さつまいもの栄養と効果効能・調理法・保存法

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さつまいもの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、さつまいもに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

さつまいもとは

さつまいも(Sweet potato)は、ヒルガオ科植物の根です。10月頃から旬となるため秋の味覚として名高く、焼き芋・天ぷら・お菓子の材料まで幅広く活用されます。芋焼酎や泡盛などの醸造用としても使用される野菜です。

原産地は熱帯アメリカで、日本には中国を経由して伝来します。当時は「甘藷(かんしょ)」という名が一般的でしたが、薩摩で栽培が活発に行われたことから「薩摩芋(さつまいも)」と呼ばれるようになりました。やせた土地でも育てやすいため、全国的に栽培されるようになります。

気温が20度から30度の地域が栽培に適しているため、特に生産量が多いのは関東以南です。今でも鹿児島県はさつまいもの生産が盛んで、農林水産省の「令和元年産作物統計」では全体収穫量の約35%を占めています。次いで茨城県、千葉県の順で生産量の多い野菜です。

さつまいもの品種・種類

さつまいもは品種により、色も甘みも異なります。日本では40種類の品種がありますが、主な種類を以下でご紹介しましょう。

紅あずま

紅あずまは関東で主に作られている品種で、ほとんどが茨城県と千葉県で生産されています。

甘みが強く、繊維質の少ないさつまいもです。近年増えたしっとり系のさつまいもとは異なり、水分量が少ない分ほっくりとした食感になります。

鳴門金時

鳴門金時(なるときんとき)は徳島県鳴門市発祥の品種です。徳島県の特産品でもあり、県内の限られた地域で生産されたさつまいもだけが鳴門金時の名を使用できます。

上品な甘みを持ち、ホクホクとした食感がどこか昔懐かしいさつまいもです。

安納芋

種子島特産のさつまいもとして知られる安納芋(あんのういも)。水分量が多いため、ねっとりした食感が特徴です。

生の状態でも糖度が高いですが、焼くと40度近くにまで糖度があがります。さつまいものなかでは、甘さがトップレベルの品種です。

パープルスイートロード

パープルスイートロードは紫芋の一種です。アントシアニンと呼ばれる色素成分が多く含まれているため、果肉が紫色になります。

紫芋は甘みが弱い傾向にあるためお菓子の材料としてよく使われますが、パープルスイートロードはとりわけ糖度が高く焼いただけでもおいしく食べられます。

小金千貫

小金千貫(こがねせんがん)は、果肉も果皮も白い品種です。主な生産地は鹿児島県で、ほとんどが焼酎の原材料として用いられます。

さつまいもに含まれる成分・栄養素

さつまいも100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

さつまいもには、人間が活動する際のエネルギーとなる糖質が含まれています。糖質が多い分ダイエットには向かないと思われがちですが、カリウムが含まれるためむくみ解消が期待できる食材です。

さらに食物繊維の豊富さがダイエットに一役買います。腹持ちが良いうえに、便秘の改善をサポートしてくれるからです。

食物繊維には2種類あり、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を1:2のバランスで摂取するのが効果的とされています。成分表を見るとおおよそ「水溶性1:不溶性2」の割合で含まれているため、理想的な食材と言えるでしょう。

さらに成分表を分析すると、皮つきのさつまいものほうが食物繊維やカルシウム、β‐カロテンなどの含有量が多い傾向にあることがわかります。さつまいもは皮ごと食べたほうが効率的に栄養を摂取できそうです。

