ファイトケミカルの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
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ファイトケミカルの基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。
ファイトケミカルとは
ファイトケミカル(phytochemicals)とは、植物が作る色素やにおい、辛味などの天然成分です。フィトケミカルとも呼ばれます。
昆虫や紫外線、有害物質など、植物にとって有害なものから植物自身を守るために作られます。たとえば辛味成分は、植物が昆虫に食べられるのを防ぐための成分です。
近年、植物がもつファイトケミカルには、老化や生活習慣病予防の効果があると期待されています。現在も研究によって、さまざまなファイトケミカルの効果が実証されています。
ファイトケミカルの種類
ヒトの身体機能の維持には不要だが健康によい影響のある化合物が、ファイトケミカルに分類されます。
実際には、数千種類ものファイトケミカルが存在すると考えられていますが、ここではファイトケミカルを大きく5つに分類して解説します。
ファイトケミカルの種類 | 特徴 | 分類される主な成分 |
ポリフェノール | 強力な抗酸化作用をもつ。水溶性で、摂取しても数時間で排泄される。 | アントシアニン・カテキン・セサミン・イソフラボン |
カロテノイド | 強い抗酸化作用をもつ色素成分。水に溶けにくい性質をもつ。 | β-カロテン・リコピン・ルテイン・カプサイシン |
香気成分 | 植物の精油に多く含まれる成分。抗酸化作用や免疫機能向上などの作用をもつ。 | リモネン・メントール |
硫酸化合物 | 刺激のあるにおい成分。強い殺菌効果がある。 | アリシン・イソチオシアネート |
多糖類 | 炭水化物の一種で、ねばねば成分の元。海藻や根菜類に多く含まれる。 | フコイダン・ムチン・イヌリン |
ポリフェノールの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
アントシアニンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
カテキンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
イソフラボンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
リコピンの効果効能・多く含む食品・1日の摂取目安量・効率よく摂取する方法・副作用
ルテインの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
カプサイシンの効果・多く含む食品・効率よく摂取する方法
アリシンの効果・多く含む食品・効率よく摂取する方法
フコイダンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
イヌリンの効果・多く含む食品・1日の摂取目安量・効率よく摂取する方法
ファイトケミカルの効果・働き
ファイトケミカルの主な効果・効能について解説します。
ポリフェノールやカロテノイドの抗酸化作用で老化予防
アントシアニンやカテキン、β-カロテンなどの多くのファイトケミカルには、抗酸化作用があります。
抗酸化作用とは、体内で過剰産生された活性酵素を取り除く作用です。活性酵素が過剰産生されると、老化やがん、動脈硬化の原因になります。
セサミンやカロテノイドの一種であるアスタキサンチンにも、抗酸化作用のあることがわかっています。アスタキサンチンは、えびやかにに多く含まれるカロテノイドです。
アスタキサンチンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
イソフラボンには女性ホルモンを整える効果がある
大豆や大豆製品に多く含まれるイソフラボンには、女性ホルモンと似た作用があります。
イソフラボンを摂取することで、女性ホルモンのバランスを整えてホルモンバランスの乱れによる症状を緩和します。とくに、女性ホルモンが減少する閉経前後の更年期障害の症状に効果的と考えられます。
リコピンが血中コレステロールを低減
ファイトケミカルの仲間であるカロテノイドの一種、リコピンには血中コレステロールを下げる働きがあります。カロテノイド、とくにリコピンには強力な抗酸化作用があり、血中の悪玉コレステロールを抑制します。
