女性ホルモンを増やす・整える食べ物

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女性ホルモンの作用や減少する原因について解説したうえで、女性ホルモンのバランスを整える栄養素と、栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

女性ホルモンの作用

女性ホルモンは、卵巣から分泌されるホルモンで、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。それぞれの働きは次の通りです。

エストロゲン:エストロゲンは、女性らしい体づくりを助けるホルモンです。肌や髪のハリツヤを維持する・骨密度を保つ・自律神経を調節するなど、女性の美しさと健康の維持をサポートします。

女性の体にとって大切なホルモンなので、女性ホルモンというとエストロゲンを指している場合も少なくありません。

エストロゲンは、一般的には8・9歳ごろから分泌が始まり、30代後半から分泌量が低下していきます。閉経前後にエストロゲンが急激に減少することが更年期障害の原因です。

プロゲステロン:プロゲステロンは、妊娠をつかさどるホルモンで、受精卵の着床のために子宮内膜を整えたり、基礎体温を上昇させたりする役割があります。

プロゲステロンは、排卵後から生理前にかけて増加するホルモンです。PMS(月経前症候群)は、プロゲステロンの増加が影響しています。体に水分をため込もうとする作用があるため、むくみや便秘の原因にもなります。

女性ホルモンの減少により起こる症状

女性ホルモンは、加齢と共に減少していきます。女性ホルモンの急激な減少によって起こる心身の不調は更年期障害と呼ばれます。更年期障害の代表的な症状は次の通りです。

  • ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)
  • 異常な発汗
  • 動悸
  • 息切れ
  • めまい
  • 頭痛
  • 耳鳴り
  • イライラ
  • 不安感
  • 気分の落ち込み
  • 関節痛

更年期を過ぎて老年期に入ると、エストロゲンはほとんど分泌されなくなり、更年期障害の症状もおさまっていきます。しかし、エストロゲンによる体を守る働きが失われ、生活習慣病のリスクが高まるため注意が必要です。

エストロゲンが減少すると、骨量が低下して骨粗しょう症になりやすくなり、悪玉コレステロールの代謝が滞り高脂血症になる危険性が高まります。

女性ホルモンの変化(バランスの乱れ)により起こる症状

女性ホルモンのバランスが乱れると、以下のような症状が起こる場合があります。

  • 生理不順
  • 生理痛がひどくなる
  • 頭痛
  • 肩こり
  • むくみ
  • 疲れやすい
  • 睡眠障害
  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • イライラする
  • 肌荒れ
  • 髪のパサつき
  • ひげ・濃い毛が生えてくる

ホルモンバランスの乱れは、PMS(月経前症候群)の原因のひとつでもあります。PMS対策になる生理前におすすめの食べ物・飲み物は以下の記事で詳しく紹介しています。

PMS(月経前症候群)対策になる生理前におすすめの食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA

女性ホルモンが減少・変化する原因

女性ホルモンが減少したり、バランスが崩れたりする原因は以下の通りです。

加齢

女性の体を守るエストロゲンの血中濃度は、20代後半から30代前半にピークを迎え、30代後半からは徐々に分泌量が低下していきます。特に、閉経を迎える45~55歳ごろには急激に減少し、更年期障害を引き起こします。

エストロゲンは、年齢と共に分泌量が減っていくものなので、増やすことはできません。女性ホルモンを補充する「ホルモン補充療法」や、女性ホルモンに似た働きをする成分を摂取して補う方法でコントロールする方法があります。

生活習慣の乱れ

不規則な生活や寝不足、偏った食生活は、女性ホルモンの分泌に悪影響を与える可能性があります。生活習慣を整えることで女性ホルモンがきちんと分泌されるようになり、本来の働きを得られるようになります。

ストレス

ストレスも、女性ホルモンの分泌に関わる要素のひとつです。女性ホルモンを分泌する卵巣は、脳の視床下部からの指令でコントロールされています。心身にストレスを受けると脳の働きが悪くなり、女性ホルモンの分泌にも影響を及ぼします。

妊娠・出産

妊娠中から産後にかけて、女性ホルモンの量は大きく変化します。出産にともなう急激な女性ホルモンの変化により、肌荒れ・抜け毛・つわりなどを引き起こすことがあります。

女性ホルモンを増やす・バランスを整えるのに効果的な栄養素

女性ホルモンに良い影響のある栄養素と、その栄養素を多く含む食べ物・飲み物を紹介します。

大豆イソフラボン:エストロゲンと似た働きで女性の体をサポート

大豆には、エストロゲンと構造が似た大豆イソフラボンというポリフェノールが含まれています。イソフラボンは、エストロゲンと近い働きをすることから、ファイトエストロゲン(植物性エストロゲン)とも呼ばれています。

