ピーマンの栄養と効果効能・調理法・保存法

61views

ピーマンの旬や原産地などの基本情報、よく似た野菜との栄養価の違い、ピーマンが持つ栄養素とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ピーマンとは

ピーマンはナス科の一年草で、栽培品種としてはトウガラシ属に分類されます。

緑黄色野菜に分類されていますが、緑黄色野菜の条件であるβ-カロテンの含有量(100gあたり600μg)は満たしていません

しかし摂取する頻度や量が多いことから、例外的に緑黄色野菜として分類されています。

未熟果が緑色をしているのに対して、完熟果が赤色になる点もトウガラシと同様ですが、辛味成分であるカプサイシンは含まれていません。

原産地は南米と言われており、6月~9月ごろを旬とする夏野菜の一種で、22~30℃とやや温暖な気候での栽培が適しています。

そのため冬から春にかけては温暖な九州や四国のものが、夏から秋の涼しい季節には東北のピーマンが出回ります。

ピーマンとパプリカの違い

ピーマンとパプリカの違いについて解説します。

分類上はどちらもナス科トウガラシ属であり、明確な違いはありません。収穫方法なども共通しますが、大きく異なるのは収穫時期です。

ピーマンが、開花してから20日ほどの未熟な状態で収穫されるのに対し、パプリカは、開花から40~50日経って完熟した状態で収穫されます。

この違いにより、ピーマンは独特の苦味を備え、パプリカは甘味が強くなるのです。

また形もやや異なり、ピーマンが細長くしし唐などに近い「しし型」と呼ばれる形状をしているのに対し、パプリカとして出荷される品種は丸みのある「ベル型」をしています。

栄養面では完熟しているパプリカの方が優れており、特にビタミンCやβ-カロテンが豊富です。オレンジ色のカロテノイド(天然色素)であるβ-カロテンは、赤パプリカに特に豊富に含まれています。

ちなみに、緑色のピーマンを完熟させて赤くなったものを「赤ピーマン」「カラーピーマン」などと呼ぶ場合もありますが、やはり植物分類上の明確な違いはありません。

ピーマンに含まれる成分・栄養素

食品名単位青(緑)ピーマン赤ピーマン黄ピーマン
エネルギー(kcal)kcal/100 g223027
水 分g/100 g93.491.192
水溶性食物繊維g/100 g0.60.50.4
不溶性食物繊維g/100 g1.71.10.9
食物繊維総量g/100 g2.31.61.3
カリウムmg/100 g190210200
β-カロテン当量µg/100 g4001100200
レチノール活性当量 (ビタミンA)µg/100 g338817
α-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g0.84.32.4
ビタミンKµg/100 g2073
ビタミンB1mg/100 g0.030.060.04
ビタミンB2mg/100 g0.030.140.03
ナイアシンmg/100 g0.61.21
ビタミンB6mg/100 g0.190.370.26
葉酸µg/100 g266854
パントテン酸mg/100 g0.30.280.25
ビオチンµg/100 g1.6
ビタミンCmg/100 g76170150
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ピーマン100gあたりに含まれる栄養素は、表の通りです。

ピーマンは、カリウム・β-カロテン・ビタミンK・ビタミンB群(葉酸やビオチン)・ビタミンCが豊富な野菜です。ただし前述の通り、色によって含有する栄養が異なります。

