セロトニンを増やす食べ物・飲み物

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セロトニンが減少することで起こる症状や、セロトニンが減少する原因について解説したうえで、セロトニンを増やす方法や、セロトニンの原料となるトリプトファンなどを豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

セロトニンとは

セロトニン(serotonin)とは、感情や気分をコントロールする働きを持つ、脳内の神経伝達物質の一種です。ストレスに対する効能があり、メンタルヘルスの安定には欠かせません。

セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンなどストレスと関係する神経伝達物質の情報を調節しています。精神状態を安定させ、幸福を感じやすくする作用があることから「幸せホルモン」とも言われています。

また、セロトニンには睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を促す作用もあり、セロトニンが不足すると不眠などの睡眠障害が生じることがあります。

セロトニンが減少することで起こる症状・疾患

セロトニンが不足している状態では、神経伝達物質のコントロールが不安定になり、以下のような症状や疾患が引き起こされます。

  • 慢性的ストレス
  • 気分の落ち込み
  • イライラ
  • 不安
  • 向上心の低下
  • 意欲の低下
  • 食欲を抑えられなくなる
  • 不眠
  • 攻撃性の高まり
  • うつ病
  • ストレス障害
  • パニック障害

セロトニンが減少する原因

セロトニンが減少する原因や、セロトニンを合成しにくくなる原因について説明します。

日光不足

セロトニンは、太陽の光を浴びることで合成されます。外に出る機会が少ない生活や、日照時間が短い冬場は、日光を浴びる量が不足してセロトニンが少なくなることがあります。

冬にのみ発症する「冬季うつ病」の原因のひとつが、日照時間の短さによるセロトニンの低下です。

偏った食生活

セロトニンは、食事から摂取する栄養素により合成されます。そのため、偏った食生活で栄養が不足すると、セロトニンが合成できず精神状態が不安定になります。

特に大切な栄養素は、セロトニンの材料となるアミノ酸のトリプトファンです。

腸内環境の悪化

セロトニンが減少する原因のひとつは、腸内環境の悪化です。

トリプトファンからセロトニンを作るときには、ビタミンB6が必要になります。ビタミンB6は食事から摂取できますが、多くが腸内細菌により合成されています。

そのため、腸内環境が悪化して腸内細菌の働きが悪くなると、セロトニンの合成も滞ってしまうのです。また、腸の働きは自律神経と大きく関わっており、ストレスなどで自律神経が乱れると腸の調子も悪くなり、セロトニンが低下します。

腸は、「第二の脳」とも言われる、精神面にも大きな影響を及ぼす臓器です。セロトニンを分泌しやすくするためには、自律神経のバランスを整えたり、腸内細菌を整える食事を意識したりして、腸の調子を日頃から整えておく必要があります。

女性ホルモンの分泌の減少

女性ホルモンのエストロゲンには、セロトニンを活性化させる働きがあります。月経に伴うホルモンバランスの変化や、更年期のエストロゲン減少などによって、セロトニンの働きに悪影響を及ぼすことがあります。

イライラする・感情がコントロールできなくなるといった更年期障害の症状は、セロトニンの不足が原因で引き起こされるものです。

女性ホルモンを増やす・整える栄養素や食べ物については、以下の記事で詳しく紹介しています。

女性ホルモンを増やす・整える食べ物|NANIWA SUPLI MEDIA

女性はセロトニンが不足しやすい

セロトニンを生成する能力は、性別によっても差があります。女性は、男性よりも50%程度セロトニンを作る能力が低く、セロトニン不足に陥りやすいことがわかっています。

女性は、もともとセロトニンの分泌量が少ないことに加え、生理や更年期により女性ホルモンが変動することもセロトニンの分泌を不安定にする要因です。

セロトニントランスポーター遺伝子

セロトニントランスポーター遺伝子は、セロトニンの伝達に関与する遺伝子です。セロトニン伝達量の少ないS型とセロトニン伝達量の多いL型があり、2つの組み合わせからなるSS型・SL型・LL型の3タイプに分けられます。

S型のトランスポーター遺伝子を多く持つSS型の人は、体質的にセロトニンが不足しやすい傾向にあります。

黒人や白人は、L型の遺伝子を多く持つSL型やLL型の人が多いとされています。一方、日本人に最も多いのはSS型で、このことから日本人は遺伝子的に不安になりやすい人種と言えるでしょう。

セロトニンを増やすのにおすすめの栄養素

セロトニンの原料となったり、セロトニンの生成を助けたりする効果のある栄養素について解説します。

トリプトファン

必須アミノ酸のトリプトファンは、セロトニンの原料です。

トリプトファンをはじめとする必須アミノ酸は、体の健康を維持するうえで欠かせない栄養素ですが、体内で生成できないため食事やサプリメントから摂取する必要があります。

大豆製品・乳製品・肉類・魚類などのトリプトファンを多く含む食材を摂取することで、セロトニン不足を解消する効果が期待できます。

ビタミンB6

ビタミンB6は、トリプトファンからセロトニンが合成されるときに必要な栄養素です。水溶性ビタミンの一種であるビタミンB6には皮膚炎や口内炎を予防する効果もあります。

ビタミンB6は、カツオ・マグロなどの赤身魚やレバーに豊富です。果物ではバナナやアボカドに多く含まれています。

ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

マグネシウム

必須ミネラルのひとつであるマグネシウムには、セロトニンの合成を助ける働きがあります。

マグネシウムは、骨や歯の健康にも関わっています。マグネシウムを多く含むのは豆類や魚類です。

マグネシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ナイアシン

ナイアシンは、トリプトファンから合成されるビタミンの一種です。

ナイアシンが不足すると、ナイアシン合成のためにトリプトファンが利用されることでセロトニンが作られにくくなります。ナイアシンは、レバー・肉類・魚類に豊富です。

ナイアシンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

食物繊維

セロトニンの多くは腸で作られます。セロトニンを正常に分泌させるためには、腸内環境を整える効果のある食物繊維を摂取することが効果的です。

食物繊維には水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の2種類があります。腸内環境の改善には、善玉菌のエサとなって悪玉菌を減少させる水溶性食物繊維が最適です。水溶性食物繊維は、海藻類や豆類に多く含まれます。

