サザエの栄養と効果効能・調理法・保存法

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Turban shell

サザエの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、サザエに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

サザエとは

サザエ(Turban shell)は、リュウテンサザエ科に属する巻貝の一種です。名前の由来は「ささやかな家」で、殻部分が小さな家に見えることからサザエと呼ばれるようになりました。

特徴は、香りの強さとアワビのようにコリコリとした食感です。海藻を餌とするため、殻が縁や褐色の混じった色合いになります。

サザエは九州から関東までの暖かい海で育ち、最近は一部の地域で養殖も盛んに行われるようになりました。1年を通して漁獲されますが、旬の時期は春から初夏にかけてです。初夏から夏の産卵期前までが、もっともサザエがおいしくなる時期と言われています。

サザエの品種・種類

主に食用とされているサザエを紹介します。

チョウセンサザエ

チョウセンサザエは鹿児島県や沖縄県などで獲れる品種です。主に岩礁地帯に生息しています。

厚めの殻には、ほかの品種にあるような突起がありません。蓋部分は灰色がかった緑色で、貝ボタンの材料にもなります。

ヤコウガイ

ヤコウガイは古くから沖縄や奄美大島で食用とされてきた品種のひとつです。漢字では「夜光貝」と書きますが、暗闇で光るわけではなく「屋久島」の名前が転じたものと考えられています。

身以外に殻も利用され、装飾品の材料として有名です。真珠層の厚い殻は螺鈿細工の原料として重宝され、工芸品には欠かせません。

マルサザエ

マルサザエはチョウセンサザエによく似た見た目をしているサザエです。形に若干の違いがあり、マルサザエのほうが丸みを帯びています。

主に小笠原諸島より南に生息しています。

サザエに含まれる成分・栄養素

サザエ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

サザエには、ビタミンB1・カリウム・マグネシウムなどのビタミンやミネラルがバランスよく含まれています。また、サザエは貝類の中でも特にタンパク質の含有量が多い食品です。

タウリンの含有量もトップクラスなので、栄養価の高い食品と言えるでしょう。

食 品 名単位さざえ 生さざえ 焼き
廃 棄 率%8585
エネルギーkJ353387
kcal8391
水 分g7875.6
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g14.2-15.2
たんぱく質g19.421.3
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g0.10.1
コレステロールmg140170
脂質g0.40.4
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-0.8-0.9
g
利用可能炭水化物(質量計)g-0.7-0.8
差引き法による利用可能炭水化物g6.37.2
**
食物繊維総量g00
糖アルコールg--
炭水化物g0.80.9
有機酸g--
灰分g1.41.8
無機質ナトリウムmg240280
カリウムmg250220
カルシウムmg2229
マグネシウムmg5467
リンmg140120
mg0.80.9
亜鉛mg2.22.5
mg0.390.73
マンガンmg0.020.03
ヨウ素μg97-
セレンμg19-
クロムμg6-
モリブデンμg5-
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μgTrTr
α|カロテンμg4464
β|カロテンμg340490
β|クリプトキサンチンμg1116
β|カロテン当量μg360530
レチノール活性当量μg3144
ビタミンDμg00
α-トコフェロールmg2.32.8
β-トコフェロールmg00
γ-トコフェロールmg00
δ-トコフェロールmg00
ビタミンKμg32
ビタミンB1mg0.040.04
ビタミンB2mg0.090.1
ナイアシンmg1.71.5
ナイアシン当量mg4.1-4.1
ビタミンB6mg0.050.06
ビタミンB12μg1.31.1
葉 酸μg1622
パントテン酸mg0.240.3
ビ オ チ ンμg1.9-
ビタミンCmg11
アルコールg--
食塩相当量g0.60.7
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

サザエの効果・効能

サザエに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

タンパク質が豊富で健康維持に

サザエは貝類の中で特にタンパク質が多く含まれています。タンパク質は体内のエネルギー源となるだけでなく、筋肉や臓器を構成するため人間の身体にとって重要な栄養素です。

