骨折・捻挫の回復を早めるおすすめの食べ物・飲み物
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骨折の症状や定義、原因について解説したうえで、骨折の予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。
骨折とは
骨折(fracture)とは、骨に負荷がかかって変形または損傷してしまった状態です。骨が折れた状態だけでなく、ヒビや欠け、凹みも骨折に分類されます。ヒビなどは外見で判断がつきにくく、捻挫だと思っていたら骨折していたという場合もあるため注意が必要です。
腫れや痛み、変色がひどい場合は自己判断せず、病院を受診しましょう。骨は高い再生能力を持っているため、早めに適切な治療を行えば正常な機能を取り戻せます。
骨折の症状
骨のまわりには血管や神経が集中しているため、骨折すると痛みや内出血が現れます。また、骨が完全に折れてズレが生じる完全骨折の場合は、変形や歩行困難などの症状が見られるため骨折だとわかりやすいのが特徴です。
以下に骨折した際の症状をまとめますので参考にしてください。
- 痛み
- 腫脹(腫れ)
- 内出血による変色やあざ
- 変形
- 異常可動性
- 機能障害
- しびれ
骨折の原因
骨折のほとんどは外傷によるものですが、ほかにも考えられる原因があります。大きく3つに分けて骨折の原因を説明していきましょう。
事故や疲労による骨折
正常な状態の骨に、外側から強い負荷がかかって起こる骨折です。外傷性骨折と呼ばれ、転落・転倒・交通事故・衝突が主な原因となります。
また、過度な運動により骨の一部に負担がかかりすぎても骨折する可能性があるため注意しましょう。こちらは疲労骨折と呼ばれ、ランニングのように同じ運動を繰り返す場合にみられます。
病気による骨折
骨粗しょう症や骨腫瘍などの病気が原因となる骨折を、病的骨折と言います。骨の強度が下がることで、健常者なら骨折しないようなわずかな負荷でも骨に異常が生じてしまうのが特徴です。
特に骨粗しょう症が原因の骨折を脆弱性骨折と呼びます。
加齢による骨折
老化により骨折のリスクは高まると言われています。加齢とともに骨粗しょう症の発症率が上がり、骨の強度が低下する高齢者が多いためです。
さらに筋力の低下も加わり、つまずいたり転倒したりする危険性が増えます。
高齢者の場合、骨折が完治しても骨粗しょう症を治療しない限り、また骨折する場合があるので注意しましょう。骨がもろくなる原因は食生活も関わっているので、骨を強くする栄養素を意識して食事構成を考えるのがベストです。
骨折の予防・改善に効果的な栄養素
骨折の予防・改善に効果的な栄養素について解説します。
カルシウム:骨を丈夫にする
骨を強くする栄養素として代表的なものがカルシウムです。カルシウムは骨を形成する栄養素のため、必要量を摂取すれば丈夫な骨を形成できます。
推奨される1日の摂取量は成人男性が750~800mg、成人女性で600~650mg。およそコップ3~4杯分の牛乳が目安です。
カルシウムが欠乏すると、血中のカルシウム濃度を維持するために骨からカルシウムが溶け出します。結果、骨粗しょう症の発症リスクが高まってしまいます。
カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
マグネシウム:しなやかな骨の形成に
カルシウムとともに骨を形成する役割を持つのがマグネシウムです。マグネシウムはミネラルの一種で、骨の弾力性を維持する作用があります。
さらにカルシウムのコントロールにも関わっているため、骨にカルシウムを届けるためにもマグネシウムの摂取は必要です。
マグネシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
タンパク質:骨を構成する栄養素
骨を構成する要素はカルシウムとコラーゲンです。コラーゲンは構造タンパク質と呼ばれるタンパク質の一種なので、健康的な骨を維持するには欠かせません。
さらにタンパク質は骨の修復を促進する作用が期待されています。マウスを用いた研究では、体内のタンパク質が骨折の回復をサポートすることがわかりました。
タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンC:コラーゲンを合成
ビタミンCには体内でコラーゲンの生成を促進する働きがあります。コラーゲンは骨を構成する重要な物質なので、ビタミンCの摂取が丈夫な骨の形成に役立つと言えるでしょう。
また、ビタミンCは人間の体内で作れないうえに、2~3時間ごとに排出されてしまうので、定期的に食事などから摂取する必要があります。
ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンD:カルシウム吸収をサポート
ビタミンDの重要な作用は、血中カルシウム濃度のコントロールです。骨へのカルシウムの吸収を促進しながら、血中カルシウム濃度の極端な変動を防ぎます。
カルシウム濃度が低下すると骨からカルシウムが排出されてしまうので、骨粗しょう症を防ぐためにもビタミンDの存在は非常に大切です。
さらにビタミンDは筋肉機能の維持にも関わるので、高齢者の転倒リスク軽減にもつながります。
ビタミンDの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンK:骨の形成を促進
ビタミンKは脂溶性ビタミンの一種で、骨粗鬆症の治療薬としても使われている栄養素です。
骨に存在するオステオカルシンというタンパク質を活性化する作用があり、骨の形成を調節する働きがあります。
イソフラボン:骨粗しょう症の予防に
ポリフェノールの一種であるイソフラボンには、高齢女性の骨粗しょう症リスクを低減する働きが期待されています。
高齢女性が骨粗しょう症を発症しやすい理由は、加齢とともに女性ホルモンのエストロゲンが減り、骨芽細胞の働きが衰えるからです。
イソフラボンはエストロゲンと似た働きをするため、摂取することで骨粗しょう症予防に効果があると考えられます。
イソフラボンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
骨折の予防・改善に効果的な食べ物や飲み物
骨折の予防・改善に効果的な食べ物・飲み物について解説します。
乳製品
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品にはカルシウムが多く含まれています。特に牛乳は、タンパク質やビタミン類も豊富です。
牛乳に含まれるタンパク質にはカゼインが含まれ、カルシウムの吸収を促進してくれるので、骨を強くするには理想的な食品と言えるでしょう。
牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
大豆製品
大豆は高タンパク質なうえに、イソフラボンやマグネシウムを多く含みます。大豆を加工して作られた納豆や豆腐なら手軽に摂取できるでしょう。
特に納豆はビタミンKを多く含んでいることから骨粗しょう症予防に期待が寄せられており、継続的に納豆を摂取している人は骨粗しょう症の発症リスクが少ないという論文もあります。
大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
野菜類
野菜はビタミン類が多く含まれますが、特にブロッコリーや小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜はビタミンKが豊富です。
ブロッコリーにはビタミンCの含有量も多いので、積極的に摂取するようにしましょう。
ブロッコリーの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
小松菜の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
ほうれん草の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
魚介類
魚介類のなかでも、イワシはカルシウムとビタミンDを豊富に含んでおり、健康的な骨を形成するには好ましい食材です。そのほかにも小アジやエビなど、丸ごと食せる魚介類はカルシウムを効率よく摂取できます。
いわしの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
海藻類
海苔やわかめなどの海藻類は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類が豊富です。また、ビタミンKも多く含まれているので、骨の強化に適しています。
特に海苔は良質なタンパク質が含まれているので、毎日の食卓に取り入れると良いでしょう。
海苔の栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
わかめの栄養と効果効能・調理法・保存法 | NANIWA SUPLI MEDIA
過剰摂取に気を付けたい食べ物や飲み物
食品に含まれる成分のなかには、カルシウムに良くない影響を与えるものもあります。
例えば、アルコールはカルシウムの吸収を阻害してしまう成分です。さらにカフェインにはカルシウムの排出を促進する作用があるので、気をつけるようにしましょう。
また、ミネラルの一種であるリンは摂りすぎるとカルシウムの吸収を阻害するので、リンが多く含まれる加工食品は注意が必要です。カルシウムとリンは摂取量の比率が1:2~2:1の間が好ましいと言われています。
骨折の予防・改善に効果的な生活習慣
骨折を予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。
運動で骨を丈夫に
運動すると骨に衝撃が加わり、骨の形成をさらに促進してくれるため運動を習慣づけることはとても重要です。骨折した場合も、適度な運動は治癒を促してくれます。ただし、過度な運動は禁物ですので担当医に相談しながら実施しましょう。
また肥満や糖尿病は、骨の強度低下を招くと言われています。骨粗しょう症の発症リスクを減らすためにも、普段からウォーキングなどの簡単な運動を取り入れるのが良いでしょう。
質の高い睡眠
体内組織の修復を促す成長ホルモンは睡眠中によく分泌されるため、深い睡眠を取ることが骨折の回復につながります。
ただし、成長ホルモンは分泌されやすいタイミングがあるので、寝る時間帯が重要です。成長ホルモンは22時から翌2時にもっとも活発に分泌されます。おおよそ入眠から3時間後に深い睡眠に入るので、時間を見計らって毎日の就寝時間を決めましょう。
毎日の食事
骨に良い影響を与える食べ物は積極的に摂取する必要はありますが、一時的なものでは効果が見込めせん。利用されない分は排出されてしまう栄養素も多いので、毎日適切な量を取り続けることが重要になります。
また、栄養素は互いに影響し合いながら働くため、バランスの良い食事が基本です。骨粗しょう症を招く要因となる肥満や糖尿病を防ぐためにも、糖分や脂質の多い食事も避けましょう。
程よく紫外線に当たる
ビタミンDは食品からの摂取も可能ですが、紫外線を浴びれば体内でも生成できます。紫外線は肌へのダメージなどが注目されているため悪いイメージがありますが、程よく浴びることで身体に良い影響を与えるのです。
夏であれば30分、冬なら1時間を目安に紫外線を浴びてみましょう。日焼けが気になる人は、紫外線量が比較的少ない朝方などを狙うのがおすすめです。
参考文献
- 骨粗鬆症 | e-ヘルスネット
- カルシウム | e-ヘルスネット
- マグネシウム | e-ヘルスネット
- たんぱく質 | e-ヘルスネット
- コラーゲン | e-ヘルスネット
- ビタミン | e-ヘルスネット
- 骨粗鬆症 | e-ヘルスネット
- 脂溶性ビタミン|厚生労働省
- 【医学研究】骨折を素早く治すタンパク質 | Nature asia
- 納豆摂取量は閉経後の日本人女性の骨粗鬆症性骨折リスクと逆に関連している|国立医学図書館
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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