コンドロイチンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
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コンドロイチンの基本情報、種類、効果・働き、過剰摂取による影響、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。
コンドロイチンとは
コンドロイチン(chondroitin)とは、粘液多糖類のムコ多糖類の1種です。
ムコ多糖は動物の体内成分で、粘性のある物質で細胞間の隙間を埋める働きがあります。上皮組織や筋組織、神経組織などの結合組織を形成する成分です。
コンドロイチンは硫酸と結合し、コンドロイチン硫酸として軟骨や皮膚、血管壁の主成分として働いています。また結合組織だけでなく、角膜にも多く含まれており、目の健康を維持するために必要な栄養素です。
コンドロイチンと類似成分の違い
コンドロイチンと類似する栄養素・成分との違いを解説します。
グルコサミン
グルコサミンは、コンドロイチンとセットでサプリメントに含まれることの多い栄養素です。
カニやエビなどの甲殻類に多く含まれており、人の体内では軟骨の原料になります。軟骨の主成分は、プロテオグリカンと呼ばれる物質で、グルコサミンはプロテオグリカンを作るのに欠かせない成分です。
プロテオグリカンが関節のクッションとなる軟骨を形成するため、グルコサミンが減少すると、関節痛を引き起こすリスクが高まります。ただし、グルコサミンを経口摂取しても、関節の軟骨を強化したり、関節痛を抑制したりする効果が必ずしも現れるものではありません。
グルコサミンには、N-アセチルグルコサミンとグルコサミン塩酸塩の2種類があります。
N-アセチルグルコサミンは、ヒトの体内に存在するグルコサミンです。食品やサプリメントに含まれるグルコサミン塩酸塩は、体内でN-アセチルグルコサミンへと変換されて利用されます。
グルコサミン塩酸塩は、主にサプリメントや健康食品に含まれるグルコサミンです。甲殻類から抽出したキチンや、微生物のもつキチンを精製してサプリメントに使用します。
グルコサミンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|
NANIWA SUPLI MEDIA
プロテオグリカン
プロテオグリカンとは、軟骨や皮膚に存在する糖タンパク質です。
関節の軟骨で衝撃を吸収するクッション材の役割をして、変形性関節症の症状を緩和する働きがあります。
プロテオグリカンは、グルコサミンを原料として生成されます。また、コラーゲンの生成を促進させる作用ももつことが知られている成分です。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸とは、コンドロイチンと同じムコ多糖類の仲間です。人の体内では、細胞と細胞の間を埋める働きをします。
保水力が高く、とくに眼球に多い成分です。皮膚や軟骨にも存在し、細胞同士のつながりに欠かせません。
体内のヒアルロン酸は加齢とともに減少することが知られており、美容や関節痛の治療のために注射薬として利用されています。
ただし、ヒアルロン酸を経口摂取したからといって、肌の保水力が高まるわけではありません。
ヒアルロン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
コラーゲン
コラーゲンとは、皮膚や軟骨に存在する繊維状タンパク質です。鶏の手羽や皮、ふかひれなどに多く含まれ、ゼラチンの原料にもなります。
とくに皮膚の70%を占める成分で、美容には欠かせない栄養素です。皮膚の健康を保つだけでなく、骨に含まれるカルシウムやハイドロキシアパタイトを結合させて、骨を丈夫にする効果もあります。
コラーゲンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・一緒に摂取したい栄養素|NANIWA SUPLI MEDIA
セラミド
セラミドとは皮膚の角質層に存在し、保湿機能や免疫機能をもつ成分です。皮膚にバリアを作り、乾燥や紫外線、病原体から身体を守ります。
米ぬか・胚芽やトウモロコシ、大豆、ビートなどに多く含まれる栄養素です。
セラミドの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
コンドロイチンの効果・働き
コンドロイチンの効果・効能について解説します。
関節痛や腰痛を軽減する
コンドロイチンには、関節痛や腰痛を軽減する効果が期待されています。
細胞間をつなぐコンドロイチンは、軟骨に多く含まれる栄養素です。関節が動くときのクッション材の働きをしており、軟骨のコンドロイチンは減少すると、関節痛が起こることが知られています。
