わさびの栄養と効果効能・調理法・保存法

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wasabi

わさびの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、わさびに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

わさびとは

わさび(wasabi)は、アブラナ科ワサビ属に分類される植物です。原産地は日本で、長野県や静岡県、岩手県、高知県などで多く栽培されています。栽培には、1年を通して涼しく水の綺麗な環境が必要なため、限られた地域でしか生産されていません。

一般的に根の部分をすりおろして食用にされることの多い食品ですが、茎や花、葉の部分も食べられます。根の部分と異なり、野菜のように料理のメインとして使用できるのが魅力です。しかし、わさびの花や葉は日持ちしないため、市場に流通することは少なく、スーパーマーケットで目にすることはほとんどないでしょう。

わさびの旬の時期は、気温が下がる秋から冬にかけて。根わさびは年間をとおして収穫できますが、収穫時期によって辛みの程度が変わります。1年~3年かけて成長したわさびは、花が咲く春には花と種に、冬は根に栄養を蓄えるためです。

わさびの歴史は古く、飛鳥時代から薬草として、利用されてきたと考えられています。当時は野生のわさびを利用しており、本格的な栽培が始まったのは江戸時代であると伝えられています。薬味として寿司に添えられるようになったのも、江戸時代からです。

わさびの品種・種類

わさびは栽培方法により、沢わさびと畑わさびに区別されます。

沢わさび(水わさび)

沢わさびは、綺麗な清流が流れる山地で栽培されるわさびです。

大きく分けて真妻種(まづましゅ)と実生種(みしょうしゅ)があり、真妻種は茎の色が紫をしています。真妻種をすりおろすと、粘り気があり辛みが濃いのが特徴です。栽培が難しいため、実生種よりも希少性が高いとされています。

実生種は茎が緑色で、わさびのイメージそのものと言えるわさびです。真妻種よりも成長が早く、流通量も多いわさびですが、真妻種よりも辛みが薄い種類です。

畑わさび(陸わさび)

畑わさびは、湿度の高い畑で栽培されるわさびです。分類上は沢わさびと同じで、栽培方法の違いで区別しています。

畑わさびは、沢わさびよりも栽培する地域が限定されないため、流通量が多く、価格が安いのが特徴です。

西洋わさび

西洋わさびとは、フィンランドなどの東ヨーロッパを原産地とする、わさびの近縁種です。

ヨーロッパでは、ローストビーフに添えたり、魚料理のソースに使われています。強い辛みが特徴で、日本では、粉わさびや練りわさびなどに使用されることの多いわさびです。

わさびに含まれる成分・栄養素

わさび100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

栽培に清流や栄養に肥えた土壌が必要なわさびは、カリウムやカルシウム、リンなどのミネラルを豊富に含みます。また、ビタミンKや葉酸をはじめとするビタミンも豊富です。

わさびは大量に食べる食べ物ではありませんが、薬味として味や香りを楽しむだけでなく、健康に効果的な栄養素にも期待できます。

食品名単位わさび 根茎 生わさび 練り
廃 棄 率%300
エネルギー(kcal)kcal/100 g88265
エネルギー(kJ)kJ/100 g3681109
水 分g/100 g74.239.8
たんぱく質g/100 g5.63.3
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-1.9
脂 質g/100 g0.210.3
トリアシルグリセロール当量g/100 g
飽和脂肪酸g/100 g
一価不飽和脂肪酸g/100 g
多価不飽和脂肪酸g/100 g
コレステロールmg/100 g00
炭水化物g/100 g18.439.8
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g
水溶性食物繊維g/100 g0.8
不溶性食物繊維g/100 g3.6
食物繊維総量g/100 g4.4
灰 分g/100 g1.56.8
ナトリウムmg/100 g242400
カリウムmg/100 g500280
カルシウムmg/100 g10062
マグネシウムmg/100 g4639
リンmg/100 g7985
mg/100 g0.82
亜鉛mg/100 g0.70.8
mg/100 g0.030.11
マンガンmg/100 g0.140.23
ヨウ素µg/100 g1
セレンµg/100 g9
クロムµg/100 g1
モリブデンµg/100 g2
レチノールµg/100 g00
α-カロテンµg/100 g0
β-カロテンµg/100 g7
β-クリプトキサンチンµg/100 g0
β-カロテン当量µg/100 g715
レチノール活性当量µg/100 g11
ビタミンDµg/100 g00
α-トコフェロールmg/100 g1.4
β-トコフェロールmg/100 g0
γ-トコフェロールmg/100 g0
δ-トコフェロールmg/100 g0
ビタミンKµg/100 g49
ビタミンB1mg/100 g0.060.11
ビタミンB2mg/100 g0.150.07
ナイアシンmg/100 g0.60.7
ビタミンB6mg/100 g0.32
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g50
パントテン酸mg/100 g0.2
ビオチンµg/100 g3.5
ビタミンCmg/100 g750
食塩相当量g/100 g0.16.1
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g0.1
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g
重量変化率%
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