食品名単位さつまいも 塊根 皮むき 生さつまいも 塊根 皮むき 蒸しさつまいも 塊根 皮むき 焼きさつまいも 塊根 皮つき 生さつまいも 塊根 皮つき 蒸しさつまいも 塊根 皮つき 天ぷらさつまいも 蒸し切干むらさきいも 塊根 皮むき 生むらさきいも 塊根 皮むき 蒸し
廃 棄 率%95102400156
エネルギー(kcal)kcal/100 g134134163140140221303133132
エネルギー(kJ)kJ/100 g5595596825865869231268558554
水 分g/100 g65.665.658.164.664.252.422.26666.2
たんぱく質g/100 g1.21.21.40.90.91.43.11.21.2
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g111.20.70.71.22.60.91
脂 質g/100 g0.20.20.20.50.26.80.60.30.3
トリアシルグリセロール当量g/100 g0.1-0.1-0.10.10.16.30.20.10.1
飽和脂肪酸g/100 g0.03-0.03-0.030.060.030.480.060.050.06
一価不飽和脂肪酸g/100 gTr(Tr)(Tr)TrTr3.920.01TrTr
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.02-0.02-0.030.050.051.680.120.040.08
コレステロールmg/100 g00000000
炭水化物g/100 g31.931.93933.133.738.471.931.731.4
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g30.932.636.73131.136.366.529.929.2
水溶性食物繊維g/100 g0.60.61.10.910.92.40.80.9
不溶性食物繊維g/100 g1.61.72.41.82.82.23.51.72.1
食物繊維総量g/100 g2.22.33.52.83.83.15.92.53
灰 分g/100 g111.30.9112.20.80.9
ナトリウムmg/100 g111113232236183028
カリウムmg/100 g480480540380390380980370420
カルシウムmg/100 g363634404051532434
マグネシウムmg/100 g242423242325452626
リンmg/100 g474755464757935655
mg/100 g0.60.60.70.50.50.52.10.60.6
亜鉛mg/100 g0.20.20.20.20.20.20.50.20.3
mg/100 g0.170.170.20.130.130.140.30.210.22
マンガンmg/100 g0.410.410.320.370.390.630.40.50.44
ヨウ素µg/100 g111111Tr
セレンµg/100 g0Tr0TrTr00
クロムµg/100 g1Tr00000
モリブデンµg/100 g4454522
レチノールµg/100 g000000000
α-カロテンµg/100 g0000000
β-カロテンµg/100 g282940455845
β-クリプトキサンチンµg/100 g0100000
β-カロテン当量µg/100 g28296404558Tr45
レチノール活性当量µg/100 g2213450TrTr
ビタミンDµg/100 g000000000
α-トコフェロールmg/100 g1.51.51.311.42.61.31.31.9
β-トコフェロールmg/100 gTrTrTr00TrTr00
γ-トコフェロールmg/100 gTrTr0TrTr2.70TrTr
δ-トコフェロールmg/100 g000000000
ビタミンKµg/100 g0000011000
ビタミンB1mg/100 g0.110.110.120.10.10.110.190.120.13
ビタミンB2mg/100 g0.040.040.060.020.020.040.080.020.03
ナイアシンmg/100 g0.80.810.60.70.71.61.31.5
ビタミンB6mg/100 g0.260.270.330.20.20.20.410.180.16
ビタミンB12µg/100 g000000000
葉酸µg/100 g495047495457132224
パントテン酸mg/100 g0.90.91.30.480.560.61.350.540.61
ビオチンµg/100 g4.154.84.95.36.16
ビタミンCmg/100 g29292325202192924
食塩相当量g/100 g0000.10.10.100.10.1
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g0.40.50.40.50.510.40.5
重量変化率%98998399
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

さつまいもの効果・効能

さつまいもに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

妊婦にも嬉しい食物繊維の整腸作用

食物繊維は胃で消化されずに大腸まで届く栄養素です。便のかさとなり、腸のぜん動運動を促すため整腸作用が見込めます。

妊娠時期は便秘を起こしやすくなるので、さつまいもを上手に取り入れると良いでしょう。さつまいもには胎児の成長に必要な葉酸も含まれるため、妊婦の栄養補給に適しています。

