めまいに効く食べ物・飲み物
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めまいの症状や定義、原因について解説したうえで、めまいの予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。
めまいとは
めまい(dizziness)とは、目の前がぐるぐる回っているように見えたり、体がぐらぐら・ふわふわしたり、物が二重に見えたりする感覚の総称です。漢字では眩暈・目眩などと表記します。立ち上がるときに目の前が暗くなる「立ちくらみ」もめまいの一種です。
めまいの原因は、メニエール病や突発性難聴など耳の病気や、起立性低血圧や貧血によるものなどさまざまです。ストレス・うつなどによる心因性のめまいや、脳梗塞など命に関わる疾患の症状としてめまいが起きるケースもあります。
さらに、気圧や気候の変化で自律神経が乱れることにより起きることもあります。めまいを発症するのは女性に多い傾向があります。
めまいの症状
めまいの主な症状は次の通りです。
- ぐるぐる回っている感じがする
- 体のバランスを保てない
- ふらつく
- 吐き気
- 動悸
- 冷や汗
- ぐらぐらする
- ふわふわする
- 歩行困難
- 目の前が真っ暗になる(眼前暗黒感)
- 物が二重に見える
- 気が遠くなる
めまいの種類と原因
めまいの種類と原因について解説します。
回転性めまい
回転性めまいは、自分や周囲がぐるぐる回っている感覚に陥るめまいです。周りの物が上下左右に流れていくように感じることもあり、吐き気や歩行困難を伴う場合もあります。
回転性めまいの主な原因は、耳の奥の内耳にある平衡感覚を司る器官に起きた血流障害・炎症・むくみなどの異常です。良性発作性頭位めまい症・メニエール病・突発性難聴などの症状として回転性めまいが起こります。
浮動性(動揺性)めまい
浮動性めまいは、体がふわふわし、気が遠くなるような感じがするめまいです。歩くときにふらつくこともあります。
浮動性めまいは、回転性めまいの回復期に起こるほか、薬物が原因のケースや、脳幹・小脳の梗塞や高血圧が原因のこともあります。脳梗塞や脳出血など重篤な疾患が原因の場合もあるため、注意が必要です。
立ちくらみ
立ちくらみは、立ち上がる瞬間や起き上がる瞬間に起こるめまいの一種です。目の前が急に暗くなり、血の気が引いてクラクラするような感覚になります。脳の血流が悪くなることが立ちくらみの一因と考えられます。
立ちくらみは、低血圧や貧血気味の人に起こりやすく、頻繁に起こる場合は起立性低血圧症や起立性調節障害が疑われます。
心因性めまい
心因性めまいは、うつなど心の病やストレス、自律神経失調症に伴うめまいです。さまざまな原因が唱えられていますが、ストレスや乱れた生活習慣により自律神経のバランスが崩れることでめまいが起きると考えられています。
めまいの予防・改善に効果的な栄養素
めまいの予防・改善に効果的な栄養素について解説します。
ビタミンB12
ビタミンB12は、エネルギーの代謝をサポートするビタミンB群の栄養素のひとつです。末梢神経の修復を助ける作用があり、めまいや耳鳴りの治療薬にも用いられています。
ビタミンB12が不足すると正常な赤血球が生成できなくなり、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を引き起こします。巨赤芽球性貧血になると、めまい・疲労感・頭痛・吐き気などの不快感を感じることがあります。
ビタミンB12は、青魚・貝類・レバーなどの動物性食品に含まれるため、菜食主義者は特に注意が必要です。
ビタミンB12の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
鉄
鉄の不足が原因で起こる鉄欠乏性貧血により、立ちくらみやめまいが起きることがあります。生理がある女性や妊娠中・授乳中の女性は、通常よりも多くの鉄を必要とするため、意識して食事やサプリメントから鉄を摂取するようにしましょう。
肉や魚に含まれる動物性のヘム鉄と、葉物野菜や海藻に含まれる植物性の非ヘム鉄がありますが、吸収効率が良いのは動物性のヘム鉄です。非ヘム鉄は、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂取することで吸収されやすくなります。
鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンC
ビタミンCは、肌荒れ予防・アンチエイジング・免疫力維持など多くの効能を持つ栄養素です。ビタミンCには鉄の吸収を助ける機能があり、貧血によるめまいの予防に効果的です。鉄が豊富な食材と共にビタミンCを摂取するようにしましょう。
