海ぶどうの栄養と効果効能・調理法・保存法

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海ぶどう

海ぶどうの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、海ぶどうに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

海ぶどうとは

沖縄料理の食材として有名な海ぶどうは、イワズタ科イワズタ属の海藻です。

沖縄や奄美などの南西諸島、東南アジアなどの温暖な海が原産地ですが、食品として流通するのはほとんどが養殖。日本では、沖縄県や鹿児島の奄美大島で養殖されています。

房に丸い粒が連なる様子が果物のぶどうに似ていることから、海ぶどうと呼ばれるようになりました。クビレズタ、グリーンキャビアともいい、英語では、sea grapesまたはgreen caviarと表記します。

つぶつぶとした複雑な形をしている海ぶどうですが、アメーバやミドリムシと同じ単細胞生物です。

海ぶどうは、ランナーと呼ばれるほふく茎を海底に伸ばし、その途中から海面へ向かって垂直に茎を出し小さな丸い粒を付けていきます。主に食用とするのは、上に向かって伸びる部分です。

プチプチとした食感で人気の海ぶどうですが、茎の部分も食べることができ、茎付き海ぶどうも販売されています。

その栄養価はあまり注目されない食材ですが、実はカリウム・鉄などの必須ミネラル類や、食物繊維など健康を維持するうえで大切な栄養素が豊富な食材でもあります。

また、100gあたり4kcalとヘルシーな食材なので、ダイエット中にもおすすめです。

海ぶどうは1年中流通していますが、旬の時期は9月~4月。夏場は海水温が上昇するため、房が痩せる傾向があります。

海ぶどうの品種・種類

海ぶどうと同じイワズタ属の海藻は、約20種類が日本沿岸に自生しているといわれています。代表的な品種をご紹介します。

海ゴーヤ

海ゴーヤと名付けられ販売されている海藻は、海ぶどうの近縁種です。

丸い粒を付ける海ぶどうに対し、海ゴーヤは枝のような細長い突起を付けます。見た目や食感は海ぶどうと近いですが、より旨味やぬめりが強いのが特徴です。

ゴーヤを思わせるユニークな見た目も相まって、海ぶどうに次ぐ沖縄の海の幸として注目されています。

フサイワズタ

フサイワズタは、海ぶどうと同じイワズタ属に分類される海藻です。見た目は海ぶどうとよく似ていますが、南西諸島ではなく本州の海に自生しています。

食べることもできますが、一般にはあまり流通していません。

海ぶどうに含まれる成分・栄養素

海ぶどう100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位海ぶどう 生
廃 棄 率%0
エネルギー(kcal)kcal/100 g4
エネルギー(kJ)kJ/100 g17
水 分g/100 g97
たんぱく質g/100 g0.5
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-
脂 質g/100 g0.1
トリアシルグリセロール当量g/100 gTr
飽和脂肪酸g/100 g0.02
一価不飽和脂肪酸g/100 gTr
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.02
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g1.2
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-
水溶性食物繊維g/100 g-
不溶性食物繊維g/100 g-
食物繊維総量g/100 g0.8
灰 分g/100 g1.2
ナトリウムmg/100 g330
カリウムmg/100 g39
カルシウムmg/100 g34
マグネシウムmg/100 g51
リンmg/100 g10
mg/100 g0.8
亜鉛mg/100 gTr
mg/100 g0.01
マンガンmg/100 g0.08
ヨウ素µg/100 g80
セレンµg/100 g0
クロムµg/100 gTr
モリブデンµg/100 gTr
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g98
β-カロテンµg/100 g74
β-クリプトキサンチンµg/100 g-
β-カロテン当量µg/100 g120
レチノール活性当量µg/100 g10
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g0.2
β-トコフェロールmg/100 g0
γ-トコフェロールmg/100 g0
δ-トコフェロールmg/100 g0
ビタミンKµg/100 g35
ビタミンB1mg/100 gTr
ビタミンB2mg/100 g0.01
ナイアシンmg/100 gTr
ビタミンB6mg/100 g0
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g4
パントテン酸mg/100 g0
ビオチンµg/100 g0.1
ビタミンCmg/100 gTr
食塩相当量g/100 g0.8
アルコールg/100 g-
硝酸イオンg/100 g-
テオブロミンg/100 g-
カフェインg/100 g-
タンニンg/100 g-
ポリフェノールg/100 g-
酢酸g/100 g-
調理油g/100 g-
有機酸g/100 g-
重量変化率%-
備考別名: くびれずた(和名)、くびれづたエネルギー: 暫定値
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

