尿路結石の再発予防・改善におすすめの食べ物・飲み物

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尿路結石の症状や定義、原因について解説したうえで、尿路結石の再発予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

尿路結石とは

尿路結石とは、尿の通り道である腎臓・膀胱・尿道などに結石ができる疾患です。腎臓と尿管にできる結石は上部尿路結石、膀胱と尿道にできる結石は下部尿路結石と呼ばれます。

この結石は尿のなかで作られ、原因のほとんどがシュウ酸とカルシウムが結合したシュウ酸カルシウム結石です。通常、シュウ酸は腸でカルシウムと結合して自然と排出されますが、腎臓までシュウ酸が流れてしまうと尿のカルシウムと結合して結石になってしまいます。

尿路結石は性別に限らず発症する危険性があるものの、比較的男性のほうが発症リスクが高いのが特徴です。

尿路結石の症状

体内にできる結石の大きさはさまざまで、小さな結石の場合はほとんどが無症状です。

しかし、結石が大きくなると以下の症状が現れやすくなります。

  • 背中・わき腹・腰・下腹部にかけての痛み
  • 排尿時の痛み
  • 残尿感
  • 発汗
  • 吐き気や嘔吐
  • 血尿
  • 悪寒や発熱

放っておくと、腎臓障害のリスクが高まるので注意が必要です。また、尿路結石は再発リスクが高い疾患なので、完治した後も生活習慣に気を付ける必要があります。

尿路結石の原因

尿路に結石ができる原因は、腸内で結合できずに余ったシュウ酸が尿中のカルシウムと結合してしまうためです。このメカニズムから考えると、シュウ酸カルシウム結石を作ってしまう生活習慣は以下の5つが考えられます。

シュウ酸の過剰摂取

シュウ酸カルシウム結石のもととなる成分のひとつはシュウ酸です。シュウ酸が多く含まれる食品を摂り過ぎると、体内でシュウ酸が増えすぎてしまいます。つまり余ったシュウ酸が腎臓に移動して、尿のカルシウムと結合するリスクが高まるということです。

シュウ酸の多い食品はほうれん草やブロッコリーなど。シュウ酸は水溶性の成分なので、茹でると含有量を半減できます。

カルシウム不足

シュウ酸カルシウム結石を作る原因には、カルシウムの摂取量も関係しています。カルシウムの摂取量が不足した場合、腸管内でシュウ酸と結合する量が減ってしまうからです。

以前はカルシウムの過剰摂取が結石を作る要因になると考えられていましたが、今ではカルシウムの積極的な摂取が発症リスクを低下することがわかっています。

動物性食品の摂り過ぎ

肉や魚などの過剰摂取にも注意しましょう。動物性食品に含まれる動物性の脂肪やタンパク質は、摂取しすぎると腸内に脂肪酸を増加させます。

この脂肪酸はカルシウムと積極的に結合する性質があるため、腸内でのカルシウムとシュウ酸の結合を阻止してしまうのです。

塩分や糖分過多

塩分や糖分の多い食事は、尿中のカルシウムを増加させます。腎臓でカルシウムが増えすぎると、シュウ酸との結合を促進してしまうので注意が必要です。

また糖分の多い甘味飲料はリンの含有量が高い傾向にあります。結石の種類にはリンとカルシウムが結合したリン酸カルシウムもあり、尿路結石の発症リスクを高めるので気を付けましょう。

過度な飲酒習慣

アルコールを過剰に摂取すると、脱水症状が起こりやすくなり尿が濃くなります。尿の濃度が高まると結石ができやすくなるので、飲酒時は注意しましょう。

また、結石の種類には体内の尿酸が原因となる尿酸結石もあり、飲酒は尿酸値を上げる要素のひとつです。

アルコールは代謝される過程で尿酸を増やす働きがあるうえに、プリン体が多く含まれるアルコール類はさらに尿酸値の上昇を招きます。

尿路結石の再発予防・改善に効果的な栄養素

尿路結石の再発予防・改善に効果的な栄養素について解説します。

カルシウム:シュウ酸の吸収を抑える

カルシウムの積極的な摂取は、結石の発生を抑制してくれます。腸内でシュウ酸と結合し、腎臓に吸収されるシュウ酸量を減少させるからです。

1日あたりのカルシウム摂取量目安は、成人男性の場合750~800mg、成人女性で600~650mgです。おおよそ3杯から4杯程度の牛乳を飲むと、1日に必要な量を摂取できます。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

クエン酸:シュウ酸とカルシウムの結合抑制

あらゆる結石予防に役立つのがクエン酸です。クエン酸は腎臓におけるシュウ酸カルシウム結石やリン酸カルシウム結石の生成を抑制してくれます。

さらに尿をアルカリ性にする作用があるため、尿酸結石の再発防止にも効果的でしょう。

クエン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カリウム:塩分の摂り過ぎを抑える

結石を作らせないためには、尿中のカルシウム濃度を下げる方法も有効です。尿内にカルシウムが増える要因のひとつは塩分の過剰摂取なので、ナトリウムの排出作用があるカリウムを積極的に摂取しましょう。

