ガセリ菌の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

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栄養素

ガセリ菌の基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。

ガセリ菌とは

ガセリ菌(Lactobacillus gasseri)とは、ビフィズス菌やエンテロコッカス属などと同じ乳酸菌の仲間です。

正式には、ラクトバチルス・ガセリと呼ばれる細菌を指します。ただし、ガセリ菌を配合しているヨーグルトやサプリメントのなかには、近縁種であるラクトバチルス・パラガセリを使用しているケースもあります。

乳酸菌とは、人間の腸内に棲み腸内環境を整える効果のある細菌です。人間の腸内には、乳酸菌などの健康によい細菌である善玉菌と、腸内腐敗を進める悪玉菌、害にはならないが有効でもない日和見菌が存在します。

ガセリ菌は善玉菌として、腸内環境を整えて健康増進に働く細菌です。

乳酸菌の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ガセリ菌の種類

ガセリ菌には、いくつかの種類が存在します。主な種類は次の通りです。

  • ラクトバチルス・ガセリSBT2055株(LG2055)
  • ラクトバチルス・ガセリCP2305株(LG2305)

どちらも同じガセリ菌ですが、系統の異なる菌株です。それぞれ別の企業が保有しています。

SBT2055株はSP株とも呼ばれ、雪印メグミルクが保有する菌株です。内臓脂肪を減少させる効果が認められており、特定保健用食品として消費者庁許可を得ています。

CP2305株はアサヒグループの保有する菌株で、整腸効果やストレス緩和作用があります。中枢神経系に作用することが報告されており、脳や神経系に効果的なガセリ菌です。

ガセリ菌の効果・働き

ガセリ菌の効果・効能について解説します。

内臓脂肪を軽減してダイエット

ガセリ菌には、内臓脂肪の軽減効果があります。

そもそも内臓脂肪とは、胃や肝臓、腸の周囲につく脂肪です。通常、食品に含まれる脂質は体内に吸収されてエネルギーへと変換されます。

しかし、摂取する脂質の量が多いとエネルギー源にはならず、体内に内臓脂肪として貯蔵されます。

エネルギーが必要な状態になると、貯蔵されていた内臓脂肪はエネルギー源として利用される仕組みです。食べ物を十分に得られなかった時代には役立つ仕組みですが、食べ物が豊富な現代では、エネルギーへ変換されることなく内臓脂肪が貯まっていってしまいます。

内臓脂肪はメタボリックシンドロームや糖尿病の原因にもなるため、運動や生活習慣の改善をしなくてはなりません。

とくにガセリ菌SP株には、内臓脂肪を軽減する効果が認められており、メタボリックシンドロームの予防やダイエットに効果的です。

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便秘解消でおならのにおいや口臭を軽減

ガセリ菌は、便秘解消にも効果が期待されます。

便秘が起こる原因は、腸内環境の乱れや運動不足、ストレスなどです。このうち、腸内環境の乱れはガセリ菌を含む乳酸菌が減少し、悪玉菌が増えることで起こります。

悪玉菌が腸内で増加すると腐敗を亢進して、有害物質を産生します。腸内で生成される有害物質とは、アンモニア・硫化水素・インドール・スカトールなどです。有害物質は、おならの嫌なにおいを作り出します。

また、腸内に有害物質のガスが溜まると、血中へと取り込まれて体臭がきつくなったり、消化管を上がって口臭となって現れたりします。

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免疫力の向上

ガセリ菌には、免疫力を向上させる効果もあります。

腸管では、人体に有害な微生物や物質の侵入を防いだり、侵入した微生物を排除したりする免疫機能が働いています。腸管の免疫機能に大きく影響を与えるのが、ガセリ菌やビフィズス菌などの乳酸菌です。

腸内で乳酸菌が増加すると免疫機能の活性化スイッチが入り、感染症予防やアレルギー緩和などに働きます。

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ストレス緩和

ガセリ菌には、ストレス緩和効果も期待されます。

腸内環境の乱れはストレスにも大きく左右され、ストレスによって便秘や下痢を引き起こします。ガセリ菌、とくにCP2305株は中枢神経系に作用して、ストレスを緩和するとの報告もある乳酸菌の1種です。

