動脈硬化の予防・改善におすすめの血液がサラサラになる食べ物・飲み物

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動脈硬化の症状や定義、原因について解説したうえで、動脈硬化の予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

動脈硬化とは

動脈硬化(Arteriosclerosis)とは、動脈の壁が硬くなって弾力性が失われ、働きが悪くなった状態のこと。血管の内側に、脂肪分が付着するなどして血栓が生じることによって血管が詰まりやすくなってしまい、進行すると心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすこともある危険な疾患です。

動脈硬化の原因は、血管の老化・喫煙・食生活などさまざま。悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の数値が高くなる脂質異常症や、高血圧・肥満・糖尿病の人は、動脈硬化のリスクが高いと言われています。

中高年の疾患というイメージの強い動脈硬化ですが、近年の食生活の欧米化にともない、30歳代以下の若い世代でも注意が必要な病気となりました。

糖質・脂質の多いドロドロ状態の血液を放っておくと、動脈硬化のリスクが高まります。動脈硬化の予防には、運動不足解消など生活習慣を見直すのはもちろん、血液をサラサラにする効果がある食材を日々の食事に取り入れることも大切です。

動脈硬化が引き起こす疾患

動脈硬化が進行することで引き起こされる可能性がある疾患は、以下のようなものが挙げられます。

  • 心筋梗塞:心臓の栄養血管である冠動脈が詰まる
  • 狭心症:心臓の冠動脈が狭くなる
  • 脳梗塞:脳の血管が詰まる
  • 脳出血・脳の血管が破れる

動脈硬化の種類

動脈硬化は、大きく以下の3つのタイプに分けられます。

粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)

粥状動脈硬化は、大動脈・脳動脈・冠動脈などの太い動脈に生じる動脈硬化です。血管の内側に悪玉コレステロールなどの脂肪からなるドロドロした粥状物質(プラーク)がたまり、アテローム粥状硬化巣(アテローム)が発生します。これが次第に大きくなることで、動脈の内腔が狭くなり、血管が詰まりやすくなります。

中膜硬化(メンケルベルグ型硬化)

中膜硬化は、動脈の内膜と外膜の間にある中膜にカルシウムがたまって骨化した状態のことを言います。大動脈・下肢の動脈・頚部の動脈などに起こりやすい動脈硬化です。中膜が骨化することでもろくなり、血管壁が破れてしまうこともあります。

細動脈硬化

細動脈硬化は、脳や腎臓の中の細い動脈が硬化した状態です。加齢や高血圧が原因となることが多く、症状が進むと血管が破れて脳出血など重篤な疾患を引き起こすこともあります。

動脈硬化の危険因子・原因

動脈硬化の危険因子となる、主な疾患や生活習慣は以下の通りです。これらの危険因子がいくつも重なることによって、動脈硬化が進行します。

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病
  • 加齢(男性は45歳以上、女性は閉経後)
  • 喫煙習慣
  • 肥満
  • 運動不足
  • ストレス
  • 偏った食生活
  • アルコール

高血圧

慢性的に血圧が高い状態が続く高血圧症は、動脈の硬化を促します。動脈硬化が進みやすい血圧は、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上です。

高血圧は、塩分の摂り過ぎ・過度な飲酒・運動不足・肥満などによって引き起こされます。

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脂質異常症

脂質異常症(高脂血症)は、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールが基準値より高く、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が基準値より低くなる病気です。脂質異常症も動脈硬化を進行させると言われています。

脂質異常症の原因は、肥満や運動不足に加え、脂肪や塩分の多い食事やアルコールの過剰摂取などさまざまです。

糖尿病

糖尿病も動脈硬化の危険因子です。糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が続く疾患で、糖尿病患者は、首の動脈の肥厚・脳血管障害・虚血性心臓病・大動脈硬化・足の閉塞性動脈硬化症などのリスクが健康な人と比べて高くなります。

