ホルモンバランスを整える食べ物

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栄養素

ホルモンバランスが乱れたときの症状や原因について解説したうえで、ホルモンバランスを整えるのに役立つ、ビタミンやミネラルを豊富に含む食べ物を紹介します。

ホルモンとは

ホルモンとは、体内を一定の状態に保つために必要な情報伝達物質です。

甲状腺や卵巣、精巣などの内分泌臓器で産生されたホルモンは、体温や血圧の調整や、身体の成長促進、生殖機能の維持などに作用します。

ホルモンの種類

現在、100種類以上のホルモンや類似物質が見つかっており、それぞれが生体機能の維持のために働いています。

ホルモンを構造別に大きく分類すると、次の表のとおりです。

ホルモンの分類構造代表的なホルモン
ペプチドホルモンタンパク質を構成するアミノ酸から成るホルモン成長ホルモン・インスリン
ステロイドホルモンコレステロールから合成されるホルモンエストロゲン・アンドロゲン・プロゲステロン
アミノ酸誘導体ホルモンアミノ酸が酵素と反応して作られるホルモンアドレナリン・ノルアドレナリン

ペプチドホルモンとアミノ酸誘導体ホルモンはタンパク質から作られますが、女性ホルモンや男性ホルモンなどのステロイドホルモンは、コレステロールから合成されます。

女性の生殖機能を保つホルモン

女性の妊娠・出産にかかわるホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)です。

エストロゲンは、妊娠の準備をするために必要なホルモンであるだけでなく、骨や血管、神経を正常に維持するために働きます。プロゲステロンは、妊娠を維持するために働くホルモンです。エストロゲンとプロゲステロンが、それぞれ子宮に働きかけることで、月経が起こります。

男性の生殖機能を保つホルモン

男性の生殖機能を維持するために働くホルモンは、アンドロゲンです。

アンドロゲンは、二次性徴を促進するステロイドホルモンの総称で、筋力や男性の生殖機能を維持する働きのあるテストステロンも、アンドロゲンに分類されます。体内のテストステロンは、その95%が精巣で作られ、残りの5%は副腎と呼ばれる臓器で合成されます。

テストステロンの分泌量は20歳代がピークと考えられており、加齢によって分泌量が減ります。またストレスなどの環境要因によっても、合成・分泌が抑制されると考えられています。

ホルモンバランスとは

ホルモンバランスとは、一般的に性ホルモンの体内バランスのことを指します。性ホルモンのバランスが崩れることで、身体にさまざまな症状をきたす原因となります。

ホルモンバランスが乱れる原因と仕組み

ホルモンバランスが乱れる原因は、加齢などの内部要因と、ストレスなどの外部要因があります。

女性の場合は、閉経の前後になると、女性ホルモンの分泌量が変化し、ホルモンバランスが崩れやすくなります。いわゆる「更年期障害」と呼ばれる症状を引き起こす原因です。

男性の場合は、加齢によるテストステロンの急激な減少が原因で、更年期障害(LOH症候群)が起こると考えられています。

加齢による原因のほかには、ストレスや食生活の乱れなどもホルモンバランスが乱れる原因です。偏った食生活や、無理な食事制限は、ホルモンバランスを崩す原因になるため、バランスのよい食事を心がけましょう。

ホルモンバランスの乱れにより起こる症状

ホルモンバランスが乱れたときに起こる症状には、次のようなものがあります。

女性ホルモンの減少による症状

  • 頭痛
  • めまい
  • イライラ感
  • 動悸
  • のぼせ

男性ホルモンの減少による症状

  • 抑うつ気分
  • 睡眠障害
  • 性欲減退
  • 集中力の低下
  • 筋力低下
  • 肥満

ホルモンバランスを整えるのに効果的な栄養素

ホルモンバランスを整えるのに、効果的な栄養素について解説します。

タンパク質:ホルモン合成に必要

女性ホルモンや男性ホルモンの原料になるのはコレステロールですが、タンパク質もホルモンの作用に大きくかかわる栄養素です。また性ホルモンは、タンパク質と結合して、血中を移動しています。

タンパク質には、肉類や魚介類に含まれる動物性タンパク質と、大豆に豊富な植物性タンパク質があります。植物性タンパク質は、身体に必要な必須アミノ酸のすべての種類を含まないため、動物性タンパク質を摂取することも大切です。

またタンパク質は筋肉を作るときに必要な栄養素で、テストステロンの減少による筋力低下を予防することも期待できます。

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

大豆イソフラボン:エストロゲンに似た作用を持つ

大豆イソフラボンとは、大豆に含まれるポリフェノールの1種です。女性ホルモンの1つであるエストロゲンと似た構造をしており、その働きもエストロゲンと似ています。

大豆イソフラボンは、大豆製品に豊富に含まれていて、女性ホルモンの働きをサポートし、ホルモンバランスを整える効果を期待されています。

イソフラボンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

アリシン:テストステロンを増加させる

アリシンは、含硫アミノ酸の1種であるアリインが酵素によって変換された栄養素です。

ニンニクや玉ねぎなどの細胞に含まれており、包丁で切ったりすりおろしたりすることで、成分が細胞の外に出てきます。アリシンには、疲労回復効果や、抗菌作用があるほか、テストステロンの分泌を促進する栄養素であると考えられています。