イソフラボンには、年齢と共に減少するエストロゲンの働きをサポートする効果が期待できます。エストロゲンの急激な減少が原因で起こる更年期障害の緩和や、骨粗しょう症の予防に役立つ栄養素です。

イソフラボンは、コンビニやスーパーで買える豆乳・豆腐などの大豆加工食品からも摂取することができます。味噌・醤油などの大豆を原料とする調味料にもイソフラボンが含まれています。

イソフラボンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

鉄:妊娠を考えている女性にとって大切な栄養素

鉄は、血液中のヘモグロビンに多く含まれる必須ミネラルの一種です。鉄には貧血を予防する効果があるため、生理のある成人女性は成人男性よりも多くの1日摂取推奨量が定められています。妊娠中・授乳中の女性は、さらに多くの鉄の摂取が推奨されています。

また、鉄が不足すると女性ホルモンの合成が滞ったり、健全な卵細胞が育ちにくくなったりする恐れがあります。女性ならば積極的に摂っておきたい鉄ですが、特に妊娠を望んでいる方にとって大切な栄養素と言えるでしょう。

鉄には動物性食品に含まれるヘム鉄と植物性食品に含まれる非ヘム鉄があり、体への吸収率が高いのはヘム鉄です。ヘム鉄は、豚・鶏・牛のレバーや、あさり・いわしなどの魚介類に特に多く含まれています。

一方、植物性の非ヘム鉄は、ひじきなどの海藻類や、ケール・ほうれん草・プルーンなどに豊富。非ヘム鉄の吸収効率を高めたいときは、ビタミンC・タンパク質・クエン酸などの有機酸を含む食材と共に摂取しましょう。

鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンC:女性に必要な鉄の吸収を助ける

ビタミンCは、女性ホルモンの分泌に影響を及ぼす鉄の吸収効率を高める働きがある栄養素です。鉄を含む食材と合わせて摂っておきたいビタミンと言えます。

ビタミンCは、水溶性ビタミンの一種で、野菜や果物に多く含まれています。人間の体内では生成することができないため、食品やサプリメントから補給するようにしましょう。

また、ビタミンCには美白・美肌作用もあるため、女性ホルモンの減少による肌荒れが気になるときにもおすすめです。

ビタミンCは、アセロラ・グァバ・柑橘類・ベリー類などの果物に特に多く含まれており、野菜類の中ではパプリカに豊富に含まれています。

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ハーブなど植物由来の成分:チェストベリーやローズヒップがおすすめ

ハーブのなかには、女性ホルモンに良い影響を与えるものがあります。女性ホルモンの乱れが気になるときに特におすすめなのは、チェストベリーやローズヒップを含むハーブティーなどの食品です。

チェストベリーは、海外のいくつかの研究でPMSや生理痛の改善に有効であることが示唆されているハーブです。実際に、市販されているPMS治療薬にチェストベリー乾燥エキスが有効成分として配合されている例もあります。

一方、ローズヒップにはプロゲステロンの原料となるビタミンEが豊富に含まれており、女性ホルモンのバランスを整える効果が期待できるハーブのひとつです。

女性ホルモンを増やす・整えるために効果的な生活習慣

女性ホルモンを整えるために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

規則正しい生活で十分な睡眠をとる

生活習慣が乱れていると、卵巣がうまく働かなくなり女性ホルモンの分泌が滞る恐れがあります。生活リズムを整えて十分な睡眠をとることで、女性ホルモンの分泌を正常な状態に戻しましょう。

ストレスを溜め込まない

ストレスは、卵巣の機能を低下させ、女性ホルモンの分泌に悪影響を与える場合があります。ストレスにより生理の周期が不規則になったり、更年期障害が悪化することもあるため、ストレスを溜め込まずに解消する方法を見つけましょう。

ストレス解消には、好きな音楽を聞いたり、リラックス効果のあるアロマテラピーを楽しんだりすると良いでしょう。悩みや不安を、信頼できる友人や家族に聞いてもらうだけでも気持ちが楽になります。

運動不足を解消する

血流が悪くなると女性ホルモンが分泌されにくくなる可能性があります。血流を促すためには、ストレッチやウォーキングなど負荷の軽い運動を定期的に行うのがおすすめです。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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