代謝を上げる食べ物・飲み物
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代謝が低下する原因について解説したうえで、代謝を高める食べ物や飲み物を紹介します。
代謝とは
代謝とは活動するエネルギーを生むために体内で起こる生体反応です。代謝は基礎代謝・活動代謝・食事誘発性熱産生に大別されます。
基礎代謝は体温維持や呼吸の際に生じ、生きているだけで消費されるエネルギーのことです。
運動する際に起きる活動代謝や、食べ物を消化するための食事誘発性熱産生でもエネルギーを消費しますが、1日の消費エネルギーのほとんどが基礎代謝に使われています。そのため、ダイエットで基礎代謝が重要視されるのです。
代謝が低下する原因
代謝が低下してしまう原因を説明します。
加齢
加齢とともに基礎代謝量は低下することがわかっており、筋肉量の低下が主な原因のひとつです。基礎代謝は筋肉で使われる分が大きいので、筋肉が減ると必然的に基礎代謝量は低下してしまいます。
厚生労働省の「食事摂取基準2015年度版」に記載されている年代別の基礎代謝基準値を見ると、1日あたりの基礎代謝量は男性も女性も10代がピークです。年を重ねるごとに基礎代謝量は徐々に落ちていき、50歳から69歳では10代に比べ1日あたりの消費カロリーが300kcalから400kcalほど減少します。
冷え
身体の冷えも基礎代謝と大いに関係があります。体温が1℃下がれば、代謝量が12%近くも減少すると言われているのです。
冷えにより基礎代謝が低下する原因は血行不良です。身体が冷えると血管の収縮から血流が悪化し、必要な箇所に栄養や酸素が行き渡らなくなります。結果、エネルギー不足が起き基礎代謝量も落ちてしまうというわけです。
肥満
一般的に肥満とは、消費カロリー以上に摂取カロリーが多いために皮下脂肪が蓄積されてしまう状態です。肥満や過剰な栄養摂取は脂肪細胞の熱産生が低下し、さらに基礎代謝量が減ってしまうことが研究でわかっています。
さらに脂肪が増えると身体は冷えやすくなります。悪循環に陥る前に、筋肉量を増やして基礎代謝量を上げることが重要です。
偏食
栄養の偏りも基礎代謝量の低下を招きます。ダイエットで消費カロリーを減らそうと食事を制限すると身体を動かすためのエネルギーが足りなくなり、結果的に代謝は下がってしまいます。
野菜ばかり食べるような偏った食事ではなく、栄養のバランスを考えた食事をすることがダイエットの近道と言えるでしょう。
代謝を高める栄養素
代謝を高める代表的な栄養素について解説します。
タンパク質:筋肉のもとになる
タンパク質にはさまざまな種類があり、代謝に関わるのは筋肉を構成する収縮タンパク質です。筋肉のうち約80%は、アクチンやミオシンなど筋原線維のタンパク質が占めています。
代謝を高めるには筋肉が必要不可欠なので、タンパク質を積極的に摂取して代謝の良い身体作りを心がけましょう。タンパク質の1日あたり摂取量目安は成人男性が65g、成人女性は50gです。
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると、鶏のむね肉では100gあたり38.8gのタンパク質が含まれるので、1日あたり130gから170gの摂取が必要になる計算です。
タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA
炭水化物:筋肉合成をサポート
ダイエット中は白米やパンなどの炭水化物を抜きがちですが、代謝に必要な筋肉を育てるには炭水化物が重要です。
糖質が欠乏した状態では摂取したタンパク質がエネルギー源として利用されてしまい、筋肉の合成に使われません。せっかく筋肉を強化する目的でタンパク質を多く摂取していても、あまり意味がなくなってしまいます。
また、炭水化物に含まれるブドウ糖は脳のエネルギー源として重要です。脳は基礎代謝のうち約20%のカロリーを消費していますので、効率的に脳を動かすためにも炭水化物は欠かせません。
炭水化物の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB群:エネルギー効率アップ
ビタミンB群はあらゆる栄養素がエネルギーに変換されるのをサポートする働きがあります。ビタミンB群が欠乏するとエネルギー代謝がうまく行われません。
特に基礎代謝アップに重要な働きをするのがビタミンB1とビタミンB2です。
ビタミンB群の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB1:糖質をエネルギーへ
摂取した糖質を無駄なくエネルギーに変換するには、ビタミンB1の働きが必要不可欠です。さらにビタミンB1は疲労回復や消化不良をサポートしてくれるので、健康的な身体の維持にも役立ちます。
ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB2:糖質や脂質をエネルギーへ
「成長のビタミン」とも呼ばれるビタミンB2は、糖質や脂質がエネルギーに変換するのを助けます。
糖質や脂質がうまくエネルギーに変わらなければ、体内に蓄積して肥満の原因にもなってしまいます。ダイエット中は特に摂取したい栄養素のひとつです。
ビタミンB2の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンEやリコピン:血行を促進
