疲労回復におすすめの食べ物・飲み物と疲労をためない生活習慣

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疲労がたまる原因や疲れがとれない理由について解説したうえで、疲労回復におすすめの食べ物や飲み物を紹介します。

疲労の原因

疲労と一口に言っても、原因によって対処法が異なるためまずは原因を見極めることが大切です。

肉体的疲労(体の疲れ)

肉体的疲労は、体そのものに蓄積する疲労です。

スポーツや筋肉トレーニングなどで激しい運動をしたあとに感じる疲労のほか、デスクワークや車の長時間運転などで座り続けたときに生じる肩こりや腰痛などもこれに当てはまります。

血行の悪さや栄養バランスの乱れなどが原因で、疲労物質が蓄積すると筋肉に張りを感じるようになります。

なお運動量が少ないにも関わらず肉体的疲労を慢性的に感じる場合は、過度な食事制限や食欲の低下などによって摂取するエネルギーが不足している可能性もあります。

精神的疲労(心の疲れ)

精神的疲労は、ストレスや悩み事による心の疲れです。人の体は強いストレスがかかると、自律神経が乱れやすくなります。

自律神経は、精神の安定や睡眠などにもかかわっており、乱れると疲れがたまりやすくなってしまうのです。

神経的疲労(脳の疲れ)

神経的疲労とは、脳や視神経を酷使することで起こる疲労です。

日常的にパソコンやスマートフォンなどの画面を眺め続けるデスクワークの人に多く、神経的疲労がたまると眠いわけでもないのにボーっとしてしまったり、物忘れが増えたり、気分が落ち込みやすくなったりします。

なお、脳は日常的に多くのエネルギーを消費する器官なので、慢性的に疲れを感じる場合、肉体的疲労の原因と同様に、エネルギーの摂取不足が疑われます。

肉体的疲労の回復に効果的な栄養素

ここからは、それぞれの疲労の原因別に効果的な栄養素を紹介します。まずは肉体的疲労の回復に効果的な栄養素から。肉体的疲労の主な原因は、エネルギー不足と疲労物質の蓄積です。

ビタミンB1:糖質からのエネルギー生成

ビタミンB1はブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素であり、疲労回復のビタミンとも呼ばれます。

ビタミンB1を摂取すると、糖質が十分にエネルギーに変換されることで、疲労回復をサポートするほか、消化不良の改善にも繋がります。

ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA

アリシン:ビタミンB1の吸収を高めて疲労改善

玉ねぎやニンニクに含まれるアリシン(硫化アリル)には、ビタミンB1の吸収を助けて疲労回復をさらに促進する働きがあります。

アリシンの効果・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB2:脂質・糖質の代謝を促す

ビタミンB2は、脂質や糖質の代謝を促す補酵素として働く栄養素です。

特に成長期の子どもはビタミンB2の不足により成長障害を引き起こす場合もあることから、「発育のビタミン」「成長のビタミン」とも呼ばれます。

ビタミンB2の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB6:タンパク質や脂質の代謝

ビタミンB6は、タンパク質(アミノ酸)や脂質の代謝サポート、および神経伝達物質の合成などに関わる栄養素です。

ビタミンB6が不足するとエネルギー不足に陥るほか、ドーパミンやアドレナリンといった神経伝達物質の合成が滞り、精神の不安定などをきたします。

ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB12:アミノ酸代謝などに関与

ビタミンB12はタンパク質・アミノ酸・脂肪酸などの代謝に関わっているため、エネルギーのもととなるそれらの栄養素に加えて、ビタミンB12をしっかり取り入れることで、エネルギー増強に繋がります。

ビタミンB12の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA

鉄:体内に酸素を運び、疲れやすさを取り除く

鉄は貧血予防などに役立つだけでなく、疲労回復にも効果を発揮します。

鉄の重要な役割のひとつが、タンパク質と共にヘモグロビンの一部となって、体のすみずみまで酸素を運ぶというものです。

また酸素を運ぶだけでなく、酸素を利用したエネルギーの代謝サイクル、呼吸・DNAの合成と修復・異物の代謝など、細胞内でのエネルギー代謝にも関わっています。

特に酸素は脳のエネルギーとなるブドウ糖を代謝するのに必要なため、酸素の供給が不足すると脳が正常に働きにくくなり、めまいや頭痛、眠気といった症状が現れてしまうのです。

また酸素を運ぶのと合わせて、二酸化炭素を回収・排出する働きもあり、肩こりなどを予防します。

鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

クエン酸:乳酸の分解を促進する

クエン酸は、乳酸の分解を促進する作用が認められており、疲労回復の効果を期待できます。

乳酸は、糖質が分解されエネルギーになるときに排出され、蓄積すると筋肉が十分に働けなくなってしまいます。

クエン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

精神的疲労の回復に効果的な栄養素

続いて精神的疲労の回復に効果的な栄養素の紹介です。精神的疲労の原因であるストレスには、抗ストレスホルモンの分泌を促す栄養素が効果的と考えられます。

カルシウム:ストレスを緩和

カルシウムは骨や歯の形成に関わるミネラルとして知られますが、そのほかにストレスへの抵抗力を高めて神経を安定させる作用があります。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

