脂肪を燃焼する食べ物・飲み物

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内臓脂肪が増えることによる症状や定義、原因について解説したうえで、内臓脂肪の予防・改善に役立つ代謝の上がる食べ物や飲み物を紹介します。

内臓脂肪とは

脂肪とは、タンパク質・炭水化物と並ぶ三大栄養素のうちの1つである脂質の一種です。タンパク質や炭水化物と比べて、脂質はエネルギーへの変換量が多く、効率のよいエネルギー源として体内で利用されています。ひとえに脂質といっても、中性脂肪やコレステロールなど、人間の体内にはさまざまな種類の脂質が存在します。

内臓脂肪・皮下脂肪と呼ばれるのは、エネルギーとして利用されずに余ってしまった脂質です。人間の身体は、必要以上に脂質が入ってくると、エネルギーが不足したときのために脂肪として貯蔵します。

脂肪が貯蔵される場所は、胃や腸などの内臓の周りや腹部などの皮膚の下です。内臓周りにつく脂肪を内臓脂肪、皮下に貯蔵される脂肪を皮下脂肪と呼んでいます。

現代社会では常に食べ物が手に入り、必要以上に食べすぎてしまうため、内臓脂肪や皮下脂肪になった脂肪は使われずに貯まっていく一方です。特に内臓脂肪は健康と密接に関係しており、内臓脂肪の増加はリスクになります。

内臓脂肪の検査

内臓脂肪を直接検査する方法はありません。人間ドックでは、腹部CT内臓脂肪測定を受けられることもありますが、CT検査は放射線被ばくのリスクになるため、簡単におこなえないことがデメリットです。

内臓脂肪は、腹囲測定検査で間接的に把握できます。腹囲測定検査は、腹部周りを測定し、

内臓脂肪の量を推測する検査です。腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合は、内臓脂肪が100平方cm以上と予測され、内臓脂肪型肥満である可能性が高いと考えられます。

また、腹囲測定の結果と中性脂肪・血圧・血糖の結果を合わせて、メタボリックシンドロームの判定ができます。

内臓脂肪がリスクになる病気

体内の脂肪は、アディポネクチンと呼ばれる生理活性物質により燃焼されます。しかし、食べ物から摂取される脂質が増えると、アディポネクチンの分泌量が減り、糖尿病や動脈硬化などの疾患リスクが大きくなります。

内臓脂肪が多くなるとリスクが上がる疾患は、次のとおりです。

◎糖尿病
◎動脈硬化
◎脂質異常症
◎心不全
◎脂肪肝
◎脳梗塞

内臓脂肪の原因

過剰な内臓脂肪がつく原因について解説します。

加齢

内臓脂肪が蓄積しやすくなる原因のひとつが、加齢による代謝量の低下です。基礎代謝量が減ると、摂取した脂質をエネルギーに変換しにくくなります。10代・20代のころと同じ量の食事を摂っていても、年齢が上がるほど太りやすくなるのはそのためです。

運動不足

運動不足も、内臓脂肪が増える原因のひとつです。運動量が落ちると、エネルギーの消費量が減るため脂肪が貯まりやすくなります。運動量が減ったのに食べる量に変化がない場合、消費量より摂取量が多くなり、内臓脂肪の原因になります。

栄養の偏りや過食

食べすぎや栄養の偏った食事は、内臓脂肪の蓄積に大きく影響します。

まず、脂質の多すぎる食事はそれだけで内臓脂肪が増える原因となります。また、脂質よりも炭水化物のほうがエネルギー源として利用されやすいため、炭水化物の摂取量が多いと、脂質の代謝が後回しにされます。そのため、バランスの悪い食事も、中性脂肪が増える原因となります。

脂肪燃焼に効果的な栄養素

脂肪燃焼に効果的な栄養素について解説します。

タンパク質:脂質の代謝にかかわるホルモンを材料

タンパク質は、脂質と同じ三大栄養素の1つです。エネルギー源となるだけでなく、筋肉や内臓などを作ります。脂肪の燃焼にかかわるアディポネクチンも、タンパク質の1種です。

また、脂肪を燃焼し、血糖値を上げる働きをするホルモン・グルカゴンや、代謝を促進させる成長ホルモンもタンパク質からできています。

タンパク質は、ホルモンの産生や脂質の代謝を促進するのに効果的な栄養素です。

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI

ビタミンB2:脂質代謝を促進

ビタミンB2は、三大栄養素の代謝を助ける栄養素で、特に脂質の代謝に役立ちます。脂質をエネルギーに変えるときに必要な補酵素という物質として働き、脂肪の燃焼に効果的な栄養素です。

