ビフィズス菌の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

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Bifidobacterium

ビフィズス菌の基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。

ビフィズス菌とは

ビフィズス菌とは、人間や動物の腸内に生息する細菌の一種で、人間や動物の腸内に生息し、腸内環境を整える働きのある細菌です。細菌といっても、人体に悪さをすることはなく、腸内をよい環境に保つ善玉菌として働いています。

ビフィズス菌の仲間には30種類以上の菌種が含まれますが、一般的にはBifidobacterium bifidum(ビフィドバクテリウム ビフィダム)のことを、ビフィズス菌と呼んでいます。ただし、広義の意味ではBifidobacterium属の菌を指す場合もあります。

「Bifido」とは、ラテン語で「分岐した」という意味です。その名のとおり、ビフィズス菌の形は、Y字やV字のように分岐しています。

ビフィズス菌は生きるために二酸化炭素が必要で、酸素のある環境では増殖できません。人間の腸内も酸素が少ないため、ビフィズス菌が増えるのに適しています。

一般的な細菌と同様に、ビフィズス菌も熱や乾燥に弱く、人間の体温と同じ35℃前後で増殖が活発になります。菌体が壊れてしまうため、加熱調理は向きません。

ビフィズス菌の種類

人間の腸内に生息するビフィズス菌の仲間は、主に次の5種類です。

  • Bifidobacterium bifidum(以下、属名を省略)
  • B. infantis
  • B. breve
  • B. longum
  • B. adolescentis

それぞれ見た目に大きな違いは見られず、働きも似通っています。ヨーグルト製品には、「ビフィズス菌BB○○(○○は数字)」といった商品名がついていることもあります。これは、Bifidobacterium bifidumの菌株を示す数字です。

細菌は集団として増殖し、集団は共通の性質をもっています。そのため、この集団を同じものと認識し、菌株として名前をつけているのです。ビフィズス菌を含む商品でも、菌株を表す際に細菌名のあとにアルファベットや数字を使用しています。

ビフィズス菌と乳酸菌の違い

乳酸菌とは、糖を発酵して乳酸を産生する細菌の総称で、ビフィズス菌も乳酸菌の仲間です。ただし、ビフィズス菌は乳酸だけでなく酢酸も産生するため、まったくの別種と考える場合もあります。

乳酸菌は、人間や動物の腸内に生息するビフィズス菌とは異なり、環境中に存在するものも多くいます。人間の体内に存在する主な乳酸菌は、以下のとおりです。

  • Lactobacillus属
  • Enterococcus属
  • Streptococcus属

これらの乳酸菌は、免疫機能の正常な人間の体内においては病気を引き起こすことはありません。ただし腸内の細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れたり、免疫機能が低下したりすると、人体に悪い影響を与える種類(日和見菌)もいます。

乳酸菌は牛乳や乳製品などに含まれ、チーズやヨーグルトなどの一部の食品では、乳酸菌の発酵作用を利用して加工しています。

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ビフィズス菌の効果・働き

ビフィズス菌の効果・効能について解説します。

便秘の予防・改善

ビフィズス菌には整腸作用があり、腸内環境を整えて便通をよくします。

腸内には、ビフィズス菌や乳酸菌などの身体によい細菌だけでなく、大腸菌や嫌気性連鎖球菌なども存在します。これらの菌は、健康な身体には悪さしませんが、アンモニアやインドールなどの有害物質を発生させることがあります。大腸菌や連鎖球菌が増えすぎて、腸内バランスが崩れると便秘やおならなどの原因となります。

腸内のビフィズス菌が増えて、腸内環境が改善されると、有害物質を発生する細菌が減って便秘が解消します。

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おならのにおいを軽減

ビフィズス菌の多い食品を食べると、おならのにおいを軽減する効果も期待できます。

そもそもおならが多くなるのは、腸内環境が悪く、ガスによって便を押し出そうとしていることが原因です。また、おならのにおいは腸内の細菌が発酵によって発生させるアンモニアなどの腐敗臭に起因します。

ビフィズス菌には、便秘を改善する働きがあるため、おならの頻度やアンモニアを発生させる細菌を減らし、においを軽減させます。

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体臭や口臭を予防

ビフィズス菌は、体臭や口臭を軽減する効果も見込める栄養素です。

ストレスを感じたときに発生する疲労臭と呼ばれる体臭は、血中で増えたアンモニアが原因と考えられています。ビフィズス菌には、アンモニアを発生させる細菌の増殖を抑制する作用があるため、ビフィズス菌が腸内に増えると体臭が抑えらえる仕組みです。

研究によると、腸内のビフィズス菌量が多い人のほうが、体臭(疲労臭)が少ない傾向にあることが示唆されています。

また、人間の口の中にもビフィズス菌などの乳酸菌や、口臭の原因になる細菌が存在します。腸内と同様に、口腔内のビフィズス菌が減少すると口臭が強くなります。そのためビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を摂取することで、口臭予防につながると考えられます。

