オールスパイスの栄養と効果効能・調理法・保存法

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allspice

オールスパイスの原産地や代用品などの基本情報、似た食品との違い、オールスパイスに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

オールスパイスとは

オールスパイス(allspice)とは、ユーカリやグアバなどと同じ、フトモモ科に属する樹木です。名前から、複数の香辛料が混ざっているイメージがありますが、1種類の香辛料から作られています。

香辛料として使われるのは、果実や葉の部分で、果実は5~8mm程度の暗褐色をした球状をしています。完熟する前の果実を収穫し、乾燥させたものが香辛料になり、シナモンやナツメグ、クローブのようなほんのりと甘い香りが特徴です。

オールスパイスの原産地は、ジャマイカやメキシコなどの中南米です。マヤ文明のころに、ミイラの防腐剤や香辛料として使用されていたと、考えられています。

香辛料として、オールスパイスが一般的に普及したのは、16~17世紀ごろです。多くの香辛料が15世紀に発見され、大航海時代の主な貿易品として扱われました。しかしオールスパイスは、ほかの香辛料よりも発見された時期が遅かったため、ヨーロッパに持ち込まれたのも遅かった経緯があります。

オールスパイスの代用品になる香辛料

オールスパイスが自宅にない場合は、別の香辛料で代用することも可能です。オールスパイス代わりとして使える、風味の似た香辛料を紹介します。

ナツメグ

ハンバーグなどの肉料理で定番のナツメグは、甘い香りが特徴の香辛料です。同じく肉料理に使われる、オールスパイスの代わりとしても使用できます。

ナツメグ単体でもオールスパイスの代わりになりますが、シナモンやクローブを少量混ぜることで、よりオールスパイスに似た風味を出せるでしょう。

ナツメグの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

シナモン

シナモンは、甘味とスパイシーさが特徴の香辛料です。主にお菓子に使われ、オールスパイスを使ったお菓子作りでの代用品として使えます。

肉料理にオールスパイスの代用として加えるときは、シナモンでは甘味が強すぎるかもしれません。シナモン単体ではなく、ナツメグやクローブを混ぜることで、肉料理でもオールスパイスの代用品として使えるでしょう。

シナモンの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

クローブ

クローブは、バニラに似た甘い香りと、ビリっとした刺激が独特な香辛料です。肉料理の臭み消しとして使われ、肉料理に使うオールスパイスの代わりとして使えるでしょう。

オールスパイスの代用品にするときは、シナモンと同様にクローブ単体よりも、ナツメグ・シナモンと混ぜて使うのがおすすめです。

クローブの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ガラムマサラ・五香粉との違い

オールスパイスは、1種類のスパイスから作られる香辛料です。ガラムマサラや五香粉は、複数の香辛料を混ぜたミックススパイスで、香りや用途がオールスパイスとよく似ています。

ガラムマサラや五香粉の特徴を説明したうえで、オールスパイスとの違いについて解説します。

ガラムマサラ

ガラムマサラは、インド料理に使われるミックススパイスです。シナモンやナツメグ、ブラックペッパー、クローブなど3~10種類の香辛料から作られています。

カレーに使われる香辛料で、チリペッパーなどの辛味を加えることもあるため、オールスパイスの代わりとして使えないこともあります。辛味調味料を含まないガラムマサラであれば、肉料理にオールスパイスの代用品として使用できるでしょう。

五香粉

五香粉(ごこうふん)は、中国で使われるミックススパイスの1種です。クローブやホアジャオ(花椒)、スターアニス(八角)など5種類以上の香辛料を混ぜて作られます。

中国料理では、臭み消しとして利用され、オールスパイスの代用品としても使えます。五香粉は、多種の香辛料が含まれていて風味が多彩です。五香紛の代わりにオールスパイスを使うと、深みが足りないこともあるので注意しましょう。

オールスパイスに含まれる成分・栄養素

オールスパイス100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

カリウムやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルを豊富に含むため、生体機能を健康に維持するのに役立ちます。とくに鉄や、ビタミンB群の1つであるナイアシンを多く含有することが特徴です。

食 品 名単位オールスパイス 粉
廃 棄 率%0
エネルギーkJ1543
kcal364
水 分g9.2
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g
たんぱく質g5.6
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g-3.7
コレステロールmg0
脂質g5.6
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g
g
利用可能炭水化物(質量計)g
差引き法による利用可能炭水化物g77.1
*
食物繊維総量g
糖アルコールg
炭水化物g75.2
有機酸g
灰分g4.4
無機質ナトリウムmg53
カリウムmg1300
カルシウムmg710
マグネシウムmg130
リンmg110
mg4.7
亜鉛mg1.2
mg0.53
マンガンmg0.72
ヨウ素μg
セレンμg
クロムμg
モリブデンμg
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg0
α|カロテンμg6
β|カロテンμg31
β|クリプトキサンチンμg0
β|カロテン当量μg34
レチノール活性当量μg3
ビタミンDμg0
α-トコフェロールmg
β-トコフェロールmg
γ-トコフェロールmg
δ-トコフェロールmg
ビタミンKμg
ビタミンB1mg0
ビタミンB2mg0.05
ナイアシンmg2.9
ナイアシン当量mg3.8
ビタミンB6mg
ビタミンB12μg0
葉 酸μg0
パントテン酸mg
ビ オ チ ンμg
ビタミンCmg0
アルコールg
食塩相当量g0.1
備 考
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

