黒酢の栄養と効果効能・調理法・保存法

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黒酢

黒酢の製法や産地などの基本情報、黒酢に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

黒酢とは

黒酢(black vinegar)は、深みのある琥珀色をした、玄米や大麦を原料とする醸造酢の一種です。色が濃いのは、通常の酢より熟成期間が長いため。つぼ酢、米黒酢と呼ばれることもあります。

通常の酢とは、原料や製造方法が違います。和食によく用いられる米酢の原料は白米ですが、黒酢は玄米や精米度の低い米を使用。大麦が原料になることもあります。

黒酢の発祥地は、鹿児島県霧島市です。伝統的な製法では、陶器の壺で1~3年以上熟成させます。一般的に、熟成期間が長ければ長いほどコクが出て、栄養価もアップすると言われてきました。

黒酢は、数ある酢のなかでも栄養素が豊富なのがポイント。特に玄米から造った黒酢は、通常の米酢の約4倍のアミノ酸を含んでいるとも言われています。

こうした黒酢の健康効果に注目が集まり、水や炭酸水で希釈して飲用したり、酢豚などの料理の味付けに使われるなど、日本の食卓には欠かせない存在となりました。

商品によって異なりますが、黒酢の1日の推奨摂取量の目安は一般的に20~30mlです。

また、黒酢を製造する際にできる沈殿物「黒酢もろみ」も、食材として利用されています。

黒酢の種類

黒酢は、原材料や製法によっていくつかの種類に分けられます。

玄米黒酢

玄米黒酢は、玄米を原料とする、最もポピュラーな黒酢です。玄米は、もみ殻を取って精白していない米のことで、白米より栄養価が高いと言われています。

酸味やコクが強く、黒酢らしいしっかりとした風味が楽しめるのが特徴。果汁を加えて飲みやすくしたタイプなど、さまざまな商品が展開されています。

大麦黒酢

大麦黒酢は、米から造る玄米黒酢とは違い、大麦を発酵させて製造する黒酢です。イネ科の植物である大麦は、ビールや麦茶の原材料でもあります。

大麦黒酢は、酸味や口当たりがマイルドで、玄米黒酢よりさっぱりとした黒酢です。

香醋(こうず)

香醋は中国の伝統的な酢で、黒酢の一種です。日本の黒酢は玄米や大麦を原料としているのに対し、香醋はもち米を原料として作られます。

黒酢独特の酸味やクセが少なく、香りが良いのが特徴です。中国では、中華料理の調味料や付けダレとして広く用いられています。

黒酢に含まれる成分・栄養素

黒酢100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

なお比較のため、穀物酢・米酢・りんご酢の成分表を併記しています。

食品名単位黒酢穀物酢米酢りんご酢
廃 棄 率%0000
エネルギー(kcal)kcal/100 g54254626
エネルギー(kJ)kJ/100 g227105192109
水 分g/100 g85.793.387.992.6
たんぱく質g/100 g10.10.20.1
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g----
脂 質g/100 g0000
トリアシルグリセロール当量g/100 g----
飽和脂肪酸g/100 g----
一価不飽和脂肪酸g/100 g----
多価不飽和脂肪酸g/100 g----
コレステロールmg/100 g0000
炭水化物g/100 g92.47.42.4
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g----0.5
水溶性食物繊維g/100 g0000
不溶性食物繊維g/100 g0000
食物繊維総量g/100 g0000
灰 分g/100 g0.2Tr0.10.2
ナトリウムmg/100 g1061218
カリウムmg/100 g4741659
カルシウムmg/100 g5224
マグネシウムmg/100 g21164
リンmg/100 g522156
mg/100 g0.2Tr0.10.2
亜鉛mg/100 g0.30.10.20.1
mg/100 g0.01TrTrTr
マンガンmg/100 g0.55---
ヨウ素µg/100 g000-
セレンµg/100 g00Tr-
クロムµg/100 g211-
モリブデンµg/100 g914-
レチノールµg/100 g0000
α-カロテンµg/100 g0--0
β-カロテンµg/100 g0--0
β-クリプトキサンチンµg/100 g0--0
β-カロテン当量µg/100 g0000
レチノール活性当量µg/100 g0000
ビタミンDµg/100 g000(Tr)
α-トコフェロールmg/100 g0---
β-トコフェロールmg/100 g0---
γ-トコフェロールmg/100 g0---
δ-トコフェロールmg/100 g0---
ビタミンKµg/100 g000Tr
ビタミンB1mg/100 g0.020.010.010
ビタミンB2mg/100 g0.010.010.010.01
ナイアシンmg/100 g0.60.10.30.1
ビタミンB6mg/100 g0.060.010.020.01
ビタミンB12µg/100 g0.10.10.10.3
葉酸µg/100 g1000
パントテン酸mg/100 g0.0700.080.06
ビオチンµg/100 g10.10.4-
ビタミンCmg/100 g0000
食塩相当量g/100 g0000
アルコールg/100 g----
硝酸イオンg/100 g----
テオブロミンg/100 g----
カフェインg/100 g----
タンニンg/100 g----
ポリフェノールg/100 g----
酢酸g/100 g44.24.44.7
調理油g/100 g----
有機酸g/100 g----
重量変化率%----
備考別名: サイダービネガー
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