また、ホルモンや抗体などのもととなる成分のため、生体機能や免疫機能にも関わっていることから、健康維持に欠かせません。

ビタミンとミネラルの生理活性作用

サザエにはビタミンB1・カリウム・マグネシウムなどの栄養素が豊富です。ビタミンB1はブドウ糖を効率よくエネルギー化することで、疲労回復を助けてくれます。

塩分の排出を促すカリウム、骨の形成を助けるマグネシウムも生命活動に必須の成分です。ビタミンとミネラルが多く含まれるサザエは、摂取することで健康を支えてくれるでしょう。

タウリンで生活習慣病予防

タウリンはアミノ酸によく似た物質で、魚介類に多く含まれます。肝臓の機能を高める作用から、栄養ドリンク剤に使われる成分です。

タウリンにはコレステロールの吸収を抑制する作用もあり、高血圧症や動脈硬化などの生活習慣病予防に役立ちます。

アルギニンが子どもの成長促進

サザエにはアミノ酸のひとつであるアルギニンが多く含まれます。アルギニンは免疫力向上や成長ホルモンの分泌促進が期待されている成分です。

体内で合成できるため非必須アミノ酸に分類されますが、子どもの場合は合成することができません。成長にも関わるので、積極的に摂取したい栄養素と言えるでしょう。

サザエの食べ方や注意点

サザエ食べ方や注意点について解説します。

サザエを選ぶときのポイント

旬の時期に活サザエを買う場合は、状態をよく確認しましょう。

殻を触ったときに激しく動く、触角を出すなどの状態が見られるサザエは活きの良い証拠です。動きが鈍かったり、黒い汁が出ていたりするサザエは鮮度が落ちているので避けましょう。

とくにサザエの内臓部分は痛みが早く、食中毒の原因となる場合があるため注意したいところです。

電子レンジで作る壺焼き

サザエの代表的な料理と言えば壺焼きです。七輪がないと調理できないイメージですが、電子レンジでも簡単に作れます。

サザエは表面を水で洗い流し、耐熱容器に入れたら酒を大さじ1杯程度垂らします。ラップをして600Wで2分程度加熱して様子を見ましょう。加熱が足りないときは20秒から30秒ずつ追加して温める方法がおすすめです。加熱しすぎると肝が破裂する場合があるので注意しましょう。

サザエの身を取り出す方法

サザエの身を取り出すには、果物ナイフやステーキナイフなどの道具を使うと良いでしょう。殻と蓋の間にナイフを差し込み、ねじるように回すと身が簡単に外れます。

ナイフがない場合は竹串でも代用できるので、使いやすい道具でチャレンジしてみてください。

サザエは妊娠中でも摂取OK

妊娠中は食べるものにも気を遣いますが、サザエは摂取しても構わない食品です。ビタミン・ミネラル・タンパク質が豊富なサザエは、胎児の育成にも良い影響を与えてくれるでしょう

ただし感染症を予防するために、生食ではなく必ず加熱して食べましょう。妊娠中の感染症は死産や流産を招く危険性があります。心配な場合は摂取を避けたほうが無難です。

肝ごと食べるのがおすすめ

栄養素を余すことなく摂取するなら、サザエの肝ごと食べましょう。サザエの肝部分にも栄養素が多く蓄えられています。肝部分の味が得意でない方は、茹でると少し苦味がやわらぐのでおすすめです。

また、オスとメスで苦味が異なる場合もあります。肝の先端がクリーム色ならオスの精巣で、味はまろやかです。一方、緑色がかっている場合はメスの卵巣で少し苦味が強い傾向にあります。

サザエの保存方法

サザエの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存

蓋を下にしてサザエを並べたら、乾かないよう水を含ませた新聞紙をのせます。温度が低すぎると良くないため、野菜室で保存するのがポイントです。

保存期間は2日から3日が目安ですが、傷みやすい食品なので早めに食べ切りましょう。

冷凍保存

家庭で冷凍保存する場合はボイルしてから保存する方法がおすすめです。まず、たっぷりの水を入れた鍋で、サザエを殻ごと10分から20分ほど湯がきます。ザルにあげて冷めたら、身を取り出しひとつずつラップに包んでから保存します。

殻のまま保存したい場合は、殻を良く洗ってから取り出した身を戻しましょう。食べる際は氷水や冷蔵庫で自然解凍してから加熱調理に使います。

保存期間は1ヶ月が目安ですが、味がどんどん落ちていってしまうので早めに食べ切ってください。

参考文献

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