海ぶどうの効果・効能

海ぶどうに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

血圧調整など体の調子を整える必須ミネラル類が豊富

ミネラル類は、人間の体にとって重要な役割を果たしています。特に、13種類ある必須ミネラルが不足すると、欠乏症などさまざまな不調が引き起こされます。

海ぶどうに特に多く含まれている必須ミネラルは、体の浸透圧を調整し塩分の排出を助けるカリウム、健康な骨や歯をつくるカルシウム、血圧の調整・筋収縮・神経の伝達を助けるマグネシウムです。

海ぶどうは、人間の体内では合成できないミネラル類を効率良く摂取できる食品と言えます。

貧血の予防・改善に役立つ

海ぶどうは、必須ミネラルの一つである鉄も豊富です。鉄が不足すると、鉄欠乏性貧血が起こり、食欲不振や頭痛などの症状が出ます。

海ぶどうには、100gあたり0.8mgの鉄が含まれており、貧血に悩む人にとってもうれしい食材です。

腸の働きを整えて便通を改善

海ぶどうには、腸の働きを助け便通を改善してくれる食物繊維も多く含まれています。食物繊維は、血糖値の上昇を抑える作用もあります。

食物繊維の多い食材としてよく知られているのは、豆類・きのこ類・芋類など。それらの硬い食感やパサパサ感が苦手な方でも、海ぶどうならプチプチとした食感を楽しみながら無理なく食物繊維を摂取できます。

その他の効果・効能

海ぶどうの特徴であるプチプチした食感は、咀嚼回数を増加させることも研究で証明されています。

柔らかい食事が増えた現代人は、咀嚼回数の少なさが問題視されています。噛む回数が減ると、あごの骨の成長・虫歯・肥満などさまざまなトラブルを引き起こしかねません。

食感を楽しめる海ぶどうを積極的に料理に取り入れれば、咀嚼回数を自然と増やせるでしょう。

海ぶどうの調理方法

海ぶどうの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

海ぶどうの洗い方

海ぶどうには汚れや小さな虫が付いていることもあるので、必ず水で洗ってから食べてください。水洗いすることで、余分な塩分を落とすこともできます。

ただし、海ぶどうは長時間水につけておくとしぼみ、せっかくの食感が損なわれてしまいます。水洗いは、短時間でサッと済ませるようにしましょう。

このとき、冷たい氷水で洗うと、よりプリプリしたハリのある食感になります。

塩水漬けの海ぶどうの調理方法

塩水に漬けられた海ぶどうは、生の海ぶどうと比較して長期保存できるというメリットがあり、お土産などにもぴったりです。

塩水漬け海ぶどうは、食べる前に塩抜きする必要があります。

塩抜きのやり方は簡単です。水をはったボウルに海ぶどうを入れ、2分ほど置いてからザルにあけて水を切りましょう。

海ぶどうのおすすめの食べ方

海ぶどうは、加熱すると食感が損なわれるため、基本的には生で食べます。

もっとも手軽でシンプルな海ぶどうの食べ方は、刺身です。醤油や三杯酢、ポン酢などの調味料に海ぶどうを付けて食べます。マヨネーズもよく合います。

海ぶどうは液体に漬かるとしぼむ性質を持つので、醤油などのタレは別皿で用意し、食べる直前に付けるのがおすすめです。

そのほか、ごはんに海ぶどうとツナをのせて醤油で味付けした「海ぶどう丼」や、サラダやカルパッチョのトッピングにしても美味しく食べることができます。

海ぶどうの保存方法

海ぶどうの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

低温に弱い海ぶどうは、冷蔵庫に入れるとしぼんでしまいます。

海ぶどうは冷蔵品というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、必ず常温で保存するようにしましょう。保存に適した温度は15~28℃です。

塩水漬けではない生の海ぶどうは、賞味期限が短くあまり日持ちしません。なるべく早く食べきるようにしてください。

海ぶどうを冷凍する場合は、水の中に漬け込んでそのまま凍らせます。氷ごと水に入れることで解凍できますが、一度冷凍すると食感が損なわれるので注意が必要です。

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