謝をアップさせエネルギーを届ける

水溶性のビタミンであるビタミンB群は、体内であらゆる物質の代謝に関わっています。摂取した栄養素を効率よくエネルギーに変えるには、ビタミンB群の存在が欠かせません。

とりわけ脳にとって良い働きをするビタミンが、ビタミンB1・ビタミンB6・ビタミンB12です。

ビタミンB群の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB1:糖質をエネルギーに

ビタミンB1は、糖質の代謝をサポートする栄養素です。糖質を無駄なくエネルギーに変換してくれるので、糖質が気になる人は一緒にビタミンB1が豊富な食品を摂取しましょう。

さらにビタミンB1は疲労回復のビタミンと呼ばれているので、疲れの蓄積が原因の集中力欠如も防いでくれるでしょう。

ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB6:神経伝達物質生成をサポート

ビタミンB6はタンパク質や脂質の代謝に関わる栄養素ですが、神経伝達物質の合成を促す作用もあります。

セロトニン・ドーパミン・アドレナリンなどの神経伝達物質を合成し、うつ病や不安症状の改善にも期待できます。

ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB12:脳のスムーズな働きに

ビタミンB12は神経機能やDNA合成に関わり、脳の働きにも深い関係があります。ビタミンB12が欠乏すると、記憶力の低下・うつ症状・疲労感などが見られるようになるため注意が必要です。

神経伝達物質であるセロトニンの合成に関わっているので、睡眠の質向上にも役立ちます。

ビタミンB12の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

DHA:脳の活性化

DHA(ドコサヘキサエン酸)は、青魚などに含まれる必須脂肪酸です。脳に取り込まれる性質を持ち、認知機能の改善効果が報告されています。

脳の活性化をサポートする作用があるので、積極的に摂取したい栄養素のひとつです。必須脂肪酸は体内で合成できない物質なので、食品から取り込む必要があります。

オメガ3の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

カフェイン:覚醒効果

コーヒーを飲むと目が覚めるといいますが、カフェインの作用によるものです。カフェインには覚醒作用があり、思考力の向上だけでなく一時的な記憶力アップにも期待ができます。

集中力を高めたいときにはうってつけですが、中毒症状の危険性があるため過剰摂取は禁物です。成人男性なら、1日の摂取量はコーヒー3杯から5杯程度を目安にしましょう。

カフェインの効果効能・1日の摂取目安量・効果的な摂取方法・副作用 | NANIWA SUPLI MEDIA

チロシン:神経伝達物質を合成

集中力を高める成分として、サプリなどに配合されているのがチロシンです。アミノ酸の一種であるチロシンは、神経伝達物質の材料となります。

チロシンを十分な摂取が、やる気を促してくれるドーパミンやノルアドレナリンの効率的な分泌につながれば、集中力アップに期待できるでしょう。

レシチン:脳の活性化

レシチンは別名ホスファチジルコリンと呼ばれ、脂質の一種です。記憶に関わる神経伝達物質アセチルコリンの材料となり、記憶力や集中力アップを促します。

アセチルコリンを合成するにはビタミンB12が重要なので、一緒に摂取するとさらに相乗効果が期待できるでしょう。

集中力を高める食べ物・飲み物

集中力を高める食べ物・飲み物を紹介します。

白米や玄米

脳のエネルギー源となるブドウ糖は炭水化物を構成する物質の一種なので、白米や玄米などの穀物類を摂取するのがおすすめです。

特に玄米はビタミンB群が豊富に含まれるので、より効率的な栄養補給が可能でしょう。発芽玄米に含まれるGABA(ギャバ)はストレスを抑制する作用があり、睡眠の質向上にも期待できます。

米(白米)の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

玄米の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

チョコレート

カカオポリフェノールが含まれる食品といえば、チョコレートです。コンビニでも手軽に買えるうえに、間食でつまみやすいので常備しておくと良いでしょう。集中力をより高めるなら高カカオのダークチョコレートがおすすめです。

カカオポリフェノールは摂取から2時間後に血中濃度が高まると言われているので、集中したいタイミングに合わせて摂取しましょう。

さらにチョコレートにはリラックス作用を持つテオブロミンが含まれており、交感神経と副交感神経のバランスをとってくれるのでより集中力の高まりが期待できます。

ガム

集中力を高めるにはガムが最適です。ガムを噛むことで血流が促進され、脳が活性化することで集中力アップにつながります。咀嚼は海馬を刺激するので、記憶力を高める効果も期待できるでしょう。

さらにガムにはメントールも含まれているので、作業中に噛めば頭をリフレッシュさせてくれるはずです。

ラムネ

ラムネの主原料はブドウ糖なので、脳にエネルギーを補給するにはぴったりのお菓子です。ラムネは持ち運びしやすい形状の商品が多いので、仕事中でも重宝するでしょう。

ただし一気に食べ過ぎると血糖値の急上昇と急降下を招き、かえって集中力の欠如につながる恐れがあります。1回あたり数粒を目安にゆっくりと食べてみてください。

バナナ

バナナにはブドウ糖・ビタミンB1・ビタミンB6などが多く含まれています。セロトニンの合成に欠かせないトリプトファンも含まれるので、睡眠の質向上にも期待できるでしょう。