わさびの効果・効能

わさびに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

アリルイソチオシアネートによる殺菌・抗菌作用

アリルイソチオシアネートは、わさびなどのアブラナ科の植物に含まれる辛味成分です。アリルイソチオシアネートは、空気中に蒸発する揮発性し、細菌に対する殺菌効果を持ちます。

わさびは昔から、食中毒を防ぐ目的で、刺身や寿司などの生魚料理に添えられてきました。特に、わさびをすりおろすことで、アリルイソチオシアネートの効果が高まると報告されています。

抗酸化作用で老廃物を除去

わさびには強い抗酸化作用があり、体内で作られた活性酵素を除去します。活性酵素とは、代謝で産生される老廃物で、身体に蓄積すると過酸化脂質を産生し、動脈硬化を起こしやすくすると考えらえています。

一般的に使用されるわさびの根だけでなく、花や茎にも抗酸化作用があり、動脈硬化や老化の予防に効果的です。

6-MSITCによる胃がん細胞の増殖抑制

6-MSITC(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)とは、わさびの根茎に含まれる成分の一つです。

沢わさびの抽出成分が、胃がん細胞の増殖を抑制する効果があるとの報告があります。実際に人間に対する研究ではなく、胃がん患者から摘出したがん細胞を利用した研究ですが、6-MSITCががんの治療に効果があるのではないかと期待されています。

血液をサラサラにする抗血栓作用

わさびに多く含まれるイソチオシアネート類の成分は、血液をサラサラにする効果を持つと考えられています。血栓を作る血小板が持つ凝集作用を、抑制するためです。

わさびの食べ方

わさびの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

わさびのすりおろし方

わさびをすりおろすときは、まず茎を取り除きましょう。わさびの茎を丁寧に手でむしり取ったら、黒い根の皮を包丁やナイフで取ります。取り除いた茎も、醤油漬けなどにして食べられますので、捨てないで取っておくとよいでしょう。

わさびは、茎が付いていた側からすりおろします。目の細かいおろし器を使うと、わさびに含まれる辛味・香り成分が出やすくなります。

より香りを引き出すため、円を描くように、ゆっくりとすりおろすとよいでしょう。

わさびの食べ方

わさびには、食欲増進効果があるため、夏バテ予防にそばやそうめんに入れるのがおすすめです。かけそばやかけうどんは、出汁にわさびを入れると、香りと辛味を楽しめます。

醤油に混ぜて、わさび醤油として料理に合わせるのもおすすめの食べ方です。ローストビーフなどの肉料理や、かまぼこ、アボカドなどにつけて食べると、わさびのピリッとした辛味が癖になります。

わさび醤油は、パスタなどの味付けにも使えます。特に、和風パスタによく合うでしょう。

茎わさびの食べ方

茎わさびはアクが強いため、アク抜きが必要です。塩もみでアク抜きしたあとに、熱湯をかけると辛味を引き出せます。そのまま茹でてしまうと、辛味や香りが飛んでしまいますので注意しましょう。

茎わさびのおすすめの食べ方は醤油漬けです。食感が楽しめ、ご飯によく合います。

わさびの保存方法

わさびの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

生わさびは乾燥させないことがポイント

生わさびを保存するときは、乾燥させないように湿度に注意するのがポイントです。水で湿らせた布や新聞紙に包んで、野菜室で保存しましょう。

コップに水を入れ、わさびを入れて冷蔵庫で保管することも可能です。どちらの方法も、1ヶ月ほど鮮度を保ったまま保存できます。

冷凍庫なら長期保存が可能

生のわさびを長期保存したいときは、ラップに包んで冷凍庫で保存します。冷蔵庫で保存するよりも長く保存できますが、鮮度は落ちます。

冷凍したわさびは、解凍せずに使う分だけすりおろし、すぐに冷凍庫に戻しましょう。再冷凍すると、辛味成分が抜けることがあるので注意が必要です。

参考文献