緑ピーマンはビオチンが豊富で、赤(オレンジ)ピーマンは天然色素のβ-カロテンとビタミンCが豊富。黄ピーマンは緑ピーマンと赤ピーマンの中間といった塩梅です。

摂取したい栄養素から食べる色を選んでも良いですし、彩りのために各色バランスよく取り入れても良いでしょう。

ピーマンの効果・効能

ピーマンに含まれる栄養素の効果・効能・働きについて解説します。

クエルシトリン

ピーマンの苦味成分は、クエルシトリンというポリフェノールの一種で、新陳代謝を高め解毒作用を強める働きがあります。

クエルシトリンにはビタミンPとしての働きもあり、毛細血管を強化し血圧を安定させる効果も期待できるなど、健康効果の高い栄養素のひとつです。

β-カロテン

β-カロテンは、体内でビタミンAに変換されて皮膚や粘膜を正常に保つほか、がん予防・免疫力強化などに効果を発揮します。

またβ-カロテンにはビタミンAとしての働き以外にも、有害な活性酸素から体を守る抗酸化作用などもあり、美肌・シミ対策・アンチエイジング効果なども期待できます。

ビタミンC

ビタミンCはコラーゲンの合成を促す働きと強い抗酸化作用を持ち、健康効果だけでなく美肌・アンチエイジングなどの美容効果が期待できます。

なお、ビタミンCは水溶性ビタミンのため水に溶け出しやすく熱に弱い性質があるのですが、ピーマンにはビタミンCを熱から守るビタミンPが含まれているため、ピーマンのビタミンCは加熱してもあまり損なわれません。

葉酸・ビオチンなどのビタミンB群

葉酸・ビオチンなどを含むビタミンB群は、主に代謝を助ける働きがあります。

葉酸は、赤血球の生産を助けるとともにDNAやタンパク質の合成を促すことから、体の発育に重要なビタミンです。

ビオチンは皮膚や髪の毛を健康に保つ効果があり、不足すると湿疹や脱毛といった症状として表れます。

ピーマンの調理方法

ピーマンの栄養素を損なわない調理法について解説します。

ピーマンの下ごしらえ

日本では取り除いて食べるのが一般的なワタや種ですが、特に害があるわけではないのでわざわざ捨てる必要はありません。

むしろ、ピラジンという血液をサラサラにする成分が含まれているので、せっかくなら無駄なく摂取しましょう。

種はきゅうりのような薄味で、ついたまま調理してもさほど風味は損なわれません。ただし、ヘタは汚れがたまりやすい場所でもありますので、しっかり取り除いてください。

おすすめの調理方法

ピーマンには、ビタミンCを熱から守るビタミンPという栄養素が含まれているため、炒める・焼くなどの加熱調理をしてもビタミンCがほとんど損なわれません。(下記栄養素比較表を参照)

むしろ水分などが減少して食べやすくなる分、同量比で見ると生食100gあたりのビタミンCが76mgなのに対し、油炒めが79mgとやや増加する傾向があるほどです。

またβ-カロテンは脂溶性ビタミンのため、油といっしょに摂取することで吸収効率が高まります。

以上の理由から、栄養面を考えるとあえて生食する必要はないと言えるでしょう。生食も可能ですが、特に消化機能が弱っているときなどは、スムーズな消化吸収を阻害する可能性もあるため、大量の生食は避けてください。

生食と油炒めの栄養素比較表

食品名単位ピーマン(生)ピーマン(油炒め)
エネルギー(kcal)kcal/100 g2261
水 分g/100 g93.489
水溶性食物繊維g/100 g0.60.6
不溶性食物繊維g/100 g1.71.8
食物繊維総量g/100 g2.32.4
カリウムmg/100 g190200
β-カロテン当量µg/100 g400420
レチノール活性当量 (ビタミンA)µg/100 g3335
α-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g0.80.9
ビタミンKµg/100 g2021
ビタミンB1mg/100 g0.030.03
ビタミンB2mg/100 g0.030.03
ナイアシンmg/100 g0.60.6
ビタミンB6mg/100 g0.190.2
葉酸µg/100 g2627
パントテン酸mg/100 g0.30.31
ビオチンµg/100 g1.61.9
ビタミンCmg/100 g7679
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ピーマンの保存方法

最後に、ピーマンの栄養を損なわず鮮度を保つ保存方法について解説します。

ピーマンは買った袋のまま保存すると傷みやすいため、保存する際はひとつずつペーパータオルに包みましょう。これだけで、冷蔵でもおよそ3週間保存が可能です。

ただ、冷蔵保存すると栄養価が徐々に下がってしまうため、栄養を損なわずに摂取したい場合は冷凍保存の方が適しています。

冷凍保存の方法はシンプルで、ヘタ・ワタ・種を取り除いたら食べやすいサイズにカットして、フリーザ―バッグに入れて冷凍するだけ。

こうすることで、解凍時に食感は落ちてしまいますが、栄養価を損なわずに1ヶ月ほど保存できるようになります。

なお冷凍する際は水気が残っていると傷みやすくなるため、よく水気を拭きとってから冷凍することと、水分の多いワタや種はしっかり取り除くことが大切です。