不安感の解消や腹痛の緩和など、過敏性腸症候群による症状緩和も期待されています。

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ガセリ菌が不足・欠乏すると起こる症状

ガセリ菌の不足や欠乏によって、なんらかの症状が起こることは明確にわかっていません。

しかし、腸内のガセリ菌を含む乳酸菌が減少すると、次の症状が起こりやすくなります。

  • 便秘
  • 下痢
  • 口臭の増加
  • 免疫低下
  • 肌荒れ

乳酸菌が減少すると、腸内で悪玉菌と呼ばれる腐敗を促進する細菌が優勢になり、腸内腐敗が進みます。腸内環境の乱れは、便秘や下痢、免疫低下の原因になります。

また、腸内の腐敗によって有害物質が血液に入って全身を巡るため、口臭がきつくなったり肌荒れが起こったりします。

ガセリ菌を過剰摂取すると起こる副作用

食品安全委員会の報告によると、ガセリ菌を含むヨーグルトを4週間連続で3倍量摂取した場合、有害事象は認められなかったとしています。

一方でケトン体・尿酸・カリウム・クレアチニンの血中濃度が上昇したことも報告されていますが、上昇したとしても基準値内の変動であり、有害な副作用にはならないと考えられます。

ガセリ菌の1日の摂取目安量

ガセリ菌の1日の摂取目安量は、明確に定められていません。

前述のとおり、食品安全委員会の報告では、ヨーグルト100gあたりガセリ菌10億個の製品を3倍量摂取した場合も、4週間の実験で副作用は現れませんでした。

ヨーグルトやサプリメントに記載されている摂取量を目安量として、摂取するとよいでしょう。

ガセリ菌を多く含む食品

ガセリ菌を多く含む食品はヨーグルトです。またヨーグルトには、さまざまな種類があります。主なヨーグルトの種類を以下に挙げます。

  • プレーンヨーグルト:生乳100%のヨーグルトで甘味料は含まない。
  • ハードヨーグルト:甘味料やゼラチンを加えて固めたヨーグルト。
  • ドリンクヨーグルト:ヨーグルトを液状にして飲みやすく味付けしたもの。
  • ソフトヨーグルト:発酵により固まったヨーグルトをなめらかに仕上げたもの。
  • フローズンヨーグルト:ヨーグルトを凍らせてアイス状にしたもの。

ヨーグルト製品のなかには、ある特定の乳酸菌を配合したものが販売されています。ガセリ菌配合のヨーグルトも流通しているため、ガセリ菌を積極的に摂取したい場合は配合されている乳酸菌の種類を確認しましょう。

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ガセリ菌を効率よく摂取する方法

最後に、ガセリ菌の働きを効率よく得るための方法を解説します。

ビフィズス菌も一緒に摂る

ガセリ菌を効率よく摂取したいなら、ビフィズス菌と一緒に摂るのがおすすめです。

ビフィズス菌も乳酸菌の1種で、腸内環境を整えます。とくに人間の腸内で善玉菌として優勢に働く細菌で、ガセリ菌の働きもサポートしてくれます。

ガセリ菌と同様に、便秘の予防・改善や口臭予防、免疫機能の促進などに効果的です。

ビフィズス菌もヨーグルトに多く含まれているため、ガセリ菌とビフィズス菌の両方を配合したヨーグルトを選ぶとよいでしょう。

ビフィズス菌の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

食物繊維の多い野菜や発酵食品も摂取する

ガセリ菌の効果を効率よく得るためには、腸内環境を整える働きのある食物繊維や発酵食品を多く摂取しましょう。

食物繊維は便を軟らかくし、排便を促す効果があります。また、発酵食品は腸内発酵を促進するため、ガセリ菌の働きをサポートする食品です。

ガセリ菌と一緒に、納豆・ぬか漬け・かつお節・味噌・醤油・みりんなどの発酵食品も一緒に摂取するとよいでしょう。

肉類は控える

肉類に含まれるタンパク質は、ガセリ菌の働きを抑制する悪玉菌の増殖を助けます。とくに、牛肉に含まれるタンパク質は悪玉菌の餌になるため、ガセリ菌の効果を期待するときは避けたい食品です。

タンパク質を摂りたいときは、豚肉や鶏肉、魚類を選ぶとよいでしょう。

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参考文献

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