パッションフルーツの栄養と効果効能・調理法・保存法

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パッションフルーツの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、パッションフルーツに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

パッションフルーツとは

パッションフルーツ(passion fruit)とは、つる性のトケイソウ科の果樹です。多くの果物では種を取り除いて食べますが、パッションフルーツの種はゼリー状の果肉に包まれており、種ごと飲み込むように食べるのが特徴です。

和名の「クダモノトケイソウ」は、パッションフルーツの花が時計の文字盤のように見えることから、名付けられました。

野生種は、アメリカ大陸の亜熱帯地域に生育しており、ブラジルや東南アジアなどの温かい地域が原産地です。日本でも、鹿児島県や沖縄県といった、亜熱帯気候にまたがる地域で栽培されています。

パッションフルーツが最初に発見されたのは、16世紀でした。アメリカ大陸に渡ったスペイン人が、キリストが磔にされた十字架とパッションフルーツの花を重ね合わせて、「キリストの受難(passion of Christ)」と呼んだことが始まりです。

日本にパッションフルーツが持ち込まれたのは、古くは安土桃山時代と言われていますが、栽培が広まったのは明治時代以降と考えられています。現在は、ハウス栽培を利用して、千葉県や岐阜県などでも栽培しています。

国産パッションフルーツの旬は、6~8月の夏季です。外国産やハウス栽培のパッションフルーツは、一年を通して流通しています。

パッションフルーツは4~5月に花をつけ、果実が成長し、果皮が緑色から赤紫色になると食べごろです。果実は4~6cmで重さは50~80gですが、可食部の果肉と種は15~30g程度。果皮が厚く、食べられる部分が少ないためです。

パッションフルーツの品種

パッションフルーツは品種改良の進んだ果物であり、生産地によって適した品種を栽培しています。品種改良により、亜熱帯気候ではない地域での栽培も可能です。

主な栽培種である「紫色系統」と「黄色系統」の2種類について、解説します。

紫色系統

国内で多く流通しているタイプのパッションフルーツで、果皮が赤紫色をしています。熟すと褐色に変化し、独特な香りも強くなるのが特徴です。

黄色系統よりも酸味が強くて、みずみずしい果汁をもっています。一般に黄色系統よりも果実が小さく、耐寒性に優れています。

黄色系統

黄色系統のパッションフルーツは、紫色系統よりも甘味が強く、酸味とのバランスがとれた種類です。果皮は黄色、あるいはオレンジ色をしています。

紫色系統よりも大型ですが、日本国内ではほとんど生産されていません。

パッションフルーツに含まれる成分・栄養素

パッションフルーツ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

含まれる成分・栄養素の中で、特筆すべきはβ‐カロテンの含有量の多さです。パッションフルーツには、100gあたり1,100μgのβ‐カロテンが含まれています。果物の中では、あんず(生)の次にβ‐カロテンの多い食べ物です。

脂質はほとんど含まず、ミネラルやビタミンが豊富なパッションフルーツは、美容・ダイエット効果を期待できます。

食 品 名単位パッションフルーツ 果汁 生
廃 棄 率%0
エネルギーkJ285
kcal67
水 分g82
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g
たんぱく質g0.8
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g
コレステロールmg0
脂質g0.4
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-4.1
g
利用可能炭水化物(質量計)g-4
差引き法による利用可能炭水化物g13.4
*
食物繊維総量g0
糖アルコールg
炭水化物g16.2
有機酸g2.8
灰分g0.6
無機質ナトリウムmg5
カリウムmg280
カルシウムmg4
マグネシウムmg15
リンmg21
mg0.6
亜鉛mg0.4
mg0.08
マンガンmg0.1
ヨウ素μg
セレンμg
クロムμg
モリブデンμg
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg0
α|カロテンμg0
β|カロテンμg1100
β|クリプトキサンチンμg16
β|カロテン当量μg1100
レチノール活性当量μg89
ビタミンDμg0
α-トコフェロールmg0.2
β-トコフェロールmg0
γ-トコフェロールmg0
δ-トコフェロールmg0
ビタミンKμg-1
ビタミンB1mg0.01
ビタミンB2mg0.09
ナイアシンmg1.9
ナイアシン当量mg2
ビタミンB6mg0.18
ビタミンB12μg0
葉 酸μg86
パントテン酸mg0.63
ビ オ チ ンμg
ビタミンCmg16
アルコールg
食塩相当量g0
備 考別名: くだものとけいそう
全果に対する果汁分: 30 %
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