悪玉コレステロールが血中に増えると、血管壁にたまって酸化し、過酸化脂質へ変化することで血栓ができるメカニズムです。血栓は心臓や脳、肺に詰まって動脈硬化性疾患を誘発します。
リコピンは抗酸化作用によって、悪玉コレステロールの酸化を抑制し、過酸化脂質の産生を抑えます。
β-カロテンやアントシアニンが目を健康に保つ
ファイトケミカルには、目の健康を維持する成分が多く含まれています。とくに、β-カロテンやアントシアニンは、視覚機能の維持に大きな影響を与えます。
アントシアニンは、視覚機能の維持だけでなく、眼精疲労の軽減にも働きかける栄養素です。血流を促進し、目の周囲の筋肉をほぐして疲労を軽減します。
β-カロテンも視覚機能に関与する栄養素で、目の粘膜を健康に保ったり、目の機能改善に働きます。
アントシアニンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
ファイトケミカルの1日の摂取目安量
ファイトケミカルの1日の摂取目安量は、明らかにされていません。種類が多く、それぞれの相互作用についても不明な部分が多いのが現状です。
代表的なファイトケミカルの1日摂取目安量を紹介します。
ポリフェノールの1日の摂取目安量
生活主看病予防のためのポリフェノール摂取は、一般的に1日1,000〜1,500mgが理想の摂取量と考えられています。
β-カロテンの1日の摂取目安量
β-カロテンの必要摂取量は、以下の通りです。
妊娠中や授乳中の女性は、一般の成人女性にプラスしてβ-カロテンを摂取する必要があります。
性別・状態 | 必要摂取量 |
成人男性 | 9.6〜10.8mg |
成人女性 | 7.8〜8.4mg |
後期妊娠の女性 | +0.96mg |
授乳婦 | +5.4mg |
リコピンの1日の摂取目安量
リコピンの摂取目安量に厳密な摂取量は定められていませんが、1日15mg程度が理想です。
トマトに含まれることで有名なリコピンは、未熟トマトよりも完熟トマトのほうが含有量の多いことが特徴。その差は約10倍といわれます。
リコピンの効果効能・多く含む食品・1日の摂取目安量・効率よく摂取する方法・副作用
イソフラボンの1日の摂取目安量
イソフラボンの1日摂取目安量は40〜50mgで、上限は70〜75mgです。
上限を超えてイソフラボンを摂取すると、ホルモンバランスに影響をおよぼすリスクが高まります。ただし、イソフラボンは水溶性のファイトケミカルのため、体外へ排泄されやすく過剰摂取しても副作用の出にくい成分です。
イソフラボンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
ファイトケミカルを多く含む食品
ファイトケミカルを多く含む食品は次の通りです。
ファイトケミカルの種類 | 多く含む食品 | |
ポリフェノール | アントシアニン | ベリー類・ぶどう・なす・赤シソ・梅干し |
カテキン | 緑茶・紅茶 | |
イソフラボン | 大豆製品 | |
セサミン | ごま | |
カロテノイド | β-カロテン | かぼちゃ・ほうれん草・にんじん |
リコピン | トマト・スイカ・あんず | |
ルテイン | 緑黄色野菜・卵黄 | |
カプサイシン | とうがらし | |
香気成分 | リモネン | 柑橘類の皮 |
メントール | ミント | |
硫黄化合物 | アリシン | にんにく・にら・玉ねぎ |
イソチオシアネート | わさび・大根 | |
多糖類 | フコイダン | 海藻類 |
ムチン | 山芋・オクラ・なめこ | |
イヌリン | ごぼう・玉ねぎ・チコリ |
ファイトケミカルを効率よく摂取する方法
最後に、ファイトケミカルをより効率よく摂取する方法を紹介します。
加熱調理して食べる
ファイトケミカルは、植物の分厚い細胞壁の中に含まれています。生で摂取してもよいですが、加熱すると細胞壁が壊れて中の栄養素を吸収しやすくなると考えられています。
そのため、ファイトケミカルを効率よく摂取したいときは、サラダで食べるより加熱調理してたべるのがおすすめです。
スープにして煮汁も摂取するのがおすすめ
水溶性のファイトケミカルは、スープにして煮汁も摂取するとよいでしょう。
水に溶けやすい性質のファイトケミカルは、煮ると煮汁に溶け出してしまいます。煮汁を捨ててしまうと、ファイトケミカルも捨ててしまうことになるため、煮汁も活用するのがおすすめです。
スープにして、煮汁も摂取するのがファイトケミカルの効率よい摂取方法です。
参考文献
- 抗酸化物質|e-ヘルスネット
- LDLコレステロール|e-ヘルスネット
- 栄養学の基本がまるごとわかる事典(西東社)