また、ビタミンCには疲労や肩こりの回復を促進する効果があるのもポイント。ひどい疲れや肩こりが原因でめまいが起きるときにもおすすめです。ビタミンCは、果物や野菜に多く含まれています。
ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンE
めまいは、脳への血のめぐりが悪くなる血流障害が原因で引き起こされることもあります。
ビタミンEには末梢血管を広げて血行を改善する効果があり、めまい予防として積極的に摂りたい栄養素です。ビタミンEは、ナッツ類や植物油、うなぎなどの魚介類に多く含まれています。
ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
めまいの予防・改善におすすめの食べ物・飲み物
めまいの予防・改善に効果的な食べ物・飲み物について解説します。
貝類:めまいに効果的なビタミンB12や貧血対策になる鉄・亜鉛
貝類は、めまいに効果的なビタミンB12を効率よく摂取したいときにおすすめの食材です。
特に多くのビタミンB12を含んでいるのは、しじみ・あさり・赤貝・牡蠣など。味噌汁の具などとして日常の食事にも取り入れやすいしじみ・あさりなどの貝類を中心とし、ビタミンB12を補いましょう。
貝類からは、貧血を予防する鉄や亜鉛も摂取することができます。
しじみの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
あさりの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
青魚:いわし・サバなどにビタミンB12が豊富
いわし・サバ・さんま・にしんなど、背の青い青魚にはめまいに有効なビタミンB12が多く含まれています。
また、青魚の脂には、血液をサラサラにして動脈硬化や血栓症を予防するEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富なのもポイント。EPAが豊富な青魚は、めまいの原因となることもある血流障害の予防・改善への効果も期待できるでしょう。
いわしの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
サバの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
豚肉:ビタミンB群の摂取には赤身の部位がおすすめ
ビタミンB12をはじめとするビタミンB群は、めまい予防のために積極的に摂っておきたい栄養素です。豚肉は、肉類のなかでも多くのビタミンB群の栄養素を含んでいます。
ビタミンB群を効率よく摂りたいときは、豚ももや豚ヒレなど赤身中心の部位がおすすめです。豚肉の赤身の部位には、貧血予防効果のある鉄も多く含まれています。
豚肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
レバー:ビタミンB12が最も豊富なのは牛レバー
牛・豚・鶏のレバーには、ビタミンB群の栄養素や鉄が多く含まれていて、めまいの予防・改善効果が期待できます。
めまいの治療薬にも利用されるビタミンB12は、牛レバー・鶏レバー・豚レバーの順に多く含まれます。牛レバーには豚レバーの約2倍のビタミンB12が含まれており、効率よく摂取したいときには牛レバーがおすすめです。
レバーの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
大豆食品:ビタミンB群を摂取できる植物性食品
植物性食品からビタミンB群の栄養素を摂りたいときは、大豆および豆腐・納豆・豆乳など大豆の加工食品がおすすめです。
ただし、大豆にはビタミンB12は含まれないため、貝類や青魚などの動物性食品と合わせて摂取するのが理想的です。
納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
ナッツ類:アーモンドに特に豊富なビタミンE
アーモンドやピーナッツなどのナッツ類には、ビタミンEが多く含まれています。ビタミンEは、血行を改善することでめまいの症状に良い影響が期待できる栄養素です。
特にビタミンEが豊富なのはアーモンドです。コンビニで買えるアーモンドのスナックやアーモンドミルクなどからもビタミンEを摂取できるので、栄養バランスが気になるときは取り入れてみてください。
アーモンドの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
ピーナッツの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
柑橘類:鉄の吸収を促進して貧血を予防するビタミンC