タンパク質・パントテン酸・ビタミンC:ストレス対抗ホルモンの分泌

人は、ストレスを感じると副腎という部位で「コルチゾール」というストレスに抵抗する機能を持ったホルモンを分泌します。

コルチゾールは、タンパク質・パントテン酸・ビタミンCを利用して合成・分泌されます。

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

脂質:ストレス対抗ホルモンの原料となる

脂質のうち、特にコレステロールは副腎で合成・分泌されるコルチゾールの原料になります。

そのため、不足するとストレスへの抵抗力が弱まり、脳機能が低下するなどの影響が生じます。

神経的疲労の回復に効果的な栄養素

次に神経的疲労の回復に効果的な栄養素です。神経的疲労の回復には、脳のエネルギーとなる栄養素の摂取や、それらの栄養素を代謝するための栄養素が重要になります。

炭水化物・タンパク質:脳の栄養源となる

エネルギー不足による脳の疲れには、まず炭水化物(糖質)やタンパク質といったエネルギーの補給が欠かせません。

特に糖質は、摂り過ぎると生活習慣病や肥満のリスク要因となることから敬遠される傾向にありますが、脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣、骨格筋などさまざまな組織のエネルギー源となるため、糖質が不足すると疲れを感じやすくなります。

炭水化物の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB6・葉酸・ナイアシン:神経伝達物質を合成する

ビタミンB6が不足・欠乏すると、摂取したタンパク質や脂質がうまくエネルギーとして利用されなくなるのに加え、トリプトファンを原料とするセロトニンの合成をはじめ、ドーパミン・アドレナリンといった神経伝達物質の合成が滞り、精神の不安定などをきたします。

葉酸やナイアシンも同様に、神経伝達物質の合成に関わっており、不足すると集中力が低下するなどの症状が現れます。

ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ナイアシンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

疲労回復におすすめの食べ物・飲み物

各種疲労の回復に効果的な栄養素を踏まえ、疲労回復におすすめの食べ物や飲み物を紹介します。

卵には、良質なタンパク質・ミネラル・ビタミン・アミノ酸などが豊富に含まれているため、1日1個食べれば疲労回復や疲労のたまりにくい体づくりに役立ちます。

たまごの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豚肉

豚肉は、ビタミンB1が豊富です。豚肉を摂取する際は、ビタミンB1の吸収効率を高めるアリシンを含むねぎ・ニンニク・にらなどといっしょに摂取するようにすると良いでしょう。

鶏肉

鶏肉はその他の肉に比べてカロリーが低く、優秀なタンパク源のひとつです。さらに鶏ささみはパントテン酸が豊富で、鶏むね肉には疲労回復に効果が期待できるイミダペプチドも含まれています。

疲労回復のために摂取するなら目安量は1日100g程度。コンビニのサラダチキンなどでもOKです。

レバー

レバーは、ビタミンB群やパントテン酸が豊富なほか、目の疲れに効果的なビタミンAも豊富です。豚肉と同じく、アリシンを含むニラやニンニクなどと合わせると良いでしょう。

納豆

納豆に含まれるナットウキナーゼには血流の改善効果があるため、血行を良くして疲労物質が蓄積するのを防ぎます。また大豆製品は植物性タンパク質も豊富で、エネルギー源としても優秀です。

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

バナナ

バナナは、ビタミンB1、B2に加え、ビタミンAとして作用するβ-カロテンを含んでいます。バナナの糖質は摂取後20分ほどで消化され始め、即効性が期待できるため、運動前後の摂取がおすすめです。

バナナの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

レモン

レモンは、ビタミンCとクエン酸を豊富に含み、疲労改善に期待できます。ビタミンCには肩こりや疲労を解消したり、ストレスに抵抗する機能を持つ「ステロイドホルモン」の分泌を助け、精神的・身体的ストレスに強い身体づくりに効果を発揮したりします。

また、レモンの酸味成分であるクエン酸は、疲労物質の乳酸を分解する働きがあり、疲労回復に効果的です。

レモンの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

りんご

りんごは、リンゴ酸やクエン酸などの有機酸を豊富に含んでいます。これらの有機酸は、乳酸を減らしたり、身体の新陳代謝を活発にしたりすることで、疲労改善に働きます。

りんごの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

はちみつ

はちみつには、疲労回復に良いとされるブドウ糖や果糖が多く含まれています。ブドウ糖や果糖は単糖類で、すぐに体に吸収されるため即効性があり、効率良いエネルギー補給になります。