セロトニンは神経を落ち着かせる作用があるため、集中して物事に取り組みたいときにバナナは向いている食品と言えます。

バナナの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

青魚

青魚はDHAを豊富に含んでいます。青魚のなかでもサバはDHA量の含有量が高いうえに、食事に取り入れやすいのでおすすめです。サバ缶などをうまく使って、DHAを摂取しましょう。

効率的に栄養を摂取するなら、サバ缶の汁ごと調理に使うとさらに効果的です。

サバの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

豚のヒレ肉やレバー

ビタミンB群を豊富に含んでいる食品は豚肉です。特に豚のヒレ肉は、脳のエネルギー補給に欠かせないビタミンB1や神経伝達物質の合成に役立つビタミンB6を多く含んでいます。

豚のレバーも脳の働きに重要なビタミンB12の含有量が高いので、積極的に取り入れましょう。

たまご

たまごには、ビタミンB群とレシチンが多く含まれています。ビタミンB群とレシチンは熱に弱いため、なるべく効率よく摂取したい場合は卵かけごはんが最適です。

手軽に摂取したい人は、コンビニで茹で卵などを買っても良いでしょう。

たまごの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

大豆製品

大豆は非常に栄養価の高い食品で、脳に良い効果をもたらすビタミンB群・レシチン・チロシンが含まれています。

食事に取り入れるなら、手軽に食べられる大豆製品が得策。納豆ならコンビニでも買えるので手軽です。

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

くるみ

ナッツ類も脳の健康には重要です。特にくるみはチロシンやα-リノレン酸が多く含まれているので、脳への作用が期待されます。α-リノレン酸は体内でDHAに変換される栄養素です。

ただしカロリーが高めなので食べ過ぎには注意しましょう。1日の摂取量目安は28gで、およそくるみ7粒ほどです。

くるみの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

コーヒー

カフェインを多く含んでいる飲み物といえば、コーヒーです。記事内で紹介したとおり、カフェインの過剰摂取は中毒症状を引き起こすので飲みすぎには注意しましょう。

成人男性の場合、1日の摂取量目安はコーヒー3杯から5杯程度です。ここぞというときや、集中力を高めたいタイミングで摂取するようにしましょう。

集中力を高める生活習慣

集中力を高める生活習慣を紹介します。

規則正しいリズムでの食事

脳が本来の機能を発揮するには、規則正しい生活リズムが鍵になります。生活のリズムが整うことで、自律神経のバランスが整いやすくなるからです。

特に大切にしたいのは食事です。食事と食事の間が開きすぎると、血糖値の急上昇と急降下が起こりやすくなるので集中力を欠く原因となります。間食を上手に取り入れながら、4時間程度の間隔が開くように食べるタイミングをコントロールしましょう。

また、朝食は活動のエネルギーになるので、必ず食べるようにすると集中力アップにつながります。

食事はよく噛んで食べる

咀嚼は集中力アップに効果的です。噛む行為は脳の活性化に役立つため、一口あたり30回以上噛んで食べるようにしましょう。作業しながら食べると咀嚼回数が減るので、食事だけに集中するよう心がけてください。

さらによく噛んで食べることは満腹中枢の刺激にもつながります。満腹状態は脳のパフォーマンス低下の要因となるので、食べ過ぎを防ぐ意味でも咀嚼は重要です。

食後は副交感神経が優位になり、集中力が上がりにくいので20分から30分の休憩を挟んでから作業を再開するとより効率的でしょう。

こまめな水分補給

水を飲むとホルモンバランスが整い、集中力アップにつながります。人間の身体はほとんどが水分で構成されているので、水分が不足すると集中力欠如だけでなくさまざまな不調を招きます。脱水症状が起こる前に、水はこまめに摂取するようにしましょう。

イギリスでは作業に入る前に500mlの水を飲んだ人は、脳の反応時間が早くなったという研究結果もあります。脳の働きを高めるには、水は欠かせないということです。

環境整備

集中力を高めるには、身の回りの環境が重要です。目から入る情報は雑念になりやすいので、集中を妨げそうなものは片づけましょう。作業するデスクまわりは、整理整頓するよう心がけることが大事です。

また、適度な音は集中力をアップさせることがありますが、気になる場合は耳栓を活用して集中力アップにつなげましょう。

十分な休息と睡眠

疲労は集中力低下の原因になりますので、質の良い睡眠は大切です。子どもの睡眠不足は集中力低下につながるうえに、成長の遅れを招くことがわかっています。

1日に必要な睡眠時間は諸説ありますが、日中に眠気を感じない程度がその人のベストな睡眠時間と言われています。

集中力を高めるには仮眠も大切なので取り入れてみましょう。ただし仮眠をとりすぎると深い睡眠に入ってしまい、パフォーマンスが低下してしまうので30分以内を目安に取るのがおすすめです。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
https://aya-works.com/