鉄の吸収を助けるビタミンCは、貧血が原因のめまいを予防するためにぜひ摂っておきたい栄養素です。ビタミンCは、フルーツに多く含まれていますが、特にレモン・みかん・オレンジなどの柑橘類に豊富です。
柑橘類特有の甘酸っぱい味わいには、もやもやした気分や、頭をすっきりさせる効果も期待できます。柑橘類に含まれるクエン酸には食欲増進効果もあるため、体調が悪く食欲が出ないときにもおすすめです。
レモンの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
みかんの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
めまいの症状があるときに避けたい食べ物・飲み物
めまいの症状に悪い影響を及ぼす可能性のある食べ物・飲み物は次の通りです。ふらつきや立ちくらみの症状があるときは、以下の食べ物・飲み物を控えてみてください。
アルコール
血管を収縮・拡張する作用のあるアルコール類には、めまいの症状を悪化させる可能性があります。
アルコールには体の平衡感覚を司る小脳の働きを抑える作用があり、お酒を飲んで酔っぱらうと、ふらつきやめまいの症状が出やすくなります。アルコールの飲み過ぎによる二日酔いの症状として、めまいや立ちくらみが起こることもあります。
カフェインを含む食べ物・飲み物
カフェインは、コーヒー・紅茶・緑茶・コーラ・チョコレートなどに含まれるアルカロイドの一種です。カフェインには血管を収縮させる作用があるため、内耳への血流を阻害してめまいを引き起こしたり、症状を悪化させたりする可能性があります。
また、カフェインを過剰に摂取すると中枢神経が刺激され、めまいや頭痛、動悸などの症状が起きることもあるため注意しましょう。
めまいがあるときに飲むなら、ノンカフェインの麦茶・黒豆茶・ルイボスティー・ハーブティーや、カフェインレスのコーヒーがおすすめです。
脂質の多い食品
ふらつき感や、目の前がぐるぐると回っているように感じられるめまいは、吐き気を伴うことも少なくありません。消化に時間がかかる脂質の多い食品は、消化器への大きな負担となり、胃のむかつきや吐き気を増幅させる恐れがあります。
めまいに悩まされているときは、揚げ物やスナック菓子、脂身の多い肉など脂質の多い食べ物はできるだけ避けてください。
めまいの予防・改善に効果的な生活習慣
めまいを予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。
規則正しい生活で十分な睡眠をとる
生活リズムが乱れると、自律神経のバランスが崩れ、めまいなどの不快な症状が起きやすくなります。
また、睡眠不足は、自律神経の働きや体の疲労回復機能に悪影響を及ぼします。起床・就寝時刻を一定にし、十分な睡眠時間を確保できるよう心がけましょう。
ストレスを避ける
めまいを引き起こすメニエール病や突発性難聴の原因のひとつがストレスです。ストレスや緊張状態により自律神経が乱れ、めまいが起きる可能性もあります。
ストレスを避けることや、解消する方法を見つけることも、めまい症状の緩和には大切です。生活環境を改善する・転職する・家事や育児の負担を減らすといった対策を取ってみましょう。
禁煙する
たばこの煙に含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、血流を阻害してめまいを悪化させる恐れがあります。禁煙もめまいの予防・緩和に有効な対策と言えるでしょう。
適度な運動
適度な運動には血行促進やストレス解消の効果があり、めまいの改善に良い影響が期待できます。
ただし、いきなり激しい運動を行うと逆にめまいを悪化させる可能性もあるため、ウォーキングやストレッチなど軽い有酸素運動から始めてみてください。
参考文献
- めまいとは(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル
- メニエール病または症候群治療における食習慣の変更| コクラン
- 厚生労働省eJIM | ビタミンB12 | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ
- 鉄 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 厚生労働省eJIM | ビタミンC | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ
- 厚生労働省eJIM | ビタミンE | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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