血管に良い食べ物【血液をサラサラに】

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Blood vessels food

血管の働きや、血液がドロドロになる原因について解説したうえで、血液をサラサラにする効果を持つビタミンEやDHAなどの栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

血管の働きと柔軟性

体内の血液は、血管をとおり、全身に酸素や栄養を運んでいます。血管の内部は空洞になっていて、血液成分が流れています。

主な血液成分は、赤血球・白血球・血小板などの血球成分と、水・タンパク質・電解質・糖質・脂質などの血漿成分です。

健康な人では、血漿成分の約91%が水、約7%がタンパク質成分、残りが電解質やその他の栄養素ですが、糖質や脂質が多くなると、さまざまな疾患を引き起こす原因になります。

血管には筋肉がついており、この筋肉が収縮・拡張することで、血圧を維持・調整します。心臓から強い力で血液が押し出されても血管が破れないのは、血管が柔軟に変形するためです。

しかし、なんらかの理由で血管の柔軟性が失われると、血圧の維持ができなくなったり、血管が壊れやすくなったりします。血管が硬くなる要因は、老化や生活習慣などです。加齢で血管の柔軟さがなくなるだけでなく、食生活やストレスなどの生活習慣によっても、血管が硬くなり、悪化すると動脈硬化と呼ばれる状態に陥ります。

血液がドロドロの状態は危険

血液がドロドロとはどのような状態なのか、原因とリスクについて解説します。

血液がドロドロになった状態とは

「血液がドロドロになる」といいますが、実際に血液がドロドロになって粘り気がでるわけではありません。

血液がドロドロになった状態とは、主に次の場合を指します。

  • 脱水状態:血液中の水分が減って、血球成分の占める割合が多くなった場合
  • 血球成分の変形不全:赤血球の柔軟さがなくなって、細かい血管を通れなくなる状態
  • 凝固異常:血液を固まらせる血小板が異常に作用して、血液が固まりやすくなった状態
  • 血管壁の縮小:白血球がなんらかの原因で粘着性を持ち、血管壁にくっついて血管壁を狭めている状態

血液がドロドロになる原因

血液がドロドロになる原因として、主に次の理由が考えられます。

  • 中性脂肪が高い
  • 血糖値が高い
  • 高血圧
  • 水分不足
  • ストレス
  • 加齢

中性脂肪や血糖が高い場合は、血中に増えた脂質や糖質により、血球成分が粘着性を持ち血管壁にくっつきやすくなります。血管壁にくっついた血球成分は、血管内を狭め、血液循環が阻害される原因となります。

また、寝不足や過労などのストレスが持続することで、白血球の粘着性が増し、血管壁にくっつくこともあります。

血液がドロドロになると起こる病気

血液がドロドロになると、血管が硬くなり、血管内が狭くなって動脈硬化を起こします。動脈硬化は、血管が詰まりやすくなっている状態で、悪化すると心筋梗塞や脳梗塞、肺梗塞などの脳血管疾患を引き起こすリスクが高まります。

また、血管が硬くなることで、本来の柔軟性が失われ、血圧に耐え切れずに血管が切れやすくなり、脳出血などの命に関わる疾患につながる可能性もあるのです。

血液をサラサラにする栄養素

血液をサラサラにし、動脈硬化のリスクを下げる栄養素について説明します。

ビタミンE・ビタミンCの抗酸化作用

ビタミンEやビタミンCは、血中の脂質を減らし、血液をサラサラにする効果のある栄養素です。

過酸化脂質は、中性脂肪やコレステロールなどの脂質から酸化により生成される脂質で、動脈硬化や血管の老化にかかわります。ビタミンE・ビタミンCには、強い抗酸化作用で過酸化脂質を除去し、血管内に蓄積するリスクを下げる効果があります。

ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANISA SUPLI MEDIA

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANISA SUPLI MEDIA

ナットウキナーゼが血栓を溶かす

ナットウキナーゼは、納豆に含まれるタンパク質分解酵素です。

納豆のねばねばとした粘性部分に含まれており、原料の大豆を発酵させることでナットウキナーゼが生成されます。ナットウキナーゼは、血液のドロドロのもと・血栓を作る材料となるフィブリンと呼ばれるタンパク質を分解する働きを持っています。

DHA・EPAで血管を健康に維持

ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)は、脂質の1種です。人間の体内では合成できないn-3系脂肪酸のため、食べ物から摂取する必要があります。

EPAは、血中の中性脂肪を減らす効果があり、動脈硬化や血栓を予防します。DHAは、血管の健康を維持する役割をしている栄養素です。DHAとEPAは魚類、特に青魚に多く含まれています。