食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA

セロトニンを増やすのにおすすめの食べ物・飲み物

セロトニンを増やすのに効果的な、各種栄養素を多く含む食べ物・飲み物について解説します。

大豆製品:セロトニンの原料となるトリプトファンが豊富

大豆は、セロトニンの原料となるトリプトファンなどのアミノ酸類をバランスよく含んだ栄養価の高い食材です。

大豆から作られる豆腐・納豆・豆乳などの食品や、味噌・醤油といった調味料からもトリプトファンを摂取することができます。

トリプトファンのほかに、腸内の環境を整える食物繊維が豊富なのもポイント。セロトニンの正常な分泌を促す効果も期待できるでしょう。

さらに、大豆には女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするイソフラボンが含まれています。ホルモンバランスの変化によりセロトニンが減少して起こる、PMS(月経前症候群)や更年期障害による気分の落ち込みにも効果的です。

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

乳製品:トリプトファンを効率的に摂取できる

牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品にはトリプトファンが多く含まれています。日常的に乳製品を摂取することで、トリプトファンが不足するのを予防し、セロトニンの合成を促す効果が期待できます。

また、乳製品に含まれるオリゴ糖や乳酸菌には、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を改善する効能も。腸の調子が悪く、便秘・下痢などでお悩みの方にもおすすめです。

牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ヨーグルトの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

牛・豚・鶏肉:赤身中心の高タンパク部位にトリプトファンが豊富

牛・豚・鶏といった肉類からも、トリプトファンを摂取することができます。

トリプトファンをはじめとするアミノ酸が特に豊富なのは、タンパク質の多い赤身の部位です。牛肉はもも肉・ヒレ、豚肉はロース、鶏肉はむね肉・ささみにトリプトファンが多く含まれています。

また、牛・豚・鶏のレバーには、トリプトファンがセロトニンを合成するのをサポートするビタミンB6が豊富です。

牛肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豚肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

鶏肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

赤身魚:ビタミンB6やナイアシンが含まれるカツオ・マグロ

カツオやマグロなどの赤身魚には、セロトニンの合成を促すビタミンB6や、セロトニンの原料となるトリプトファンが含まれています。

ビタミンB6およびトリプトファンは、脂身よりも赤身に多く含まれるため、セロトニンを補いたいときには赤身の部位を積極的に食べてみましょう。

また、マグロやカツオにはセロトニンの減少を抑えるナイアシンが豊富なのもポイントです。

カツオの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

マグロの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

バナナ:ビタミンB6や脳の働きを助けるブドウ糖が豊富

セロトニンを増やしたいときにフルーツを食べるなら、バナナがおすすめです。果物類のなかで最も多くのビタミンB6が含まれています。バナナはコンビニでも買えるため、手軽に栄養補給しやすいのも魅力です。

また、バナナにはセロトニンが働く脳のエネルギー源となるブドウ糖や、腸内環境を整える効果のある食物繊維も含まれています。集中力が低下していたり、気分の落ち込みが気になったりしているときに役立ててみてください。

バナナの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ナッツ類:セロトニン合成を助けるマグネシウムを含有

ナッツ類には、セロトニンの合成をサポートするマグネシウムが豊富です。マグネシウムが豊富なナッツ類を、セロトニンの原料となるトリプトファンを含む食材と合わせて摂取することで、高い効果が期待できます。

ナッツ類のなかでマグネシウムを多く含んでいるのは、アーモンドやブラジルナッツです。

アーモンドの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

セロトニンを増やすのに効果的な生活習慣

セロトニンが減少するのを予防し、セロトニンを増やすために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

1日30分程度太陽の光を浴びる

セロトニンは、日光を浴びることで生成されます。特に、日照時間の少ない冬場や、天気の悪い日が続いたときは、意識して太陽の光を浴びるようにしましょう。

セロトニンを増やすためには、1日あたり少なくとも30分程度は日に当たる時間を作るのが理想的です。在宅勤務などで日中外に出る機会が少ない方は、室内でレースカーテン越しの日差しを浴びるだけでも効果が期待できます。

日光を浴びるのは起床直後でなければ効果がないとする意見もありますが、うつ病などの治療に用いられる光療法から得られたデータによれば、日中であれば時間帯による違いはあまりないことが判明しています。

また、睡眠ホルモンであるメラトニンは、日光を浴びてから約14~15時間後に分泌量が増加します。朝や午前中に日に当たることは、不眠や寝つきの悪さの改善にも有効です。

リズム運動の習慣を作る

リズム運動とは、一定のリズムで同じ動きを繰り返すウォーキング・ジョギング・スクワットなどの運動のこと。リズム運動は、セロトニンの分泌を増やすのに効果的です。

セロトニンを増やすには、日中に30分程度のウォーキングをするのがおすすめです。セロトニン合成に不可欠な太陽の光を浴びながら運動することで、よりリズム運動の効果を高められるでしょう。

運動は気分転換にもなるうえ、体が疲れることでぐっすり眠れる効果も期待できます。

涙を流す

涙を流すとセロトニンが増加することがわかっています。泣くことにはストレス解消効果も期待できるため、感動する映画を見たり、本を読んだりして涙を流してみましょう。

自分自身の感情を開放して思い切り涙を流せる機会を作るのも、セロトニンを増やすために大切な習慣です。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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