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免疫機能の促進

ビフィズス菌は、免疫調整作用をもつことがわかっています。

ビフィズス菌は、プロバイオティクスとして人体によい影響を与える細菌です。プロバイオティクスは、「腸内フローラのバランスを改善し、人体に有益な効果をもたらす微生物」と定義されています。プロバイオティクスによって腸管粘膜が保護されるため、体内へ病原菌が侵入するのを防げる仕組みです。

物理的な防御機能だけでなく、抗体産生の促進効果が報告されています。インフルエンザやロタウイルスの感染防御に、ビフィズス菌もかかわっていることが示唆されています。

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アレルギー症状の緩和

ビフィズス菌は、アレルギーをはじめとする炎症の症状緩和にも効果的です。

アレルギー反応は、乱れた食生活やストレスなどで生じるケースもあり、ビフィズス菌が腸内環境を整えることで症状を緩和すると考えられています。スギ花粉症患者やアトピー性皮膚炎患者にヨーグルトを摂取させると、自覚症状が改善したとの報告もあります。

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ビフィズス菌が不足・欠乏すると起こる症状

ビフィズス菌が不足・欠乏すると起こる症状は次の通りです。

  • 肌荒れ
  • 便秘
  • 腐敗臭の強いおなら
  • 口臭・体臭がきつくなる
  • 下痢
  • 腹痛
  • 免疫力の低下

ビフィズス菌が不足する原因

ビフィズス菌は、次のような原因で不足します。

  • 加齢
  • 偏食
  • 運動不足
  • ストレス
  • 抗生物質の投与

偏食や運動不足、ストレスなどによって腸の動きが緩慢になり、ビフィズス菌の働きが弱くなります。さらに、加齢や薬剤の投与も、ビフィズス菌が減少する原因となります。

ビフィズス菌は赤ちゃんのときがもっとも多いとされ、年齢とともに減少します。とくに老齢期に入ると、腸内のビフィズス菌の量は大きく減少し、その多くが腐敗臭を発する細菌に置き換わると考えられています。

また抗生物質も、ビフィズス菌やほかの乳酸菌が死滅する原因となります。抗生物質は、抗菌薬とも呼ばれ、細菌の増殖を抑える、あるいは死滅させる作用をもちます。

体内に侵入した害のある細菌を退治するために使われますが、同じ細菌の仲間であるビフィズス菌にも少なからず影響を与えてしまうのがデメリットです。ビフィズス菌や乳酸菌が減少すると、身体によくない働きをする細菌が増え、腸内バランスが崩れて下痢や腹痛を引き起こします。

ビフィズス菌を過剰摂取すると起こる副作用

ビフィズス菌を過剰摂取すると起こる症状は次の通りです。

  • 下痢
  • 腹痛

基本的に、ビフィズス菌を過剰摂取しても大きな副作用はありません。

しかし、ビフィズス菌の機能が有効だからといって、過剰に摂取すると腸内の細菌バランスが崩れてお腹をくだす原因になります。ビフィズス菌の摂取は、食品に記載されている摂取目安量に従いましょう。

ビフィズス菌を多く含む食品

ビフィズス菌を多く含む食品は次の通りです。

  • ヨーグルト
  • 乳酸飲料

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ビフィズス菌を効率よく摂取する方法

ビフィズス菌を含む食品を摂取するだけでも、その効果を期待できますが、ここで紹介する成分と一緒に摂取するとより効果的です。

オリゴ糖の多い食品と一緒に摂取する

ビフィズス菌は、オリゴ糖を栄養にして増殖するため、オリゴ糖が多く含まれる食品と一緒に食べると効果的です。

オリゴ糖の多い食品には、次のものがあります。ヨーグルトにバナナやきな粉を乗せて食べるのがおすすめです。

  • バナナ
  • きな粉
  • 大豆
  • ネギ・玉ねぎ
  • ゴボウ
  • アスパラガス
  • ブロッコリー

その他のオリゴ糖を多く含む食品は、下記記事でご確認ください。

オリゴ糖の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

食物繊維の多い食品も積極的に摂取

食物繊維には、ビフィズス菌と同じように腸内環境を整える働きがあります。そのため、より効果を期待するなら、食物繊維を多く含む食品も積極的に食べましょう。

食物繊維が多く含まれる食品は、以下のとおり。ビフィズス菌の多いヨーグルトと合わせるなら、バナナやブルーベリーがおすすめです。

  • きのこ類
  • 海藻類
  • トマト
  • ブルーベリー
  • かき
  • いちじく
  • あんず
  • バナナ

その他の食物繊維を多く含む食品は、下記記事でご確認ください。

食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA

参考文献

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