ヤラピンで便秘予防

生のさつまいもを切ったときに断面から染み出てくる白い液体は、ヤラピンという成分です。ヤラピンは古くから緩下剤として利用され、整腸作用があります。

さつまいもには食物繊維も豊富に含まれているため、相乗効果で便秘の予防や改善が期待できそうです。

レジスタントスターチで糖の吸収を穏やかに

さつまいもにはレジスタントスターチと呼ばれるデンプンが含まれています。レジスタントスターチは、体内で食物繊維と同様の働きを行う難消化性デンプンです。

糖質ではありますが、消化速度が緩やかなため血糖値の急激な上昇を防いでくれます。糖尿病予防にも重要な栄養素と言えるでしょう。

レジスタントスターチは調理方法によって含有量が変わり、ある研究では茹でて冷蔵保存したさつまいもにより多く含まれました。

カリウムでむくみ予防

さつまいもにはカリウムが豊富です。カリウムは細胞の浸透圧調整を行い、ナトリウム(塩分)の排出を促します。

むくみは塩分の摂りすぎで、身体に水分を溜め込むために起こる症状です。カリウムを摂取して塩分を排出すれば、むくみの予防や改善に期待できるでしょう。

ビタミンCの美容効果

さつまいもにはビタミンCも多く含まれています。ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。

通常は熱に弱いビタミンCですが、さつまいもに含まれるデンプンのおかげで加熱調理しても失われにくいというメリットがあります。美容のためにビタミンCを摂取するなら、さつまいもはぴったりの食材です。

ビタミンCやβ‐カロテンの抗酸化作用

さつまいもに含まれるビタミンCやβ-カロテンには高い抗酸化作用があります。

抗酸化作用は、活性酸素の発生を抑制し、病気や老化を防いでくれる働きのこと。活性酸素を過剰発生させないためにも、抗酸化作用を持つ食材を積極的に摂取しましょう。

さつまいもの食べ方

さつまいもの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

さつまいもを選ぶポイント

おいしいさつまいもを選ぶには、まず軸の部分に注目しましょう。軸から蜜がしみ出しているさつまいもは甘みが強い傾向があります。皮の色が鮮やかで均一、またはずっしりと重みのあるものも良質なさつまいもです。

一方、細いものやヒゲ根が多くあるものは繊維質が多く、食感が良くない可能性があります。

変色を防ぐにはあく抜き

さつまいもはあくが強い食材なので、切ってそのままにしておくと黒ずんでしまいます。あくは身体に害を与えるわけではありませんが、仕上がりを気にする人はあく抜きをしましょう。

あく抜きは、さつまいもが浸かるくらいまで水を入れて15分置くだけです。時間がない場合は皮をむいて処理してみてください。あくの成分は皮の近くに含まれるので、5mmほど厚めに皮をむけば変色を防げます。

さつまいもは皮ごと食べるのがベスト

「さつまいもの効果・効能」でも触れたとおり、さつまいもの皮には栄養素が多く含まれています。特に整腸作用を持つヤラピンは皮と果肉の間に豊富なため、便秘改善を目指すなら皮ごと調理するのが得策です。

さつまいもにはじゃがいもと同様に芽がありますが、さつまいもの場合はそのまま食べても問題ありません。さつまいもはヒルガオ科の植物なので、ナス科植物の毒性成分が含まれていないからです。

じっくり加熱すると甘みが増す

さつまいもをよりおいしく食べるには、調理方法が重要です。低温でじっくり時間をかけて加熱することで、デンプンが糖に変わり甘みが増します。

デンプンの分解酵素が活発に働くのは60度から80度。蒸し器で調理するなら弱火で約30分かけて加熱すると良いでしょう。

夜遅くに食べすぎるのは注意

さつまいもは糖質が多いので、カロリーが多い傾向にあります。レジスタントスターチなどの働きで糖の吸収は穏やかになるものの、食べすぎには注意したほうが賢明でしょう。

夜遅くに食べるのは避けて、日中のおやつや朝食に活用するのがおすすめです。1日1/2本を目安に楽しみましょう。

さつまいもの保存方法

さつまいもの栄養素を損なわない保存方法を解説します。さつまいもの保存方法は常温保存か冷凍保存がおすすめです。詳しい方法を解説します。

常温保存

さつまいもは常温保存でかなり日持ちします。カットせずに丸ごと保存する場合は、新聞紙に包んで冷暗所に置きましょう。保存目安は約6ヶ月です。

さつまいもは寒さに弱い食材なので、5度以下になると低温障害を起こし傷みやすくなります。一方、20度以上の環境では発芽してしまう場合もあるため、夏場は冷蔵庫の野菜室に入れてください。

冷凍保存

カットした場合は冷凍庫で長期保存が可能です。水にさらしたあと、水気をよく拭き取り、保存袋などに入れて冷凍保存します。保存期間の目安は1ヶ月です。

調理に使う際は解凍せずにそのまま調理できます。

参考文献