ザーサイの栄養と効果効能・調理法・保存法
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ザーサイの旬や原産地、似た食品との違い、ザーサイに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
ザーサイとは
ザーサイ(Zha cai)は、アブラナ科アブラナ属カラシナの植物です。原産地は中国。古くは特定の環境でしか栽培できないと考えられており、長らく四川省限定の特産品として扱われていました。しかしカラシナの変種と判明してからは、日本でも栽培が進みました。ただし生産数が少ないため、現在流通しているザーサイのほとんどは中国からの輸入品です。
ザーサイの旬は、中国では2~3月、日本では春先に旬を迎えます。可食部は茎の部分です。葉を食べることの多いカラシナ類の中では、珍しい食品と言えるでしょう。
ザーサイはこの茎部分を使った漬物が有名です。繰り返し脱水する作業を行うことから、「ザーサイ(搾菜)」の名がついたと言われています。
特徴は、コリコリとした食感と甘酸っぱい味わいです。中国では、中華まんやチャーハンの具としても用いられます。韓国発祥のキムチ、ドイツのザワークラウトと並んで、世界三大漬物に数えられる食品です。
ザーサイに含まれる成分・栄養素
ザーサイ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
ザーサイにはカリウムや鉄などのミネラル、ビタミンKをはじめとしたビタミン類が含まれています。整腸作用のある食物繊維も含まれるので、お腹の調子を整える作用が期待できるでしょう。そのうえ、カロリーと糖質は少ない傾向にあります。
ただし、ザーサイの漬物に、ナトリウムが多く含まれている点は注意したほうがよいでしょう。ナトリウムと塩素が結合すると塩分になるので、ナトリウムの豊富なザーサイを食べ過ぎると塩分過多になる恐れがあります。
以下は、成分表を基に割り出した、ザーサイの塩分量です。
ナトリウム5400mg(ザーサイ100g)×2.54÷1,000(グラム換算)=食塩相当量13.7g
ザーサイ100gを一気に食べることはあまりないと思われますが、食事に取り入れる際は留意したほうがよい塩分量と言えそうです。
食 品 名 | 単位 | ザーサイ 漬物 | |
廃 棄 率 | % | 0 | |
エネルギー | kJ | 83 | |
kcal | 20 | ||
水 分 | g | 77.6 | |
たんぱく質 | アミノ酸組成によるたんぱく質 | g | -2 |
たんぱく質 | g | 2.5 | |
脂質 | 脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | g | - |
コレステロール | mg | 0 | |
脂質 | g | 0.1 | |
炭水化物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | g | - |
g | |||
利用可能炭水化物(質量計) | g | - | |
差引き法による利用可能炭水化物 | g | 0.5 | |
* | |||
食物繊維総量 | g | 4.6 | |
糖アルコール | g | - | |
炭水化物 | g | 4.6 | |
有機酸 | g | - | |
灰分 | g | 15 | |
無機質 | ナトリウム | mg | 5400 |
カリウム | mg | 680 | |
カルシウム | mg | 140 | |
マグネシウム | mg | 19 | |
リン | mg | 67 | |
鉄 | mg | 2.9 | |
亜鉛 | mg | 0.4 | |
銅 | mg | 0.1 | |
マンガン | mg | 0.34 | |
ヨウ素 | μg | - | |
セレン | μg | - | |
クロム | μg | - | |
モリブデン | μg | - | |
ビ タ ミ ン | レチノール(ビタミンA) | μg | 0 |
α|カロテン | μg | - | |
β|カロテン | μg | - | |
β|クリプトキサンチン | μg | - | |
β|カロテン当量 | μg | 11 | |
レチノール活性当量 | μg | 1 | |
ビタミンD | μg | 0 | |
α-トコフェロール | mg | 0.2 | |
β-トコフェロール | mg | 0 | |
γ-トコフェロール | mg | 0.1 | |
δ-トコフェロール | mg | 0 | |
ビタミンK | μg | 24 | |
ビタミンB1 | mg | 0.04 | |
ビタミンB2 | mg | 0.07 | |
ナイアシン | mg | 0.4 | |
ナイアシン当量 | mg | -1.1 | |
ビタミンB6 | mg | 0.09 | |
ビタミンB12 | μg | 0 | |
葉 酸 | μg | 14 | |
パントテン酸 | mg | 0.35 | |
ビ オ チ ン | μg | - | |
ビタミンC | mg | 0 | |
アルコール | g | - | |
食塩相当量 | g | 13.7 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ザーサイの効果・効能
ザーサイに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
カリウムでむくみ予防
ザーサイには、ミネラルの一種であるカリウムが含まれています。カリウムにはナトリウムの排出作用があり、塩分の摂り過ぎが原因のむくみを防いでくれる栄養素です。
ただし、ザーサイに含まれるナトリウムを相殺できるほどのカリウムが含まれているわけではありません。くれぐれも食べ過ぎには気をつけましょう。
カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
カルシウムとビタミンKで骨の強化
ザーサイはカルシウムを豊富に含んでいます。カルシウムは骨や歯に多く含まれる成分で、十分な量を摂取すると骨の強化に役立ちます。
さらにザーサイは、骨の調節に関わるビタミンKも豊富です。ビタミンKは骨に存在するオステオカルシンと呼ばれるタンパク質を活性化し、骨の形成をサポートします。
カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンKの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
食物繊維の整腸作用
ザーサイは食物繊維を多く含む食品です。食物繊維には、腸の調子を整える整腸作用があります。胃で吸収されず大腸まで届く栄養素なので、便のかさを増やし、腸のぜん動運動を促進してくれます。
さらに腸内で善玉菌のエサになるので、腸内環境の改善にも役立つでしょう。
食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
鉄分で貧血予防
鉄は、人体の血液に多く存在する栄養素です。不足すると貧血を起こすリスクが高まるため、積極的に食品から摂取する必要があります。
鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収効率が高まります。そのため、ザーサイからより効率的に鉄を摂取したい場合は、ピーマンやキャベツなどと一緒に調理するとよいでしょう。
鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
胃腸の機能強化
薬膳の考え方では、ザーサイは胃腸の働きを高める作用があるとも言われています。食欲を増進したり、消化吸収機能を高めたりする作用が代表的です。
胃腸が弱まっている人や、胃もたれを起こしている人にもおすすめの食品と言えます。
ザーサイの食べ方
ザーサイの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。
生のザーサイは簡単に味付け
日本はザーサイの生産量が少ないためあまり見かけませんが、まれにスーパーで生のザーサイを手に入れることができます。地域によっては、サラダにして食べるところもあるようです。
生のザーサイは茎を細かく切って、お好みの調味料で味をつける方法が手軽でおすすめです。そのほか、チャーハンや中華スープの具材としても活用できます。葉の部分は若干辛みがあるので、炒め物に使うと料理のアクセントになります。
身近な料理に使いやすい食材なので、生のザーサイを見つけた際はぜひ調理してみましょう。
漬物は塩抜きして
漬物のザーサイを購入する際は、塩抜きが必要な製品かよく確認しましょう。塩を抜くと傷みやすくなるので、塩抜きする際は食べる分だけ処理する方法がおすすめです。
まず表面の調味液を水で洗い流してから、必要な分だけスライスします。スライスしたザーサイを軽くもみ洗いし、たっぷりの水を張ったボウルで浸しましょう。製品によって異なりますが、おおよそ1~2時間程度で塩抜きができるはずです。あまり長く浸け過ぎると食感が悪くなる場合があるので、適宜味見して確認しましょう。
好みの味になったらボウルから取り出し、キッチンペーパーで水気をよく拭き取ってから食べてください。
調味料として活用
漬物のザーサイはほどよい塩気と辛みがあるので、調味料としても活用できます。刻んで豆腐にトッピングしたり、スープの出汁にしたりする方法は手軽で普段の調理にも取り入れやすいでしょう。
肉料理との相性も良いので、焼いた肉のうえに刻んだザーサイをのせてもおいしく食べられます。
食べ過ぎは塩分過多を招く
漬物のザーサイは塩分が多いので、食べ過ぎると塩分過多を招きます。塩分の摂り過ぎは、高血圧症を引き起こすので気をつけましょう。
「ザーサイに含まれる成分・栄養素」の項でも解説した通り、ザーサイ100gに含まれる食塩相当量はおよそ14gです。ちなみに漬物のザーサイは100g単位で瓶詰めされていることが多いので、1瓶あたりの食塩量と考えると分かりやすいかもしれません。
日本人の1日あたりの食塩摂取目安量は、成人男性なら7.5g未満、成人女性なら6.5g未満とされています。そのため瓶の半分ほどのザーサイを食べたら、あっという間に1日の摂取量に届いてしまう計算です。
一気にそこまでの量を食べるケースは少ないと言えますが、食べ過ぎないよう十分気を配りましょう。あくまでザーサイはトッピングや具材程度と考えて使ってください。
妊婦は避けるべき
妊娠中は塩分代謝機能が衰えるため、むくみやすくなります。さらに高血圧症を発症しやすい時期なので、塩分の摂り過ぎにはとくに気をつけましょう。
ザーサイは塩分が多い食品なので、できれば避けたほうが無難です。ザーサイに限らず、一般的に塩分が多いとされる漬物類は控えるようにしましょう。
ザーサイの保存方法
ここでは流通量の多い漬物のザーサイについて、栄養素を損なわない保存方法を解説します。基本的にはパッケージに記載されている保存方法や消費期限に従い、使うようにしましょう。
長持ちさせるためには以下の方法があります。
冷蔵保存
塩抜き処理をしていないザーサイは、そのまま冷蔵保存が可能です。保存期間の目安は1週間程度です。
なお使うときは、食べる分だけ処理する方法がおすすめです。塩抜きしてしまうと一気に傷みやすくなりますので、なるべく早く食べ切りましょう。塩抜き方法はスライスしたザーサイをもみ洗いし、たっぷりの水に浸けるだけです。
塩抜き方法の詳細は、前述の「ザーサイの食べ方」の項をご覧ください。
冷凍保存
長期保存する場合は、冷凍保存が適切です。塩抜きがされていないザーサイは、処理してから保存しましょう。塩抜き後は水分をよく拭きとり、ラップで小分けにして保存すると後々使いやすくなります。
食べる際は冷蔵庫で自然解凍しましょう。保存期間の目安は1ヶ月程度です。