糖尿病の原因は、遺伝的要因のほか、過食や運動不足などの生活習慣との関連が深いと言われています。

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動脈硬化の予防・改善に効果的な食べ物・飲み物

動脈硬化の予防・改善に効果的な、血液をサラサラにする効能がある食べ物・飲み物について解説します。

玉ねぎ:アリシンで血流をスムーズに

玉ねぎには、血液凝固を予防するアリシン(硫化アリル)が含まれています。アリシンは、玉ねぎ・ねぎ・にんにくなどのにおいと辛味のもとで、血液の流れをスムーズにして血栓をできにくくする働きがあり、動脈硬化の予防に効果的です。

アリシンにはそのほかにも、コレステロール値の低下作用や血糖値の上昇を抑制する働きもあり、動脈硬化を進行させる脂質異常症や糖尿病の改善効果も見込めます。

また玉ねぎには、ケルセチン配糖体やビタミンCなどの抗酸化物質が豊富なのもポイント。抗酸化物質には、生活習慣病の原因となる活性酸素を除去する働きや、血管の老化を防ぐ作用があります。

ドロドロ血液が気になる方は、サラダを買うときに玉ねぎが入っているものを選ぶなど、毎日の食事の中に少しずつ取り入れてみるようにしましょう。

玉ねぎの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

青魚:血液サラサラ効果のあるオメガ3脂肪酸

DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)はオメガ3脂肪酸の一種で、魚介類に多く含まれており、特にいわし・さば・さんまなど青魚の油に豊富です。

DHAには血管の弾力性保持や赤血球の柔軟性を高める効能があり、EPAは血流を良くし血栓を予防する作用があります。

また、オメガ3脂肪酸は血圧やコレステロール値を下げることも認められており、オメガ3脂肪酸を多く含む青魚は、動脈硬化の危険因子となる生活習慣病の予防にも効果的です。

コンビニで買えるいわしやさばの缶詰からもDHAやEPAは摂取できるため、普段魚を食べる習慣がない方には、手軽に栄養を摂れる魚の缶詰がおすすめです。

オメガ3の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

トマト:血管の健康を維持するリコピンやエスクレオサイドA

トマトには、リコピン・βカロテン・ビタミンCなどの抗酸化物質が豊富に含まれています。抗酸化物質とは、体内の活性酸素を除去する作用を持った成分です。過剰な活性酸素は過酸化脂質を作り出し、動脈硬化やがんを引き起こします。

特に、トマトに豊富なリコピンにはビタミンEの100倍以上ともいわれる強力な抗酸化作用があり、動脈硬化や高血圧、脂質異常症などへの予防・改善効果が期待されています。

また、トマトに含まれるエスクレオサイドAという成分には、悪玉コレステロールの血管への蓄積を抑える効果があり、血液がドロドロになるのを防いでくれます。

トマトは、同じく血液サラサラ効果のある玉ねぎと味の相性が良く、トマトと玉ねぎのサラダやマリネは、調理も簡単で効果的に栄養を摂れるレシピです。

なお、トマトに限らず野菜や果物類には、コレステロールを吸着する食物繊維、血管の老化を防ぐビタミンE、血管を丈夫にするコラーゲン生成を助けるビタミンCなど、動脈硬化予防に役立つ栄養素が豊富です。

トマトの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

納豆:血栓を溶解するナットウキナーゼ

納豆独自の成分であるナットウキナーゼは、血管内の血栓を溶かす作用があることがわかっています。ナットウキナーゼは、納豆菌の発酵過程で生まれるたんぱく質分解酵素で、納豆のネバネバした部分に含まれています。

さらに、ナットウキナーゼには血流改善効果や血圧降下作用もあり、納豆は動脈硬化の予防には最適な食材と言えるでしょう。

ただし、納豆には血液の凝固を促すビタミンK2も含まれており、血栓を防ぐ薬である「ワーファリン」を服用している人は、摂取に注意が必要です。

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

わかめ:コレステロール排出を助けるアルギン酸

わかめ・昆布などの海藻類に含まれるアルギン酸には、コレステロールの吸収を抑制して体外へ排出し、動脈硬化を予防する働きがあります。アルギン酸は水溶性食物繊維の一種で、海藻のぬめりに含まれています。