黒酢の効果・効能

黒酢に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ダイエットに効果的

黒酢には脂肪燃焼を促す効果があると言われており、ダイエットに向いた食材です。

黒酢に含まれるアミノ酸やクエン酸は代謝を促進し、脂肪を燃えやすくしてくれます。一般的な酢よりも熟成期間が長い黒酢は、より多くのアミノ酸を含んでいると考えられています。

実際に、黒酢濃縮粉末1000mgを8週間にわたって摂取したところ、内臓脂肪が減少したという研究結果も発表されています。

黒酢は、肥満やメタボの改善および予防に役立つ食材と言えるでしょう。

高血圧を予防する

黒酢の主成分である酢酸は、高血圧の改善を助ける成分です。酢酸が代謝する際に発生するアデノシンには血管を拡張させる作用があり、血圧の上昇を抑制します。

血圧が高めの人が黒酢を含む食品を一定期間摂取したところ、血圧が低下したことも実証されました。

高血圧の予防には、減塩も大切です。醤油・味噌・塩などの調味料の代わりに黒酢を使うことで、塩分摂取量を抑えられるというメリットも。料理の味は落とさずに、無理なく塩分を調節できます。

血糖値の上昇を抑える

黒酢には、血糖値やコレステロールの上昇をコントロールする作用があります。

糖尿病のマウスを使った実験では、黒酢の発酵残渣であるもろみ末を与えると、血糖値・血中コレステロール濃度・中性脂肪濃度が低下することが判明しました。

さらに、黒酢を含む食酢には、食後の血糖値上昇を抑える効果があることもわかっており、血糖値が気になる方におすすめの食材です。

アンチエイジングを助ける

ポリフェノールなどの抗酸化物質は、体にとって有害な活性酸素を取り除いてくれます。老化の原因でもある体の酸化を防ぎ、若々しい肌や体を保つためには大切な成分と言えるでしょう。

黒酢には、メラノイジンという強力な抗酸化物質が豊富に含まれています。メラノイジンは、黒酢以外にも味噌や醤油にも含有される成分です。

老化現象が気になってきたら、黒酢を積極的に取り入れてみましょう。

黒酢の調理方法

黒酢の特徴を活かした調理方法や飲み方を解説します。

黒酢のおすすめ調理方法

ドリンクのイメージが強い黒酢ですが、調味料として使うことで料理にコクを出すことができます。特に、酢豚などの中華料理と相性の良い調味料です。

黒酢酢豚や、野菜や肉を黒酢あんかけで絡めるレシピは定番ですが、具材を黒酢とその他の調味料と炒めるだけでもおいしく食べられます。

また、黒酢を使ったドレッシングも人気です。黒酢・醤油・サラダ油・ゴマ油・すりゴマを混ぜれば、簡単に黒酢の中華ドレッシングができます。

黒酢の飲み方

黒酢は原液を希釈して、ドリンクとして飲むこともできます。水・炭酸水・ジュース・飲むヨーグルトなど、好みに合わせて割りものを選んでみてください。

酸味が強く飲みにくいと感じた場合は、はちみつなどで味を整えます。

黒酢独特のクセが苦手な方やお子さんには、りんごやブルーベリーなどの果汁で飲みやすく調味された黒酢がおすすめです。

ただし、ダイエット目的で黒酢を飲む場合、糖質やカロリーには気を付けてください。

黒酢を摂取する際の注意点

黒酢の主成分は酸です。原液のまま多量に摂取すると、口腔内や内臓が荒れてしまうことがあります。

黒酢は、必ず規定の倍率に薄めて飲むようにしましょう。胃が弱い方は、食前ではなく食後に飲むのがおすすめです。

唾液が出にくいときや歯へのダメージが気になるときは、黒酢を摂取したあとに水で口をゆすいでおくのがベターです。

黒酢の保存方法

黒酢の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

黒酢は常温でも保存できますが、高温の環境に置いておくと発酵が進み、風味や香りが変化する可能性も。なるべく冷蔵庫で保存するようにしましょう。

また、果汁や調味料を加えたドリンクタイプの黒酢は、賞味期限が短く設定されているものも少なくありません。製品ごとの表示を必ず確認するようにしてください。

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