オメガ3の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ポリフェノールがコレステロールを低減

植物の色素成分であるポリフェノールは抗酸化作用を持っており、悪玉コレステロールを低減させる効果があります。

コレステロールには悪玉コレステロールと善玉コレステロールの2種類があり、血液をドロドロにする原因となるのが悪玉コレステロールです。

ポリフェノールにはさまざまな種類があり、特にカテキンやカロチノイドは、悪玉コレステロールを下げる効果が大きいと考えられています。

ポリフェノールの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANISA SUPLI MEDIA

クエン酸は血栓を作りにくくする

クエン酸とは、レモンや梅干しなどに含まれる酸味成分です。

クエン酸には、血液を固まりにくくする作用・抗凝固作用があり、これが血液をサラサラにしてくれます。医療現場でも、検査や輸血で使用する血液が固まらないように、クエン酸(クエン酸ナトリウム)を使用しています。

クエン酸は、柑橘類や酢などに多く含まれる栄養素です。食べ物として摂取することでも、血液が固まりにくくする作用を発揮します。また、血圧を上昇させるホルモンを抑制する効果があるため、高血圧予防にも効果的です。

クエン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANISA SUPLI MEDIA

血管にいいおすすめの食べ物・飲み物

血管にいい効果のある食べ物・飲み物について解説します。

納豆

納豆には、血栓を溶かす効果のあるナットウキナーゼが豊富に含まれています。ちなみに納豆の原料となる大豆にナットウキナーゼは含まれておらず、大豆を発酵させて納豆になる段階でナットウキナーゼが作られます。

注意したいポイントは、納豆には抗凝固剤「ワルファリンカリウム(商品名:ワーファリン)」の作用を阻害するビタミンKも豊富に含まれる点です。

血栓をできにくくする薬を飲んでいる場合は、納豆の食べすぎに注意し、不安なら主治医に確認するとよいでしょう。

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANISA SUPLI MEDIA

青魚(サバ・イワシなど)

サバやイワシなどの青魚には、DHAやEPAが豊富に含まれており、血管を健康に維持する効果を期待できます。肉類に比べて、血栓の原因となる飽和脂肪酸が少ないため、良質な動物性タンパク質の摂取にも役立ちます。

特にサバには、抗酸化作用の強いビタミンEも豊富に含まれているため、血管にいい食べ物としておすすめです。

サバの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANISA SUPLI MEDIA

いわしの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANISA SUPLI MEDIA

酢には、血栓予防に働くクエン酸が豊富に含まれています。血液を固まりにくくし、血液をサラサラにする効果だけでなく、血圧の上昇を予防する働きもあります。

通常の酢は、酸味が強いため調味料として使用し、ドリンクとして飲む場合は黒酢飲料がおすすめです。

酢の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANISA SUPLI MEDIA

黒酢の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANISA SUPLI MEDIA

かぼちゃ

かぼちゃは、ビタミンEを多く含む食べ物です。ビタミンEの抗酸化作用で、血液をドロドロにする原因となる過酸化脂質を除去し、血管の健康を維持します。

またかぼちゃは、β‐カロテンも豊富に含みます。β‐カロテン(カロテノイド)はポリフェノールの1種で、悪玉コレステロールを減らし、脂質が血管壁に張り付いて血液がドロドロになるリスクを下げるのに効果的です。

かぼちゃの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANISA SUPLI MEDIA

緑茶

緑茶には、ポリフェノールの1種であるカテキンが多く含まれています。カテキンは、お茶の渋み成分の1つです。

カテキンには、抗酸化作用があり、動脈硬化の予防や、血管の健康維持に効果的であると考えられています。血液がドロドロになることで引き起こされる、心筋梗塞や脳梗塞などの脳・血管障害のリスクを下げる効果があります。

血管を健康に保つために効果的な生活習慣

血管を健康に保つために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

飽和脂肪酸の少ない食べ物を食べる

血液がドロドロになる原因の1つである、飽和脂肪酸が少ない食べ物を食べることは、血管を健康に保つのに効果的な方法です。飽和脂肪酸が多い食べ物は、バターやショートニング、植物性油、肉類、ナッツ類などがあります。

ナッツ類は、抗酸化作用を持つビタミンEが豊富に含まれる食べ物でもありますが、悪玉コレステロールの原因になる飽和脂肪酸が多いことに注意しましょう。

飽和脂肪酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANISA SUPLI MEDIA

ストレスを減らす

寝不足や過労などのストレスも、血液がドロドロになる原因です。

ストレスを感じると、血中の白血球がくっつきやすくなり、血管内で詰まったり血管壁に張り付いたりします。白血球の塊は、心臓や脳の血管で詰まると心筋梗塞や脳梗塞を起こす原因となります。また、血管内に張り付くことで血管内が狭くなり、動脈硬化を引き起こします。

質のよい睡眠をとり、身体と脳を休めることは、血管の健康維持にも効果的です。

間食を減らす

間食を減らすことで、血液がドロドロになる原因物質である糖質や脂質を減らせます。

血栓や動脈硬化などの血管に起こる疾患は、生活習慣病に起因すると考えられています。間食が原因で起こる肥満や高血糖、高血圧を予防することで、血管疾患も予防できるでしょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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