パッションフルーツの効果・効能

パッションフルーツに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

β‐カロテンが肌の健康を守る

β‐カロテンは、野菜や果物など植物の色素成分です。パッションフルーツの果肉の色も、β‐カロテンに由来します。摂取されたβ‐カロテンは、小腸の上皮でビタミンAに変換されるため、プロビタミンAとも呼ばれる栄養素です。

ビタミンAに変換されたβ‐カロテンは、皮膚や粘膜を正常に保つ働きをします。そのため、β‐カロテンを多く含む食べ物を食べることは、肌の健康維持につながります。

またビタミンAは、免疫機能を高める働きもある成分です。冬至にかぼちゃを食べる風習は、β‐カロテンの豊富なかぼちゃが、免疫力を高める効果をもつことから、風邪を予防する目的で始まりました。

β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンCで老化や生活習慣病を予防

ビタミンCは、水溶性ビタミンの1種で、強い抗酸化作用をもった栄養素です。アセロラやグァバ、ケールなどの果物・野菜に多く含まれています。

抗酸化作用とは、代謝産物である活性酵素を無効化する働きです。活性酵素の中には、免疫機能に作用する有益なものもありますが、過剰産生して体内に蓄積した活性酵素は、老化やがんの原因となります。

ビタミンCの抗酸化作用は、身体に不要な活性酵素の産生を抑制するよう働きかけます。

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB6が皮膚や髪を健康に保つ

ビタミンB6は、タンパク質の代謝に関与するビタミンB群のうちの1つです。

タンパク質の分解や利用を、スムーズに行うために欠かせません。とくに、皮膚や髪の生成に大きく影響を与え、健康で美しい肌・髪を保つ働きをします。ビタミンB6の不足は、脂漏性皮膚炎などの原因となります。

また、ビタミンB6は神経伝達物質の合成にもかかわっており、不足すると神経障害を引き起こすリスクが高まります。うつ症状や、けいれん発作、不眠症の原因になると考えられており、ビタミンB6は人体に欠かせない栄養素です。

ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸は胎児や乳幼児の生育に必要

葉酸は、酵素の補酵素として機能するビタミンの仲間で、DNAなど遺伝子合成に関与します。とくに赤血球合成に大きくかかわり、造血には欠かせません。食事から摂取する葉酸が不足すると、貧血を起こすこともあります。

人体を構成する細胞を作るために働く葉酸は、胎児や乳幼児の生育に必要な栄養素です。胎児の発育が盛んな妊娠初期は、葉酸の多く含む食べ物を積極的に摂りましょう。妊婦の葉酸欠乏は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクとなります。

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

クエン酸によるダイエット効果

クエン酸とは、柑橘類に含まれる有機化合物の1種です。酸味の成分で、パッションフルーツ梅干し、レモンなどに多く含まれています。

重曹と同様に、掃除に使われるイメージもありますが、食べ物に含まれるクエン酸は、エネルギー代謝に作用します。エネルギー産生の1ステップであるTCA回路(クエン酸回路)で、タンパク質・炭水化物・脂質の代謝に関与するため、効率よくエネルギーを生み出すのに必要な栄養素です。