しかし、いくらカリウムを多く摂り入れても、食事で塩分が多すぎては効果が見込めません。合わせて減塩にも取り組みたいところです。

カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

尿路結石の再発予防・改善におすすめの食べ物・飲み物

尿路結石の再発予防・改善に効果的な食べ物・飲み物について解説します。

乳製品

カルシウムが多く含まれる牛乳をもとに作られた乳製品は、尿路結石の予防に効果的な食品です。

カルシウムを効率的に摂取するなら、チーズの場合はナチュラルチーズがおすすめ。パルメザンチーズやエメンタールチーズなどはカルシウムの含有量が高い傾向にあります。

牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

チーズの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ヨーグルトの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

柑橘類

レモンやオレンジなどの柑橘類は、クエン酸の含有量が多い食品です。

紅茶にレモンを絞ったり、オレンジジュースを飲んだりなど取り入れやすいところからチャレンジしてみましょう。ただし糖分の摂り過ぎは尿中のカルシウムを増加させるため、ジュースを飲む場合は糖の含有量にも気を付けてください。

レモンの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

オレンジの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

大豆製品

大豆は非常に栄養価の高い食品で、結石の予防に重要なカルシウム・クエン酸・カリウムまでバランスよく含んでいます。高タンパクなため、肉や魚などの動物性タンパク質の代わりに大豆ミートを取り入れる方法もおすすめです。

大豆製品は種類がたくさんあるので、豆腐・納豆・おからなどを日によって取り入れると無理なく実践できるでしょう。

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豆乳の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

おからの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

海藻類

わかめやひじきなどの海藻類は、カルシウムが豊富です。水溶性の食物繊維が多く含まれるので糖やナトリウムの排出を促してくれ、間接的に結石の発生を抑制してくれます。

また、低カロリーなので肥満予防にも役立つでしょう。

わかめの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ひじきの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

めかぶの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

もずくの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

酢にはクエン酸が多く含まれるので、結石予防におすすめの食品です。

尿中のカルシウムを減らすために減塩食を実践する場合も、調味料として酢が役立ちます。酢を使うと食味を損なわず塩分量を控えられるので、積極的に活用していきましょう。

酢の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

黒酢の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

尿路結石のできやすい食べ物

もっとも尿路結石の発症リスクを高める食べ物は、シュウ酸の多い食品です。以下でシュウ酸の含有量が高い食品を紹介します。

  • ほうれん草
  • たけのこ
  • レタス
  • ブロッコリー
  • さつまいも
  • チョコレート
  • ピーナッツ
  • アーモンド
  • コーヒー
  • ココア
  • 紅茶
  • 緑茶
  • 玉露茶

尿路結石の再発予防・改善に効果的な生活習慣

尿路結石を再発予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

水を多く摂取する

尿路に結石を作らせないためには、尿の排泄量が重要です。一般的には1日あたりの尿量が1リットル以下の場合は、尿路結石の発症リスクが高いと言われています。

1日2リットル以上を目安として水分を摂取しましょう。尿の濃度が薄くなるため、さらに結石の発生を抑えることにつながります。

適度な運動

尿路結石の再発予防には、運動習慣も大切です。軽めの運動によって結石が砕けやすくなり、自然な排泄を促してくれます。

とくにおすすめの運動は、上下に身体を動かす縄跳びやウォーキングなど。階段の上り下りも効果的なので、エスカレーターではなく階段を使うようにしましょう。

また、精神的なストレスも結石を作る要因となり得ます。運動習慣はストレス解消にもつながるので、少しずつ取り入れていきましょう。

就寝直前の夕食を避ける

尿路結石の形成を促進する物質は、食事をしてから2時間から4時間後にもっとも高くなると言われています。この時間帯は、尿中にカルシウムやシュウ酸が増えやすくなるため、尿が濃くなりすぎないよう水分補給が欠かせません。

とくに就寝中は水分がとれないため、尿が濃縮しやすくなります。結石の発生を抑えるためにも就寝4時間前には食事を済ませるようにしましょう。

バランスのよい食事

肉中心の欧米型の食事は、尿路結石のリスクを高めると言われています。尿路結石の再発防止を目指すなら、野菜を中心とした和食にシフトするのが得策でしょう。

ただし、基本となるのは栄養バランスの整った食事です。栄養素は互いに影響し合いながら吸収されるため記事内で紹介した食品ばかり摂取するのではなく、さまざまな食品を揃えて食事を構成しましょう。

シュウ酸を減らす食品を摂取

シュウ酸の多い食品を控える習慣は大切ですが、尿中のシュウ酸を減らす作用のある食品も同時に摂取していきましょう。カルシウムやクエン酸の含有量が高い大豆製品や乳製品がおすすめです。

一方、ビタミンCはシュウ酸を増やす要因ですが、通常の摂取量では問題ないと言われています。ただしサプリメントで摂り過ぎないよう注意しましょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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