ただし、研究によってはコンドロイチンが関節痛に効果的とは言えない結果も発表されており、いまだ研究途中です。
厚生労働省では、コンドロイチンは変形性膝関節症や変形性股関節症の痛みには有効でないと発表しています。しかし、エビデンスが十分ではない可能性もあり、コンドロイチンの効果には議論の余地があると考えられています。
動脈硬化を予防する
近年、コンドロイチンには動脈硬化の発症を抑制する効果が期待されています。
コンドロイチンは、結合組織で細胞と細胞をつなぐ働きのある栄養素です。血管壁にもコンドロイチンが存在しており、血管の柔らかさに影響を与えると考えられています。
また、神戸薬科大学の研究結果によると、血管壁に存在するコンドロイチン硫酸鎖が動脈硬化の発症に大きな影響を与えると報告しています。
コンドロイチン硫酸鎖の調節を担う酵素を抑制すると、動脈硬化の発症や進展を抑えることが確認できました。今後の研究によって、コンドロイチンの動脈硬化への作用が明らかにされるかもしれません。
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肌の健康を維持する美容効果も
コンドロイチンには、皮膚の健康を維持する効果もあります。上皮組織の構成成分であるコンドロイチンが減少すると、シワやたるみの原因となります。
保水力も高いため、皮膚の保湿性を高めて美肌効果が期待できる栄養素です。
美肌・美白をかなえる美容に効果的な食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA
コンドロイチンを過剰摂取すると起こる副作用
コンドロイチンを長期的に摂取した場合も、重篤な副作用はないことがわかっています。
ただし、ワルファリンと一緒に摂取すると、出血傾向になる可能性が示唆されています。ワルファリンとは、血液を固まりにくくして血栓を防ぐための薬です。抗凝固剤とも呼ばれ、血液をさらさらにします。
コンドロイチンと似た作用のあるグルコサミンは、ワルファリンと相互作用し、その作用を高め過ぎてしまう傾向にあります。
グルコサミンと同様の作用がコンドロイチンにも想定されるため、ワルファリンを服用している場合は、コンドロイチンをサプリメントとして摂取するのは控えましょう。
コンドロイチンの1日の摂取目安量
欧州の基準では、コンドロイチンの1日の最大摂取量はおおむね500~900mgとされています。
上記の最大摂取量は安全性データに基づいて設定されていますが、リスク評価の点では研究が十分ではないと考えられています。
また、日本ではコンドロイチンの摂取量目安は明言されておらず、各サプリメントの用量を守ることが重要です。
コンドロイチンを多く含む食品
コンドロイチンを多く含む食品は次のとおりです。
- 山芋
- 里芋
- オクラ
- なめこ
- 納豆
- サメの軟骨
- ウナギ
サメの軟骨にはコンドロイチンが多く含まれており、サプリメントの原料として使われています。サメ以外には、山芋や里芋、オクラなどのねばねばした食品に多く含まれているのが特徴です。
山芋の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
里芋(さといも)の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
オクラの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
コンドロイチンを効率よく摂取する方法
コンドロイチンの効果をより効率よく得たいなら、グルコサミンを多く含む食品と一緒に摂取するのがおすすめです。
グルコサミンとコンドロイチンはどちらも関節に作用するため、同じ栄養素と勘違いされますが、実は異なる効果を発揮します。
コンドロイチンは保水力が高く、関節の軟骨の主成分となるプロテオグリカンの弾力性を高める栄養素です。一方、グルコサミンはプロテオグリカンの原料として使われます。
軟骨がすり減って関節痛が起こった際、プロテオグリカンの弾力性を高めるだけでなく、プロテオグリカンの原料を増やすことも重要です。そのため、コンドロイチンと一緒にグルコサミンの多い食品を摂るとよいでしょう。
グルコサミンを多く含む食品は、次のとおりです。
- カニ
- エビ
- 牛・豚・鶏の軟骨
- ウナギ
- ナマコ
- きのこ類
エビの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
なめこの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA