グレープフルーツの栄養と効果効能・調理法・保存法
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グレープフルーツの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、グレープフルーツに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
グレープフルーツとは
グレープフルーツ(Grapefruit)とは、ミカン科ミカン属グレープフルーツ種の柑橘の果実で、ブンタンとオレンジが自然交配して生まれた品種とされています。ぶどう(グレープ)の房のように、1本の枝に複数の実をつけることから「グレープフルーツ」と名付けられました。
グレープフルーツの原産地は西インド諸島のバルバドスです。1823年にアメリカのフロリダに伝わり、大正時代に日本に伝来しました。
日本の気候はグレープフルーツの栽培に適していないため、伝来当初は普及しませんでしたが、1971年に輸入が自由化されてからは家庭で親しまれるフルーツになりました。
グレープフルーツの旬は、栽培されている地域によって異なります。アメリカ産のものは4〜5月頃、南アフリカ産のものは6〜10月頃に市場に出回ります。
グレープフルーツの品種・種類
グレープフルーツは果肉の色によって大きく3種類に分けることができます。
ホワイト・マーシュ
ホワイト・マーシュは、グレープフルーツの中で最も流通している品種です。果皮は黄色く、果肉は白みがかった黄色をしています。たっぷりの果汁と、爽やかな甘酸っぱさ、ほのかな苦味が特徴です。
ルビー(レッドブラッシュ)
ルビー(レッドブラッシュ)は、一般的に「ピンクグレープフルーツ」と呼ばれる品種です。赤みがかったピンク色の果肉をしていることから、「ルビー」という名前が付きました。果皮はオレンジ色で、ホワイト・マーシュに比べて酸味がやわらかく、甘みが感じられます。
スタールビー
スタールビーは、濃い赤色の果肉が特徴の品種です。ホワイト・マーシュに比べて酸味や苦味は控えめで、やや強めの甘みがあります。流通量は少なく、主にアメリカのカリフォルニアや南アフリカから輸入しています。
グレープフルーツに含まれる成分・栄養素
グレープフルーツ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | グレープフルーツ 白肉種 砂じょう 生 | グレープフルーツ 紅肉種 砂じょう 生 | グレープフルーツ 果実飲料 ストレートジュース | グレープフルーツ 果実飲料 濃縮還元ジュース | グレープフルーツ 果実飲料 50 %果汁入り飲料 | グレープフルーツ 果実飲料 20 %果汁入り飲料 | グレープフルーツ 缶詰 |
廃 棄 率 | % | 30 | 30 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 38 | 38 | 40 | 35 | 46 | 39 | 70 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 159 | 159 | 167 | 146 | 192 | 163 | 293 |
水 分 | g/100 g | 89 | 89 | 88.7 | 90.1 | 88.4 | 90.1 | 82.1 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.9 | 0.9 | 0.6 | 0.7 | 0.3 | 0.1 | 0.5 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | 0.5 | - | - | - | - | - | - |
脂 質 | g/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | Tr | Tr | Tr |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | -0.1 | - | -0.1 | -0.1 | - | - | - |
飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.01 | - | -0.01 | -0.01 | - | - | - |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.01 | - | -0.01 | -0.01 | - | - | - |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.02 | - | -0.02 | -0.02 | - | - | - |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 9.6 | 9.6 | 10.3 | 8.8 | 11.1 | 9.7 | 17.1 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | 7.5 | - | -8.8 | -7.8 | - | - | -15.2 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.2 | 0.2 | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0 | 0.4 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 0.4 | 0.4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.2 |
食物繊維総量 | g/100 g | 0.6 | 0.6 | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0 | 0.6 |
灰 分 | g/100 g | 0.4 | 0.4 | 0.3 | 0.3 | 0.2 | 0.1 | 0.3 |
ナトリウム | mg/100 g | 1 | 1 | 1 | 1 | 4 | 2 | 2 |
カリウム | mg/100 g | 140 | 140 | 180 | 160 | 90 | 34 | 110 |
カルシウム | mg/100 g | 15 | 15 | 9 | 9 | 7 | 3 | 13 |
マグネシウム | mg/100 g | 9 | 9 | 9 | 9 | 6 | 2 | 6 |
リン | mg/100 g | 17 | 17 | 12 | 12 | 6 | 3 | 10 |
鉄 | mg/100 g | Tr | Tr | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.1 | 0.1 | Tr | Tr | Tr | Tr | 0.1 |
銅 | mg/100 g | 0.04 | 0.04 | 0.03 | 0.04 | 0.02 | 0.01 | 0.03 |
マンガン | mg/100 g | 0.01 | 0.01 | 0.01 | 0.01 | 0.01 | Tr | 0.01 |
ヨウ素 | µg/100 g | 0 | 0 | - | - | - | - | - |
セレン | µg/100 g | 0 | 0 | - | - | - | - | - |
クロム | µg/100 g | 0 | 0 | - | - | - | - | - |
モリブデン | µg/100 g | 1 | 1 | - | - | - | - | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | - |
β-カロテン | µg/100 g | 0 | 400 | 0 | 110 | 0 | 0 | - |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | - |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 0 | 410 | 0 | 110 | 0 | 0 | 0 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 0 | 34 | 0 | 10 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 0.2 | 0.2 | 0.1 | 0.2 | 0.1 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 0 | 0 | Tr | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.07 | 0.07 | 0.04 | 0.06 | 0.02 | 0 | 0.03 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.03 | 0.03 | 0.01 | 0.02 | Tr | 0 | Tr |
ナイアシン | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 0.2 | 0.3 | 0.1 | Tr | 0.2 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.04 | 0.04 | 0.03 | 0.03 | 0.02 | 0.01 | 0.03 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 15 | 15 | 11 | 10 | 5 | 2 | 9 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.39 | 0.39 | 0.23 | 0.25 | 0 | 0 | 0.16 |
ビオチン | µg/100 g | 0.5 | 0.5 | - | - | - | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 36 | 36 | 38 | 53 | 19 | 8 | 26 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
アルコール | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
テオブロミン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
有機酸 | g/100 g | 1.1 | - | - | - | - | - | - |
重量変化率 | % | - | - | - | - | - | - | - |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
グレープフルーツの効果・効能
グレープフルーツに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
ビタミンC
グレープフルーツには、ビタミンCのが豊富に含まれています。
ビタミンCは水溶性のビタミンで、コラーゲンの生成を助けて毛細血管を丈夫にする・傷の治りを早くする・皮膚や粘膜を健康に保って肌荒れや口内炎を防ぐ、さらに免疫力を高めて風邪などの感染症やがんを予防する、といった効果があります。
また、ビタミンCの強い抗酸化作用によって細胞を老化させる活性酸素を除去し、細胞を若々しく保つ(アンチエイジング)、シミやそばかすの原因となる皮膚のメラニン色素の生成を抑制する、といった美容面に嬉しい効果があります。
カリウム
カリウムは人体に必須のミネラルの一種で、細胞の浸透圧を維持したり調整したりする働きがあります。
この働きによってナトリウムを体外に排出し、血圧を下げたり、血の巡りを良くしてむくみを解消したりする効果があります。
リモネン
グレープフルーツの香り成分であるリモネンは、皮に多く含まれています。リモネンが体内に摂取されると、リラックス時に脳内で出るα波という脳波が出るため、リラックス効果が期待できます。
また、リモネンは交感神経を活性化させて新陳代謝を上げ、アドレナリンが分泌されて脂肪を分解する酵素が活発になったりなどのダイエット効果があります。
ペクチン
ペクチンは食物繊維の一種です。グレープフルーツの皮や皮の裏側にある白い部分に多く含まれています。
ペクチンは、胆汁酸や食物中のコレステロールが吸収されすぎるのを防いだり、糖分の吸収を抑えて血糖値の上昇を抑制したり、善玉菌である乳酸菌を増やして腸内環境を整え、便秘の予防・改善をしたりするのに役立ちます。
イノシトール
グレープフルーツに含まれるイノシトールは、「抗脂肪肝ビタミン」とも呼ばれ、肝臓につく脂肪を抑制して脂肪肝を防ぐ効果があります。
また、血液やコレステロールの流れを良くする効果もあり、動脈効果の予防にも効果的です。
葉酸
葉酸はビタミンB12とともに赤血球を作る働きがあるため、「造血のビタミン」と呼ばれています。葉酸が不足すると、血液が十分に酸素を運ぶことができず、疲労や息切れなどの症状を含む貧血を引き起こしてしまいます。
また、葉酸を十分に摂ることで、DNAの形成に関わるSAM(S-アデノシルメチオン)という物質が増え、神経管閉鎖障害といった胎児の発育リスクを予防することができます。
こういった発育リスクは妊娠初期に起こるため、妊娠を控えた人は妊娠前から積極的に摂取することが推奨されています。
グレープフルーツの食べ方
グレープフルーツの栄養素を損なわない切り方・食べるの注意点を解説します。
グレープフルーツの切り方
実をよく洗い、上部と下部を約1cm切り落とします。カットした面をまな板に置いて、包丁で削ぎ落とすようにして周りの皮を切ります。このとき、果肉の周りについている薄皮も一緒に切り落としましょう。
グレープフルーツを手で持って、果肉に沿って包丁を入れて果肉を取り出します。残った薄皮には果汁が残るので、絞ってジュースに入れたり、ドレッシングに加えたりして活用しましょう。
グレープフルーツを食べる際の注意点
グレープフルーツは薬の効果に影響をもたらすため、食べるタイミングに注意が必要です。
例えば、グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という成分は、肝臓などで薬を代謝する働きを抑え、血中濃度を上昇させてしまいます。その結果、通常よりも薬が効きすぎてしまったり、副作用が強くあらわれてしまったりすることがあります。
グレープフルーツを食べてから数時間後に薬を飲んでも、相互作用の影響が出たという報告があります。特に、高血圧の薬や精神神経薬、睡眠鎮静薬などを服用する際は、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
グレープフルーツの保存方法
グレープフルーツの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
常温保存
グレープフルーツは果皮が厚く防腐剤が使われているため、みかんなどの他の柑橘類よりも日持ちします。気温が低い季節は常温保存することができますが、夏や湿度の高い季節は冷蔵庫の野菜室で保存するのが良いでしょう。
常温保存する際は、風通しが良く、直射日光が当たらない涼しい場所に置いておきましょう。保存期間は約1週間です。
冷蔵保存
グレープフルーツの冷蔵保存する際は、丸ごと保存する方法とカットして保存する方法があります。丸ごと保存する場合は、乾燥しないようにポリ袋に入れて口を閉じ、冷蔵庫の野菜室に入れます。保存期間は約2週間です。
カットして保存する場合は、グレープフルーツを皮ごと半分にカットし、切り口をぴったりとラップで包み、さらにもう1枚全体をラップで包みます。保存期間は2〜3日です。丸ごと冷蔵保存する方法に比べて、空気に触れて苦味が出やすく、傷みやすいので、なるべく早く食べるようにしましょう。
冷凍保存
グレープフルーツを冷凍保存する場合は、皮ごと保存することができません。グレープフルーツの厚い皮を剥いたあと、果肉1つ1つの薄皮も剥きます。剥き終わったら果肉が重ならないようにラップで包み、冷凍用保存袋に入れます。袋の口を閉じ、冷凍庫で保存します。保存期間は約1ヶ月です。
冷凍グレープフルーツの解凍方法
凍ったグレープフルーツは冷蔵庫に入れて解凍します。完全に解凍されると水分が出てくるので、水気の多い食感が苦手な人は半解凍程度で食べるのが良いでしょう。