また、ブドウ糖は牛乳などに含まれるトリプトファンの吸収を助ける働きがあります。トリプトファンは神経伝達物質であるセロトニンを作り、セロトニンは夜になると入眠作用があるメラトニンが生成されます。

このことから、はちみつでブドウ糖を摂ることで不眠の緩和につながり、疲労回復が期待できます。

はちみつの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

牛乳

牛乳は、ビタミンB1を多く含んでいます。ビタミンB1は神経や筋肉の機能を正常に保つために必要なビタミンで、疲労回復にも効果があります。

また、牛乳にはトリプトファンが入っており、入眠作用のあるメラトニンの原料になります。

トリプトファンがメラトニンに変換するために約15時間ほどかかるとされているため、朝に牛乳を飲むことで夜の睡眠に効果を発揮し、より良質な眠りをすることで疲労回復が見込めるのです。

牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

栄養ドリンク

ビタミンB1、アミノ酸等を配合している栄養ドリンクも、疲労回復に効果的です。

ビタミンB1をはじめビタミンB群には、人間が活動する上で必要なエネルギーを作るサポートをする働きがあり、身体のだるさや疲れが取れない場合におすすめです。

また、筋肉トレーニングや運動をした後の疲労回復にはアミノ酸が配合された栄養ドリンクが良いでしょう。栄養ドリンクに配合されるアミノ酸には、グリシン・L-アルギニン塩酸塩・L-アスパラギン酸などがあります。

疲れをためないために心がけたい生活習慣

疲れをためないために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

湯船に浸かり体を温める

湯船に浸かると、温浴効果によって手足の末梢神経が拡がり、血行が良くなったり、全身の筋肉や関節が柔軟になったりします。また、お湯に浸かった際の水圧によってリンパの流れを良くする効果もあります。

血流やリンパの流れが良くなることで、体内の疲労物質や老廃物が流れやすくなり、その結果疲れがたまりにくくなるのです。

入浴する際は、肩まで湯に浸けるよりも、へその上まで浸かる半身浴がおすすめ。半身浴をすると、下半身にだけ水圧がかかるため身体への負担が少なく、また足に滞っていた血液を効率よく心臓に戻すことができます。

ストレッチをして体を動かす

疲れをためないために、ストレッチをして体を動かすのも効果的です。

ストレッチをすると血流が良くなり、体内にある疲労物質を血流にのせて流すことができます。普段はあまり使わない部位を伸ばすのが良いでしょう。

特に、「第二の心臓」と呼ばれているふくらはぎの筋肉は、上肢から下肢に送られてきた血液や水分を伸び縮みすることで上肢に戻すという働きがあり、ふくらはぎをストレッチすることでむくみや下半身のだるさを解消することができます。

良質な睡眠をしっかりとる

良質な睡眠をしっかりとることも、疲れをためないようにする上で大切です。睡眠中は日中使われている脳が休まり、全身の疲労回復を助けます。少なくとも6〜7時間の睡眠をとるのが理想です。

良質な睡眠をとるために、自分に合った寝具を選ぶ、太陽の光によって脳が覚醒しないように遮光カーテンを使う、リラックスできるアロマを使う、就寝の1時間〜1.5時間前には入浴を済ませる、などを心がけましょう。

一方、良質な睡眠をとるためにしてはいけないこととして、ベッドでは眠ること以外をしない、寝る前はテレビ・パソコン・スマートフォンの操作をやめてブルーライトを浴びないようにする、などが挙げられます。

1日3食、栄養バランスの良い食事をする

栄養バランスの良い食事をすることで、疲労回復に必要なビタミンB群やたんぱく質などの栄養素を摂取することができます。

内臓が疲れていたり、疲労で食欲がないときも、消化に良いものを選んだり、少量でも口にすることで、生活リズムを整えることができます。

栄養バランスの良い食事がとれない場合は、サプリメントや健康食品で補うのも良いでしょう。

アルコール・タバコを控える

アルコールを大量にとると、アルコールを分解するために肝臓が余計に働くので、疲れやすくなります。またタバコを吸う方は、吸わない方よりも、体内のビタミンやミネラル類が損なわれやすいので、食事でより多くとる必要があります。

慢性的な疲労は病気の可能性も

「寝ても疲れが取れない」状態が6ヶ月以上にわたって続くことを、慢性疲労といいます。

そして慢性疲労により日常生活に支障をきたすような状態を「慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome:CFS)と呼びます。

慢性疲労症候群の主な症状は、微熱・頭痛・のどの痛みなどです。

慢性疲労症候群の治療は、薬物療法や漢方薬による治療が中心となります。ここまでに解説した内容を心がけることも重要ですが、慢性疲労症候群の心当たりがある場合は、医師と相談しましょう。

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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