オールスパイスの効果・効能

オールスパイスに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

オイゲノールの抗菌作用

オイゲノールとは、オールスパイスの香りのもとになる成分です。クローブやシナモンなどの香辛料のほか、バナナなどにも含まれています。

香水や香料、精油、化粧品の原料として使われますが、オールスパイスを料理に使う場合は、毒性は問題ありません。

オイゲノールには強い抗菌作用があり、これがマヤ文明時代に防腐剤として利用されていた理由です。ほかの香辛料と同じように、料理に入れることで、保存食としての効果を発揮してきました。

またオイゲノールには、抗炎症作用もあると考えられています。皮膚を健康に保ち、炎症や感染症を予防します。

シネオールが炎症を抑える

シネオールとは、ユーカリやローズマリーなどの植物に含まれる臭気成分です。オールスパイスにもシネオールが含まれており、炎症を抑える抗炎症作用があると考えられています。

喘息や気管支炎などの、呼吸器の炎症疾患やアレルギー疾患における治療研究も多く進められており、抗炎症・抗アレルギー効果があると報告されている成分です。

料理に入れるオールスパイスの量では、シネオールの医学的な効果は見込めませんが、香りによるリラックス効果や、体内の炎症に対する効果が期待されます。

鉄は、赤血球や肝臓、筋肉に存在するミネラルの1種です。筋肉中のミオグロビンや、赤血球中のヘモグロビンと結合し、酸素の運搬に携わっています。欠乏すると、貧血の原因となり、めまいや頭痛、動悸、息切れなどを引き起こします。

成人では体内に2~3g存在し、食べ物から6.5~10.0mg/日が必要とされる栄養素です。とくに月経のある女性では、8.5~10.0mg/日と、非常に多くの鉄を摂取しなくてはなりません。

鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ナイアシン

ナイアシンとは、肝臓に存在し、体内で必須アミノ酸のトリプトファンから合成される、ビタミンB群の1つです。補酵素として、生体機能を維持するために働いています。

ナイアシンは、トリプトファンから合成されるほか、食べ物にも多く含まれるため、一般的には欠乏しにくい栄養素です。しかし、過度なダイエットなどをしている場合には、皮膚炎や胃腸障害、抑うつ気分などの症状が発生するリスクもあります。

ナイアシンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

オールスパイスの食べ方

オールスパイスの栄養素を損なわない調理方法を解説します。

ホールのまま使う場合

オールスパイスは、ホールと呼ばれる乾燥させた果実そのままの状態でも、料理に使用できます。ホールのまま使う場合は、煮込み料理に入れるのが一般的です。

ピクルスに添えて、オールスパイスの香りをアクセントにすることもあります。

パウダーの場合

オールスパイスのホールを挽いたり、パウダー状の市販品を購入したりした場合は、料理の下味にも使えます。粒が細かいため、ハンバーグなどに練りこんでも、食材の邪魔になりにくいことがメリットです。

ソースやドレッシングに混ぜるときも、パウダータイプがおすすめです。

ハンバーグなどの肉料理に入れて臭みを消す

オールスパイスの一般的な使い方に、臭み消しの目的があります。

ナツメグのように、ハンバーグのタネに練りこむことで、肉の臭みを消してピリッと刺激的な風味になるでしょう。煮込み料理にホールのまま入れたり、砕いてステーキなどに使ったりとさまざまな肉料理に使えます。

ハンバーグに入れるときは、ホールではなく、なじみやすいパウダータイプのオールスパイスを選ぶとよいでしょう。

トマトとの相性も抜群

オールスパイスは、トマトとの相性もよく、パスタやトマトの煮込み料理にもおすすめです。独特の風味が、料理のアクセントとなるでしょう。

自家製のケチャップを作るときにも、オールスパイスを入れると味が締まります。

オールスパイスはお菓子とも合う

オールスパイスは、シナモンに似た甘い香りをもつため、お菓子作りにも使えます。お菓子には、パウダー状のオールスパイスを使用し、クッキーやマフィンに入れると、大人の味に仕上がります。

ジャムに混ぜたり、果物に直接かけたりなど、さまざまな使い方ができることも、オールスパイスの魅力です。

オールスパイスの保存方法

オールスパイスの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

保存方法に限らず密閉容器で保存

多くの香辛料のように、オールスパイスも密閉容器で保存することが基本です。

オールスパイスは傷みにくい食べ物ですが、密閉しないと、香りが飛んだり、別の食品のにおいがついたりしまうことがあります。香りを活かすために、密閉容器に入れて直射日光の当たらないところで保存しましょう。

コンロの近くに置いておくと、熱で傷んでしまうことがあるため、冷蔵庫や冷凍庫、棚の中に保管するのがおすすめです。

冷蔵保存するときは温度差に注意

一般的に冷蔵庫に入れれば、湿気や温度の影響を受けないと思われがちです。しかし実は、冷蔵庫の開け閉めや出し入れによる、温度変化がオールスパイスの保存にも影響を与えます。

冷蔵保存で冷たくなった容器を、冷蔵庫から出してすぐに開けると、外気温との差で結露が生じます。この結露が、容器内を湿気させ、オールスパイスの痛みの原因です。

結露を生じさせないポイントは、冷蔵庫からだした容器をしばらく放置すること。容器内の温度を外気温と同じにすることで、気温差をなくして湿気を防ぎます。

冷凍庫なら長期保存が可能

オールスパイスを長期間保存したいなら、冷凍庫での保管がおすすめです。湿度が上がりにくいため、風味を長期間残せます。

ただし、冷凍庫内のにおいが移ることもあるため、オールスパイスの風味を楽しみたいなら、開封後は半年~1年程度で使い切りましょう。

参考文献