効率よく、食べ物からエネルギーを作り出すクエン酸は、ダイエットや美容への効果も期待されています。

クエン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

パッションフルーツの食べ方

パッションフルーツの栄養素を損なわない食べ方・選び方などを解説します。

パッションフルーツの選び方

パッションフルーツは、熟すと自然に果樹から落下する果実です。そのため、果皮の傷は自然落下したときのものである可能性があり、小さな傷は問題ありません。ただし、果皮が割れるくらいの傷がついたものは避け、色の濃淡が少ない果実を選びましょう。

選ぶときのポイントは、次のとおりです。

  • 大きな傷がない
  • 色の濃淡が少ない
  • 果皮に艶がある
  • 重みがある

なお、パッションフルーツは完熟すると果皮に皺ができます。表面に皺があるものは、追熟させなくても、すぐに食べられる証拠です。すぐに食べる予定がない場合は、皺のないパッションフルーツを選ぶとよいでしょう。

パッションフルーツの食べごろ

パッションフルーツは、熟すほど甘味が強くなります。そのため、好みによって食べる時期を変えるとよいでしょう。

酸味を楽しみたい場合は、パッションフルーツの表面に皺がでる前に食べるのがおすすめです。熟しきっていない、酸っぱく爽やかな果実を食べられます。

強い酸味が苦手な人は、表面に皺ができるまで追熟させましょう。室温に置いて追熟させることで、甘酸っぱいパッションフルーツを楽しめます。

パッションフルーツの食べ方

パッションフルーツは、食べる直前に果皮を水で軽く洗い、半分に切って中の果肉をスプーンですくって食べます。

果肉はゼリー状で透きとおっており、中には種が入っています。種ごと果肉を飲み込むように食べるのが、パッションフルーツならではの食べ方です。

基本的には、そのままの酸味を楽しむ果物ですが、酸味が気になる場合は砂糖をかけても、おいしく食べられます。

甘酸っぱいピューレやジャムも作れる

生のまま食べるほかに、パッションフルーツは、ピューレやジャムにして食べることも可能です。

ピューレやジャムにするときは、種を取り除く必要があります。果皮を半分にカットして、中の果肉から裏ごし器を使って種を取り除きましょう。

砂糖を加えて煮詰めればジャムに、そのまま使えばピューレになります。ヨーグルトなどにかけて食べるのがおすすめです。

果皮を使ってゼリーやシャーベットにするのもおすすめ

裏ごししたパッションフルーツは、ゼラチンを入れてゼリーにしたり、凍らせてシャーベットにしたりもできます。シャーベットにするときは、種を取り除かず、そのままでも問題ありません。

果皮を再利用し、中にゼリーやシャーベットを入れて、器のように使うと果皮の香りも楽しめるでしょう。

パッションフルーツの保存方法

パッションフルーツの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

追熟させるときは室温保存する

パッションフルーツが熟しきっていないときは、室温で保存します。直射日光は避け、20℃前後で保存するとよいでしょう。果皮に皺がでたら食べごろです。

完熟前のパッションフルーツを、冷蔵庫や冷凍庫に入れてしまうと、成熟が止まってしまうので注意しましょう。

熟しているパッションフルーツは冷蔵保存も可能

完熟後のパッションフルーツを室温に置いておくと、痛みやすくなるため、表面に皺がでたら冷蔵庫に保存します。熟したパッションフルーツは日持ちしないため、早めに消費しましょう。

また、長期間保存することで、酸味が薄れてしまうこともあります。パッションフルーツ特有の甘酸っぱい味を楽しみたいなら、熟したまま放置しない方がよいでしょう。

完熟後のパッションフルーツは冷凍保存もおすすめ

パッションフルーツを熟しすぎないように保存するには、冷凍保存もおすすめです。

冷凍保存したパッションフルーツは、半分に切ってそのままシャーベットのように食べます。生の果肉とは違う食感を味わえ、食後のデザートにぴったりです。

ジャムなどに加工するときは、果皮を取り除いて果肉だけを冷蔵・冷凍保存することも可能です。

参考文献