レモンの栄養と効果効能・調理法・保存法

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レモン

レモンの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、レモンに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

レモンとは

レモン(lemon)は、ミカン科ミカン属の果物です。

レモンの祖先に当たる果物は、中国南部もしくはインダス周辺が起源と言われており、シルクロードを通ってヨーロッパに。古代ヨーロッパでは、レモンは観賞用として楽しまれていましたが、中東では料理やシャーベットなどの使われていました。

レモンが日本に入ってきたのは明治時代。静岡県の熱海に伝わりました。現在、国内で流通するレモンの多くが輸入品で、主にアメリカのカリフォルニアとチリ産です。

国内では瀬戸内を中心に栽培されていますが、日本の風土がレモン栽培に適していないため、輸入に頼っています。

レモンは1年中スーパーなどで見かけますが、国産レモンの旬は12月下旬〜3月頃。その前の9月頃にまだ青い状態の「グリーンレモン」が収穫されます。

レモンの品種・種類

レモンの品種について解説します。

ユーレカ種

ユーレカ種は、最もスタンダードな品種です。主にカリフォルニアの太平洋沿岸で多く栽培されています。

旬は9〜12月頃。果肉は柔らかくジューシーで、種の量が少ないのが特徴です。

リスボン種

リスボン種は、ポルトガル原産の品種です。レモンの中で最も暑さ・寒さ・風害に強く、アルゼンチンやカリフォルニア内陸部で盛んに栽培されています。

旬は9〜12月頃。酸味が強くて果汁が多いのが特徴です。

ビラフランカ種

ビラフランカ種は、イタリアのシチリア原産の品種です。細長い形をしています。

1921年に日本に導入され、現在で広島では主力品種として栽培されています。旬は9〜11月頃です。

マイヤー(メイヤー)レモン種

マイヤーレモン種は、オレンジとの自然交雑で誕生した品種です。小ぶりで丸みがあり、果皮の色がオレンジ色をしています。

ほかの品種よりも酸味が少なく、やや甘い香りがします。旬は12月下旬〜3月頃です。

レモンに含まれる成分・栄養素

レモン100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位レモン 全果 生レモン 果汁 生
廃棄率%30
エネルギー(kcal)kcal/100 g5426
エネルギー(kJ)kJ/100 g226109
水 分g/100 g85.390.5
たんぱく質g/100 g0.90.4
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g--
脂 質g/100 g0.70.2
トリアシルグリセロール当量g/100 g0.2-0.1
飽和脂肪酸g/100 g0.05-0.02
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.02-0.01
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.11-0.03
コレステロールmg/100 g00
炭水化物g/100 g12.58.6
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g2.6-3.1
水溶性食物繊維g/100 g2Tr
不溶性食物繊維g/100 g2.90
食物繊維総量g/100 g4.9Tr
灰 分g/100 g0.60.3
ナトリウムmg/100 g42
カリウムmg/100 g130100
カルシウムmg/100 g677
マグネシウムmg/100 g118
リンmg/100 g159
mg/100 g0.20.1
亜鉛mg/100 g0.10.1
mg/100 g0.080.02
マンガンmg/100 g0.050.03
ヨウ素µg/100 g0-
セレンµg/100 g1-
クロムµg/100 g0-
モリブデンµg/100 g1-
レチノールµg/100 g00
α-カロテンµg/100 g00
β-カロテンµg/100 g70
β-クリプトキサンチンµg/100 g3713
β-カロテン当量µg/100 g266
レチノール活性当量µg/100 g21
ビタミンDµg/100 g00
α-トコフェロールmg/100 g1.60.1
β-トコフェロールmg/100 g00
γ-トコフェロールmg/100 g0.10
δ-トコフェロールmg/100 g00
ビタミンKµg/100 g00
ビタミンB1mg/100 g0.070.04
ビタミンB2mg/100 g0.070.02
ナイアシンmg/100 g0.20.1
ナイアシン当量mg/100 g-0.1
ビタミンB6mg/100 g0.080.05
ビタミンB12µg/100 g00
葉酸µg/100 g3119
パントテン酸mg/100 g0.390.18
ビオチンµg/100 g1.2-
ビタミンCmg/100 g10050
食塩相当量g/100 g00
アルコールg/100 g--
硝酸イオンg/100 g--
テオブロミンg/100 g--
カフェインg/100 g--
タンニンg/100 g--
ポリフェノールg/100 g--
酢酸g/100 g--
調理油g/100 g--
有機酸g/100 g3.2-
重量変化率%--
備考廃棄部位: 種子及びへた全果に対する果汁分: 30 %
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