代謝を高めるのに重要なのは血流です。血流が滞ると栄養や酸素の運搬、老廃物の排出がうまくできずに基礎代謝の低下を招きます。
ビタミンEやリコピンは高い抗酸化作用を持ち、血流の改善に促してくれる栄養素です。特にビタミンEは末梢血管の拡張作用があり、冷えの解消にも役立つでしょう。
ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
リコピンの効果効能・多く含む食品・1日の摂取目安量・効率よく摂取する方法・副作用 | NANIWA SUPLI MEDIA
アリシン:ビタミンB1をサポート
代謝を高めるには玉ねぎやニンニクなどに含まれるアリシンが効果的です。
アリシンはビタミンB1と結びつき、その作用を高める働きがあります。ビタミンB1単体での摂取に比べ、7倍も利用効率がアップすると言われているのです。糖質を効率よくエネルギーへ変えるには、ぜひ取り入れたい栄養素でしょう。
さらにアリシンの分解物であるアホエンには血液をサラサラにする作用があるので、血行促進にも期待できます。
アリシンの効果・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
代謝を高める食べ物・飲み物
代謝を高める食べ物・飲み物について解説します。
トマト
トマトには抗酸化物質であるリコピンとビタミンEが含まれています。特に抗酸化作用の高いリコピンを効率よく取り入れるには、調理してから食べるのがおすすめです。
リコピンは生のままだとリコピンの吸収効率が低いため、必ず加熱調理しましょう。加工品でも吸収効率は高いので、トマトジュースでも効果が期待できます。
また、トマトは13-oxo-ODAという成分が注目を浴びており、研究によれば脂肪燃焼作用や血中中性脂肪の上昇抑制などが確認されています。
トマトの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
とうがらし
とうがらしの辛味成分はカプサイシンという有機化合物です。カプサイシンにはアドレナリンの分泌をサポートし、脂肪の代謝や発汗を促す作用が期待されています。血流も促進されるので、冷えの改善にも役立つでしょう。
カプサイシンは油に溶けやすい性質を持つため、効率的に摂取するには油で炒めるのが得策です。酢にも溶けやすいので酢漬けも良いでしょう。
とうがらしの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
玉ねぎ
玉ねぎにはアリシンが含まれているので、糖質をエネルギーに変換しやすくしてくれます。アリシンは血行促進作用がありますが、玉ねぎに含まれるケルセチンにも同様の作用が期待されます。
ケセルチンはポリフェノールの一種で、脂肪吸収を抑える働きもある成分です。玉ねぎはダイエットの心強い味方になってくれるでしょう。
玉ねぎの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
生姜
生姜にはビタミンB1やビタミンB2のほかに、ジンゲロールと呼ばれる辛味成分が含まれます。ジンゲロールは加熱するとショウガオールに変わり、血管を収縮させるプロスタグランジンを抑える働きがあります。
血管が収縮すると身体の冷えが進むため、ジンゲロールは身体を温めるのに適した栄養素と言えます。血流を促進させて体温が上昇すれば、代謝アップにつながるでしょう。
生姜の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
玄米
玄米は穀類のなかでもビタミンB群が豊富で、特にビタミンB1を多く含みます。摂取したカロリーを体内で効率よく利用するには、よりビタミンB群が多い食品を選ぶべきでしょう。
玄米は炭水化物の含有量は多いですが、GI値が低い分糖質の吸収が穏やかです。白米に比べると、ダイエットに向いている食品と言えます。
玄米の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
納豆
大豆からできている納豆はタンパク質が豊富です。コンビニでも手軽に買えるので、筋肉作りをサポートしてくれる食品として取り入れやすいでしょう。
納豆にはビタミンB1やビタミンB2などのビタミンも多く含まれ、栄養価の高さが魅力です。さらに納豆特有の成分であるナットウキナーゼは継続して食べることで血行促進作用が見込めます。冷え性改善にも役立つでしょう。
納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
豚肉
豚肉はタンパク質とビタミンB1が豊富に含まれる食品です。
特に豚のヒレ肉やもも肉にタンパク質が多く含まれるので、購入する際の参考にしてみてください。ヒレ肉はビタミンB1の含有量も高いので、代謝アップには最適な食品です。
グレープフルーツ
グレープフルーツはビタミンEやビタミンCなどが含まれるので、高い抗酸化作用が期待できるでしょう。
さらに香り成分であるリモネンは交感神経を刺激して、新陳代謝をアップさせる働きがあります。脂肪分解酵素が活発に働いたり、体内の熱生産を促進したりなどの作用があるためダイエット中に重宝するはずです。
グレープフルーツの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
緑茶
代謝を上げる飲み物としておすすめしたいのは緑茶です。緑茶に含まれるカテキンは、さまざまな作用が確認されています。