また、ビタミンB2は、内臓脂肪の原因となるコレステロールや、中性脂肪からできる過酸化脂質の分解にも作用します。脂質が酸化し過酸化脂質が作られることが、動脈硬化の原因です。ビタミンB2は、過酸化脂質を分解する酵素を助ける効果を持ちます。

ビタミンB2の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI

L-カルニチン:コエンザイムAと一緒に脂肪燃焼を促進

L-カルニチンはタンパク質・アミノ酸の1種で、脂肪燃焼を促進する栄養素です。タンパク質のなかでも、必須アミノ酸のリジンとメチオニンから成り、肝臓でL-メチオニンの形になります。

L-カルニチンは、細胞内で脂肪を燃焼してエネルギーに変えます。しかし、加齢により減少するため、内臓脂肪が気になるときは、食べ物からL-カルニチンを摂取するとよいでしょう。

L-カルニチンは肉類に豊富に含まれるほか、筋肉トレーニングの補助としてサプリメントから摂取されることの多い栄養素です。

コエンザイムA(CoA):L-カルニチンの作用を補助

L-カルニチンは単独では動けず、コエンザイムA(CoA)という補酵素の助けを借りて脂肪を燃焼します。

コエンザイムAは、体内に取り込まれるとパントテン酸と呼ばれるビタミンに分解されて、消化管から吸収されます。パントテン酸は、肝臓で再びコエンザイムAとなり、L-カルニチンに作用して脂肪燃焼にかかわる栄養素です。

内臓脂肪の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物

内臓脂肪の予防・改善に効果的な食べ物・飲み物について解説します。

牛肉・羊肉

肉類には、脂肪燃焼を促進するL-カルニチンが多く含まれています。肉類のなかでは、特に羊肉や牛肉の赤身に多い栄養素です。羊肉100gは167.8mg、牛肉は76mgのL-カルニチンを含みます。

厚生労働省ではL-カルニチンの1日摂取量を定めておらず、摂取上限を1,000mg/日としています。日本人の1日平均摂取量は、50mg~70mg程度です。内臓脂肪が気になるときは、上限を超えないように意識しながら、L-カルニチンの多い肉類を食べるとよいでしょう。

牛肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

レバー

豚や鶏のレバーには、パントテン酸が多く含まれます。パントテン酸は、レバーだけでなく、モロヘイヤやカリフラワーなどの野菜類にも含有される栄養素です。

しかし、パントテン酸は水に溶けやすい性質を持っているため、野菜類を茹でたときに溶け出してしまうと考えられています。そのため、茹でるよりも電子レンジなどで加熱する方がパントテン酸の流出を抑えられます。

また、レバーは脂質の代謝にかかわるビタミンB2も豊富です。豚レバー100gには3.6mg、鶏レバーには1.1mgのビタミンB12が含まれています。

パントテン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

烏龍茶

烏龍茶には、脂肪の吸収を抑える働きのあるポリフェノールが豊富に含まれます。烏龍茶に含まれる重合ポリフェノールは、腸から脂肪が吸収されるのを抑制します。

さらに、重合ポリフェノールには、体内に吸収された中性脂肪を排出する役割もあり、内臓脂肪の予防に効果的な飲み物です。

烏龍茶の栄養と効果効能・入れ方・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

内臓脂肪の予防・改善に効果的な生活習慣

内臓脂肪を予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

適度な運動をする

内臓脂肪は、食生活や運動などの生活習慣の乱れにより貯まりやすくなる脂肪です。一方で、皮下脂肪と比べて落ちやすいという特徴もあります。

内臓脂肪は、エネルギー消費によって落とすことが可能です。適度な運動をして、カロリーを消費することで、蓄積した内臓脂肪がエネルギーに変わって消費されます。

脂肪の多い食べ物は控える

内臓脂肪の予防・改善で控えたい脂質の多い食べ物は、次のとおりです。

◎バター
◎生クリーム
◎マヨネーズ
◎マカダミアナッツ
◎牛サーロイン

脂肪燃焼に効果的な食べ物として、牛肉を挙げましたが、牛サーロインやバラ肉などの脂身の多い可食部は、脂質が多いことに注意しましょう。また、この他にチーズにも脂質の代謝を促進する作用がありますが、こちらも脂質の多い食べ物です。

内臓脂肪が気になるときは、脂質の多い食べ物は控え、バランスのよい食事を心がけましょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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