体力増進に役立つスタミナがつく食べ物・飲み物

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ダイエットに効果的な栄養素1

疲労の種類と原因を解説したうえで、疲労回復におすすめのスタミナがつく食べ物・飲み物を紹介します。

疲労とは

疲労とは、肉体的・精神的活動によって活動能力や意欲の低下が起こった状態です。疲労の定義と症状について解説します。

疲労の定義

疲労とは、「過度な肉体的・精神的活動や疾病によって生じた不快感と休養の願望を持ち、身体の活動能力が減退している状態である」と日本疲労学会は定義しています。

また「疲労」と「疲労感」は区別されます。疲労は「肉体的・精神的負荷によって生じる活動能力の低下」である一方、疲労感は「疲労している状態を自覚し、不快感と活動意欲の低下を感じる状態」を指します。

疲労の症状

疲労の症状は、人によって程度や種類が異なります。疲労によって引き起こされる主な症状は、次のとおりです。

◎身体のだるさ・脱力感

◎肩こり

◎筋肉痛

◎目のかすみ

◎思考力低下

◎注意力散漫

◎動作緩慢

◎眠気

◎微熱

◎食欲不振

◎イライラ感

疲労のメカニズム

肉体的・身体的ストレスを感じると、人間の身体はストレスから身を守るために、体内でさまざまな対策をとります。主なストレス反応は、免疫機能の促進や体内ホルモンの分泌促進などです。

人間の身体がストレスを感じると、神経系を正常に保つセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が働きます。そのため、過度なストレスや持続的なストレスを受け続けるとセロトニンが枯渇して、神経異常が生じます。これが、疲労の症状を起こす原因です。

また、疲労を感じる要因には脳の血流減少も考えられます。脳は全身の司令塔として作用し、脳が機能しなくなると動作が緩慢になったり、眠気を感じたりといった疲労の症状を引き起こします。

慢性的に疲労を感じている人は脳の血流量が少ないとされており、血流が減少することが脳の機能が正常に働かなくなる原因です。

運動後に感じる疲労感は、筋肉に溜まった乳酸が原因とされてきましたが、現在は乳酸が原因とする説は否定されています。

疲労の種類と原因

疲労・スタミナ回復の方法を考える前に、疲労の原因を知ることが重要です。そこでまずは、疲労の種類とその原因を解説します。

ただし、それぞれの疲労は単体で起こるとは限らず、いくつかの原因が重なって起こることもあります。

肉体的疲労

肉体的疲労は、過度な身体的活動が原因で起こる疲労です。普段よりも運動量が増えたり、異なる運動をしたりしたときに起こります。

一時的な疲労であることが多く、休息をとれば疲労は回復することがほとんどです。しかし、過度な身体的活動を持続するなど、回復が滞る状態になると疲労が慢性化することもあります。

精神的疲労

精神的疲労とは、人間関係によるストレスなどが原因で起こる疲労です。肉体的疲労の原因となる運動も、緊張によるストレスが加わって精神的疲労の原因にもなります。

精神的疲労の原因となるストレス要因には、人間関係だけでなく、病気による身体的不調や子育てなどの精神的負担があります。

精神的疲労も休息をとることで解消できますが、単純な肉体的疲労よりも慢性化しやすいため、食事や生活習慣などの改善がより重要といえます。

天候などの環境による疲労

肉体的・精神的疲労の他に、天候などの生活環境によって疲労を感じることもあります。主な環境による疲労は夏バテです。

夏バテなどの環境による疲労は、身体が周囲の環境温度に適応しきれないことが原因で起こります。そのため、夏バテは夏の初めに起こりやすいのが特徴です。

夏バテだけでなく、冬の寒さや朝晩の気温差が大きい春・秋にも、疲労を感じやすくなります。体質や住んでいる地域の環境など、人によっても症状にばらつきがあり、同じ環境で疲労を感じない人もいます。

スタミナをつけるときに効果的な栄養素

疲労は、慢性化させないことが重要です。疲労回復にはスタミナがつく食事を心がけましょう。スタミナをつけたいとき・疲労回復に効果的な栄養素について解説します。

炭水化物:脳の栄養として作用

炭水化物は、タンパク質や脂質と同じように体内でエネルギーに変わる栄養素です。タンパク質や脂質に比べて、炭水化物はすばやくエネルギーに変わります。エネルギー源となる炭水化物は、スタミナをつけたいときに効果的な栄養素です。

また、炭水化物は体内で糖になり、脳の栄養素としても働きます。脳の栄養が足りずに疲労を感じる状態を予防・改善できます。

タンパク質:トリプトファンが疲労回復に効果的

タンパク質にはエネルギー源としての役割だけではなく、タンパク質を構成する必須アミノ酸の一つであるトリプトファンが疲労回復に効果的です。

トリプトファンは、体内でセロトニンに変化します。セロトニンが不足すると疲労が生じるとされており、材料となる必須アミノ酸であるトリプトファンを多く含む食べ物は、疲労回復におすすめです。

また、人間の身体の約20%はタンパク質でできており、タンパク質を多く含む食べ物を食べることで筋肉や骨に変わります。そのため、スタミナをつけたいときの身体作りにも、タンパク質は重要です。