アルギン酸には、コレステロールを原料とする胆汁酸を排出する作用もあるため、血中コレステロール値を下げる作用もあります。

アルギン酸を多く含むわかめをはじめとした海藻類は、血液をサラサラにするのに有用な食材です。コンビニで買える海藻サラダやわかめの味噌汁からもアルギン酸は摂取できるので、コレステロールや中性脂肪が気になる方はいつもの食事へのプラス一品として取り入れてみてください。

わかめの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

しいたけ:コレステロールに作用するエリタデニンが豊富

しいたけの特有成分であるエリタデニンには、コレステロール値を下げ、血流を改善する効果があります。

エリタデニンはきのこ類に含まれる栄養素ですが、特にしいたけに豊富なため、動脈硬化の予防効果を期待してきのこ類を食べるなら、しいたけを選びましょう。

また、グアニル酸と呼ばれるしいたけの旨味成分には、血小板の働きを抑制し血栓を予防する効果も。しいたけは、血液をサラサラにしたい方にはぴったりの食材です。

しいたけの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

お酢:クエン酸で血液をサラサラに

お酢に含まれる酢酸・クエン酸などの有機酸は、コレステロールや中性脂肪を減らしたり、血圧を低下させるなど、動脈硬化を進行させる生活習慣病の予防に効果があります。

これらの有機酸は、穀物酢や米酢などの食酢のほか、ドリンクとして取り入れやすい黒酢にも豊富です。

さらに、クエン酸には血小板の結合を防ぐ作用があるため、血液が固まるのを防ぎサラサラにしてくれます。クエン酸は、お酢のほかに梅干しやレモンなどの柑橘類にも含まれる酸味成分であり、疲労回復や食欲増進効果があることで有名です。

また、酸味のあるお酢を調味料として用いることで、料理の味は落とさずに塩分の量を調整できます。塩分の摂りすぎが原因となる高血圧の予防にも活用できる食材です。

酢の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA

動脈硬化の予防・改善に効果的な生活習慣

動脈硬化を予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

コレステロールや塩分を控えた食事を心掛ける

肉の脂身・乳製品・卵黄など、血液をドロドロにするコレステロールや中性脂肪を多く含む食材は、動脈硬化を悪化させる恐れがあるため、食べすぎないよう注意してください。

また、動脈硬化を進行させると言われる高血圧は、塩分の摂りすぎが一つの原因となって引き起こされます。血圧が気になる方は、塩分の多い食事も控えるようにしましょう。

反対に、ビタミン類や食物繊維を多く含む野菜・果物・海藻類・きのこ類などは、コレステロールの排出を助けたり、脂肪の代謝を促したりして動脈硬化の予防に役立ちます。

動脈硬化の原因となる過酸化脂質の生成を抑える、βカロテン・ビタミンC・ビタミンEなどの抗酸化物質を多く含む食材も動脈硬化対策に有効です。

過度な飲酒を控え禁煙する

過度な飲酒や喫煙も、動脈硬化の原因となる可能性があります。アルコールは適量なら善玉コレステロールを増やし、脳血管障害・虚血性心疾患のリスクを低下させることがわかっていますが、飲みすぎは高血圧や脂肪肝の原因となります。

また、習慣的な喫煙は血管の硬化を促進することがわかっており、喫煙者は非喫煙者と比べて動脈硬化になりやすくなります。

タバコのニコチンには血管収縮作用があり、血圧を上昇させることで血管や心臓に負担をかけます。さらにタバコに含まれる一酸化炭素には、血液の粘度を高め血栓をできやすくする作用があるなど血管に対してさまざまな悪影響があるため、動脈硬化の予防には禁煙が有効です。

30分以上の有酸素運動を週3~4回程度行う

1回30分以上の有酸素運動を週3~4回程度行うことにより、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させる効果が得られると考えられています。

有酸素運動とは、ウォーキング・ジョギング・水泳・自転車をこぐなど、小~中程度の負荷がかかる運動を長時間継続する運動です。有酸素運動にはダイエット効果もあり、動脈硬化を進行させる肥満や糖尿病などの生活習慣病の改善効果も期待できます。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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