レモンの効果・効能

レモンに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

美肌をつくる

レモンの代表的な栄養素といえばビタミンC。ビタミンCには強力な抗酸化作用があり、細胞の酸化による肌トラブルを予防します。

また、シミの原因となるメラニンの生成を抑えて美白効果をもたらしたり、コラーゲンの合成を助ける働きによって肌のハリを保ったり、と美容面で効果的な栄養素です。

免疫力を高める

ビタミンCには、活性酸素による細胞の老化減少や、免疫機能の低下を予防する効果もあります。

ビタミンCは通常、免疫機能を支える白血球に貯蔵されています。白血球は血液やリンパ液の中で、ウイルスや細菌を死滅させるように働きます。

風邪などの感染症にかかると白血球中のビタミンCが減少し、症状が収まるとビタミンCが元の量に戻ることが分かっています。

ビタミンCは不足分を補給するだけでなく、積極的に摂取することで予防・軽減の効果があったという報告や、回復を早めることができたという報告もあります。

疲労回復を助ける

レモンのクエン酸含有量は、果物の中でもトップクラスを誇ります。その量は、みかんの約6倍、りんごの約300倍です。

クエン酸は疲労回復に効果的だといわれています。疲労は、活性酸素による酸化ストレスで細胞がダメージを受け、栄養素を取り入れたり、不要な老廃物を排出したりといった本来の仕事ができなくなることが原因です。

クエン酸は、抗酸化作用があり、活性酸素の発生を抑制する働きがあります。そのため、細胞の元気が保たれ、本来の仕事ができるようになることから、疲労回復に効果的なのです。

リラックス効果・ダイエット効果がある

レモンの皮に含まれる精油成分である「リモネン」。甘酸っぱくて爽やかな香りがあります。

リモネンの香りには、リラックス効果に加えて、交感神経を活性させて血流を良くする効果があります。

またアロマセラピーでは、レモンを含めた柑橘系の精油がダイエット目的で使用されることがあります。これはリモネンが交感神経を活性化させることで、脂肪を分解する働きがあるためです。

骨を丈夫にする

骨を丈夫にする上で欠かせないカルシウムですが、体内に吸収されづらい成分で吸収率は約40%です。

レモンに多く含まれるクエン酸には、「キレート作用」というカルシウムを溶けやすい形にする作用があり、カルシウムの吸収をサポートします。

レモンの調理方法

レモンの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

レモンの洗い方

国産・無農薬のレモンの多くには、ワックスブルームと鮮度保存皮膜剤がついています。

ワックスブルームとは、乾燥しないように、レモンが自ら分泌する天然の物質。対して鮮度保存皮膜剤は、フルーツワックスとも呼ばれ、鮮度を保つために使用される食品添加物です。

いずれも食べても害になるものではありませんが、気になる場合は塩を表面にかけてこすったり、食用洗剤をスポンジにつけてこすったりして、最後は流水でしっかりと流してください。

無農薬表記がない、つまり農薬を使っているレモンも同様に、塩や食用洗剤でしっかり洗いましょう。

レモンを栄養素を効果的に取り入れる方法

クエン酸やビタミンCなどのレモンの栄養素を手軽に取り入れる方法の1つが、果汁をドリンクに混ぜて飲むことです。

朝、一杯の白湯にレモン果汁を搾り入れてレモン白湯にすれば、胃腸を温められるのに加え、便秘やむくみ、冷え性改善が期待できます。

レモンを調理する際の注意点

レモンに豊富に含まれるビタミンCは、水に溶けやすく熱に弱いという特徴があるので、調理する際には注意が必要です。

また、皮ごと使用する場合は、できるだけ国産のレモンを選びましょう。

海外から輸入するレモンには防カビ剤を使用しているケースがあり、防カビ剤は皮に染み込んでいるため、表面を洗うだけでは取ることができないためです。

果汁や果肉を使う場合は、皮を剥いてしまえば問題なく使うことができます。

レモンの保存方法

レモンの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

レモンは10℃を超える環境では劣化するスピードが早くなるため、冷蔵あるいは冷凍保存するのが好ましいです。

まるごと保存する場合は、レモンをキッチンペーパーやラップで包み、保存用袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。保存期間は2週間〜1ヶ月です。

使いかけのレモンは、切り口が乾燥しないようにぴったりとラップで包み、同じく冷蔵庫の冷凍室で保存してください。なるべく早く使い切るようにしましょう。

冷凍保存すれば、ある程度長期保存することができます。

まるごとの場合、ラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫に入れます。使いかけのレモンの場合、果汁を搾って製氷皿に入れます。

スライスしたレモンを1枚ずつラップで包んだり、くし型にカットして保存容器に入れたりして冷凍する方法もあります。

まるごと冷凍する場合の保存期間は約1ヶ月、カットしたレモンを冷凍する場合は3週間以内に使い切るようにしましょう。

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