ある研究で緑茶は高脂肪食を摂取させたラットの体重増を抑制し、カテキンの一種であるエピガロカテキンガレート(EGCG)に脂肪細胞の分解作用があることが確認されました。
そば
そばはビタミン類が豊富な食品です。特にビタミンB群が多く含まれるので、効率的な代謝アップをサポートしてくれます。
さらにルチンと呼ばれるポリフェノールの一種にも注目です。高い抗酸化作用を持ち、血流をスムーズにすることで血行促進が期待できます。
そばは茹でるだけで簡単に食べることができるので、食事にも取り入れやすいでしょう。
ブロッコリースプラウト
ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトは、肥満の抑制作用が注目されている食品です。
ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンは白色脂肪組織の褐色化を促進し、エネルギー消費を高める働きが報告されています。
白色脂肪組織とは、中性脂肪を蓄えており増えると肥満の原因になる細胞です。脂肪の分解や熱の産生作用のある褐色脂肪組織に変換させれば、自ずと代謝アップにつながります。
ブロッコリースプラウトの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
黒酢
ダイエットに向いている食品として名高いのがお酢です。なかでも黒酢はより多くのアミノ酸を含み、脂肪の燃焼を促進すると考えられています。
研究では12週間継続して黒酢の摂取と運動を実施したところ、運動時のエネルギー消費量がアップしました。
黒酢の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
代謝を高める生活習慣
代謝を高めるために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。
運動習慣
代謝を高めるには筋肉量の増大が必要不可欠です。
筋力トレーニングを取り入れるなら、身体の中でもとりわけ範囲が広い筋肉を鍛えると効率的と言えます。例えば、太ももの大腿四頭筋やお尻の大臀筋などが良いでしょう。胴体部分の筋肉を鍛える体幹トレーニングもおすすめです。
きつい運動が苦手な方は有酸素運動を取り入れてみましょう。ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動は有酸素性エネルギー代謝を促進します。有酸素性エネルギー代謝は脂肪酸をエネルギーとして主に消費するため、肥満対策にもぴったりです。
入浴
代謝の良い身体を作るには、血流がスムーズでなければいけません。身体の冷えが続いたり、デスクワークで肩や首の筋肉が凝り固まると血流悪化の原因になります。
手軽な習慣としては入浴が最適です。入浴の温熱効果で筋肉をほぐし、血流アップが期待できます。リラックス効果もあるので、質の良い睡眠にもつながるでしょう。
規則正しい生活リズム
身体の活動を支えているのは自律神経です。自律神経は交感神経と副交感神経のバランスで成り立っていますが、うまく切り替わらないと代謝にも影響を与えます。ストレスや不規則な生活は自律神経を乱すので気を付けましょう。
特に現代人はパソコンや携帯を長時間使用しがちで、交感神経が強い状態が続きやすいです。副交感神経へ切り替わりづらくなると睡眠の質が下がり、疲れがとれないことで活動代謝が低下してしまいます。
朝、目覚めてからなかなか身体が活動モードにならない人は、交感神経への切り替わりがうまくいっていない証拠。まずは寝る時間や起きる時間を決め、規則正しいリズムで生活してみましょう。
朝ごはんを食べる
朝ごはんを食べないと身体を動かす栄養素が不足してしまいます。噛むことで目が覚めて活動しやすくなるというメリットもあるので、必ず取り入れたい習慣のひとつです。
食事のあとは副交感神経が働き消化の過程で代謝が活発になるので、エネルギーの消費にもつながります。
水分をしっかり摂る
人間の身体のほとんどは水分でできています。意識的に水分を摂取するようにすれば、血液の循環が良くなり血行促進にもつながるのです。水分が不足すると尿の量が減り、代謝機能も低下してしまいます。
コーヒーやお酒は身体を冷やしてしまうので、純粋な水を摂取するよう心がけましょう。
参考文献
- 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要|厚生労働省
- 肥満による基礎代謝低下の分子メカニズムを解明|広島大学
- トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見:効果を肥満マウスで確認|京都大学
- 脂肪細胞における緑茶カテキンの脂肪分解作用|CiNii 論文
- ブロッコリースプラウトに含まれる成分が肥満を抑制!|金沢大学
- 黒酢含有食品の体脂肪及びエネルギー代謝へおよぼす影響|CiNii 論文
- 加齢とエネルギー代謝 | e-ヘルスネット
- 有酸素性エネルギー代謝 | e-ヘルスネット
- エネルギー代謝の仕組み | Exercises | e-ヘルスネット
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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