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB群:脳に必要なエネルギー産生をサポート

ビタミンB群には、疲労回復に効果的な種類が多く含まれています。特にビタミンB1・B2・B6・パントテン酸は、疲労回復に役立つ栄養素です。

ビタミンB1は、糖の代謝を助ける働きを持ちます。そのため、体内で糖に変わる炭水化物と一緒に、ビタミンB1 を多く含む食べ物を摂るとよいでしょう。

またビタミンB1は、神経系を正常に保つ働きもあります。ビタミンB1が欠乏すると、疲労感やイライラを感じやすくなります。

ビタミンB2は、炭水化物やタンパク質、脂質の代謝をサポートする栄養素です。エネルギーを生み出すのに必要なビタミンで、不足するとエネルギー産生が上手くいかずに疲労を感じることもあります。

ビタミンB6は、脳を正常に機能させる働きを持ちます。脳からの指令を身体に伝えるときに必要な神経伝達物質を産生する役割もあり、疲労回復に効果的です。

パントテン酸もビタミンB群の一種です。エネルギー代謝に関与し、パントテン酸が減少すると疲労感を誘発しやすくなるとされています。

ビタミンB群の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

鉄・カルシウム:赤血球に作用して脳に酸素を運搬

鉄は、赤血球の構成成分であるヘモグロビンの合成に作用するミネラルの一種です。赤血球は酸素を全身に運ぶ働きをしており、ヘモグロビンが減少すると脳の酸素が低下します。それにより、身体のだるさなどの疲れを感じます。

また、カルシウムは鉄をサポートする働きがあり、鉄と一緒に摂るとより効果的です。

鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

スタミナ回復におすすめの食べ物・飲み物

疲労回復やスタミナ増進に効果的な食べ物・飲み物について解説します。なお、夏バテ対策におすすめの食べ物・飲み物については下記記事もご覧ください。

夏バテ対策におすすめの食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA

豚肉

肉類は、スタミナ増強に効果的な食材です。特に豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれているため疲労回復に役立ちます。なかでも、もも肉やヒレ肉にビタミンB1が多く含まれています。

スタミナ増強のために豚肉を食べるときは、ニラやネギ、ニンニクと一緒に炒め物にするとよいでしょう。ニラやネギ、ニンニクに含まれる成分であるアリシンが、ビタミンB1の吸収を助けます。

またニラやネギ、ニンニクは、きざむことでアリシンが分泌されてにおいが増します。きざんで炒めることで食欲を増進させるため、スタミナをつけたいときに豚肉と一緒に調理するのがおすすめです。

豚肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

レバー

レバーには、ビタミンB群や鉄、葉酸を多く含みます。ビタミンB群の中では、特にビタミンB2とパントテン酸を豊富に含むため、スタミナをつけたいときにおすすめの食べ物です。

また、鉄を豊富に含むため、疲労回復にも効果があります。豚肉と同様にアリシンを多く含む食材と一緒に調理すると効果的で、レバニラ炒めなどにすると食べやすくおすすめです。

ウナギ

ウナギには、ビタミンB1とB2が豊富に含まれます。炭水化物をエネルギーに変えるときに欠かせないビタミンB1が多く含まれているため、スタミナ回復に効果的な食べ物です。

チーズ

チーズは、ビタミンB2とカルシウムを多く含む食べ物です。カルシウムは、鉄が赤血球に作用して脳に酸素を届けるのを助けるため、直接的ではありませんが疲労回復の効果があります。

また、チーズはビタミンB2も豊富に含むため、乳製品の中でも特に疲労回復におすすめの食べ物です。

チーズ独特の臭みが苦手な場合は、臭みの少ないフレッシュチーズがおすすめです。フレッシュチーズには、カッテージチーズやモッツァレラチーズなどがあります。

疲労・スタミナ回復に効果的な生活習慣

疲労回復・スタミナ増進するために心がけたい食生活や、生活習慣について解説します。

睡眠時間を十分にとる

睡眠は肉体的疲労だけでなく、精神的な疲労の回復にも効果的です。人間の脳は、睡眠中に情報を処理することで、精神的な疲労を回復します。そのため、睡眠時間が短いと疲労が蓄積しやすくなります。

朝起きたときに疲労を感じるときは、睡眠時間を調節することも重要です。人間の睡眠は、90分のサイクルでレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。睡眠時間を6時間や、7時間半など90分の単位に調整して目覚ましをセットすると、スッキリと起きられるかもしれません。

3食バランスよく食べる

食事の量が少なかったり、バランスが偏ったりしているとスタミナが落ちる原因になります。決まった時間に、3食バランスよく食べるように心がけましょう。

疲労感が強いときは、豚肉やレバーなど疲労回復に効果的な栄養素を意識して食材を選んでみてください。

入浴時は全身浴が効果的

シャワー浴よりも湯船につかる全身浴の方が、疲労回復の効果が高いとされています。肩こりなどの肉体的な疲労には、5分よりも10分の方が筋肉がほぐれやすく、湯船の温度はぬるめの方が効果が高いと考えられています。

入浴をするときは、ぬるめのお湯をはってゆっくりと全身浴をするとよいでしょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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