アリシンは、ビタミンB1の吸収を高める働きを持つことが知られており、ビタミンB1の疲労解消の効果を高めたいときにも役立つ栄養素です。

アリシンの効果・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

亜鉛:生殖機能を正常に保つ

亜鉛とは、ミネラルの1種で、DNAの合成や骨の成長、生殖器の機能維持など、体内の調整をしている栄養素です。亜鉛は、テストステロンや女性ホルモンの合成・分泌に関与しており、食事中の亜鉛が不足すると、性機能の異常が起こります。

牡蠣やウナギなどの魚介類や、チーズなどの乳製品に多く含まれる栄養素です。

亜鉛の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ホルモンバランスを整えたいときにおすすめの食べ物

ホルモンバランスを整えるのに、効果的な食べ物・飲み物について解説します。

豆腐

豆腐には、大豆イソフラボンが豊富に含まれているため、ホルモンバランスを整えるのに効果的な食べ物です。

大豆イソフラボンを含む納豆などと比べて、調理方法を工夫しやすいことから、食べやすい食材でしょう。豆腐は、切って鍋や味噌汁に入れるだけでも食べられますが、木綿豆腐を潰してハンバーグに入れたり、炒め物に入れると食べやすくなります。

豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

玄米

玄米は、精白米と比べて、ビタミンB1やタンパク質、ミネラルを多く含む穀類です。

ホルモンの合成に必要なタンパク質、体調を整えるビタミンやミネラルをバランスよく含みます。ホルモンバランスを整えたい場合には、白米よりも玄米を選ぶのがおすすめです。

玄米の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豚肉

豚肉は、牛肉や鶏肉と比較して、ビタミンB1を多く含みます。ビタミンB1は疲労や、ストレスを軽減し、ホルモンバランスを整えたいときに、積極的に摂りたい栄養素です。

豚肉などの肉類は、動物性タンパク質が豊富で、大豆などの植物性タンパク質には含まれない、必須アミノ酸も含みます。豚肉は、植物性タンパク質に含まれないメチオニンやリジンを多く含有し、生命維持に必要な栄養を補給するときに食べたい食材です。

豚肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

玉ねぎ・ニラ・ニンニク

玉ねぎやニラ、ニンニクには、テストステロンの合成を促進するアリシンが、豊富に含まれています。

亜鉛を多く含むレバーや、ビタミンB1の豊富な豚肉と、一緒に炒め物にするのがおすすめです。ホルモンバランスを整えたい男性は、ネギ類の摂取が不足しないように、食事に取り入れるとよいでしょう。

玉ねぎの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ニラの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

にんにくの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

牡蠣

水煮の牡蠣に含まれる亜鉛は、14.5mg/100gです。あさり100gでは3.4mg、しじみ100gでは4.0mgと比べると、牡蠣には亜鉛が豊富に含まれることがわかります。

牡蠣には、他にもカルシウムや鉄が多く含まれており、ミネラル補給におすすめの食べ物です。

牡蠣の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ホルモンバランスを整えるのに効果的な生活習慣

ホルモンバランスを整えるために、心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

無理なダイエットや食事制限はしない

ホルモンバランスが乱れていると感じる場合は、無理なダイエットや食事制限が原因かもしれません。

ホルモンは、食事から摂取したタンパク質や脂質、ミネラル、ビタミンによって、合成・分泌されます。栄養素が不足すると、身体を調整するのに必要なホルモンの量が足りなくなって、体内のバランスが崩れてしまいます。

女性ホルモンや男性ホルモンは、コレステロールやタンパク質を原料としているため、過度なダイエットをすると、合成量が減少するリスクがあることを理解しておきましょう。

また、ホルモンの分泌を制御する自律神経は、ビタミンやミネラルが不足すると正常な働きを維持できなくなることがあります。ホルモンバランスを整えたいときは、偏った食事ではなく、肉や野菜、穀類をバランスよく食べることが大切です。

ストレスをためない生活&食生活

過度なストレスによって、ホルモンバランスが崩れることもあります。十分な睡眠と、規則正しい生活を心がけましょう。

ストレスを感じたときは、生活習慣だけでなく、疲労回復に効果的な食事を摂ることも1つの方法です。ビタミンB1やアリシン、クエン酸など、疲労解消に働く栄養素を豊富に含む食べ物を意識して摂りましょう。

疲労回復におすすめの食べ物・飲み物と疲労をためない生活習慣|NANIWA SUPLI MEDIA

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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